トーナメント1回戦 アルゼンチンVSオーストラリア

       アルゼンチン 2-1       オーストラリア

試合内容 C+
個人的MOM FW リオネル・メッシ(アルゼンチン)

GK  エミリアーノ・マルティネス 5・5    ライアン 4
DF  ロメロ 5              ソーター 4
   オタメンディ 6           ロールズ 4
   アクーニャ 6・5           ベヒッチ 6
   モリーナ 5            デゲネク 4
MF  デ・パウル 6・5            ムーイ 5 
   エンソ・フェルナンデス 6      アーバイン 5
   マク・アリステル 6        バッカス 4
FW アレハンドロ・ゴメス 5     MF レッキ―  5  
   フリアン・アルバレス 6・5   FW  マッグリー 4
   メッシ 7               デューク 4

監督 スカローニ 7            アーノルド 4・5

欠場者(ア) MF ディ・マリア(負傷)

交代(ア)
   アレハンドロ・ゴメス→リサンドロ・マルティネス 5・5
   フリアン・アルバレス→タグリアフィコ 5・5
   アクーニャ→ラウタロ 6
   マク・アリステル→モンティエル 5・5
   モリーナ→パラシオス ?

  (オ)
  バッカス→フルスティッチ 5・5
  マッグリー→グッドウィン 6
  デューク→クオル 4・5
  デゲネク→マクラーレン ?
  レッキ―→カラチッチ ?

「引きこもりサッカー」は時代遅れ。
この戦術を選んだアーノルド監督の采配には疑問が残る。

オーストラリアは、イランやコスタリカ、ウルグアイの失敗を観ていなかったのだろうか。
アルゼンチンを破ったサウジアラビアは、果敢にハイラインを敷いていた。

そんなオーストラリアのブロック守備を、メッシが針の穴を通すシュートを決めて先制。
後半に入ると、デ・パウルアルバレスの鬼プレスから2点目を獲得。
後半30分過ぎに事故のようなゴールからオーストラリアが1点を返すと、ようやくオーストラリアに火がつき、ベヒッチの突破などチャンスも1~2度ほど作ったが、時間切れ。

アルゼンチンは、ようやくチームが固まってきたように見える。
デ・パウルの相棒にはエンソ・フェルナンデスが定着。
左サイドにはマク・アリステルが、FWにはフリアン・アルバレスが定着。
最終戦、ポーランド戦の布陣がベストだと感じたのだろう。

デ・パウルフリアン・アルバレス、マク・アリステルらの攻撃陣は、
前回大会や今大会のメキシコ戦のようにメッシに依存しすぎない攻撃を作れるようになった。
メッシが肝心な時に決定力を、見事なドリブル突破を見せるためのエネルギー消耗を、
周囲のおかげで作れるようになったのだ。


後はディ・マリアが負傷から戻ってくるのを待つのみ。
次戦はいよいよオランダ戦だ。



トーナメント1回戦 オランダVSアメリカ

       オランダ 3-1      アメリカ
試合内容 B₋
個人的MOM MF ドゥムフリース(オランダ)

GK ノペルト 6・5          ターナー 7
DF ファン・ダイク 6        リーム 4
  アケー 5・5           ジマーマン 4
  ティンベル 5          デスト 4・5
MF ブリント 8       DF  ロビンソン 4・5
  ドゥムフリース 9・5     MF  アダムス 6
  デローン 6           マッケニー 5
  デ・ヨング 5           ムサ 4
  クラーセン 5      FW  ウェア 4・5
FW ガクポ 7           プリシッチ 6
    デパイ 6            フェレイラ 4

監督 ファン・ハール 8       バーハルター 5・5

交代(オ)
   デローン→ベルフワイン 5
   クラーセン→コープマイネルス 5・5
   デパイ→シャビ・シモンズ ?
   アケー→ヴェフホルスト ? 
   ガクポ→デリフト ?
  
  (ア)
   フェレイラ→レイナ 4・5
   ウェア→アーロンソン 5
   マッケニー→ライト 6・5
   デスト→イェドリン ?
   ロビンソン→モリス ?
    

今大会初めて、オランダの3バックシステムが完全に機能した
前線2枚(デパイ・ガクポ)のプレスと、ウイングバック(ドゥムフリース・ブリント)の連動でアメリカの攻撃を封殺。
アメリカを窒息させると、右サイドのドゥムフリースの1ゴール2アシストで勝負を決めた。


予選リーグ敗退国まとめ

カタール代表は観ていないので、それ以外のチームで。敗退決定順に書きます。

☆ カナダ代表 0勝2敗 1得点5失点  

攻撃 C 守備 C 面白さ B

個人的MVP MFアルフォンソ・デイビス  


数字だけを見ると、良いところなく敗退したように見えるかもしれない。
しかし、カナダ代表は期待以上の好チームだった。

下馬評では2強と思われていたベルギー代表が思いのほか弱いという事情もあったが、
ベルギー戦では終始相手を圧倒しての0-1惜敗。

カナダ代表の特徴は極端なまでのゲーゲンプレッシングだ。
前線からとにかくボールを追い回し、相手のポゼッションを許さない。
即時奪回に成功すれば、そこからショートカウンターが発動する。
この、凄まじいプレッシングにベルギー代表はたじたじとなっていた。
放ったシュートは実に22本(ベルギーは9本)である。

しかし、決まらない。
これがカナダ代表第一の弱点だ。作ったチャンスを決めきる選手がいれば、と思わずにはいられない。

もう一つの弱点は、次のクロアチア戦で露わになった。
前線からのハード・プレスを掻い潜られた場合、為す術がなかったのだ。
つまり、ポゼッションを武器とする真の強豪、たとえばスペインやドイツなどとぶつかれば、
カナダが惨敗してしまう事は想像に難くない。

前線からの猛プレスに振り切った、ある意味潔いチーム。
36年ぶりのワールドカップ、そして次回の開催国の一つとして、カナダの挑戦は0勝2敗に終わった。
しかし、ベルギーの度肝を抜いたプレッシング戦術それ一本は、観戦者の心に刻み付けられたに違いない。


エクアドル代表 1勝1分1敗 4得点3失点

個人的MOM FW エネル・バレンシア 
攻撃 C+ 守備 B₋ 面白さ C+

審判に泣かされた、と言えば「言いすぎだ」と感じる方もいらっしゃるだろう。
ただ、個人的に、オランダ戦での幻のゴールは今大会ここまで唯一の『重大な誤審』だと思う。
なぜなら、オランダGKノペルトは既に横に飛んでいたからだ。
オフサイド位置に選手がいようがいまいが、ノペルトの行動は変わらなかったのだ。
そして、この「誤審」がなければ突破をしていたのはセネガルではなく、エクアドルだった。

と、こう雑に締めくくってもいいのだが、しかしセネガルに力負けしたのもまた事実である。

エクアドル代表を支えるのはブライトンでプレイするSBのエストゥピニャンと中盤のカイセドだ。
特にエストゥピニャンがどれだけ攻撃参加をし、どれだけサイドを制圧できるかで内容が変わる
オランダ戦では対面のドゥムフリースをぶっちぎり続けた彼が、セネガル戦ではサールを警戒して後手に回った。これが勝負の大きな綾となった事は疑いがない。
個人的MOMには3試合で3ゴールのエネル・バレンシアを選んだ。
しかし、チームのバロメーターはあくまでもエストゥピニャンだったと個人的には思っている。


イラン代表 1勝2敗 4得点7失点
個人的MOM 特になし 
攻撃 D 守備 B₋ 面白さ D

とにかく、リスクを最小限に食い止める、面白みのない引きこもりサッカー。
これが、「ケイロスの限界」だ。

2018年ワールドカップ時にも同じ戦術を取り、モロッコに勝利、スペインに0-1、ポルトガルに1-1と善戦を見せた。
あと一歩でベスト16だった、という事もできるかもしれない。
今大会も全く同じだ。イングランドには蹴散らされたものの、アメリカに0-1、ウェールズには勝利。
あと一歩でベスト16だったのは事実だ。

しかし、ウェールズ戦の勝利は相手GKが退場してからの2得点によるもの(退場自体は妥当)。
エース・アズムンのコンディション不良は気の毒ではあったが、タレミ&アズムンというアジア屈指の2トップを擁しておきながら、やるサッカーは常に、守って守って1点を狙うだけ。
DFラインは極端に深く、とにかくゴール前を固めるブロック守備を敷き、「1点が絶対に必要」になるまでは、攻撃に人数を割こうとしない。

他の地域に比べ、アジアのレベルが一段低い事は確かだが、(カタールは観ていないので除き)、
今大会のアジア勢の中でも最も後進的な「弱者のサッカー」をしていたのがイランだ。
そして、その結果が予選リーグ敗退では擁護のしようもないだろう。


ウェールズ代表 0勝1分2敗 1得点6失点

攻撃 E 守備 C 面白さ D
個人的MOM 特になし

グループBは「つまらない」チームが揃っていた。
↑でイランをボロクソに書いたが、ウェールズだって状況はさほど変わらない。
いや、むしろ仮にも欧州予選を突破したチームであり、イランよりも戦績が悪かったことも含め、
イランよりも悪く書かれるべきかもしれない。

ウェールズにMOMはいないが、最大の失望だったのは新世代を引っ張るべきダニエル・ジェームズの不振だ。
ベイル、ラムジー、アレンの3人が揃えば美しいサッカーができたEURO16から6年。
彼ら3人はもはや、存在感を示せる選手ではなくなった。
その代わりに出てきた若きエースこそが、ダニエル・ジェームズになるはずだったのだ。

そんなウェールズだが、ジェームズを諦め、前線にムーアを投入した際には多少、攻撃の形を作れるようになった。
あくまでも、多少ではあったが……。


☆チュニジア代表 1勝1分1敗 1得点1失点

攻撃 D 守備 B+ 面白さ C₋
個人的MVP 強いて言うなら FW イサム・ジェバリ

数字だけを見れば堅守のチームだし、実際その印象で間違っていないと思う。
ただ、攻撃はパスを繋ぐポゼッションサッカーを志向しているようには見えた。
ただし、ファイナルサードでの崩しに迫力がなく、攻撃に人数も足りないため、
決定機は少なく、数少ない決定機を作ってもそれを決めきる「個人能力」に欠けている印象を受けた。
1得点も、2軍のフランスを相手に奪ったもので、ほぼ参考にならない。

2018年ワールドカップでは、攻撃的に出て、壮絶に散ったチュニジアだったが、
今大会は守備的に出て、しぶとく守りながらもやはり散った。
ベスト16に近づけるのは今大会の戦い方だろうが、個人的には前回大会の方が好きだった。


☆デンマーク代表 0勝1分2敗 1得点3失点 

攻撃 C+ 守備 B 面白さ C+
個人的MVP なし

今大会、最大の失望だ。
大会前、知人に「面白い(主観)サッカーをするチーム」として、スペイン・ドイツ・デンマークの3チームを挙げた。
次に会った時に軽く謝りたくなるぐらいに、酷かった。

結果も酷かった。しかし、内容はそれ以上に酷かった。
唯一、僕が『期待していたデンマーク』が見られたのは最終戦のオーストラリア戦前半45分間だけ。
それ以外の時間では、手堅く守るだけでアイディアのない、2018デンマークが復活してしまった。
Euro2020の中で、1、2を争うエキサイティングなチームが、わずか1年で、監督も変わらずにどうしてここまで劣化してしまったのか。

フランス戦でエムバペをきちんとケアする守備はそれなりに機能していたが、そんな事を褒めてお茶を濁す事はしたくない。
勝手に期待していただけと言われればそれまでだが、期待が大きかっただけに、残念だ。


☆サウジアラビア代表  1勝2敗 3得点5失点

攻撃 C+ 守備 B₋ 面白さ B
個人的MVP GKアル・オワイス

アルゼンチン戦の勝利は奇跡かもしれないが、ただ引きこもって、偶然に頼った攻撃で得たものではない。
さすが、ルナール監督のチームだ。
ディフェンスラインを高く保ち、可能な限りボールを繋ぐ攻撃的なサッカーを、格上相手にも躊躇なく選択。
アルゼンチン戦は勝利、
ポーランド戦でもPK失敗と、致命的なケアレスミスさえなければ引き分けでもおかしくなく、
メキシコ戦は2点を奪われ、突破には3点以上が必要な状況ながらそれでも前に出て、1点を奪う諦めない姿勢は、中立ファンの記憶に残り続けるだろう。
「グッド・ルーザー」とは彼らのためにある言葉だ。

☆メキシコ代表 1勝1分1敗 2得点3失点

攻撃 B+ 守備 B 面白さ B+
個人的 MVP FW イルビング・ロサーノ

前回大会、ドイツを破った疾風カウンターを牽引したロサーノが、今大会でも存在感を見せてくれた。
主砲だったラウール・ヒメネスが怪我明けのコンディション不良のため、前回大会に比べると攻撃全体の迫力は減退していたものの、SBのガジャルド、サンチェスらのオーバーラップといい、
中盤からエレーラ、チャベスなどが積極的に絡む攻撃といい、攻撃時にはほぼ5人がゴール前に雪崩れこむ、攻撃的なサッカーは迫力に満ちていた

結果だけを見れば、7大会連続のベスト16進出がここで途切れたというのは『失敗』なのだろう。
しかし、実際に試合を見たファンに、「このチームに突破してほしかった」。
そう思わせてくれるチーム、No1かもしれない。
4年後には開催国の1つとなるが、今から楽しみだ。


☆ベルギー代表 1勝1分1敗 1得点2失点

 攻撃 C+ 守備 B₋ 面白さ B₋
個人的MVP 特になし

無惨、の一言に尽きる。
ベルギーのような小国にとって、タレントは次々に湧き出るものではない。
そんなベルギーが表舞台に戻ってきたのは2014年ワールドカップだ。

思えばこの時、既に「黄金世代」の選手たちは勢ぞろいしていた。
GK クルトワ、
DF コンパ二、アルデルワイレルド、ヴェルマーレン、ヴェルトンゲン
MF ヴィツェル、フェライ二、デ・ブライネ、エデン・アザール
FW ルカク、ミララス、メルテンス

しかし残念ながら、率いていたのは監督として無能なヴィルモッツだった。

あれから8年。
新たに主軸になったのは、DFのムニエとMFトルガン・アザール、カラスコぐらいだろうか。

コンパ二、ヴェルマーレン、フェライ二、ミララスは代表を去り、
アルデルワイレルド、ヴェルトンゲンは33歳、35歳となって未だに最終ラインに君臨している。

その間出てきた、ボヤタ、デンドンカー、デナイエル、ジョルダン・ルカク、
全てが前の世代よりも劣る選手たちだった。穴でしかなかった。
だからアルデルワイレルドやヴェルトンゲンに頼るしかなかった。

2018年ワールドカップ、マルティネス監督は苦悩していた。
頼れるサイドバックがムニエしかいないのだ。
そこで急遽生み出されたのが、ヴェルマーレン、ヴェルトンゲン、アルデルワイレルドの3バック+WBに守備者のムニエと攻撃者のカラスコを入れた左右非対称の3バックだ。
これが、日本・ブラジル相手に通用し、ベルギーは3位に輝いた。
守備者不足はこの時既に、深刻な状況だったのだ。
現にムニエが出場停止になったフランス戦で、ベルギーは敗退を喫している。

しかしあの頃はまだ、ルカクもエデン・アザールも元気だった。
そして今大会、状況はますます悪化していた。

最終ラインからヴェルマーレンが去り、
アルデルワイレルド、ヴェルトンゲン、ムニエ、そして新しく台頭したカスターニェの4人。
それしか頼れる守備者はいなかった。
マルティネス監督は、4年前のような変則3バックを採用しようとしたが、そもそもCBが更に1人いなくなっていたのだ。

そして攻撃陣。エデン・アザールはレアル・マドリ―移籍で一気に10歳は老けてしまった。
ルカクの方は一時的にだろうが、チェルシー復帰からのここ1年3カ月ほどは不振が続いている。

名前だけのスター軍団。
8年歳を取ったロートル軍団。それでも最終ラインは奮闘していた。
落第だったのは攻撃面だ。
ルカクのコンディションが万全だったなら、結果は違ったものになったかもしれない。
だが、それでも2018年の再現は不可能だっただろう。

小国故の選手層の薄さと、ヴィルモッツ前監督のもと無駄にした2014・2016の貴重な2大会。

2018年の3位を頂点として、黄金世代は下り坂に突入した。
1点が必要なクロアチア戦で、エデン・アザール投入に対する、ベルギーファンのブーイング
(👎ポーズをとっているファンも大勢いた)。
彼らはわかっていたのだ。エデン・アザールはもう、以前のアザールではないのだということを。
マルティネス監督は、あのブーイングをどう受け止めただろうか。

敗戦の責任の全てをマルティネス監督に押し付ける事はできない。
何よりも、前任者に比べれば遥かにマシな事に変わりはないからだ。
しかし……あれならまだバチュアイを信じて起用した方が良かったのではないだろうか?
45分で諦めた0トップ、クロアチア戦で初めて使われた4バック。

カナダ戦の時点で、既にベルギーがうまくいっていないのは明らかだった。
モロッコとの試合で、試しても良かったオプションだ(特に4バックは)。
クロアチア戦になって慌てて応急処置をしても、もう遅い。

現在、実力をキープしているのはGKクルトワとMFデ・ブライネ、カラスコ。
トルガン・アザール、そして若手ではトロサールと、今大会ほとんど出番のなかったデ・ケテラーレが出てきた。
しかし、最終ラインの選手は見当たらない。

ベルギーを優勝候補の一角に挙げる人が未だにいた事にも驚くのだが、
2年後のEUROではさすがに、そんな声はもうなくなっているだろう。
一つの時代は、終わったのだ。


☆ドイツ代表 1勝1分1敗 6得点5失点

攻撃 A 
守備 B₋ 面白さ A
個人的MOM MF ジャマル・ムシアラ

日本が突破した事は本当に嬉しい。
しかし、このドイツは、敗退させるにはあまりに惜しいチームだったことも確かだ。

弱点は明白に守備だった。
日本戦で快足サイドアタッカーに守備をぶち破られただけでなく、コスタリカ相手にも2失点。
あまりにも前傾姿勢なその攻撃スタイルも影響しているだろうが、単純に最終ラインのスピード不足も感じる。

ただ、左サイドバックのラウムは攻撃面で違いを作りだせる選手であり、今大会で飛躍した選手だ。
中盤は、世界を制覇してもおかしくないメンバーが揃う。
とりわけ光ったのがギュンドアンで、ボールを引き出してから配給し、時には自らフィニッシュにも絡んだ。

2列目の3枠は、4人のバイエルン所属選手が争ったが、そのうちミュラーが今大会は不調。
しかしその他の3人、ニャブリ、ザネ、ムシアラは好調を保った。
中でも19歳のムシアラは、狭い局面をぬるぬるとすり抜けていくドリブル突破で、一躍世界に名をとどろかせたと言っていいだろう。
ニャブリ、ザネの2列目もバイエルンで見せている通りの攻撃力だった。

やや不甲斐なかったのが前線だが、これはクローゼ引退以来、6年来のドイツ代表が抱えている欠陥だ。
とにかく9番タイプの選手がいないのだ。

その中で今大会、遅咲きではあるが29歳のフュルクルクがいずれも途中出場ながら2ゴールをあげた。
ぜひ大舞台で一度、彼を先発で起用してほしいと思ったファンは少なくなかったはずだ。
フュルクルクがもしも、「真の9番」として頼りになる存在になれれば、ドイツ代表の長年の課題は一時的にとはいえ、解決する。
それだけに、もっと見たい選手だった。








☆コスタリカ代表 1勝2敗 3得点11失点

攻撃 C 守備 C₋ 面白さ C₋
個人的MVP FWジョエル・キャンベル

3試合で11失点してなお、GKナバスのパフォーマンスは光った。
しかし11失点でナバスを選んでよいのか?というためらいもあり、攻撃面のエース、キャンベルを選ぶことにした。
コスタリカは本来、守備を重視した低重心のチームだ。それが11失点。
ドイツ、スペインと相手が悪いとはいえ、ここまで崩されては擁護する事は難しい。
GKがナバスじゃなかったら更に3~4失点を追加していたかもしれない。

キャンベル以外に怖かった選手と言えば、第2エースと呼んでもいいであろうベネットだ。
この選手、まだ18歳。新たなコスタリカの顔として、今後10年のコスタリカ攻撃陣を支えていく存在になるかもしれない。

また、サイドバックのマタリータはドイツ戦で果敢なオーバーラップを見せた。

日本に勝利し、一時はドイツをリードしたことからもわかるように、
グループステージ突破のチャンスはこの国にもあった。
確かにグループ4か国の中で最も力が劣ったのは事実だが、ドイツ戦勝利に沸き立つ日本に水を差したように、侮ってはいけないチームだ。

☆ウルグアイ代表 1勝1分1敗 2得点2失点

攻撃 C+ 守備 B+ 面白さ D+
個人的MVP ロドリゴ・ベンタンクール

とにかく守備的な姿勢による『自業自得』の敗退だ。

「本当に得点が絶対に必要」な時以外はリスクを冒さず、引きこもるサッカーの退屈さ。
その結果得点が伸ばせず、総得点差で韓国の後塵を拝する事になった。

ガーナ戦では初めて、デ・アラスカエタを先発。
勝たなければならない状況になって初めて攻撃的な選手起用をしたアロンソ監督は、
GKロシェの素晴らしいPKストップもあり、2点を先取して前半を折り返す。

すると、再びウルグアイは守備的に戻るのだ。
そのまま試合を凍結させ2-0のまま逃げ切ろうとした判断が、他会場の韓国勝利によって覆される。
『またしても得点が必要になった』ウルグアイは、残り10分で猛攻をしかけるが、
ガーナGKアティ・ジギのファインセーブもあって、結局グループリーグ敗退。

残り10分の猛攻を観ればわかるが、ウルグアイは「やろうと思えば」かなりの破壊力を持つチームなのだ。
スアレス、カバーニ、ヌニェス、マキシ・ゴメス、デ・アラスカエタといったタレントが、
これだけいるのだから。

にも拘らず、彼らは決して攻撃に出ようとしない。
その結果が、これだ。

今大会、リスクを冒さない引きこもりチームは、その報いを受けている。
ラインを高めに設定し、可能な時には攻撃に出るチームこそが、突破というご褒美を受けている。

もちろん攻撃的に出ても敗退してしまった国もあるが、サウジアラビアやエクアドルに代表されるように、そういったチームは確実に良い記憶としてファンの中に残る。

結局ウルグアイは2010年から、12年間同じサッカーをしてきた。
そのサイクルは終わったと言えるだろう。

ヒメネス、ベンタンクール、バルベルデといった素晴らしい選手がウルグアイには生まれており、
弱小国になってしまう事はないと思うが、
フォルラン、スアレス、カバーニ級のストライカーはなかなか生まれるものではない。
ダルウィン・ヌニェスが彼らの後を継ぎ、エースになれるかにも注目だが、それ以上に期待したいのは、「守備ありき」ではなく、得点を狙うチームになってほしいという事だけだ。

強豪相手の試合では致し方ない面もあるだろうが、韓国やガーナ相手にすら守備的になってしまうチームに魅力はない。


☆ガーナ代表 1勝2敗 5得点7失点

攻撃 B₋ 守備 C₋ 面白さ C+
個人的MVP MF モハメド・クドゥス

一言で言うなら、「へんてこりん」なチームだった。

別に攻撃的なチームではない。チャンスを量産しているわけではない。
1トップのイニャキ・ウィリアムズは大会を通して沈黙(スペインから国籍変更してもらって、獲得したFWだけど、他に良いFWはいなかったの?)

なのに3試合で5得点も入れている。
戦術も判然としない。
取り立ててプレッシングにいくわけではなく、かといって引きこもるかというとそうでもない。
攻撃時も時折縦に早いカウンターを選ぶ時もあるが、常にというわけではなく、
ボールを繋ぐ意識が高いかと聞かれるとそんな印象もない。

32チーム中、1・2を争う、非常に言語化しにくいチームだ。
VSポルトガル 2-3、VS韓国3-2というスコアを見てから、期待して試合を観たりすると
狐につままれたような気分になるだろう。
あるいは、このガーナ代表をきちんと分析できて初めて、プロのアナリストと言えるのだろうか。

このチームで光ったのはアユー兄弟の弟、ジョーダン・アユーのキック精度の高さと、
中盤のクドゥスの攻撃性能の高さだ。

クドゥスは個人的には馴染みのある選手ではあったのだが、
決して誰もが知っている有名選手とは言えないだろう。
しかし、ガーナで恐らく最も知名度が高いアーセナル所属のトーマスや、アユー兄弟ではなく、
このクドゥスが真のエースのように個人的には映った。
彼はまだ23歳。これからの成長が楽しみな逸材だ。


☆カメルーン代表 1勝1分1敗 4得点4失点

攻撃C 守備 C₋ 面白さ C
個人的MVP FW ヴァンサン・アブバカル

↑のガーナと同じく、こちらも明確な戦術が見えない「へんてこりん」チームだ。
同じブラックアフリカという事で共通点も多いが、ガーナよりはまだわかりやすいか。

ガーナと比べると中盤の構成力が劣る一方で、サイドに俊足のトコ・エカンビ、ムベウモを置いているところから、サイドアタックに活路を見出そうとしている事は伝わってくる。
実際、サイドを抉るシーンも多いが、そこから上がるのは単調なクロスがほとんどで、中央のシュポ・モティンクは、典型的なヘッダーではない。

むしろモティンクはポストプレーや、ボールを収めるプレイが魅力なのだが、中盤からの押し上げがほぼほぼないため、前線で孤立し、攻撃は単発で終わってしまう。
MVPに挙げたアブバカルはなぜかベンチから登場してばかりだが、
アブバカルとモティンクの2トップで、ムベウモやトコ・エカンビを1列下げた方が面白いサッカーができそうなのだが、それだと守備の面で不安があるのだろうか。


☆セルビア代表 1分2敗 5得点8失点

攻撃 A₋ 守備 C₋ 面白さ A₋
個人的MVP MF ドゥシャン・タディッチ

大会32か国中、ブラジルと並んで最も攻撃的なチームだ。
体調不良のヴラホビッチこそ出場時間が限られていたが、前線のアレクサンドロ・ミトロビッチを軸に、チャンスメイカーのタディッチ、サイドからはジブコビッチとコスティッチ、
中盤後方からも必要があればセルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチが飛び出してくる。
最大で6人を攻撃に割くそのバランス感覚の無さと粗削りさは諸刃の剣で、実際ブラジル・スイスに打ち負け、カメルーンにも3-3で勝ち切る事ができなかった。
しかし、こんなチームが1つぐらいあっても良い、という意味で評価したい。

特に、近年のセルビアはフィジカル重視の守備的なサッカーを展開しており、
天才肌の選手は旧ユーゴ圏でもクロアチアの方に流れてしまった。
それこそ、ここまで攻撃のタレントが揃ったのは現監督ストイコビッチ世代以来ではないだろうか。

このサッカーを突き詰めても、勝ちに繋がるかは正直言ってよくわからない。
しかし、少なくとも今大会のセルビアはまだ『発展途上』のチームだと感じたのは確かだ。
ここから時間をかけ、もう2年ぐらい同じサッカーをやってみて、より完成された形のセルビアが見たい。
それでも結果に繋がらないようなら、これはもう仕方ないが、今大会だけで見限るのはもったいないと感じた。
近年の、筋肉質な守備的サッカーでも結果に繋がっていなかったのだから、どうせ負けるなら今大会のセルビアの方が良い、というのも本音である。
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