「バタフライシーカー」クリア感想

安心充実の海原望テキスト、大きなハズレなしのサスペンス・ミステリー。個人的にヒロインは天童さんとお姉ちゃん、シナリオは羽矢ルートが大好きです。


『犯人当て・トリック当て』ではなく、『犯罪によって変わっていく人間関係』や、『犯罪被害者・加害者のその後の人生』などをメインにした作品。
大好きなアメリカ・ミステリのようで、とても面白かったです。

推理パートに関しては、難易度が相当低いので食い応えが足りないと感じる方も多そうですが、『名探偵がそういうんだから、そうなんですねー』的なアンフェアさはなく、誠実なつくりです。
物語の根本でもあるアカオリチョウという存在は、ミステリとしてちょっとどうかなとは思いましたが、最終章はサスペンスに変わるので、まぁいっか、と流せました。


☆氷室千歳ルート  評価はB+。

連続殺人事件の犯人像と、氷室先輩の人物像が非常に似ており、そこから氷室先輩の成長を描くルートです。
事件自体は序章も含めて5つの事件の中では最もあっさりでしたが、ヒロインの成長物語としては良質でした。
ただ、虐待の話は読んでいてちょっとキツかったです。
眼鏡は闇を抱えているのか……。

ちなみに、僕は発達障害の自閉スペクトラムでして、『他人の気持ちがわかりづらい』という特徴を持っています(他にもいろいろ悪い特徴がありますが)。

しかし、どう考えても犯人さんや、千歳さんは僕よりも遥かに症状が重いですね……。
千歳先輩、障碍者手帳取れると思いますよ(どうでもいいアドバイス)。



☆早乙女羽矢ルート。 評価はS。

上で書いたとおり、現代アメリカミステリの系譜を継ぐような、上質なクライムノベル。
トマス・クックの「緋色の記憶」や、ウィリアム・ケント・クルーガーの「ありふれた祈り」、
ジョン・ハートの「ラスト・チャイルド」あたりを思わせるルートで、(ミステリ部分はともかく)これらの名作と比較しても劣らない素晴らしいルートだったと思います。


被害者遺族である羽矢が、知らずに恋をした相手は、加害者遺族である圭介。
加害者本人ではないとわかっていながらも、簡単に割り切れるものではなく、二人の間に生まれてしまう溝が切ないです。
それでも、何とか心に折り合いをつけ、成長していく羽矢の姿にはグっときました。

犯人に関してはただのバカとしか思えませんが、推理難易度的にも簡単ながらもちょうど良かったです。
欲を言えば、事件の性質上、街の地図も欲しかったところですが。

あと、二人の殺人鬼については同情の余地が一切ないので、最後あっさりしすぎかなと思いました。
片割れの方は名前すら出なかったようなw


☆天童優衣ルート。 評価はA-。

天童さんはちょっと怖いけど、マジでかわいいです。
こういう娘、大好きなんですが、鋭すぎる彼女を持つと気苦労が耐えなそうでもありますね(実体験)。
天童さん自身も気疲れしそうで心配ですが、彼女はとても心が強いので、何とか大丈夫かなと安心しました。
外見はか弱そうだけど、内面は芯がしっかり通っているヒロインには昔から弱いです。

氷室・早乙女両ルートに比べ、天童さんは既に人間として成熟しているため、
成長物語としての側面は弱め。

3人娘はどの順番からプレイしても良いんですが、僕のプレイ順ではここでアカオリチョウというギミックが明かされます。
個人的にはちょっとガッカリしました。
『なぜこの街では猟奇殺人が多いのか』をきちんと説明しようとする誠実な態度は買いたいのですが、
『コナンの周囲ではよく人が死ぬんだよ!』的な【お約束】で乗り切っちゃった方が、かえって良かったんじゃないかな、というのがこのルートでの感想。
アカオリチョウは危惧していたとおり最終章でも活躍するので、そういうわけにもいかないんですが。

犯人の迫力ある顔芸が怖くて、インパクトが大きかったですw 


☆最終章 評価 A

ここまで、『ハンニバル・レクター』として存在感を放ってきた、ミステリアスな透子さん。
天童さんルートの時点で、彼女が、アカオリチョウのせいでこうなってしまったんだとしたら、
透子さんの悪魔的な魅力が消えちゃって残念だなぁと思って読んでいました。

結果、確かに悪魔的な魅力は消えちゃったんですが、薄幸美人お姉さんという新たな属性を獲得し、透子さん株は下がらなかったので、良かったなと。

最終ルートは敵が権力者だという事もあって、サスペンス色が強め。巨大権力に守られた殺人鬼に立ち向かう、という展開で、これはこれで面白かったです。
羽矢ルートと同じで、同情の余地が全くない犯人に対しては凄い淡泊というか、もう少し懲罰のカタルシスをくれよ、とは思いましたが。
作中で言われているのとは違って、天童さんの言葉内容はそれほどキツいとは感じなかったので、それも含めてw

ラストは、なんだかベルンハルト・シュリンクの「朗読者」を彷彿とさせて、あまり明るい未来が見えませんでしたが、これはこれで一つの純愛として綺麗だなと思いました。

30年とか40年の刑期を終えて、初老に差し掛かったお姉ちゃんをずっと待っていられるのかな、という不安は頭をよぎりますが(どれぐらいの刑期なのかは、作中で判決が出ていないので不明だけど正当防衛を除いても6人殺してるしなぁ)。



ここまで全く触れる機会がなかった梓先生も含めて、登場人物みな魅力的で(犯人の一部除く)、
ミステリを通して成長や恋を描く、上質のクライム・ノベルとしてとても楽しく読むことができました。
海原さんは3作品やりましたが、どれも80点超えなので追いかけていきたいです!

国内ミステリ オールタイムベスト(2024 年4月16記入)


S 何を措いてでも読むべき作品
A とても面白かった作品
B まずまず面白かった作品
C あまり面白くなかった作品
D 良さがわからなかった作品

気分でつけているので、リストごとにSになったりAになったりしている作品もあるかもしれませんが、2ランク以上のミスはないはずですw

近々読む作品は、自分のために目立つよう間を空けました。
そのせいで、読者様には不自然なスペースが空いているように見えると思いますが、
ご了承ください。

現時点で読む可能性の薄いものは斜体になっております。


1985 文春


1  横溝正史 獄門島 1947
2 中井英夫 虚無への供物 1964
3 松本清張 点と線 1957
4 坂口安吾 不連続殺人事件 1947 再読
5 小栗虫太郎 黒死館殺人事件 1934  
6 夢野久作 ドグラ・マグラ 1935 再読
7 横溝正史 本陣殺人事件 1946
8 鮎川哲也 黒いトランク 1956
9 連城三紀彦 戻り川心中 1980
10 高木彬光 刺青殺人事件 1948
11 船戸与一 山猫の夏 1984
12 天藤真 大誘拐 1978
13 江戸川乱歩 二銭銅貨 (短編) 1923
14 江戸川乱歩 陰獣 1928
15 松本清張 ゼロの焦点 1959
16 泡坂妻夫 11枚のとらんぷ 1976
17 泡坂妻夫 亜愛一郎の狼狽 (短編集) 1978
18 水上勉 飢餓海峡 1962
19 結城昌治 ゴメスの名はゴメス 1962
20 土屋隆夫 危険な童話 1961
21 島田荘司 占星術殺人事件 1981
22 泡坂妻夫 乱れからくり 1978
23 大岡昇平 事件 1977
24 北方謙三 1983
25 江戸川乱歩 心理試験 (短編) 1925 再読済
26 竹本健治 匣の中の失楽 1978
27 志水辰夫 飢えて狼 1981
28 高木彬光 白昼の死角 1959
29 生島治郎 黄土の奔流 1965
30 北方謙三 逃がれの街 1982
31 大藪春彦 野獣死すべし 1958
32 高木彬光 人形はなぜ殺される 1955
33 都筑道夫 なめくじ長屋捕物さわぎ (短編集) 1968
34 生島治郎 追いつめる 1967
35 仁木悦子 猫は知っていた 1957
36 笠井潔 サマー・アポカリプス 1981
37 江戸川乱歩 孤島の鬼 1929
38 鮎川哲也 黒い白鳥 1959
39 森詠 燃える波濤 1982
40 小泉喜美子 弁護側の証人 1963
41 土屋隆夫 影の告発 1963
42 横溝正史 悪魔の手毬唄 1957
43 島田荘司 斜め屋敷の犯罪 1982
44 横溝正史 八つ墓村 1949
45 小林信彦 紳士同盟 1980
46 高木彬光 成吉思汗の秘密 1958
47 志水辰夫 裂けて海峡 1983
48 鮎川哲也 りら荘事件 1968
49 江戸川乱歩 押絵と旅する男 (短編) 1929
50 陳舜臣 枯草の根 1961
51 船戸与一 夜のオデッセイア 1981
52 森村誠一 高層の死角 1969
53 松本清張 砂の器 1960
54 笠井潔 バイバイ、エンジェル 1979
55 岡本綺堂 半七捕物帳 (短編集) 1917 「かむろ蛇」、「冬の金魚」など6編読んだ。
56 江戸川乱歩 パノラマ島綺談 1926
57 佐野洋 一本の鉛 1959
58 井沢元彦 猿丸幻視行 1980
59 都筑道夫 猫の舌に釘をうて 1961
60 笹沢左保 招かれざる客 1980
61 岡嶋二人 焦茶色のパステル 1982
62 木々高太郎 人生の阿呆 1936
63 黒岩重吾 背徳のメス 1960
64 夏樹静子 蒸発 1972
65 阿刀田高 ナポレオン狂 (短編集) 1979 表題作のみ読んだ。評価は表題作の評価。
66 筒井康隆 富豪刑事 (短編集) 1978
67 高橋克彦 写楽殺人事件 1983
68 北方謙三 眠りなき夜 1982
69 横溝正史 蝶々殺人事件 1946
70 鮎川哲也 死のある風景 1965
71 浜尾四郎 殺人鬼 1931
72 陳舜臣 炎に絵を 1966
73 松本清張 黒い画集 (短編集) 1960
74 久生十蘭 顎十郎捕物帳 (短編集) 1939
75 夏樹静子 Wの悲劇 1982
76 海渡英祐 伯林 一八八八年 1967
77 森詠 さらばアフリカの女王 1979
78 戸板康二 團十郎切腹事件 1959
79 戸川昌子 大いなる幻影 1962
80 赤川次郎 マリオネットの罠 1977
81 小栗虫太郎 完全犯罪(短編) 1933
82 岡嶋二人 あした天気にしておくれ 1983
83 都筑道夫 三重露出 1964
84 大藪春彦 蘇える金狼 1964
85 結城昌治 暗い落日 1965
86 森村誠一 人間の証明 1975
87 赤川次郎 幽霊列車 (短編集) 1976
88 佐野洋 轢き逃げ 1970
89 都筑道夫 誘拐作戦 1962
90 船戸与一 非合法員 1979
91 笠井潔 薔薇の女 1983
92 檜山良昭 スターリン暗殺計画 1978
93 北方謙三 友よ、静かに瞑れ 1983
94 大下宇陀児 石の下の記録 1948
95 多岐川恭 落ちる (短編集) 1958
96 栗本薫 ぼくらの時代 1978
97 加納一朗 ホック氏の異郷の冒険 1983


文春2013


1 横溝正史 獄門島 1947 1
2 中井英夫 虚無への供物 1964 2
3 島田荘司 占星術殺人事件 1981 21
4 夢野久作 ドグラ・マグラ 1935 6 再読
5 宮部みゆき 火車 1992 - 再読
6 松本清張 点と線 1957 3
7 天藤真 大誘拐 1978 12
8 綾辻行人 十角館の殺人 1987 -
9 京極夏彦 魍魎の匣 1995 -
10 横溝正史 本陣殺人事件 1946 7
11 鮎川哲也 黒いトランク 1956 8
12 連城三紀彦 戻り川心中 1980 9
13 東野圭吾 容疑者Xの献身 2005 -
14 小栗虫太郎 黒死館殺人事件 1934 5 
15 山口雅也 生ける屍の死 1989 -
16 泡坂妻夫 亜愛一郎の狼狽 1978 17
17 北村薫 空飛ぶ馬 1989 -
18 東野圭吾 白夜行 1999 -  一度挫折
19 坂口安吾 不連続殺人事件 1947 4 再読
20 綾辻行人 時計館の殺人 1991 -
21 島田荘司 斜め屋敷の犯罪 1982 42
22 有栖川有栖 双頭の悪魔 1992 -
23 京極夏彦 姑獲鳥の夏 1994 -
24 江戸川乱歩 二銭銅貨 1923 13 再読済
25 松本清張 砂の器 1960 53
26 原尞 私が殺した少女 1989 -
27 江戸川乱歩 孤島の鬼 1929 37
28 高木彬光 人形はなぜ殺される 1955 32
29 髙村薫 レディ・ジョーカー 1997 -
30 山田風太郎 妖異金瓶梅 1954 -「赤い靴」だけ読んだ
31 水上勉 飢餓海峡 1962 18
32 高木彬光 刺青殺人事件 1948 10
33 鮎川哲也 りら荘事件 1968 48
34 泡坂妻夫 乱れからくり 1978 22
35 江戸川乱歩 陰獣 1928 14 再読
36 歌野晶午 葉桜の季節に君を想うということ 2003 -
37 松本清張 ゼロの焦点 1959 15
38 泡坂妻夫 11枚のとらんぷ 1976 16
39 横溝正史 犬神家の一族 1950 -
40 竹本健治 匣の中の失楽 1978 26
41 宮部みゆき 模倣犯 1995 -
42 岡本綺堂 半七捕物帳 1917 55
43 桐野夏生 OUT 1997 -
44 皆川博子 死の泉 1997 -
45 大沢在昌 毒猿 新宿鮫II 1991 -
46 船戸与一 山猫の夏 1984 11
47 藤原伊織 テロリストのパラソル 1995 -
48 山田風太郎 太陽黒点 1963 -
49 京極夏彦 絡新婦の理 1996 -
50 馳星周 不夜城 1996 -
51 島田荘司 奇想、天を動かす 1989 -
52 横山秀夫 第三の時効 2003 -
53 髙村薫 マークスの山 1993 -
54 横山秀夫 半落ち 2002 -
55 笠井潔 サマー・アポカリプス 1981 36
56 島田荘司 異邦の騎士 1988 -
57 横溝正史 八つ墓村 1949 44
58 船戸与一 猛き箱舟 1987 -
59 小泉喜美子 弁護側の証人 1963 40
60 宮部みゆき 理由 1996 -
61 真保裕一 奪取 1994 -
62 三津田信三 首無の如き祟るもの 2007 -
63 麻耶雄嵩 夏と冬の奏鳴曲 1993 -
64 森博嗣 すべてがFになる 1996 -
65 大沢在昌 新宿鮫 1990 -
66 貴志祐介 黒い家 1997 -
67 山田風太郎 警視庁草紙 1975 -
68 泡坂妻夫 しあわせの書 1987 -
69 久生十蘭 魔都 1948 -
70 西澤保彦 七回死んだ男 1995 -
71 笠井潔 哲学者の密室 1992 - 150ページほどで挫折……いつか再挑戦したい
72 舞城王太郎 煙か土か食い物 2001 -
73 伊坂幸太郎 アヒルと鴨のコインロッカー 2003 -
74 乾くるみ イニシエーション・ラブ 2004 -
75 横溝正史 悪魔の手毬唄 1957 42
76 麻耶雄嵩 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 1991 -
77 仁木悦子 猫は知っていた 1957 35
78 京極夏彦 鉄鼠の檻 1996 -
79 土屋隆夫 危険な童話 1961 20
80 我孫子武丸 殺戮にいたる病 1992 -
81 稲見一良 ダック・コール 1991 -
82 綾辻行人 霧越邸殺人事件 1990 -
83 中島らも ガダラの豚 1993 -
84 殊能将之 ハサミ男 1999 -
85 逢坂剛 カディスの赤い星 1986 -
86 連城三紀彦 夜よ鼠たちのために 1983 -
87 江戸川乱歩 パノラマ島奇談 1926 55
88 高木彬光 白昼の死角 1959 28
89 志水辰夫 背いて故郷 1985 -
90 山田風太郎 明治断頭台 1979 -
91 佐々木譲 ベルリン飛行指令 1988 -
92 赤江瀑 オイディプスの刃 1974 -
93 貫井徳郎 慟哭 1993 -
94 高野和明 ジェノサイド 2011 -
95 有栖川有栖 孤島パズル 1989 -
96 都筑道夫 なめくじに聞いてみろ 1968
97 逢坂剛 百舌の叫ぶ夜 1986 -
98 岡嶋二人 99%の誘拐 1988 -
99 宮部みゆき 龍は眠る 1991 - 全く覚えていないが、多分読んでる。多分。
100 鮎川哲也 黒い白鳥 1959 37

(ブックガイドブック1983:作業中。作者名は……勘弁して)

1 獄門島
2 虚無への供物

3 乱れからくり
4 刺青殺人事件

5 本陣殺人事件
6 人形はなぜ殺される

7 11枚のとらんぷ

8 八つ墓村
9 不連続殺人事件 再読

10 戻り川心中
11 黒死館殺人事件
12 大誘拐
13 悪魔の手毬唄

14 黒いトランク

15 ドグラマグラ 再読
16 点と線

17 犬神家の一族

18 亜愛一郎の狼狽
19 危険な童話
20 弁護側の証人

21 陰獣
22 りら荘事件
23 砂の器
24 マリオネットの罠
25 白昼の死角
26 占星術殺人事件

27 猿丸幻視行

28 匣の中の失楽
29 孤島の鬼
30 最長不倒距離 都築道夫
31 幽霊列車
32 猫の舌に釘を打て

33 猫は知っていた

34 ゼロの焦点

35 三毛猫ホームズの推理
36 殺しの双曲線
37 高層の死角

38 ゴメスの名はゴメス

39 血みどろ砂絵

40 伯林1888年

41 人間の証明

42 仮題・中学殺人事件

43 Wの悲劇 夏木静子
44 ぼくらの時代 栗本薫
45 蝶々殺人事件 横溝正史
46 仮面舞踏会 横溝正史
47 富豪刑事
48 野獣死すべし
49 影の告発 土屋隆夫

50 吸血鬼 江戸川乱歩 再読
51 化人幻戯 江戸川乱歩 再読
52 追いつめる 生島治郎

53 サマーアポカリプス 笠井潔

54 湖底のまつり 泡坂妻夫
55 針の誘い
56 七十五羽の烏

57 悪魔が来りて笛を吹く 横溝正史
58 セーラー服と機関銃 赤川次郎

59 バイバイ・エンジェル 笠井潔

60 細い赤い糸
61 黒い白鳥 鮎川哲也

62 顎十郎捕物帖
63 妖異金瓶梅 山田風太郎 「赤い靴」だけ読んだ
64 憎悪の化石 鮎川哲也

65 飢餓海峡 水上勉

66 魔術師 江戸川乱歩 再読
67 忍びの卍 山田風太郎

68 変調二人羽織
69 枯草の根 陳舜臣

70 黄土の奔流 生島治郎

71 盗作・高校殺人事件
72 リンゴォ・キッドの休日
73 真珠郎 横溝正史
74 誘拐作戦 都築道夫

75 夜歩く 横溝正史
76 大統領の密使
77 江戸川乱歩傑作選

78 招かれざる客 笹沢佐保
79 黒蜥蜴 江戸川乱歩

80 破戒裁判 高木彬光
81 炎に絵を 陳舜臣
82 キリオン・スレイの生活と推理 都築道夫

83 一・二・三・死 高木彬光
84 パノラマ島奇談 江戸川乱歩

85 殺しへの招待 天藤真
86 誘拐 高木彬光
87 蘇る金狼
88 汚れた英雄
89 冷えきった街
90 内部の真実
91 女王蜂 横溝正史 
92 警視庁草紙 山田風太郎

93 事件 大岡昇平
94 魔界転生 山田風太郎

95 なめくじに聞いてみろ 都築道夫

96 異郷の帆
97 人喰い 笹沢佐保

98 皆殺しパーティー 天藤真

99 屋根裏の散歩者 江戸川乱歩

100 空白の起点 笹沢佐保

「エヴァ―メイデン」クリア感想

85点。

3章までなら89点。最終章でやや失速も、切ない百合物語が楽しみたい人に特にお薦め。
テキストが素晴らしく、とにかく先が気になる展開になっているため、百合が苦手じゃなければ普通にお薦めします。


☆前置き

短文でも書きましたが、とにかくテキストが巧いです
(それだけに、バックログが1クリックずつしか遡れないのはマイナスですが)。

謎の専門女学校プエラリウム。
極端なまでに厳しい「規」が定められているこの学園は、まるで牢獄のように少女たちを縛りますが、
大多数の生徒たちはあまり不思議に思っていないようです。
あらゆる『欲望』が禁忌とされ、中でも『恋愛・性愛』に関するものは徹底して排除されています。


転校生主人公のアルエットは、特進クラスへと入り、特進クラスの人々と学園生活を送りつつ、
夜には学園に蔓延る怪しげな『ネヴァーメイデン』や、『〇〇(植物名)の乙女』といった怪物に生命を狙われる、という不思議感満載の、ホラー要素ありSF要素ありファンタジー要素あり、ミステリ要素は……あるのか?(ジャンルは百合ミスティックホラーになっているけど)といった物語になっています。
直接的な怖さは薄いですが、薄ら寒い気持ちになるという意味では確かに、ホラーです。
グロはないので、そこは苦手な人もご心配なく。

全体的な印象としては、同社・同ライターの「フェアリーテイル・レクイエム」を思わせる設定。
なので、「フェアリーテイル~」、が楽しめた方はこちらも楽しめるでしょうし、こちらを楽しんだ方は「フェアリーテイル~」もお薦めです。

とにかく魅力的なのが特進クラスの生徒たちで、彼らの恋愛には本当にキュンキュンさせられました。

1章は世界観説明が多いので、カップリングを中心に2章から行きます。



☆2章 パヴォーネ×マコー  評価 S(S~E)

メガネ委員長は基本苦手なのですが、本作のマコーはメガネ委員長史上最高に好きかもしれません。
とにかく、報われない恋。これに尽きます。
大好きなパヴォーネの世話を焼きながら、スキンシップを禁じる『規』に強く縛られるマコー。
頭でっかちで、肉体的接触すら本当は良くない行為だと感じながら、パヴォーネのスキンシップを内心嬉しく思うマコー。
第一のテスト『薔薇の造形』は彼女にとって苦手分野で、どんなに努力しても成績が振るわないことから、どんどん落ち込んでいく彼女は、パヴォーネから贈られたブルー・ドレスを機に自らの恋心を完全に自覚し、パヴォーネとの間に深い溝を作ってしまいます。

パヴォーネはパヴォーネで、考え方が一番僕に近いキャラクターなので(要は、割とルーズとも言える)
とても親近感を持って読むことができました。

どんどん堕落し、遂にパヴォーネを想って自慰をしてしまったマコーは『悪しき種』に食い破られ、『向日葵の乙女』として異形化してしまいます。

おめかしをしたブルードレスのCG、向日葵を背景にパヴォーネとキスを交わすCGなど美しいシーンも多く、
非常に心を揺さぶられました。


☆3章 ロビン×キャナリー  評価 S

この百合ップルも素晴らしい。
一方的にキャナリーを嫌うロビンでしたが、二人で脱出計画を練ることで急接近。
こちらは、上記のパヴォーネ×マコーと違い、すれ違いながらもそれぞれの誤解を解いていき、最後は結ばれる幸福ながらも少し儚いハッピーエンド。
キャラクター単体で考えると、大人しくて弱気だけれど芯の強いキャナリーはドストライクな女の子。
ボーイッシュで頭も切れ、グイグイ引っ張っていってくれるロビンとの相性も抜群で、時に切なく、時に微笑ましく楽しみました。
脱出計画も非常にスリリングで楽しかったです。
『月桂樹の乙女たち』のCGや、ロビンがキャナリーの手を引いて走るCGも美しいですねぇ。

ただ、この辺りからアルエットやルクがやっていることは、『正義』(というのは単純な表現ですが)なのか?という疑問が強く湧きました。
学園の『規』を守る、治安側という意味では正義ですけど、そもそもこの学園自体がおかしいので……。

それこそ、国家の安泰を守る『特高警察・秘密警察』的な感じで、なんか『規』に従わない生徒(例えるなら、『革命分子』とか『反政府デモの人』ですかね)の方が正しいんじゃないかと思ってしまい、
それは結局最後まで変わりませんでした。

まぁ、主人公側が悪役というゲームもあっていいとは思いますけどねw


☆4章 アヴェルラ×アルエット 評価 B

問題は4章なんですよねぇ。いや、出来が酷いとかそういう事はないです。普通に面白いとは思います。
ただ、問題点がいくつかありまして。
最大の欠点は、僕が好きな上記2カップルは仮死状態になっているため、出番が全然ないんですよ!
(抜け殻のようになったパヴォーネは残ってるか)。

で、残ったアルエットは良いんですけど、アヴェルラもルクも正直あまり好みではないので、メインカップルが一番興味ない、という寂しい結果になってしまいました。

また、ちょっとよくわからない点もあるんですよね。これは僕の読解力不足もあるとは思いますが。


まずはアヴェルラ編ですが、これは完全にバッドエンドですね……。
物語としてはあまり語ることはないです。
ツン度高めなアヴェルラ様が、実はアルエットを好きだった、というのはなかなかポイント高いんですが、
物語の進行的に、『自分に振り向いてくれないアルエット』を『アヴェルラ大好きアルエット』に、
文字通り造り変えるというエンディングで、まぁこの終わり方だとこのカップルを高評価するのは難しいです。

それ以上に、アヴェルラがなぜ生徒を襲っていたのかが、実はよくわかりませんでした。
ルクの力を削ぐため、で合っていますでしょうか?
でも1章で、アルエットの(機械人間の)命も奪っているし、よくわかりません。


☆4章 ルク×アルエット 評価 B

結果良ければ全て良し! かもしれないけど……。
自分を4回以上殺している相手を変わらず好きでいるアルエットの気持ちに同調するのは難しかったです。
また、この『現在のプエラリウム』ってルクが作ったものですよね?
過剰な『規』で生徒たちを縛っているのも結局はルクですよね?

結局『エヴァ―メイデン』はルクに決まっていて、その他の生徒を『メイデンの頭脳(生贄ともいう)』にしようとしているのもルクですよね?

確かにルクが受けた偏った教育(洗脳)を考えれば、そうなるのはわかりますが、
一番の悪役はルクじゃん!!と思ってしまいました。

正直、それに振り回された他の生徒たちがかわいそうです。

最後、生き返った生徒たちがほんの少し出てきますけど、そこはもっと出番増やしてほしかったですし
(活き活きと日々を暮らすシーンが見たかったです)、
これは不要かもしれませんが、外の世界がどうなっているのかも知りたかったです。

そういう意味で、随分あっさり終わっちゃったな、という印象を受けました。

3章までで、散々先の気になる展開と、切なさ200%の百合模様で悶えまくっていただけに、
最終章で拍子抜けしてしまった感じです。
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