初恋『柚純との約束』読了。(『初恋』のネタバレあり)

MoonNovels発行の『初恋』の小説を読みました。著者は祭文九印。

『初恋』というのは、Runeから出ている18禁PCゲーム。
本著はヒロインの一人、柚純(ゆすみ)を中心にすえたノベライズということになります。
まずは、あとがきから読む私。あとがきやイラストライターの自己紹介文を読んで、これはものすごい地雷を引き当てたかなと、少し焦りました。


あとがきの書き出し『良い子の皆さん、初めまして』。
『初恋』は18禁ゲーム。そしてこの本にもえっちシーンがありますので、一応18禁、なんでしょう。多分。それを良い子ってあなた。中高生対象の小説じゃないんだから。
仮にギャグのつもりで書いたのなら、それはそれで不謹慎さに眉をひそめてしまいます。


イラストライターのいとうえい氏『かわいい女の子やかわいい制服に萌え萌えしながら日々の活力として生きている(略)』。
ま、私も仮にもヲタクですから、かわいい女性キャラに萌えることはなきにしもあらずですが、だからといってそこまで自分は捨てられない(笑)。

ま、そんな感じで結構ネガティブな気分で読み始めました。
ゲーム版『初恋』の感想はこちらです。それでは、以下軽くネタバレありです。


評価はB-


『萌えゲー』はシナリオが弱い。シナリオが弱いからこそ、萌えゲーという言葉を使われる。
萌えゲーとは一種の蔑称だ。シナリオが良くて、キャラクターも魅力的に描かれている作品について、萌えゲーという呼称は用いられない。

随分昔から、私はこう思ってきました。私が単純に『萌えゲー』という言葉を使うときは、基本的には悪口です。萌え以外に見所が無いゲームという含みを持って使っています。
『萌えゲーとしても一流』『萌えゲーだけれどシナリオも良い』といった言い回しの時は必ずしもそうではないのですが。私は元来萌えゲー否定派であり、最近ようやく萌えゲーに歩み寄りを見せつつあるシナリオゲー賛美者なのです。


しかし、最近思ったことがあります。萌えゲーにもシナリオはあるということ。ただ、『痛み』の少ない作品が萌えゲーと呼ばれているに過ぎないと。


『痛み』と『歓び』は裏表。例外はあるでしょうが、『痛み』が小さい作品は『歓び』も小さいものです。わかりやすく痛みをマイナス、歓びをプラスに置き換えてみましょう。
マイナス8の状況からプラス6の歓びを得る物語には、差し引き『14』の感動があります。
プラス5の状況からプラス7の歓びを得る物語には、差し引き『2』の感動しかありません。
後者の方が幸せな結末を迎えたにも関わらず、です。


萌えゲーは痛みから歓びへのふり幅が少ない為、わかりやすい感動を得ることは難しい。*1 また、萌えゲーに多く観られるのが地の文の量的な不足と、質的な不足。このため、プレイヤーは物語を『流して』しまう。ただでさえ、ふり幅が小さいのに流してしまっては印象も薄い。結局、ヒロインの○○がかわいかった、あのシーンの萌え台詞が良い、くらいの印象しか残らない。


『君が望む永遠』というゲームがあります。
このゲームのシナリオは『日常』を描いています。非日常の不幸はなく(交通事故止まり)、誰が死ぬわけでもない(天川さんはおいとく)し、SF要素があるわけでもない。
恋の鍔迫り合いなどは、萌えゲーでも良く描かれるテーマです。
しかし、このゲームは他の日常ゲーが萌えゲーと呼ばれる中で、シナリオゲー、あるいは泣きゲーとみなされています。
違いは何なのかと考えるまでもなく、これは痛みの大きさ、ふり幅の大きさによるものなのだとすぐに結論が出ます。そしてそのふり幅を伝えたのは、痛みをこれでもかと増幅して描いた文章力。質量共に優れた地の文の描写力だと思うのです。


一方『ショコラ』は、文章量を削ってテンポを整えつつ、フレーズで勝負するという手法で
『シナリオの良い萌えゲー』を仕上げている。君望とやり方は異なれど、何でもない物語を良作に飾り立てたのは描写力だと思います。


他方で、*3 シナリオを作ろうとして失敗した『シナリオゲーくずれの萌えゲー』に共通するのは、やはりテキスト力の低さです。『初恋』もしかり。
感情の起伏に乏しく物語が平坦に映るのは描写力不足故ですし、トンデモ展開をトンデモに見せてしまうのは、これまた描写力不足。『作品内でのルール、約束ごと』をきちんと説明し、プレイヤーに納得させる技術さえあれば、トンデモ展開だなどと言われないはずなのです。


ここで話は『初恋小説版』に戻ります。
祭文氏というライターは特に文章の巧いライターさんではないですが、ノベライズにあたって小説としての最低限の体裁は保つべく、積極的に地の文での描写を行なっています。
『萌えゲー』の「初恋」には足りなかった、地の文の量が増えたわけです。これによって物語に魅力が増した感があります。
特に序盤、柚純と出会うまでの80ページ強にその効果が現れています。一方、柚純と打ち解けた後はページ数の都合か、突然展開が早足になってしまいきちんと物語を纏めきることが出来なかったのが返す返すも残念です。せめて、杏にはフォローがあってしかるべきでしょうし、柚純の生霊体験はきちんと描写するべきだったと思います。


萌えゲーはシナリオ自体が弱いわけではないのです。優れた描写力があれば、どんなに些細な出来事でもドラマティックに演出することが出来る。*2だからこそ、君望は感動ゲーとして君臨している。





*1:『ドタバタ』や『ラブコメ』『まったりゲー』はこの論に該当しません。これはテキストとは関係なく、萌えゲーに分類されると思います。そもそも狙っているものが違うわけですし。

*2;客観的に観て、遙や孝之より不幸なカップルはいくらでもいますよね。

*3;『夜明け前より瑠璃色な』のように、テキスト力よりもプロットが悪すぎる例なども散見しますが。この作品は主要人物が地球側に集中した時点で、修正不可能となりました。むしろフィーナシナリオなどはあのプロットでよくぞ健闘したと思っています。




ま、要するにPC版の初恋は萌えゲーとしか思わなかったけど、小説版は物語として楽しめた。何が違うって、地の文の描写の量が違う。地の文のパワーアップによって、初恋が本来持っていた物語性が、ようやく私にも伝わってきた。質の面でのパワーアップもあれば更に良かったのだが。


ってだけのハナシなんですよね。拙い長文を読んでいただいてありがとうございました。



余談。出てくる地名がやけにうちの近所なのが気になりました。




ひぐらしアニメ

ひぐらしのアニメ第1話見ました。
まぁまぁじゃないですかね。鬼隠し編らしく、おどろおどろしい感じのOPは雰囲気出ています。
部活のノリは……まぁゲームの時も私にはあまり合わない感じだったので、あれはあれでいいでしょ。騒がしいタイプのドタバタは苦手なんですが、ゲームにもあったので叩くべきところじゃない(笑)。


結構力入れて作っているみたいですし、今後に期待です。
ただ、ジャンル的にはあまりアニメ向きの作品とは言えないので、神アニメにはならないんじゃないかなぁ。
とか言いながら毎回見る気ですけど。


Soullinkのアニメはかなり微妙でした。まぁ原作自体微妙ですが。
こちらは第1回だけで観るのやめるつもり。つか、時間が3時45分てあんた……。

ラムネ―近衛七海編―読了<ネタバレ危険>。

今日読んだのはこちら。

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評価は。まぁ、なんというか単なる焼き直しですし。


ギャルゲーでもう何度も見たのですが、意識不明の重体に陥った患者のお見舞いをし、そのうち患者が目を覚ますお話って、どうも「上手くない」のが多いよなぁ。
今回もその例。
まず、お見舞いのシーンをほとんどすっ飛ばしてしまっているので、目が覚めた時の感動が薄れてしまっている。
また、何故目を覚ましたのかがわからないため、すっきりしない。ゲームでもこうだったっけ?
もちろん患者が意識を取り戻すのに本来わかりやすい理由なんてないわけだけれど、物語なのだから、七海の何らかの働きかけが実を結んだ結果であってほしいと思う。
諦めずに待ち続けるというのももちろん、立派なことではあるのだけれど。


七海は昔から盲目的に健次に依存してきた。そのことを、彼女は当たり前のこととして受け取ってきた。けれど、佐倉との一件や健次のバイク事故なので、それは必ずしも当たり前ではないことなのだと気づき健次と自分との関係を強く自覚する。その物語が七海編なのだと思う。
というか、そう思わないと一本筋が通らない。佐倉は途中離脱してしまうし、そうかと思うと突然とってつけたようなバイク事故だし。


個人的には佐倉との三角関係に絞って書いてしまっても良かったのではないかと思った。
それと、佐倉の『お魚さん』は結局全然活かされないままの設定だったのが気になりました。


『初恋小説版』の記事も書いたのだけれど、めちゃくちゃ稚拙な長文なのではずかしくなってきました。折角書いたので、一応明日公開しますが、文字通り後悔するかも(笑)。
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