美少女万華鏡 神が造りたもうた少女たち(ネタバレ感想)

83点。


物語の展開は非常にオーソドックス。

孤独な主人公→ロボットの目覚め→ロボットとの反目(村人との反目含む)
→ロボットとの和解(村人との和解も含む)→恋人へ(蜜月)→夢の終わり(暗転)→新しい生活へ


という流れです。


人と関わりを持てず孤独に生きてきた主人公の博士(ひろしではありません。はかせです)は、ロボットを練習台にコミュニケーションを取ろうとします。
しかし、そのロボットとすらうまくコミュニケーションが取れません。
このロボット(アリス)は非常にワガママで感情の起伏が激しく、付き合うには難しい相手でした。
(典型的ツンデレだと思って読めば、非常に解りやすい娘ではあるんですが。リアルであの態度を取られたら、難しいですよね)

そんなアリスに手を焼いて、力で従わせようとする博士とアリスの亀裂はますます深まっていきます。
アリス自体は非常に高慢でワガママな性格をしているのですが、
彼女の不満、寂しさ、見捨てられることへの不安と悲しみが非常に巧く描写されており、
博士やプレイヤーに、「ウザい奴」ではなく「面倒だけど憎めない奴、かわいい奴」として印象づけることに成功しています。


無表情なドロシーは、アリスとは違い博士には従順ですが、心に壁を作っています。
そんなドロシーが博士に対して(確かひまわり畑を見た後のシーンだったと思うんですが、自信ナシ)
「口だけの人ではなかったんですね」と話すシーンがあります。
この辺りから、そして博士が見せるアリスに対する優しさ(甘さとも言えますが)を見て、少しずつドロシーの表情が豊かになっていくのも、印象的でした。


そうして関係が深まっていく博士とアリス&ドロシー、そして村人たちでしたが、そんな平和な日常に1つ目の爆弾が落ちます。


アリスとドロシーを村に連れて行ったことから、2人がリリーと接触し、その夜「アリスとドロシー、どちらを取るのか?」と2人に迫られる……そんなシーンがあります。


この作品での博士のNG行動は1にも2にも「2人を村に連れていく」事にありまして、ロボットが身を隠さざるを得ない世界では、非常に危険な行動だと言わざるを得ません。
実際、3回目の(ドロシールートでは2回目の)NG行動によって、楽園での生活は終わりを告げてしまいます。


アリスとドロシー、どちらも選べなかった博士は一度リリーの元へ。
ここで最初の選択肢、「リリーエンド」への選択肢が発生します。


リリーと結ばれた博士は、その後研究に身が入らずに、研究所を火事にしてしまい、アリスとドロシーを失い
廃人になってしまうというエンドです。明らかにバッドエンドですね……。
唯一の人間ヒロインなのに……やはり博士は人間とは結ばれないさだめなのでしょうか。


さて、本筋ではリリーの誘いを断って一路家へと帰ります。
そこで、今までアリス寄りの選択肢を選んでいればアリスルートに、ドロシー寄りの選択肢を選んでいればドロシールートに入ります。この2つのルートは物語自体はほとんど同じで、これがメインルートになります。


どっちつかずの選択肢を選んだ場合はハーレムルートになります。ここでは、幸せに暮らす3人の姿が描かれており……メインルートよりも、こちらのルートの方が遥かにハッピーエンドですよね。
リリーも死なないし、村も崩壊しないし、2人とHできるし……。
物語自体は尻切れトンボだけど、これからも楽しく3人でお幸せに! 完!



で、終わってしまってはあれなのでメインルートの感想へ。
アリスとドロシーを再び村に連れていく、というNG行動の結果、誰にとっても悲惨な展開へと繋がっていくわけですが、
このルートで面白いのはエンディング。
顔にやけどを負った主人公は自らの容貌に強いショックを受け、『化け物』と形容します。
それはそうでしょう。動揺するのは当然です。


ただ、そんな博士の容貌を、アリスやドロシーは受け入れてくれました。
生き残った人々であるブギーマンも受け入れてくれました。
そして、エピローグでの博士は、元気を取り戻しているように思えます。
これはつまり、「誰も気にしない:皆から受け入れられる障害」は最早、障害ではないということだと思いました。


ジョン・ヴァーリィの短編小説「残像」では、盲目の人々が集まって住んでいるコミューンがあります。
孤独を感じていた主人公、どこに行ってもハズレものだった主人公は、
彼らの仲間に入るために、自ら進んで目を潰すのです。
そうして、主人公はコミューンに受け入れられ、そこで幸せに暮らしていきます。


「村」を失った博士でしたが、ブギーマンと共に暮らす新たな生、決して悪いものではないように感じました。
ただ、ラストの「たった一つの冴えたやり方」はちょっと浮いていたかなとはw



本作では、ライターの趣味でしょうか。
非常に様々なところからパロディやオマージュが取られています。
単に名前を借りたところだけで言えば、30や40じゃきかない感じで、
それもラノベやアニメからギャルゲ、古典童話に海外SFに海外ドラマなど、割と広範囲なところから取られているのが趣深いです。

ある意味ひけらかしとも言えますが、僕などは単純なので「おぉ、そうきたか!」と思ってしまいました。
また、火傷の描写やウィルスの説明などは、きちんと調べて描いている印象を受けましたし、SF的世界観もきちんと作りこまれていて、「短編抜きゲーでしょ?」と思ってプレイすると驚くことになると思います。


個人的にはとても気に入りました。
続編にも期待したいです。

2017年に読んだ本(随時更新)

S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品



A→読んで良かったと思える作品

ミスティックリバー/デニス・ルへイン……重い、お話。幸福を得たショーン、ジミーと、得られなかったデイブの違いは、「車に乗る/乗らない」だったのか、それとも「大切な妻に全てを話せた/話せなかった」という違いによるものか……。しかし「少年時代を懐かしむすべての大人たちに贈る、感動のミステリ」という説明は詐欺だと思うw



B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

歌姫/エド・マクベイン……偽装誘拐の皮肉な結末が印象深い。

殺意の楔/エド・マクベイン……

クレアが死んでいる/エド・マクベイン

さよならダイノサウルス/ロバート・J・ソウヤー

C→暇つぶし程度にはなった作品

10プラス1/エド・マクベイン

熱波/エド・マクベイン


D→自分には合わなかった作品



作家別読書紹介(古い海外小説編)

普段は作品ごとに書いているんですが、作家別にちょっと書いてみようかなと思い立ったので。
自分が読んだものだけなので、とてもいい加減です。


☆ホラー

○スティーブン・キング

説明不要の、ホラー小説界No1作家。
身近な恐怖を描けば右に出るもののいない作家だと思います。

好きな作品を挙げていけばキリがありませんが、
「ザ・スタンド」、「死のロングウォーク」、「ファイアスターター」、「デッドゾーン」、「グリーンマイル」、
あたりが推薦作でしょうか。
あまり沢山薦めても読みづらいでしょうし……でも、他にも薦めたい作品は多数あります。

終末世界での善と悪の衝突を描いた超大作ホラーファンタジー「ザ・スタンド」
「バトルロワイアル」の元ネタでもある、キング最強のホラー青春小説「死のロングウォーク」
国家権力に追いかけまわされる超能力者の恐怖を描いた「ファイアスターター」

ホラー小説の巧い作家は、人間心理を描くのが巧い作家でもあります。
未来予知能力を持ってしまったジョン・スミスが、予知に従って未来の独裁者候補と戦う「デッドゾーン」
そしてただただひたすらに悲しく美しい「グリーンマイル」など、
深く考えさせられる作品も多数残しているので、単純に「ホラー=怖い、気持ち悪い」と食わず嫌いをしている方がいれば、騙されたと思ってホラー色の薄い作品を読んでみてください。

○ディーン・クーンツ

キングに次ぐホラー小説の大家らしいです。
まだ2作しか読んだことがないのですが、「ファントム」は面白かったですね。
今後読んでいきたい作家の1人です。

○シャーリー・ジャクスン

スティーブン・キングが影響を受けた作家の1人で、
閉じられた世界で描かれる、狂気と幸福の姉妹愛「ずっとお城で暮らしてる」はやはり見逃せません。

☆歴史小説

ハーマン・ウォーク

頭のおかしなクィーグ艦長と、それに反抗する副官。
いくら頭がおかしいとはいえ、上官の命令に従わなかった副官は軍事法廷で裁かれることになる……
果たして、副官の運命はいかに……という単純な軍事法廷ドラマに留まらず、
感動あり、恋愛あり、どんでん返しありの長編「ケイン号の叛乱」は人物を深く描いた名作です。

第二次世界大戦前夜~真珠湾攻撃までを扱った歴史大作小説「戦争の嵐」も、ボリュームが気にならず、
めくる指が止まらないほど面白いので、第二次大戦に興味があるけど、「お勉強」ではなく、「楽しみながら知りたい~」という方はこちらもぜひ!

ジェームズ・クラベル

アジアを舞台にした歴史小説シリーズ「アジアン・サーガ」4部作が素晴らしい…と言いたいのですが、2作しか読めませんでした。絶版だったり未訳だったりするんですよね。
三浦按針(ウィリアム・アダムス)を主人公に、江戸時代の日本を描く「将軍」は、一人の外国人が日本文化を理解し、同化していく様子を当時の欧米事情やユーモア、ロマンスなども交えて描き切った贅沢な作品。
ドラマ版では若き日の島田陽子の美人ぶりも楽しめます。

そんな「将軍」以上に感動したのが、「キングラット―チャンギ捕虜収容所―」
一つの楽園の崩壊、価値観の大きな転換が描かれるこの作品では、何が本当に幸せなのかを考えさせられました。
文庫にもなっておらず、手に取りにくい作家ですが、是非読んでみてほしいと思います。


ジョン・ジェイクス

ケント一族を主人公に、巻ごとに主人公を変えながら
18世紀のアメリカ独立戦争から、ゴールドラッシュ、米墨戦争、南北戦争、米西戦争などなど
ケント一族とアメリカの150年の歴史を振り返る、大河小説シリーズ「ケント家物語シリーズ」がお薦め。

全8巻でハードカバーOnly、おまけに誤字脱字が山ほどあるやる気のない出版社、
とどめに、アメリカの歴史小説って、日本人の皆さんは興味あるんですかね……? という疑問など
数々湧いてくるのだけれども、
そこはそれとして。

全8巻中6冊を読んだ私としては、やはりこのシリーズはお薦めするに値する面白いシリーズだと思っています。
できれば順を追って読んだ方が良いとは思いますが、一作一作ストーリーも完結していますし、
順番どおりに読まなくても大丈夫です。

個人的には第一作の「私生児」をまず手に取ってほしいですね。
第四作の「復讐者」もとても面白かったです。


☆ファンタジー

リチャード・アダムス

動物を主人公にした冒険モノの最高峰「ウォーターシップダウンのウサギたち」はもちろん、
冴えない青年が心に闇を持つ絶世の美女に恋をする「ブランコの少女」もお薦めしたい作品です。



☆一般小説

アイン・ランド

「リバタニアリズム」という政治思想を小説の形で描き、アメリカ人に大きな影響を与えた(一説では、「聖書」の次に影響を与えたという話も)という、「超個人主義・実力主義・資本主義」の大家。
興味を持った人はググって下さいw

実力はあるのに認めてもらえない天才建築家が、周囲の俗物人間の影響を跳ねのけて、やがて認められるようになる「水源」は掛け値なしに面白く読んだ。

一方で、同じようなテーマであるにも関わらず、実力はあるのに認めてもらえない人格者の偉大な天才と、実力はないくせにのさばっている無能で性格も悪い俗物社会主義者の対立という形をとった
「肩をすくめるアトラス」は、読むに値しない偏りきった小説という印象を受けた。

アメリカでは大ベストセラー作家の彼女だが、日本で読むには敷居が高い。
何せボリュームが膨大すぎるのだ(「肩をすくめるアトラス」は2000ページ級。「水源」は文庫化されていないはずですが、文庫にすれば1700ページぐらいはあると思います)。

というわけで、お薦めかどうかはわかりませんが、せっかくなので紹介しました。


アーウィン・ショー

都会派の一般小説作家、ということになるんですが……どう説明して良いのやらよくわかりません。
冴えない中年紳士が突然大金を手に入れた事から始まる、ドキドキ人生物語「真夜中の滑降」が好きです。
詐欺師とまで友情を築いてしまう、主人公の「いい奴」ぶりが愛しい、とても爽やかなお話ですね。
3兄弟が、やがて大人になり人生の目標を見つけていく「富めるもの貧しきもの」もお薦めです。


○ジョン・アーヴィング

SFの記事で取り上げたカート・ヴォネガットと似た雰囲気を(勝手に僕が)感じる作家で、人生における悲哀を
少々突き放した筆致で描きます。
その突き放し方が絶妙で、必要以上に感傷的になるわけでもなく(僕は感傷的なのも大好きですが)、さりとて冷徹すぎることもなく、優しく暖かく見守る感覚が素晴らしいですね。
人生は悲しい事も苦しい事もたくさんあるけれど、それでもきっと、なんとかなる。
もしくは、耐えきれないような絶望も、神の視点から見ればちっぽけで滑稽なことなのだ、と、そんな感じを受けました。
推薦作は「ガープの世界」


アーサー・ヘイリー

ニュースキャスター、医者、ホテル、空港、製造業、石油、銀行、製薬など、当時のアメリカの様々な業界を取材し、
それぞれをエンターテイメントとして高いレベルで昇華した、いわゆる業界小説の書き手です。
「○○業界あるある」がそこかしこに散りばめられていますが、もちろん、そこで働くのは生身の人間ですし、
興味のない業界についても楽しく読めます。
ブックオフ100円コーナーの常連でもあり、大きなハズレもないため、手に取りやすい作家ですね。
お薦めは老医者と若医者の衝突と理解を描く「最後の診断」を筆頭に、「マネーチェンジャーズ」(銀行)、「自動車」、「大空港」など


コリン・ウィルスン

元々は思想家なのかな? よくわかりませんが、小説も書いています。
厨二病患者がかめはめ波で月を吹っ飛ばすような荒唐無稽の物語に、奇妙な真実味を持たせたSF
「精神寄生体」は傑作。
滑稽な内容も、大真面目で描けば読み手にリアリティを与えられるのだというお手本のような作品です。
いかに人が世界を色眼鏡で見ているか、という気づきが感動を呼ぶ「殺人者」もお薦めです。




普段は作品ごとに書いているんですが、作家別にちょっと書いてみようかなと思い立ったので。
自分が読んだものだけなので、とてもいい加減です。









誰か忘れてる気もするけど、とりあえず
1950~80年代あたりの海外小説で、

1:最低2作以上読んだ
2:自分の好きな作家or超人気作家

です。

記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター

livedoor プロフィール
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ