司馬遼太郎作品を読んでます

まずは報告から

8月から、にわかに司馬遼太郎ブームが自分の中で到来し、立て続けに作品を読んでいます。

項羽と劉邦 上

項羽と劉邦 上著者: 司馬 遼太郎

出版社:新潮社

発行年:2005

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『関ヶ原』(「関ヶ原」というタイトルの本が多すぎて、本引用できませんw)

燃えよ剣 上

燃えよ剣 上著者: 司馬 遼太郎

出版社:文藝春秋

発行年:1980

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世に棲む日日 1 新装版

世に棲む日日 1 新装版著者: 司馬 遼太郎

出版社:文藝春秋

発行年:2003

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の4作を一気読みしました。
「義経」、「覇王の家」も積んでいて、近々読むのでその時にまとめて感想を書いても良かったのですが、先走って感想を書いてしまいます。

以前、「国盗り物語」と「最後の将軍」を読んでいるので、現在で6作読んだことになります。

司馬遼太郎作品の特徴

まだ6作しか読んでいないので精度は低いかもしれませんが、雑感を。

共通して言えるのは

当たり外れが少ない

ということです。年間ベストを出したくなるほどの作品はあまりないのですが、どれを読んでも「面白かった。読んで良かった」という感想になるので、安心して手に取れてしまいます。
そんな理由で、2021年読書ランキングのベスト10は、司馬遼太郎がずらっと並びそうな予感がします。

あまり情感を込めては書かない

ここが、個人的には少し物足りない部分になります。
感動できそうなシーンがあって、ここを盛り上げてくれたら泣くかも、というところで
『余談だが~』のように話の腰を折る癖(?)があり、素直に感動させてくれないのですw

余談が多い

ここも、個人的にはちょっと評価が下がるポイントです。
歴史物語世界に没入したいのに、作者の司馬先生が出ばってきて、『現在の地名では●●であり、そこは博物館になっている』というように時空まで超えてしまうので、
どうも『歴史の先生の講義を聴いているような』気持ちになります。
ただ、この余談が好きな方もいるんでしょうし、作者の味でもあると思うので、否定してはいけないのでしょうね。

「項羽と劉邦」の感想

集中的に読んだ4作の中で、淡白なのが「項羽と劉邦」です。
役所に行って昼寝をするわ、役人とチャンバラごっこをして相手を斬りつけて逃げ出すわ、無銭飲食をするわのむちゃくちゃな男、
劉邦が遂に天下を取るというのは実に愉快であり、劉邦のキャラクター性が楽しく読めるのですが、それ以外にあまり魅力的なキャラクターがいませんでした。
劉邦は、良いヒモになれそうな人ですねw

『三国志』についてはそれなりに知っているつもりなのですが、この『秦末~前漢』の時代については全く知らなかったので、*勉強になりました(?)
『三国志』に比べると、諸侯の粒が小さく、秦・項羽・劉邦・韓信ぐらいしか勢力がいないのが地味ですね。
斉の田氏など、小さい諸侯はたくさんいたようなので、その辺についても書いてほしかったです。
また、韓信がこの作品では魅力に乏しかったのも残念でした。

*あくまでも歴史『小説』なので、全てを鵜呑みにするつもりはありません。この後も、こういう表現を書きますが、そこはご了承ください。

「燃えよ剣」の感想

土方歳三を主人公にしたこの作品ですが、新選組に関しては以前にも触れた事があるので、大きな発見はありませんでした。
一方で、以前にも触れていた題材だっただけに、とても読みやすかったです。
当たり前の事ですが、『知らなかった時代・人物を知りたい』と思って読むと、勉強になるぶん読むのが大変で、『ある程度知っている時代・人物』を読むと、読むのは楽だけど、知的好奇心はあまり満たされないということですね。

土方歳三と沖田総司が印象的でした。
あと、近藤勇に若干『劉邦み』を感じました。
リーダーはデンと構えて、副官がしっかり行動するというのが、鉄則の一つなのでしょうか。

「関ヶ原」の感想

4作の中では一番、没入度の強かった作品です。
石田三成に感情移入しながら読んだので、徳川家康のいやらしさが半端なかったです。
悪役(?)家康もそうですが、なによりも福島正則や加藤清正のような、家康に操られる単純バカ(注:作中人物の事です。リアルのお二人についてはわかりません)には本当に腹を立てて読みました。

人としては家康よりも石田三成の方に親近感を抱いてしまうのですが、
客観的に言えば徳川家康に敵うわけがないよなぁ、とも。
厭らしさも含めて、ちょっと格が違うな、と。

石田三成も項羽も『人の好き嫌い』が激しいのに対し
徳川家康や劉邦は『好き嫌いではなく、人材をどう役立てるか・利用するか』を冷徹に見ている感じがします。

僕は人の好き嫌いが激しい側なので、いかんともしがたいのですが、
天下を取るには後者の方が有能なんだろうなぁ、とは思いますw

「世に棲む日々」の感想

「最後の将軍」や「燃えよ剣」など、幕府側から見た幕末作品は以前から読んでいて、歴史の授業も合わせて長州藩はかなり『嫌い』な藩でした
(薩摩はそうでもありません)。

今回、長州藩の吉田松陰&高杉晋作を主人公にした作品を読んでみて、どうなったかというと、やっぱり長州藩は嫌いですw

多分、これは『関ヶ原』の福島&加藤が嫌いなのと同じで、よくわかりもせずに攘夷だと言って切りかかったり、それに反対する人を見ると『売国』などと言って、暴れたりする人たちが大嫌いなんだと思います。

特に長州藩の過激派浪士は、なんだか今のネット右翼みたいな頭の悪さ(失礼)を感じました。ついでに言えば、第二次大戦中の日本みたいな感じもしますし、『テレビを消せばコロナも消える』な人たちにも通じるものを感じます。
つらいです。

プラスすると、どうも自分は『滅びゆく体制側』に感情移入をするようで、
『関ヶ原』では徳川家康が嫌いだったのに、幕末では幕府の方に感情移入してしまうんですよね(汗)

長州藩の中では、井上馨と伊藤博文が魅力的でした。

また、この頃の長州藩の複雑かつ不可思議な動きがよくわかっていなかったのですが、毛利敬親の『部下任せの日和見主義』の元で、
藩内が真っ二つに分かれ、権力争いをしていたということで何となく理解しました。

しかし、『関ヶ原』ぐらいまでの時代なら大昔の事なので、無責任に発言できるのですが、
幕末ともなると現代と地続きの時代なので、どうしても現代の事を考えてしまい、感想を書きづらいところがありますね。

というわけで今回はここまで。
しばらく司馬遼太郎作品を読む一方で、
スティーブン・キングも何作かまとめて読んでいる、
そんな最近の読書状況でした。

2021年に読んだ本


S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

空のあらゆる鳥を/チャールズ・ジェーン・アンダース……感想はこちら

幻詩狩り/川又千秋……

面白かった。
ただし、作品のテーマを読み取れている自信はなく、もう少し考えてみたいところ。

物語としては、シュールレアリスムというナチスによって弾圧された前衛芸術。
その最先端を行く、フー・メイの『幻詩』には人の心を狂わせる麻薬効果がある。
その麻薬を取り締まるため、大量の殺戮が行われる『幻詩狩り』。それは、焚書・言葉狩り・言論統制への警鐘として読める。
しかし、では言論統制・焚書はNGなのか?

芸術を破壊する事は罪なのか?と考えると、『普通に』考えればNGであり罪だろう。
レイ・ブラッドベリの「華氏451度」で描かれたように。
しかし、この作品での『幻詩』は覚せい剤的効果がある。というか、覚せい剤のようにしか読めない。とすると、『覚せい剤、という芸術を統制する』事は罪なのか、NGなのか、という、よりシリアスな領域に足を踏み入れてしまう。

言論統制は、悪だと思う。
しかし、言論統制を覚せい剤に置き換えると、覚せい剤を取り締まることが悪だということになってしまう。

なるほど、シュールレアリスムという芸術において、麻薬を利用する事もあった。
社会一般的なルールを逸脱し、麻薬・覚せい剤効果を引き起こす芸術(=覚せい剤という薬物)も一概にNGではない、一種の芸術表現として、現実の壁を超えていく事への恍惚感と恐怖を描いた作品、なのだろうか?

個人的には、『2131年の火星』さえ出て来なければ、そこまで言論統制的なメッセージを感じる事もなく、普通に鈴木光司「リング」の詩verとして読めたので、そっちの方がシンプルで、テーマ性に悩むことなく楽しめたような気がしている。
実際、ドラッグ小説として、この作品の『幻詩』のイメージ喚起力は、過去読んだ作品の中でもディレイニーに匹敵するレベル(で、ディレイニーよりも遥かに読みやすい。)
ギラギラと、クラクラと眩暈のするような、『黄金の時空間』を楽しめた。

グラン・ヴァカンス/飛浩隆……
時が止まった仮想空間『夏の区界』内で暮らすAIたち。
『ゲスト(人間)』に設定された、悪趣味な嗜好に翻弄されながら暮らす彼らの世界へ、蜘蛛型AIが襲撃を開始した。
奴隷身分のような、『夏の区界』に生きるAIたちそれぞれの人生(?)と、永遠に終わらない夏の海岸の風味が楽しめる、娯楽SF小説。
描写・設定共に練られていて、完成度が高く、不思議な読後感がある作品だった。


光の塔/今日泊阿蘭……長文感想はこちら

人間の絆/サマセット・モーム……

流されやすく、しょうもない主人公のフィリップが幸福を掴むまでの物語。
孤児で、足に障害を抱えたフィリップは、神学校でいじめに遭い、神への信仰を失う。
会計士も長続きせず、絵画を習うが才能に見切りをつけ、医者の学校に入るも、株で大損をしてホームレスになってしまう。
そんな窮地を助けてくれたのが、アセルニー一家だった。

同時に、フィリップは学生時代、年上の女性ミス・ウィルキンソンに無情な振る舞いをして傷つけ、
そして彼の人生にとり憑いて離れない悪女ミルドレッドに熱烈に恋をする。その過程で、自分を大事に思ってくれていたノラを傷つける。
そして、最後にたどり着いたのがアセルニー一家の長女サリーへの愛だった。
遠い異国の地に憧れ、夢見ているばかりだったフィリップが、本当に欲しかったものは、孤児だった彼が持ったことのない『家庭』だった。
というのが全体のあらすじ。

ミルドレッドという性悪女にひたすら執着するシーンなど、読んでてしんどい部分はあるけど、
それもまた人生の一シーン。
立派な人生、しょうもない人生、嬉しい事、悲しい事、苦しい事、それら全てが縦糸・横糸となって、
人生という名の絨毯を織っていく。
良い作品だった。

関ヶ原/司馬遼太郎……
戦う前から石田三成にはほぼ勝ち目がなかったような書かれ方をしているけど、小早川秀秋や毛利(輝元だっけ?)次第ではわからなかった気がした。
家康VS三成では、勝負にならない感じはあったけど、三成の方が好きですね。
一番嫌いなのは福島正則みたいな奴w

燃えよ剣/司馬遼太郎……
多摩の片田舎の剣術道場から出た庶民たちが、幕末の京都で『新選組』と名乗り、束の間の勇名を轟かせた。
新選組は粛清も激しく恐ろしい部隊だったけど、超ハードなガチ勢が集まる部活のような熱気もあって、青春ものとしても面白い。
司馬遼太郎の描く『リーダー像』は、あまり物事にこだわらず器の大きい人間で、それが今回も近藤勇として描かれている。
印象深いのはクールな『喧嘩屋』土方歳三と、いつも朗らかな沖田総司の2人だった。


世に棲む日々/司馬遼太郎……
腰が定まらない長州藩。
藩主の毛利敬親はよく言えば『部下任せ』の人で、
藩内には『佐幕派』と『倒幕派(高杉など)』が双方権力争いの末、内戦まで発生しており、幕末の長州藩の複雑で不可思議な動きが多少理解できたような気がした。
作中で、気に入ったのは井上薫と伊藤博文で、どちらもかわいげがある。
主人公の吉田松陰は最後まであまり好きになれず、高杉晋作も嫌いではないが、
長州藩の若さの暴発ともいえる、ヒステリックさがやはりあまり好きになれなかった。

A→読んで良かったと思える作品

リプリー/パトリシア・ハイスミス……
考えなしの犯罪者リプリーが、人を二人も殺した上に、いろいろと失策をしているにもかかわらず、逃げおおせてしまう作品。
犯人リプリーの、被害者ディッキーへのややゲイ臭のする片思い感が面白い。
下層階級のリプリーが、殺人によってディッキーの富を手に入れ、上流階級へ昇るのは、アメリカン・ドリームと言えるのだろうか……

忍びの卍/山田風太郎……
4人の忍者がエロ忍法で争い合うバカ小説、
と見せかけて、その奥に4人を影で操る徳川官僚組織の非人間的な恐ろしさと、『ヒトであることをやめ、忠義のために使い捨てられていく者たち』の悲哀を描いた良作。
人であるためには死なねばならなかった、徳川忠長とお京、人であることを辞め使い捨てにされた3人の忍者たち、そして笑うは全てを操る土井利勝と、頂点に君臨する徳川家光のみ。

忍者たちのエロ忍法、といった『祭り』が終われば、
後に残るのは、『祭りの後の寂しさ・虚しさ』のみ。
人が生きる、それ自体が一種の『祭り』であり、
祭りが終われば何も残らない。
そんな虚無的な読後感を抱かせる、さすが山田風太郎と思わされた作品。

項羽と劉邦/司馬遼太郎……
全く知らない時代だけれど、地理については以前読んだ『三国志』の知識がだいぶ助けてくれた。
読み物としては、劉邦のキャラクターが面白いのに対し、韓信があまり魅力的ではなかった。項羽が破れたのは、1に補給線に対する無頓着ぶり、2に外交も含めた軍師不足・計略不足だろう。
項羽軍には猪武者しかいなかったのか、軍師的な要素が非常に乏しかった(それを言うなら劉邦側だって割と乏しいのだけど、陳平のやらしい謀略などは読みごたえがあった)

基本面白いんだけど、項羽・劉邦・秦の3勢力しか描かれてないのは物足りない。
魏とか趙とか斉とかも書いてほしい。
「三国志」ほどの人気がないのは、三国志が袁紹だの袁術だの劉表だの公孫賛だの、軍閥だらけでワチャワチャやってたのに対して、
「項羽と劉邦」は秦(韓信)・項羽・劉邦、の3勢力しかないシンプルさが、盛り上がりに欠ける要素だと思う。
その分、戦乱が短く収まったので、当時の民たちにとっては良かったと思うけど。

ハローサマー・グッドバイ/マイクル・コーニィ……
青春恋愛作品だと勝手に思って読んだんだけど、まさかの全滅悲恋SFだった。
ヒロインのブラウンアイズもいいけど、女友達のリボンも良かった。
あと、両親が最後まで清々しいまでのクズですごい。
記憶に残りそうな作品。

愛と死/武者小路実篤……
武者小路実篤の「愛と死」読了。75点。
むしゃ先生らしく、好感の持てる、素直ながらちょっとしょうもない主人公。
一発芸をやれと言われて、めちゃくちゃ困っているところを、片思いの女性(夏子)に助けられる。
夏子は一発芸として、逆立ちをするような、当時としては活発でおてんばな女性だった。
やがて、相思相愛になった二人。
主人公は船で4か月ヨーロッパへ旅行をする。帰ったら結婚をすると誓い合い、読んでて笑えるようなラブラブラブレターを送り合い、相手からのラブレターを口にくわえて前転をするような浮かれっぷりだったが、
主人公が日本に帰る直前、当時流行していたスペイン風邪(今回のコロナは、スペイン風邪以降最悪の伝染病)で死んでしまう。
涙する主人公。というお話。
100年前の世界らしく、電話がないため、ヨーロッパへの船旅は時間もお金もかかるものだった。
そのため、また会える日を夢見てラブレターを送り合うわけだけど、まぁ、その内容が恥ずかしくて面白いw
最後はしんみりと悲しい。

純粋で素直で、恥ずかしいバカップル小説。
むしゃ先生の真骨頂ですね。


証拠/ディック・フランシス……
軍人だった父親や祖父と比べ、「勇気がない」主人公はワイン商。ワイン詐欺にまつわる事件に巻き込まれ、怯えながらも、主人公は勇気を見出していく。
面白いけど、個人的に亡くした奥さんの代わりとなる女性との出会いも欲しかったw

ミセズ・アレクシスという50代の肉食系女傑が出てきて、めちゃくちゃ存在感があったんだけど、
アレクシスを30代ぐらいにして、主人公と恋人にはできなかっただろうか。
めっちゃ、貪り食われそうだけど。

サスペンスシーンは緊迫感があって良かったんだけど、最終盤の敵との対決よりも、50ページほど前の「敵地からの脱出」の方がハラハラして、
敵との対決はあまり盛り上がらなかったのはちょっと残念。


猶予の月/神林長平……
上巻は『両想いの姉弟』の思惑が面白い。時間が止まるまでの話。
下巻は「マトリックス」みたいな活劇中心だったので、上巻の方が好き。
とりあえず、ストーリーを紹介するのが凄い難しい話でした。

宇宙へ/メアリ・ロビネット・コワル……
女性差別・人種差別が激しい50年代のアメリカ。白人男性にしか開かれていなかった宇宙飛行士への夢を叶える、女性主人公の活躍を描く作品。
宇宙へ旅立つ、というよりは、女性の社会進出、黒人の社会進出という色合いが強い、社会派作品。

チグリスとユーフラテス/新井素子……
『人類最後の子』ルナちゃん(74歳)を通して、『人が生きる意味』を見つけていく話。
内容的にはかなり面白かったんだけど、文章がだいぶ肌に合わなくて、82点。

終わりなき索敵/谷甲州……未来から過去へのメッセージ情報により、過去が改変される。
改変された世界が混ざり合う。というのは「シュタインズ・ゲート」でもあったけど(終わりなき索敵の方が先)、まぁシュタゲの方が大好きです。
終わりなき索敵の方が複雑ですけど。後は、宇宙空間で光速を超えると年を取らないというウラシマ効果を利用して、
1000年ぐらいの戦争を戦い続けている人生を描いている意味では、
タイトルも似ているジョー・ホールドマンの「終わりなき戦い」へのオマージュかなとは感じた。

膚の下/神林長平……
人造人間のケイジが、「自分はなぜ造られたのか・自分はなぜ生きるのか」という自我をベースにして、自分を見つけていく成長物語。
そしてそれは、人間が持つ「自分はなぜ生まれたのか・自分はなぜ生きるのか」という問いと大差はない。
それはまた、「人間」自体が教育や社会的要求などを通じて、ある特定の価値観を『インストール=洗脳』され、
「ロボット」化していく現実とも重なっている。
「国家社会=創造主=人間」を絶対とするなら、私たちは「人造人間=ロボット」である。
あるいは「両親=人間」を絶対とするなら、私たちは「子供=ロボット」である。
子供でいたい、ロボットでいたい、奴隷でいたい、ペットでいたいという欲求は現に人間には存在する。
一方で、自由になりたい、自分自身を表現したいという欲求もまた。
誰かに押しつけられたものではない、自由な「人間」として生きるとき、生きる理由もまた自分で「創り出さなくては」ならないことに気づく
誰かに押しつけられた生きる理由(たとえば子供を作って家を継がせる、たとえば国の存続のために戦争に行く、など)に従っているなら、それは「ロボット」である。
『他人に押しつけられた』価値観・生きる理由を解除した先にも、『自分の感情の奴隷』(怒りや喜びに振り回される人生)が待っているわけで、自由なんてものは存在せず、結局人は何かのロボットのままなのだ、とも思う。

とりあえず、人間キャラにうざい奴が多すぎてしんどい


大いなる遺産/チャールズ・ディケンズ……
重厚だけど、エンタメ要素もちゃんとある。
恩人のために、命がけでイギリスにもどってくる脱獄囚が一番印象的だった。
ディケンズの中では「クリスマスキャロル」の次に好き。

北海道警察の冷たい夏/曽我部司……
ノンフィクションに点数をつけていいのかはよくわからないけど、非常に興味深かった。
自浄作用を失った官僚組織の「保身」と、「スケープゴート」に全ての罪を着せるやり方は、つい数年前の安倍元首相の公文書改竄事件でも目にしたばかり。


われら/ザミャーチン……
ジョージ・オーウェルの名作「1984年」の先駆的作品として、非常に価値の高い作品。
どうしても後発の「1984年」と比較してしまうし、「1984年」に比べると世界の緻密さに欠けているため、『圧倒的な絶望感』には欠けるが、その分肩の力を抜いて読める。『ソ連』が誕生する直前の1921年にこの作品が書かれているのは、先見の明がありすぎるというか、素直に凄いと思う。

また、『個性なきところに不幸なし。自由なきところに犯罪なし』をある種の楽園として捉えるなら、全ての人間から個性を奪うこの単一国こそが楽園であり、
単一国≒ソ連の崩壊を楽園の崩壊とみなす事も不可能ではないのかもしれない。

ロシア文学は読みにくい、という苦手意識があるんだけど、この「われら」は読みやすかったですね。
新訳だからかもしれないけども。


リーシーの物語/スティーブン・キング……
ざっくり言うと『シャイニング』に妻へのラブレターを加えたような作品。
「子供への愛」を持ちながらも、「虐待してしまう親」は、『シャイニング』の変形版。
人間を内部から食い尽くす狂気を、愛を持って描いた作品だけど、読みやすくはない。



ビッグ・ノーウェア/ジェイムズ・エルロイ……

ウルヴァリン(クズリという鼬の種族)の義歯を着け、同性愛者を次々と腸まで食い破り、目を犯して射精する殺人犯の鮮烈なまでのエネルギーと、
殺人犯を追うために危険を冒し続ける若手警官
欲望のままに明日をも知れずさまよう中年警官等、ギラギラと漂う『生=欲望』が印象的な作品。
併せて、スリーピー・ラグーン殺人事件や、赤狩りに代表される、他人種・他思想排斥による監視社会化が現れた、陰鬱な1950年代ロサンゼルスが活写されている。

読んで良かったと思うし、作者の『暴力的な筆遣い』は圧巻だけれど、好みかどうかと聞かれるとw
でも、力のある作品だと思うし、同シリーズの『ホワイト・ジャズ』も近々読もうと思います。

砂の女/安倍公房……
蟻地獄の中で、甘い腐肉のように誘う女。
もがけばもがくほど、ずぶずぶとはまっていく男。
拉致監禁はいつしか男を侵食し、部落の一員となっていく……。
ホラーですね。酷い話である……。
もっと恐ろしい事に、この男には、『砂の迷宮』から脱出したとしても、結局外の世界にも自由なんてないのだ。
どこでどう生きようと、結局人に自由なんてないのだ……。ただ、『不自由』から気持ちをそらすための『娯楽=刺激』があるだけ。
ただ、それだけなのだった……

結局、「自由」なんてどこにもないんだろうなぁとは思う。
誰かと繋がれば「しがらみ」も増えて、「不自由」も生まれる。
全くの孤独状態では心が健康を失い、孤独に潰されればやはり「不自由」状態になってしまう。
なら、どこに「自由」はあるのか。答えはきっと、自由なんてどこにもない。

B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

夜勤刑事・刑事の誇り・男たちの絆(三部作)/マイクル・z・リューイン……
刑事小説。事件に右往左往する、ワーカーホリックの中年刑事の数日を追いかけるような読み口。
特に感動したり、読まなきゃ損ということもないが、
リーダビリティも高く、肩の力を抜いた暇つぶしとしては楽しめた。

情事の終り/グレアム・グリーン……
西洋文学によくあるキリスト教色の強い話で、ちょっと苦手。

日はまた昇る/ヘミングウェイ……
主人公はいつも片想い相手を慰めるだけの報われない役で笑った。
男4女1のグループでスペイン旅行に行くような話で、呑気なバカ話が多いながらも、グループ内に嫌な奴がいたり、女を取り合ってたりしながらも、まぁそれも青春だなぁ的な感じでじんわり面白い。


飢えて狼/志水辰夫……
主人公が酷い目に遇う意味でも、なかなかしんどい小説だけど、非情なスパイ合戦の世界を迫力たっぷりに描いた力作。これがデビュー作とはさすが。
ヒロインはもう少し魅力がほしかった


夜歩く/横溝正史……
ミステリとしては割と微妙だけど、復讐物語としては楽しく読めた。
彼女をレイプされた男(犯人)が、レイプ犯の片思い相手を寝取って散々利用した末に殺す話なんだけど……レイプ犯の片思い相手はかわいそうやな……。
あんまりかわいそうな感じで書かれてないのがあれだけど。
それをレイプ犯に得意げに語って聞かせるシーンが面白かったです(性格悪い)

ミステリとしては、割とわざとらしい感じもするし、そもそもトリック自体が「アクロイド殺し」のパクり(断言)でした。
犯人の友人が、レイプ犯しかいないのが一番泣けるポイントかもしれない……
もう少しマシな友人はおらんかったのか?


悪魔が来りて笛を吹く/横溝正史……
近親相姦な兄妹を中心にした、近親相姦連鎖殺人事件で面白いけど、途中ちょっと長くて中だるみする……。↑の「夜歩く」よりはやや低評価。
近親相姦は別にいいけど、この兄は鬼畜。

女王蜂/横溝正史……
いつもの横溝ワールドだけど、犯人の動機がアレなのと、
ヒロイン『女王蜂』の性格がいまいち掴めないのが何とも。
セクシーポーズで男に媚び売りまくってるのに、エッチな誘いを受けるとは夢にも思わない、なんてあるんか?


パヴァーヌ/キース・ロバーツ……
1588年、イギリスがスペインの無敵艦隊に敗れ、スペイン・カトリックがイギリスを支配した架空の世界。
蒸気機関車が走り、未だに産業革命前のイギリスを舞台に、法王の支配からの独立機運が密かに高まっていた。

かめくん/北野勇作……

事件/大岡昇平……裁判ガチ小説。1960年代の日本における裁判が克明に描かれており、当時の裁判制度に一石を投じたであろう作品。
大岡先生の「娯楽性の高い裁判小説ではなく、真面目に裁判について描きたい」という理想を体現した作品で、
志は高く買いたいけど、娯楽的にはチョイ厳しい。
この手の作品(社会派小説)に関しては、『1960年代の日本における裁判の問題点』を社会に問いかけるという意味ではとても大切だし、『過去を遡って、当時の風俗を知りたい』という人には楽しめると思う。
一方で、裁判員制度が導入された現代2021年の裁判とはやはりだいぶ違うわけで、その上で娯楽性も低いとなると、
『普遍的な作品』にはなりえないのではないか、という気もする。
賞味期限が短い作品とも思える。そういう意味で、フレデリック・フォーサイスの作品に、個人的に似ているように感じた。

死の競歩/ピーター・ラヴゼイ……
19世紀のイギリスに実在したという、『競歩=6日間、屋内を延々歩きまわるスポーツ』。
その競歩レース中に起きた殺人事件を扱う、ユニークな小説。
まぁ、殺人事件とかは正直どうでも良くて、競歩競技の描写がなかなか楽しい。

薔薇の女/笠井潔……
本シリーズは『密室殺人ミステリ』の皮を被った、『過去の哲学者』との思想バトル小説だと思って読んでいる。
そう言う意味で、今回のバタイユの論は面白かったけれども、前作までと比べると、残念ながら『事件』と直接『接続していない』印象を受ける。

本作で全面的に打ちだされるのは、プルーストの『失われた時を求めて』における、アルベルチーヌとジルベールのモチーフ。
そして、『社会情勢によって人生を左右される庶民の悲哀』。映画女優ドミニク・フランスと、『革命思想』という名の『悪霊』にとり憑かれた革命分子アグネシカに顕著ではあるが、革命分子アグネシカの描写については、シリーズ第1作「バイバイ、エンジェル」においてより強烈であった、革命家マチルダとの思想バトルを既に経ているため、インパクトは強くない。
代わって、本作では「アンドロギュノスの殺人」という『一般的な殺人ミステリ』に比重が大きく割かれている印象もある。

が、個人的には割とミステリ部分は(このシリーズに関しては)どうでもいいというのが本音と、
ミステリとしての出来はそこまで良いとは思えない。

ただ、『思想性の強い』ミステリとしてやはり楽しめたのは事実だし、前作「サマーアポカリプス」のシモーヌ・ヴェイユの論に関しては(僕がバカなため)ついていききれなかったものの、本作では(バタイユとの思想バトルが短かったせいも大きいが)きちんと最後までついていけた満足感はあった。

次回作もたぶん読みます。けど、「思想バトル」部が面白くて、「ミステリ」部は別に……なので、思想バトル多めでお願いします(>_<)

ボーン・コレクター/ジェフリー・ディーヴァー……
タイムリミットサスペンスですいすいと読め、最後のどんでん返しも面白い。
ただ、犯人の動機にはみじんも共感できなかったし、
それを言うなら主人公とヒロインの人柄も、特に好きというわけでもないんだよな……。


二都物語/チャールズ・ディケンズ……
物語中盤のバスティーユ襲撃シーンと、物語終盤のミス・プロスvsドファルジュ夫人の、英仏婦人対決はド迫力で面白かった。
ただ、その間のシーンは割と退屈してた。

フランス革命時の、暴発したフランス庶民の狂気が恐ろしい。実際こういう事もあった。
ただ、ディケンズはイギリスの作家なので、その辺は多少割り引いて考える必要があるかも。
庶民が暴発するまでの過程(ブルボン朝の状況)がほぼ描かれていないので、歴史を知らないと一方的な見方になってしまう。

まぁ、フランス革命を知らない人が、「二都物語」をいきなり読まないかw


夢十夜/夏目漱石……幻想短編小説集。第1夜・3夜・4夜・10夜が好き。

カリフォルニア・ガール/ジャファーソン・パーカー
……中盤以降ちょっと期待外れだったけど、まぁ面白かった。

ゴリオ爺さん/オノレ・ド・バルザック
……金が全てで人情のカケラもない人でなしが跋扈するパリの街の物語。
娘に財産も、命も奪われたゴリオ爺さんは哀れだけれど、爺さん自身が娘の育て方を完全に間違っているので、もう何も言えねぇ。
とにかく胸糞悪い作品だった。


回想のブライズヘッド/イーブリン・ウォー……

『宗教(カトリック)』という名の洗脳が一家を滅ぼす物語、というふうに読んだ。

「自分だけのルール」を他人に押し付ければ嫌われるのに、なぜ「宗教」という名前を借りれば、それが当然のように考える人がいるのだろう。独善的で、押しつけがましい同調圧力は日本でも感じるけれど、欧州でも宗教という名前でそれがあるんだなぁって。
ジッドの「狭き門」のアリサにしろ、「回想のブライズヘッド」のジュリアにしろ、『殉教者気取りは勝手にやってろ。人を巻き込むな』という気持ちになった。死にかけている人に、無理やり宗教を押し付けて、自己満足に浸って帰っていく牧師とかさぁ……。
危篤の人は信心の道に戻ったんじゃなくて、単に逆らう気力がもうなかっただけでしょ……。


キャッチ22/ジョゼフ・ヘラー……
陽性の狂気に満ちた戦争小説。
狂った世界では、そこで生きるよりも、逃げ出した方が良い。
逃げることは決して恥ではなく、しかも役に立つ。


C→暇つぶし程度にはなった作品

敵は海賊・海賊版/神林長平……
トマス・ディッシュの「虚像のエコー」と同じ構造を持つ、並行世界のハチャメチャ冒険談なんだけど、「虚像のエコー」と違ってめちゃ複雑で、何が起きてるのかが難解なので、正直あまり楽しめなかった。

ホワイトジャズ/ジェイムズ・エルロイ……

ひたすらに読みづらい。
『内部――臭う――血。フラッシュ。灰色の服の男たち――押しのけて進んだ。
近くに道具――鋤/大鋏/三叉――血まみれ。
肉片/よだれ/反吐の跡。
刺して、切って、突いた――はらわたの山がラグをずぶ濡れにしている』

こんな感じ。
グロも勘弁だけど、この『―』と『/』にほとほとウンザリした…
ラストは良かったけどね。

蝶々殺人事件/横溝正史


D→自分には合わなかった作品

本陣殺人事件/横溝正史……
昔の作品だというのはわかっているが、結婚相手が処女じゃなかったという理由で、
結婚式の日に新婦を殺して自分も自殺した新郎……
処女厨とはクレイジーなものだと前々から思ってはいたが……

ペドロ・パラモ/ルルフォ

E→プロ作品として見るにはつらい作品
 

紙の上の魔法使い ネタバレ感想

81点
ビリビリ破いてしまいましょう。パチパチ焚(も)やしてしまいましょう。
なぜそうしないのか、疑問です。さすれば誤字も目立たないのに。
長文感想は夜子への愚痴が多いので、夜子ファンの方は回避推奨。







本作、「紙の上の魔法使い」は面白かった、とは思います。
しかし、私が好む物語傾向とは外れていたことも事実。
ここでは、その理由について書いていきます。


☆一本道シナリオのメインが、遊行寺夜子(クリソベリル)であることの辛さ


本作は、一般的な萌えゲー・キャラゲーではありません。
それは始める前からわかっていました。
人の暗い部分を描くため、ある程度ヒロインが『汚れ』役を被っても良いとは思います。
最後の最後で夜子が『告白』ができるくらいには成長するので、どうしょうもない少女の成長物語として、ある程度仕方のない面もあったのでしょう。

しかし……本作の遊行寺夜子へのストレスは強すぎました。


初対面の相手に対して「オマエ」と呼ぶ礼儀のなさ。
顔を合わすたびに「大嫌い・出ていけ」と瑠璃を口撃する品のなさ。
喧嘩をした後、自分が悪いと思っても瑠璃に謝れない幼稚さ。


遊行寺一族の排撃や、毒親である闇子さんが作り上げた、という意味で夜子もまた被害者だとは思いますが、
その闇子さんと、理想のメイドである理央に甘やかされて育った結果が、この無駄に偉そうな小娘、遊行寺夜子の現在です。

月社妃と四条瑠璃を殺し、日向かなたを4年もの間、不幸に陥れたのは夜子の故意ではありません。
夜子がもしも『いい子(注:feeが好む女の子)』だったら、「夜子の故意じゃないよ!」と擁護したかもしれません。
しかし、元々性格ブスな夜子が原因になってこのような悲劇が生み出された……のみならず、それがメインヒロインである(?)、という事実には、なかなか困惑させられました。

このような「汚れ」役を被せられるヒロインならば、せめて日常的にもう少し人好きのする性格に作ってほしかったな、というのが率直な感想になります。


また、最終章のクリソベリルにしても、彼女の悲惨な境遇は最後の最後で明かされますが、
正直『今更そんな事言われても』という気持ちが強いです。
今まで散々不愉快な思いをさせられてきた悪役に、「こういう事情があったんだ」と最終章で言われてもさぁ……。
せめてこのエピソードを中盤に挟むことはできなかったのでしょうか?
どう考えても、『魔法の本を破り捨てる』以外の選択は思いつきませんでした
(物語を読むために、仕方なく『破り捨てない』も選びましたが)




☆各章と他ヒロインについて

2章の「ルビー」はやや退屈でしたが、他ルートに関しては全般的に引き込む力をもっていました。
非常にストレスが溜まる、胸糞な物語ではありましたが、最後までクリックする手が止まらずどんどん読んでしまいました。

個人的には最愛なる妹、月社妃ちゃんがイチオシです。惚れてしまって当然です。

1章では散々だった、日向かなたちゃんの後半の巻き返しにも驚きました。
終盤ではすっかり頼りになる相棒として、瑠璃を支えてくれました。
個人的な好みとして、かなたを異性として好きかと聞かれると難しいですが、背中を預けたくなる女の子です。

伏見理央ちゃんは、悲劇の女の子としてかわいそうでありました。夜子の忠実なメイドとして、どうしてもインパクトは薄くなってしまいますが、とてもいい子だったと思います。

……だから、この3人を抑えて、夜子を選ぶわけがないんですわ……。

家に引きこもって本を読むだけの行為を責めるのはさすがにあれだとは思いますが、
学校も遊行寺家の謎の力で進級できているという恵まれた(?)立場。
対人恐怖症はかわいそうですが、家庭教師なり通信教材なりで学力だけでも最低限保つことはできるでしょうに、それすらしない本の虫。
白髪赤眼の美貌はリアルなら神秘的でしょうが、金髪ヒロインや赤髪ヒロインが咲き乱れるギャルゲ世界ではルックスで他ヒロインの優位に立てるわけもなく。

それでいて瑠璃が好きとか、どうなってるんですか!?
瑠璃が好きなら、せめて愛想ぐらい良くしたらどうですか?
瑠璃はドМなので気にしていないようですが、
読んでいる僕は終始この小娘との会話は苛々させられました。

瑠璃に告白もしておらず、あれだけ感じの悪い小娘が勝手に嫉妬して、かなたや妃を不幸にしていたと考えると片腹痛いものがあるのですが。
最後の告白で、若干救われる部分があったにしろ、
プレイ時間にして何十時間も耐えた末にこの小娘の成長を見せられても……という気持ちです。
(それでも、成長したこと自体は嬉しかったです)


☆どうでもいいが、どうでもよくない誤字脱字

ver1.6のパッチを当てても、ざっと100個以上の誤字があったように思います。
バックログ6行の間に、複数の誤字が収まってしまう事すら2回はありました。

少々の誤字は多めに見ますが、この誤字の多さはプロの仕事だとは思えません。
自分が書いた作品を、書きっぱなしにするのではなく、きちんと推敲してください。
推敲までが、書き手の仕事です。
私ですら、エロゲの感想文(たとえばこの文章)は2回程度は推敲しています。
自作小説を書く際には4回は推敲しています。

自分が書いた文章にある程度の誇りを持ち、他人に読んでもらいたい、他人に伝えたいと思う気持ちがあれば、そのぐらいはしますでしょう?
ライターにとって、この作品は、twitterのツイートや友だちへのLineのような、推敲などせず気楽に書き殴れる程度の愛着しかないのかと、そんなふうに誤解(?)してしまいます。
もちろん、ライターじゃなく校正の方(絶対いなさそう)の仕事でもありますが、この誤字の多さはやはりライター自身が推敲を全くしていないのだと思います。
それは、文章を綴る人間として、あまりにも無責任な態度ではないでしょうか。



☆本に対する愛情が感じられない

僕は、本を読むのが好きです。
この作品を読んだ方も、本(ノベルゲームも、本にカウントします)を読むのが好きな方がほとんどだと思います。

しかし、本作を読んで『本っていいよなぁ』と思う事は一度もありませんでした。
ただひたすら迷惑で災厄をもたらす『魔法の本』によって、被害者が出続ける展開に、
そんなに迷惑な魔法の本は、全部燃やしちまえよ、と思いました(遊行寺汀の立場)

レイ・ブラッドベリの「華氏451度」をはじめ、ディック・フランシス「重賞」、スティーブン・キングの「ミザリー」などの読書を通じて、
本が焼かれるシーンのつらさ・苦しさを経験したことはありましたが、

『こんな本なら燃やしちまえよww』と思ったのは初めての体験でした。
ライター氏は本が嫌いなのでしょうか? そんな事はないですよね?
なんだか、それすら疑ってしまうぐらい、本に対するどす黒さ、底意地の悪さを感じたゲームでした。

良い作品だとは思います。
なにせ、とり憑かれたように、凄い勢いで読めてしまいましたから。

が、個人的にこの作品が好きかと聞かれると、好きにはなれませんでした。
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