この青空に約束を⑦沢城凛奈ルート

☆凛奈ルート 評価

航 B
凛奈 A-
シナリオ A
羨ましさ B+
青春度  A-
Hシーン B+

ストーリーが他ルートと比べても長いので、前半と後半に分けて感想を書きます。

☆前半の感想


思い出の『合わせ石』。
幼かった凛奈に、誰かがくれた『合わせ石』。それを大切に、凛奈は持ち続けていた。
幼かった航が、誰かにあげた『合わせ石』。その記憶は、もはや航の中にはなかった。
記憶の掛け違え。

凛奈は『航に』思い出してほしかった。『思い出してほしい』理由は、時の中で少しずつ推移していく。
『合わせ石の彼』は凛奈の中で、徐々に後退していく。
目の前にいる『航』に恋をしていく。『合わせ石』は二人を結びつける想い出。
想い出は、道具でしかない。
合わせ石の相手に振り向いてほしいんじゃない。航だから振り向いてほしい。『合わせ石』は単なる言い訳、キッカケ作りでしかない。

その『合わせ石』にこだわり続ける航は、エラーを繰り返していく。
ちょうど第1章のマラソン大会で、『勝利』にこだわり続けた結果、凛奈の仲間入りを遅らせたように。

航はそういう男なのだ。『形ある、単純な答え』に手を伸ばしてしまう。
もっとあやふやで、それでいて『大切な、想い』の方に目が行かない。
凛奈はそういう女なのだ。『一度自分から言い出した事』を撤回できない。
『もうそれは大事ではなくなった』とは言い出せず、航に遠回りを強いてしまう。

すれ違いを繰り返した二人は、それでも何とか結ばれる。
というのが前半のストーリーだ。

ここをどう評価するかは、各人の好みや『感情移入度』で差が出そうだ。

僕は、沢城凛奈には感情移入できたが、星野航に感情移入するのは難しかった。
だから、「何で気づいてくれないのよ、バカぁ!」と思って読んでいたし、凛奈の自爆もある種切羽詰まった、ある種痛ましくも真剣な気持ちで読んでいた。
航のミステイクぶりは読んでいてイライラした。

だからまぁ、楽しめたとも言える。
もどかしさこそが、この種の「すれ違い」ストーリーの醍醐味でもあるし、その分ではこの展開はなかなか質が高い。
ただ残念なことに、凛奈の気持ちは解っても、航を恋する気持ちだけは解ってあげられなかった。
そこが、僕の「こんにゃく」評価において、いつまでもこびりつく瑕瑾となっている。


☆後半の感想

後半の物語は『この青空に約束を』全体のテーマでもある、『ネバーランド』を押し出した内容となっている。
『約束の日』に繋がるようにシナリオが設計されている事も含め、凛奈ルートこそがこのゲームのグランド・ルートかもしれない。

「ピーターパンの演劇」で、海己と凛奈が交わす言葉に、このルートの、ひいてはこのゲームのメッセージが凝縮されている。

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『ネバーランド』=『つぐみ寮』(範囲を拡大するなら、南栄生島全体)であり、
『ピーターパン』=『つぐみ寮の学生たち』。

その中で、「永遠のネバーランド住人」であり続けようとしたのが、凛奈であり、静であり、海己だ。
逆に「期間限定のネバーランド」だと割り切っているのが、奈緒子、宮穂の2人。航も基本的にこちら側だ。

さえちゃんは、ある意味『オトナでありながら、ネバーランドに片足を降ろす』立ち位置で、
ある種一番理想的なポジションを確立しているかもしれない。

さえちゃんの有り様(+さえちゃんを受け入れる南栄生島)は、ある意味学生たちのネバーランド以上に、(年齢上)大人になったプレイヤー(僕)にとって心地良いものと感じるけれど、それは余談ではある。


☆その他雑感

羨ましさの項目は航目線でつけた。
エンディングで描かれた、『相変わらず喧嘩ばかり、それも年単位で会っていない恋人関係』。
これは羨ましいのかどうか。
それでも繋がっていられる関係は羨ましいかもしれないけど、自分には無理かなぁと感じてしまう。
つぐみ寮が潰れるまで限定の恋人・羨ましさという意味ではかなり上位ではあるのだが。

しかし本編通して僕が『没入』した対象は航ではなく、凛奈である。
この作品で、恐らく(海己ルートはこれからプレイするので、海己は除くが)僕が最も共感できるキャラクターは凛奈だ。
共感できるというのは、イコール、好きだという事に繋がる。

凛奈を導くのは航よりも、海己の役割が強い。
それは凛奈入寮時から言えることで、航は『思いっきり空回り』しているように映る。
凛奈と同レベルで張り合えるのが航の良いところでもあるが、凛奈を『エスコートする』のはむしろ三田村兄(どうしても名前を覚えられないw)の方で、
個人的には凛奈と航のカップリングよりも、凛奈は三田村兄とくっついた方が幸せになれる気がした。


これで残すところ、海己ルートのみ。
つぐみ寮での生活もいよいよ大詰めに入った。

生島治郎「黄土の奔流」感想(冒険小説のお話)

前置き

冒険というフレーズに、心を躍らせた時期があった。
ゲーム世代な事もあり、それは多分に「ドラゴンクエスト」的な色彩を帯びていた。

勇者になって魔王(悪)を倒したい、なんて思った事は実は一度もなかったけれど、
大きな事を、心が通い合う大切な仲間たちと共に成し遂げる。

「仲間たちとの絆」に憧れただけ、ではない。


この作品にはそんな「信頼できる仲間」なんていなかった気がするけど、何とも怪しげで何ともチャーミングな
シルバー船長と共に過ごす航海はやはり胸躍るものだった。

しかし、人間主体の「冒険」モノには存外、惹かれた作品が少ない。


グリックの冒険

グリックの冒険著者: 藪内 正幸/斎藤 惇夫

出版社:岩波書店

発行年:2000

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冒険心をくすぐられた作品はむしろ、こういったファンタジーの方に多かったようだ。

僕には向かなかった『冒険小説』

時は流れ、『冒険小説』というジャンルがある事を僕は知った。
しかし、最初に手に取った作品が悪かったのだろう。
あるいは、僕の期待が間違っていたのだろう。

僕が最初に手に取ったのは、アリステア・マクリーン

女王陛下のユリシーズ号

女王陛下のユリシーズ号著者: アリステア・マクリーン

出版社:早川書房

発行年:1972

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だった。
これは、絶望的な状況の中、最後まで屈せずに敵と戦い続ける男たちの、血と、涙と、汗と、絆を高らかに謳い上げた作品……だと思う。
日本人にもファンが多く、

冒険・スパイ小説ハンドブック

冒険・スパイ小説ハンドブック著者: 早川書房

出版社:早川書房

発行年:1992

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で堂々の『第1位』に輝いた作品だ。

しかし……僕の心には「しんどいなぁ……」という気分しか残らなかった。
しんどい、のだ。楽しくない、のだ。ワクワクしない、のだ。

これはその後も続いた。
ファンの方を怒らせたくないのであまり触れないが、↑のベスト100は6割近く読んでいます。

ソモソモ論として、船で大災害に遭ったり、軍用機で敵とバトルしたり、カーチェイスしたり、
僕の憧れはそういう方向には向いてないんだよね……。

「黄土の奔流」が思い出させてくれた冒険心

そんな鬱屈を吹き飛ばしてくれる作品に、ようやく出会えた。
生島治郎「黄土の奔流」だ。

時は大正時代末期。
満州(上海)で会社を潰してしまった主人公は、お宝『豚の毛』を求め、
揚子江を遡り重慶へと向かう。
行く手には、土匪、軍閥らが跳梁跋扈する無法地帯が待っている。

主人公と旅路を共にするのは、
曰くありげな悪友、葉村(「宝島」のシルバー船長的な曲者)やバリバリ国粋主義者の九州男児、
レモン大好きな純真少年などの個性派揃い。
そしてその中でも出色なのは、殺伐とした空気の中で、一人マスコットとして物語を和ませてくれる飯桶(ウェイドン)。
この男、主人(主人公)が破産しようが何しようが、とにかく主人を車に乗せて人力車を担いでいれば幸せ!という何ともニクい奴なのだ。
正直言って、足りない奴だ。足りない奴だが、実にいい奴なのだ。
そんな飯桶に春が来たエピソードでは本当にほっこりしてしまった。

道中には美人女匪賊との出会いアリ、涙の別れアリ、次々と失われていく命あり。
それでいて過剰にしんみりとせず、さりとてしっかりと心に余韻を残す。
僕の求める冒険物語がそこにあった。

日本にありがちな『せちがらく、湿った』雰囲気もなく、エネルギッシュでカラっとしているのは
中国大陸を題材に取っているからだろうか?
それでいて、『ワビ・サビ』はきちんと感じられ、最後には『生きる元気』を与えてくれる。

この作品を読んだ後、もう1つ『ワクワク冒険』作品に出会う事ができた。

山猫の夏

山猫の夏著者: 船戸 与一

出版社:小学館

発行年:2014

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こちらはブラジルを舞台に日本人主人公が冒険する物語。
どうも、「異国の地」を舞台に「日本人」が活躍する作品に、当たりが多いのかもしれない。

僕が冒険小説に(もっと言うなら、創作全般に)求めているのは、
『ここではない場所』への『逃避』かもしれない。

現実世界で「冒険」と言えば、『今まで接点のなかったイベントに参加してみる』とか
(こないだ、人生初ヨガを経験してきました! 楽しかった。またやりたい!)、
『心理的ハードルが高い店に入ってみる』とか、
『賭博・ギャンブル・株・転職・起業・プロポーズ』(最後の方は別の意味で夢はあるけど)などで、
どうも子供心のワクワク大冒険とは違う。

そういう類の冒険ではなく、夢のような大冒険をしたい。
そんな事を思ったのでした。

余談

なお、記事にはまとめられなかったけれど、この『冒険』作品は面白かったです。

失われた黄金都市

失われた黄金都市著者: Crichton Michael/平井 イサク

出版社:早川書房

発行年:1990

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とってもチャーミングなゴリラ(メス)と二人でアフリカの秘境を冒険するの。
お薦めです!

やっぱり『異世界』とか『秘境』がいいなw

余談2

本は読んでいるんですが、本の感想をまとめる気力がなく、長文感想は凄く久しぶりになります。
やはり、感想をまとめるだけでもエネルギーがいるんですね。
久しぶりの感想なので、感覚が少し変な気がします。

この青空に約束を再読⑥ 共通ルート第1章(批判気味なので、嫌な方は読まないでください)

「こんにゃく」は全3章構成になっておりまして、
第1章(共通ルート)マラソン大会・凛奈加入まで
第2章(7割共通ルート)寮生活~ヒロインの一人と結ばれるまで
第3章 個別ルート

となっています。
で、今回は第1章をクリアしたので感想を書きますが……ハーーーッキリ言っちゃうと、ツラい。
僕の「こんにゃく」評価があまり伸びないのは、この第1章が足を引っ張っている部分が大きいです。


つぐみ寮に新しい仲間がやってきた。沢城凛奈、転入生。
寮に馴染もうとしない凛奈を、海己が、航が、仲間に入れようとする。
しつこくアプローチを重ねた結果、「マラソン大会で、航が凛奈に勝てば」寮の仲間に入るという約束を取り付けた。
そしてマラソン大会当日。
「航を勝たせたくない」学園長側の妨害などに遭いながら、それでも善戦した航だったが、最終的にはズルをして勝とうとする。
結局失格になってしまった航だったが、凛奈は航の必死さに打たれ、7人目の仲間として溶け込むのだった。


というのが大まかなあらすじだけど、なんつーか、酷い。

酷い点を列挙する。


学園長側の陰謀があまりにもショボすぎる    不満度 6(10が最高。1が最低)

これは、多分誰もが頷いてくれると思う。
普通に考えて、『生徒間の口約束』を鵜呑みにして陰謀を仕掛けるというのはあまりにもアホらしいし、学園長の陰謀によって死者が出たら、学園側の問題は追及され、当然学園長は責任を問われかねない。
実際、航は『骨折』しているが、『熱射病で死ぬ』可能性だってある。
そんな陰謀を企てるとは、『常識的に言って、あり得ない』。


航がウザい    不満度 9・5

しかし僕の不満は上記よりも、むしろこちらの方が根深い。
ちなみにこれについて、あまり他人に理解してもらった事はない(反論をもらった事もある)ので、
読者の方に共感してもらえるかどうかはわからないが。

僕は、一貫して『凛奈になったつもりで』読んでいたように思う。
転入生。友だちがいない。寂しい。荒れている。友だちがほしい。が、別に自分からは頼んでいない。
そんな時に、寮生の航が声をかけてきてくれた。というシチュエーションだ。

ところがこの航(含めてつぐみ寮メンバー)、性格なのか何なのか知らないが、下ネタはガンガン使ってくるし、かなり無神経で挑発的な上、
凛奈が大事にしている陸上競技に対してズルまでするのだ。


僕が凛奈なら、
『確かに友達はほしい。が、お前と仲良くしたくはない。他に友達を探したい』と思う。
別に寮以外で友達を作ったって構わないのだ。
凛奈はスカイフィッシュで、三田村兄と最低限の交流は持っていた。
それで良かった、という見方もできる。
そこから三田村茜に繋がる未来はあったし、茜に繋がれば少しずつクラスに溶け込める可能性はあった、と思う。


仲良くなりたくてアプローチをするのは良いと思うが、度が過ぎればストーカーだ。
更に言えば、真正面から「仲良くなりたい!」と訴えかけるならいいとして、下ネタは言うわ、挑発的な言動はするわではどうにも厳しい。
航が普通に、凛奈の神経を逆撫でしないような距離の詰め方をすれば、読んでいて不快にはならなかっただろうし、せめて最後のズルさえなければ流せたと思う。

僕が神経質なのかもしれないが、スポーツ観戦において、『ズル・アンチフェアプレー』に対してものすごい嫌悪感がある。
そのうえ、航のこれは、ハッキリ言って『必要ない』のだ。
なぜならズルをしなくても、凛奈は既に航に絆されかけていた。
真剣に凛奈に向かい合っていれば、もっと早く凛奈は航を認めていただろうと思う。
仲良くなりたい、という気持ち自体が悪いのではない。ただ、絶望的にやり方を間違えている
あれでは、仲間に入りたいと思えない。僕ならば。


『この青空に約束を』は、オトナになりたくない子供たちの楽園を描いた作品だと思う。
南栄生島や、つぐみ寮は『ピーターパン』のネバーランドに対応している。
しかし、彼らは『純粋なコドモ』ではない。
『酒は飲むし、エッチはするし、ズルだってするけど、オトナにはなりたくない』コドモなのである。彼らの楽園を潰すオトナは無条件で敵であらねばならないし、
彼らの楽園に入ってくるコドモたちは、大事な仲間に『ならねばならない』のだ。

この大前提に則って物語が展開されているため、この『約束事』に違和感を覚えると
作品全体に違和感を持つことになる。


星野航と浅倉奈緒子は、『純粋な(真っ白な)コドモ』として見るには、汚れているように見える。
藤村静、羽山海己、沢城凛奈はコドモだし、六条宮穂や桐島沙衣里(漢字自信ナシ)も半子供半大人と言った感じに映るが、航と奈緒子の2人はネバーランドの住人としては少々厳しい。

むしろ、「ヤンキー・ミニギャングたちの巣窟」として表現されていれば特段違和感も覚えなかっただろうが……。










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