アントニー・バークリー「第二の銃声」読了(バレあり;『試行錯誤(トライアル&エラー)のバレも有)

評価はA-。面白かった。
面白かったんだけど……エピローグは、ない方が好みだ。


★「試行錯誤」との共通点


本書は、作者が後年書いた「試行錯誤」に非常によく似た作品だ。


主人公のシリル・ピンカートンの『相当抜けていて』、『冴えない』けれど、
『ユーモラス』で愛らしい中年男性像は
(ピンカートンは36なので中年とは言いたくないが//自分が36歳になった時に中年とは呼ばれたくないw)、
そのまま『試行錯誤』のトッドハンター氏に共通する特徴だ。
ピンカートン氏を更に優しく、更にヌケた感じにすればトッドハンター氏になるだろう。


そんなピンカートン&トッドハンター氏のユーモラスな語りを、僕は楽しんだ。
正直に言えば、事件やトリック云々よりも、「この主人公から目が離せない!」的な楽しみ方だ。


更に言えば、『倒叙モノ』めいた作りもそうだし、殺されるのが『皆の嫌われ者で、社会にいない方が良い奴』というのも同じである。
(この、『皆の嫌われ者で、社会にいない方がいい奴は殺した方が良い』というのは「毒入りチョコレート事件」でも同様の台詞があり、作者のバークリーは本気でそう思っていた節がある)


★キャラクター小説としての「第二の銃声」


『第二の銃声』が、『試行錯誤』よりも優れているのは、主人公ピンカートン氏の周囲を固める華やかなサブキャラ達。特に女性陣の魅力である。


ピンカートン氏は、長年の友人エセルに招かれる。
性格の良さではこの作品の女性陣No1だと思われるエセルだが、
残念なことに人妻で(も別に構わないのだが)あり、すぐに『親友ポジション』に後退してしまうので
浮いた話はない。


ピンカートン氏が最初に好意を抱くのが、
可憐で儚いように見せかけて、実は陰で相手を笑いものにする『聖女もどき』のエルザだ。
このエルザは、『聖女もどき』キャラとしては直前に読んだ「〇毛のレ〇メイン家」の某女性に比べると弱いが、それでもなかなか面白いキャラクターだ。
36歳にしてキスもまだな、うぶなピンカートン氏がこの手の女性に引っかかるのは無理のない事だし、
エルザの方に引っかける意図はないのであれだが、
ピンカートン氏はエルザを大事に思っているのに、エルザには陰で笑われている。
かわいそうな事である。


苛烈な不倫妻シルヴィアも見逃せない。
好きな男(不倫相手)のためなら何でもしかねない狂気と、なぜか皆の秘密を知っている知性の冴えと、元女優という演技力を兼ね備えた強烈なキャラクターで、
特に皆の眼前で不倫相手のエリックをなじるシーンは最高に面白かった。
(個人的にはシルヴィアのような匂い立つような邪悪さよりも、エルザのような『裏表』の方により
『人間ってこえーな……女性ってこえーな……』という恐怖を感じてしまうのだが)


そんな強烈な女性陣に引きかえ、真・ヒロインたるアーモレルは序盤、影が薄い。
読者(僕)にとっても勿論だがそれは、ピンカートン氏から見ても影が薄い女性だったという事で
読者=語り手の『シンクロ』が巧みになされている好例だと思う。
男モノの服を着て、がさつで、タバコを吸って、化粧をしている。
まぁ、要は男勝りの下品なケバギャル、みたいなのを想像して読んだw
確かに清楚なエルザとは大違いであり、頭の旧いピンカートン氏がエルザに好意を抱くのも解る。


しかしそんなアーモレルが、泣いている姿を見た事で(それだけでw)ピンカートン氏はアーモレル
への偏見を改める。
そしてアーモレルにキスをしただけで一気にアーモレルラブになってしまうのも面白い。


「キスとは野蛮人が鼻をこすりつける習性と変わらない(キリッ)」→初キス→「キスさいこー!!」という変節ぶりも、さすがは我らのピンカートン氏である。
自分がアーモレルを本当に好きかどうかを、『趣味の切手コレクションを見せたい相手かどうか』、
『珍しい蛾の見分け方を教えたい相手かどうか』で自問自答するピンカートン氏も良い。

一見ピンカートン氏に冷たかった態度も、実はツンデレだったということで、一気に正ヒロインの座に就くアーモレルの活躍もあり、事件は無事解決する。


★エピローグの是非


ただ……個人的に『エピローグ』はない方が好みだった。

エピローグでは真犯人とトリックが明かされるのだが、
まずこのトリックが「そんなバカな」と言いたくなる代物なのである。

トリックというか……要は「あいつ死ねばいいのに」と全員が思っていた奴が殺されたので、
みんなで見て見ぬふりをした、というか……。うーん、そういう事もある、のか?


犯人はというと、偽犯人(エピローグ無し)はエルザなのだが、真犯人はピンカートン氏である。
確かに、普通に読めばピンカートン氏になる。
アンフェアではないし、その推理は可能どころの話ではなく、読者の半分は行きつくところだと思う。
しかし、そこを敢えて犯人をエルザとした事で、『エルザというキャラクター』にも深みが出たし、
ピンカートン氏の『抜けっぷり』にも重みが増したのではないか。
冷静に犯行計画を練るピンカートン氏では、今までのユーモラスな味がある程度損なわれてしまう。


また、それに対応してアーモレルがピンカートンを好きになった時期と理由が、『人を殺した時の意外な冷静さ』だというのも残念である。

最初にアーモレルとキスをした時は、アーモレルはまだピンカートンを好きではなかったのか、と思うとガッカリしてしまった(ツンデレじゃないじゃん!)し、アーモレルは『抜けている』ピンカートンを好きになってほしかった。
エピローグがあったせいで、今までのピンカートン氏の魅力や、アーモレル・エルザの魅力が減じてしまった気がして残念に感じた。

聖女ぶっていながら、実は陰で他人を笑い者にして、自分を騙した相手を殺すエルザはある意味COOLだが、
聖女ぶっていて、実は陰で他人を笑い者にしていて、ゴロツキイケメンになびいた普通の娘さんでは、何の印象にも残らない凡人ではないか……。


バークリーの献辞や、序盤ピンカートンの言葉を借りたバークリーの訴えめいたものに
「新しいミステリを書きたい!」とか、「犯人が主人公の作品って新しくない? 面白くない?」という主張が見て取れるので、『作者は、これがやりたかったんだな』とは思う。


クリスティが『アクロイド殺し』を書いて2年後に書かれた作品でもあるので、バークリーが「アクロイド殺し」を読み、『この路線はイケる! もっと面白い倒叙モノを書いて、流行らせたい!』と興奮して「第二の銃声」を書いた姿が容易に想像できる(僕の妄想かもしれない)。
実際、キャラが無味乾燥の「アクロイド殺し」に比べ、「第二の銃声」のピンカートン氏は個性もあり、倒叙モノとして正当進化はしていると思う。


ただ、そういった歴史的意義(?)は大切ではあるけど、今時、倒叙モノだというだけでは読者は感動したりはできないので、やはり今読むなら無理に倒叙モノにしなくても良かったのではないか、と
僕などは思ってしまったのだった。



最後の最後で、真犯人が明かされるのは『試行錯誤』も同じである。
この真相が、『第二の銃声』の構成を裏返しただけ、というのがまた面白い。


『第二の銃声』では、偽犯人が聖女(っぽい)エルザで真犯人がヌケてるっぽいピンカートン氏だったが、
『試行錯誤』では、偽犯人がヌケてるっぽいトッドハンター氏で、真犯人が聖女のフェリシティだっ
た。


私見では、『推理部分』と『エンディング』に関しては『試行錯誤』の方が好きだ。
だが一方で、『試行錯誤』は推理部分が細かく描かれている弊害で、(トリックにそこまで興味がない人間からすると)ダラダラと中だるみしているところがある。


読んでいる間、ずっと楽しかったのは『第二の銃声』の方だ。
とりわけピンカートン氏とエルザ、アーモレルとの関係性は読んでいて楽しかった。
ミステリというよりは恋愛小説としてしか読んでいない気がするが、面白かったので問題ない。


ただ、読み終わった後、『完成度が高かったな』と感じるのは『試行錯誤』の方である。

手軽なキャラ萌え小説が読みたければ『第二の銃声』、
『第二の銃声』とキャラ立てがとてもよく似ているミステリが読みたければ『試行錯誤』を読む。
それが、いいのかもしれない。


ちなみに既読のバークリー作品で私が一番好きなのは、「毒入りチョコレート事件」です。














2017年に読んだ本(随時更新)

S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

キングの死/ジョン・ハート……記事あり。こちらで

チームバチスタの栄光/海棠尊……このミス大賞受賞も当然の、圧巻の構成力。パッシブ・フェイズの一巡、アクティブ・フェイズの二巡の末、トラブルが起き、事件が解決と、完璧な構成で凡そケチのつけようがない。強いて言うならば、トリックとその種明かしが少々単純であることくらいだが、重箱の隅つつきであり、些細な問題に過ぎない。

赤毛のレドメイン家/イーデン・フィルポッツ……沼沢地ダートムア、コモ湖畔などを舞台にした、雰囲気豊かな恋愛小説にして犯罪小説。薄幸の未亡人や、それを狙うチャラ男、純朴な主人公、気難しい老船長などなどキャラクター描写が優れており、ゆったりとしながらも風情を感じる古典的な文体と相まって、味わい深い作品になっている。


A→読んで良かったと思える作品

ミスティックリバー/デニス・ルへイン……重い、お話。幸福を得たショーン、ジミーと、得られなかったデイブの違いは、「車に乗る/乗らない」だったのか、それとも「大切な妻に全てを話せた/話せなかった」という違いによるものか……。しかし「少年時代を懐かしむすべての大人たちに贈る、感動のミステリ」という説明は詐欺だと思うw


少年時代/ロバート・マキャモン……世界の捉え方が、少年と大人では違う。何にでも「常識的な説明」がつけられてしまう「大人」とは違い、少年の世界は魔術に満ちている。街には幽霊が、恐竜が闊歩し、愛車の自転車には意思がある。空へと届いた野球ボール、魔女、天才、そして殺人鬼。本書は、そんな「少年時代の世界(の見え方)」を、束の間思い出させてくれる良作である。


鳴門秘帖/吉川英治……ストーリー自体は、ちょっと突っ込みどころのある、オーソドックスなTHE・時代劇。ただ、「アネゴ肌で、男にスレてるけど、実は初恋で、好きな相手にはウブで健気」なヒロイン、見返りお綱のインパクトはなかなかのもので、萌え小説として読むなら結構評価が高い。見返りお綱を筆頭に、目明し万吉などサブキャラは良い味を出している反面、主役の弦之丞やヒロインのお千絵様に魅力が乏しいのは残念。

ロストシンボル/ダン・ブラウン……Bに近いA。面白いものの、前2作(「天使と悪魔」、「ダビンチコード」)に比べるとだいぶ落ちる。「悪役が倒れた時」が面白さの頂点なのだが、その後延々と種明かしが続くのは、「動(サスペンス)」と「静(うんちく)」が絶妙にバランスをとっていた前2作と比べ、完成度が低いと思う。そうはいっても、十分面白いのだが。


影武者徳川家康/隆慶一郎……タイトルに似合わない(?)ガチな歴史小説。時代は関ケ原~大阪冬の陣まで、二郎三郎&風魔の忍びVS秀忠&柳生の暗闘が繰り広げられる15年間を描く。
二郎三郎に訪れた、老年の青春。やっと巡ってきた充実した男の一生。羨ましくも、清々しい。
唯一気になったのは、作者が登場しては、××がここで不可解な行動をとったのは『●●としか考えられない』というような自説を開陳する機会が多いのだけど、そんな強弁せずに、普通に小説として書いてくれてよかったんじゃないかな、と。そこだけ違和感があった。

国盗り物語/司馬遼太郎……前半の斎藤道山編が非常に面白い。魅力的な道山とお万阿さんの関係にしんみりとする。それに比べると後半の信長編はややパワーダウン。パワーダウンとはいえ十分面白いけど、光秀に魅力がなくて……。


警官の血/佐々木譲……代々受け継がれていく「警官」としての血。初代が無邪気なヒーローだったのに対し、二代目は暗黒面に堕ちながらももがき、三代目でとうとう吹っ切れてダースベイダーになったのは、警官としての成長とも言えるし、強靭なメンタルを手に入れるための成長ともいえるけど、
僕はやっぱり無邪気な初代が一番好きだった。「成長」なのか「立場」の変化なのか、「時代」の変化なのか……恐らく全部なのだろうけど。
あと、早瀬との対決の後に三代目が豹変する理由が全然わからなかった。そこを描くには尺が短すぎたと思う。

オレたちバブル入行組/池井戸潤……勧善懲悪モノ。日本版ディック・フランシス……という印象を受けたが、多分フランシスを先に知っていて半沢直樹を後に読んだ人ってそんなにいなさそうなので、この表現で通じるかどうか。


ブレイブ・ストーリー/宮部みゆき……途中ややダレるシーンもあったが、全体的に完成度の高いファンタジー小説だった。ワタルの決断も納得。カッちゃんや香織、ルゥ伯父さんといった現実界の登場人物から、キ・キーマやミーナ、カッツなどの幻界の登場人物まで、魅力ある人物が多く楽しかった。

マヴァール年代記/田中芳樹……中世ハンガリーをモデルにした架空戦記モノ。マヴァール王国の内乱を描いた1巻が秀逸で、諸外国が絡んでくる2巻以降はややパワーダウンしたものの、それでも読んで損のない面白さ。ヒロインのアンジェリナの魅力はなかなかのもの。ただ、主役のカルマーンはやや無能で、悪役のヴェンツェルは劣化オーベルシュタイン。勝手に期待していた皇后アデルハイドは何もできずに死亡で残念。あと、この手の『合戦小説』は地図が必須だと思う。なぜつけないんだろう。
ファンタジー小説にはたいてい地図がついてくるけど、合戦小説にも地図は必須だよ!


Yの悲劇/エラリー・クイーン……250ページあたりで、婆さんの遺書が見つかってから急激に面白くなる。それ以降は怒涛の展開で、さすがオールタイムベスト常連。いつもこうならいいんだけど……。


災厄の町/エラリー・クイーン……今まで読んだ5つのクイーン作品の中で、最も読みやすく、最も飽きずに読めた、ドラマ性に溢れた良作。ただ、謎自体はあまりにも単純で、あろうことか迷探偵feeにも真相が推理できてしまったくらいなので、『謎解き目当て』の読者には物足りないかもしれない。
物語として面白かった。

毒入りチョコレート事件/アントニー・バークリー……Bに近いA。最終のチタウィックの推理が、今までの推理5つの良いとこどりをしたグランド・ルート的になっているのが構成の妙で面白いが、そのせいでチタウィックの推理=真相、のような雰囲気になっているのが果たして良いのか悪いのか。
『名探偵の推理=唯一の解』ではないのでは?という問題提起がなされた、アンチ・ミステリ作品でありながら、『一番最もらしい推理が最後に登場』というミステリ的な王道も踏まえてしまっているので
その辺が、それこそ『ミステリとアンチ・ミステリの良いとこどり』と捉えるか『中途半端』と捉えるかは難しいところ。
奇妙な読後感が味わえてそれもまた面白い。


第二の銃声/アントニー・バークリー……記事アリ。こちらで。

B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

試行錯誤/アントニー・バークリー……チャーミングなおじ様主人公、トッドハンター氏の魅力が光る、楽しいミステリ。すっかり騙された。



起業の砦/江波戸哲夫……記事アリ。こちらで。





庵堂三兄弟の聖職/真藤順丈……記事アリ。こちらで。

起業前夜/高任和夫……Aに近いB。潰れかけた扶桑証券(どう見ても山一証券)をどうにか立て直そうと、頑張る主人公の物語。信頼してくれる部下、休日を過ごすテニス友達、不倫相手などもいて、事なかれ主義の上司との論戦など、リーダビリティに溢れる作品。
ただ、基本いい奴なのに相手が嫌がっているのを知りながら煙草をスパスパ吸う主人公とか、基本いい仲間たちなのに勤め先の事で皮肉を言った結果集まりに来なくなっちゃった仲間がいるとか、そういった『不要な』エピソードが謎。まぁ聖人君子なんてなかなかいないわけだけど、不必要にイメージを悪くする必要もないのでは? まぁでも面白かったよ。


後継者/安土敏……魔が差したとしか思えないひっどい後味の最終章はD評価だが、全体的にはまずまず楽しめた。卑劣な大手デパートにハメられ、会社の危機が迫る中、ゴルフの事しか頭にない遊び人の二代目が起ちあがる。大手デパートへの復讐鬼と化したヒロイン詠美ともども、見事に勝利する主人公。
と、ここまでは爽やか企業バトル小説だったのだが、悪役を自殺させたことにより後味が最悪なものになってしまった。しかも、悪役の自殺に加担した主人公のクズ伯父はお咎めなし。
ヒロインは主人公じゃなく部下と結ばれるし、本気で意味不明な最終章でござった。そこまでは面白かったよ、うん。







ライラの冒険:琥珀の望遠鏡/フィリップ・ブルマン……Aに近いB。3巻終盤に来てようやく、「イブ=ライラ、アダム=ウィル、蛇=マローン博士」の関係性が(私に)見えてきて、「聖書パロディのファンタジー恋愛モノだったか!」と気づいた瞬間から急激に面白くなった。ダイモンは「聖霊」かな? などなど気づけば気づくほど、完成度の高い作品だ。しかし最後の200ページに至るまで気づかなかった私も悪いかもしれないが、実際のところそこまでは退屈で仕方がなかったので、高評価するのも……いや、読解力のない私が悪いのか? いずれにせよ、「子供向けのファンタジー」ではなかった。


ハリーポッターと不死鳥の騎士団/J.K.ローリング……子供たちの『夢』の学園だったホグワーツ=ハリーポッターの世界も、作を追い、ハリーが年齢を重ねるごとに試練を増し、段々と『現実』の影がちらつき始める。亡き父に対するハリーの『尊敬』が崩れた事こそ、本巻最大の見所のように思う。
少年が大人になるためには、父を超えなければならない。というのは少年主人公におけるファンタジー系成長物語の鉄則であり(注:不思議な事に、少女主人公や女性の保護者においてはこのような鉄則は見受ける事が出来ない)、名付け親(??後見人の事か?)のシリウスの死もまたそれに準ずるモノと言える。となると、次巻「謎のプリンス」では恐らくハリーの最大の庇護者であるダンブルドア、もしくはハグリッドあたりが亡くなるというのが『少年主人公のファンタジー系成長物語』の鉄則ではあるが、さて……。


ハリーポッターと謎のプリンス/J.K.ローリング……16歳になって、恋愛に青春に大忙しのホグワーツ。その裏で、恐るべきヴォルデモートとの闘いも熾烈さを増していく。そんな第6巻は、ロンの心理描写が面白い。あがり症の彼を、ハリーが必死に励ます姿がおかしい。ロンとハーマイオニーの関係性も読みどころだ。一方でシリアス面では、ダンブルドアがついに亡くなってしまう。前巻を読んだ時の予想が当たっちゃったな。ただ、この巻は良いのだけど、最終巻にあたる次巻「死の秘宝」がガチシリアスバトルばかりになりそうなのが心配。ハリーポッターシリーズは、学園生活は面白いんだけど、バトルシーンは概してあまり面白くないんで……。


デイビッド・コパフィールド/チャールズ・ディケンズ……大叔母や女中のペゴティ、ミコーバーにユライア、空気の読めない医師などなど、キャラ描写は非常に巧いがとにかく長い。


歌姫/エド・マクベイン……偽装誘拐の皮肉な結末が印象深い。

殺意の楔/エド・マクベイン……

クレアが死んでいる/エド・マクベイン

さよならダイノサウルス/ロバート・J・ソウヤー


樽/クロフツ……容疑者候補が少ないせいか、事件に身を入れて読む事ができて面白かった。かなり複雑なトリックとともに、それよりも読み進めるごとにどんどんと謎が増え、容疑者候補への心証が変わっていく、英仏海峡を行き来する樽よろしく、ダイナミックな展開が楽しい。

マイ国家/星新一(ショートショート集)


C→暇つぶし程度にはなった作品

Zの悲劇/エラリー・クイーン……語り手サム嬢のおかげか新訳のおかげか、読みやすく飽きずに読めたが、事件自体は甚だどうでも良かった。読んでもいいし読まなくてもいい作品だと思う。

10プラス1/エド・マクベイン

熱波/エド・マクベイン

ライラの冒険:神秘の短剣/フィリップ・ブルマン

三国志/吉川英治……記事あり。
こちらで。

起死回生/江上剛……銀行の汚さを全編にわたって読まされた印象。最後の50ページで好転し、ハッピーエンドに終わるため、読後感は爽やかかもしれないが、それまでが長すぎw 

トレント最後の事件/E.C.ベントリー……「ミステリに恋愛要素を入れてはいけない」というふざけた暗黙の了解を打ち破った勇気と、その功績は称えたい。作品としては悪くはないものの、面白くなるまでに時間がかかりすぎる気はする。半分を過ぎてから少し面白くなります。


ハリーポッターと死の秘宝/J.K.ローリング……シリーズ最終巻として、今まで読んできた読者が読む価値はもちろんある。スネイプ先生の想いや、ダンブルドアの正体(?)など読みどころもないわけではない。ただ、「学園生活は楽しいけど、シリアスバトルはあんまりおもしろくないなぁ」と思っていた一読者(僕です)にとっては、シリアスバトルが連続するこの最終巻は「読む前から分かっていた」とはいえ、ちょいしんどかったです。

ハリーポッターシリーズ全体の感想はこちらで記事にしています。


巨大投資銀行/黒木亮……バレあり。こちらで。

宮本武蔵/吉川英治

エジプト十字架の謎/エラリー・クイーン……Bに近いC。新訳で読んだせいか、「Xの悲劇」(旧訳で読んだ)よりも格段に読みやすかった。感動はないものの、まずまず楽しんだが、内容のせいなのか訳のせいなのか不明なので、(Xの悲劇ともども)評価しづらい……。




D→自分には合わなかった作品

Xの悲劇/エラリー・クイーン……謎解き自体は問題ない。しかし、事件の全容がわかる残り60ページを除いて、非常に退屈した。


途中の家/エラリー・クイーン……途中までは楽しく読めたが、最後の30ページは酷すぎる。
登場人物の行動が『あまりにも』作為的。犯人はもう死んでいて、周囲の人間は全員それを知っているのに、ご丁寧に敢えて犯人の名を伏せて長々と推理をし出す名探偵と、いちいち驚く周囲が謎。
いやいや、君たちはもう犯人の正体を知ってるでしょ?
 
パイプ煙草は男性しか吸わないから犯人は男性、とかいうひっどい推理。
しかもそれが推理の根幹にあるので、「パイプ煙草を吸う女性」がいたら、その時点で推理は崩壊してしまう。

「自分の名前が入ったマッチ箱を持参して、犯行現場で煙草を吸う犯人」。バカすぎて涙が出てくる。
この事件の教訓は「犯行現場では煙草は我慢しましょう」。
煙草さえ吸わなければ発覚しなかったよね。名前入りのマッチを犯行現場に持参するほどの間抜けは、
殺人なんて大それたことをするべきじゃなかったですね。


オランダ靴の謎/エラリー・クイーン……登場人物に全く魅力がないので、誰が犯人だろうがどうでもいい、ロジック一辺倒の旧きミステリ。好きな人は好きなんだろう。

ギリシア柩の謎/エラリー・クイーン……犯人は単なる小悪党だし、事件自体が面白くない。

黄色い部屋の謎/ガストン・ルル―……徹頭徹尾、面白くない。その上に、凶悪犯罪者をわざわざ探偵が逃がすという結末もイミフ。同情の余地がある犯人とかならまだしも、こんな野郎を野放しにするとかあり得ないでしょ……




これから読む予定の本

三国志/北方謙三

らせん/鈴木光司

ループ/鈴木光司

クレイジーカンガルーの夏

クレイジーフラミンゴの秋

半分の月がのぼる空/橋本紡

女彫刻家/ミネット・ウォルターズ

ひまつぶしの殺人/赤川次郎

トレント最後の事件/E.C.ベントリー



東西ミステリーベスト100について 

この種のオールタイムベスト本はついつい読んでしまう。
自分の好きなジャンルとかはあまり関係がない。
雑誌「考える人」が特集した純文学オールタイムベストも読んだし、SFのオールタイムベストも読んだ。
オールタイムベスト、という企画自体にワクワクしてしまう人間なのである。
上位の作品ともなると、とりあえず読んでみようかな?という気になるような、影響されやすい人間なのだが、
「面白い」か「つまらない」かは他人に影響されないため、オールタイムベスト上位の作品を読んじゃガッカリするような、冴えない読書経験をする羽目になっている。
ただ、それはそれでそのジャンルの、いわゆる「名作・代表作家」を知るきっかけにもなるし、ありがたい事は間違いない。



だから、ミステリやSFだけじゃなく、ホラーとか恋愛小説とか一般小説とかラノベとか歴史小説とかハーレクインとか、
もっと他のジャンルもどんどんオールタイムベストをやってください!(票が集まらないのかもしれませんが)


さて、そんなわけで、オールタイムベストである。
他のオールタイムベスト本でも良かったのだけど、wikipediaに結果一覧が載っているということもあって(順位をバラしちゃまずいんじゃないかという抵抗感が低い事から)この「東西ミステリーベスト100」にした。

日本のミステリは20冊程度しか読めていない事が判明したので、これでは語れない。
今回は海外ミステリについて、ケチをつけながら書く。2013年版が基本だが、1985年版の方もたまに触れるかもしれない。



注:本記事は、ランキングにケチをつけながら、私の好き嫌いを無責任に放言したものになっております。
自分の好きな作家が叩かれたら嫌だな、と思う方は読まない方がいいかもしれません。


100位~51位


100位「鋼鉄都市」

いきなりのアシモフである。アシモフはかなり好きな作家で、特に「ロボットもの」が大好きだ。
これについては今後語る機会もありそうだけれど、とりあえず「鋼鉄都市」も最高である。
続編「はだかの太陽」ともども大お薦めだ!
アシモフは66位にも「黒後家蜘蛛の会」が入っている。
これもまぁまぁ好きだけど……これなら「はだかの太陽」を入れてほしかった気もする。
まぁ、「鋼鉄都市」の続編である「はだかの太陽」よりは、全く別シリーズの「黒後家蜘蛛の会」を入れた方が間口は広がるかもしれない。


続けて99位
「ナイルに死す 」


クリスティについては以前書いたので 長々とは書かないが、僕が海外古典ミステリで唯一胸を張って好きだと言える作家はクリスティだけである。
しかし62位の「ABC殺人事件」は明らかに古いと思うのだが……。
クリスティ作品は、時代を超えて楽しめる古びない作品と、残念ながら時の経過の洗礼を受け、今読むと「うーん」な作品があって、「ABC」は後者だと思う……。
まず動機が無茶苦茶だし、そもそもAときたらB、BときたらCという形で展開もバレバレじゃないですか。
11位の「オリエント急行」は大好きなのでいいとして(謎の上から目線)、
5位の「アクロイド殺し」なんかは歴史的意義だけでの上位ランクだと思ってしまう。
他にもっといい作品いっぱいあるのに! あるのに! 



97位

「ホット・ロック」


これは大爆笑した記憶がある、(僕が読んだ10数冊の中では)ウェストレイク最高の傑作だ。
海外小説のギャグは日本人には合わないことも多いが、これは本当に笑える。


96位

「緋色の研究」

ホームズは熱狂的なファンが多いので、下手に触れるのは怖いのだが、この作品はミステリの体裁を取る前半とは打って変わって、後半は犯人の波乱に富んだ人生物語が描かれる。
前半は正直に言えば全然面白くなかったのだが、後半はかなり面白かった。
ホームズは長編は全部読んでいるのだが、短編について、どれを読んだのかがハッキリしなくて困っている。
たとえば3位に「シャーロック・ホームズの冒険」なる短編集がランクインしているが、
僕が昔読んだ短編集がこれなのか、それとも別の短編集なのかさっぱりわからない。
まぁもう一度読んでもいいのだが……。


93位

「初秋」

ロバート・B・パーカーは20冊くらい読んでいるので、いつか記事にしようか、それともやめとこうか迷っている作家だ。さて、そんなパーカーの「スペンサーシリーズ」からは必ずこの「初秋」がオールタイムベストに挙がる事になっている。
まぁ実際のところ、スペンサーシリーズの中では「レイチェルウォレスを探せ」と「初秋」の二作が飛びぬけていると思う(単に僕が好きなだけ)ので、異論はない。異論はないが、「レイチェルウォレス」じゃなぜいけないのかはよくわからない。


92位 

「奇岩城」

小学生の頃、僕は学校の図書室にあるルパンシリーズを全部読破した。
しかし内容を全く覚えていないので、読んだと言っていいのかはかなり疑問だ。


91位

「高い砦」

僕はどうも、冒険小説のほとんどが苦手である。
特に「軍隊モノ」や、「自然を相手に戦う」タイプの作品がダメだ。
男キャラばかりで華がないというのもあるし、手に汗握るというよりも、
とてもしんどい目に遭っていて大変だなぁとしか感じられないのだ。
バグリィもそうだが、70位にランクしたアリステア・マクリーンなどは10作も読んだのに全然良さがわからなかった。
こればかりは合わないんだな、としか思えない。
映画の「ナバロンの要塞」は割と楽しめたので自分でもよくわからない。


なんと、まだ91位~100位なのにもう2000字……。この調子で大丈夫か? と思いきや、80位台の作品は全く読んでいなかった。
しかし読んだ作品全部にこの調子でコメントしていたらキリがないので、少しだけ巻いていく。


79位

「さらば愛しき女よ」

ファンの多い作家だけに書くのがたまらなく怖いのだが、全く良さがわからない作家の一人にレイモンド・チャンドラーがいる。
わからない。本当にわからないのだ。何が良いのだ……?? 実は長編は全部読んでいる。
良さを知りたくて、頑張って読んだのだ。
「大いなる眠り」から「プレイバック」まで読んだ(プードル・スプリングス物語は読んでいない)。
もちろん、オールタイムベスト常連の「長いお別れ」だって読んでいる。

僕が覚えているのは、マーロウが「うふぅ」(だっけ?)などとよくわからないため息をついたり、
突然サービスステーションで、「やぁ 息がくさいぜ!」とか言って、ゴロツキを殴り飛ばしたりしている
シーンばかりである。なぜ喧嘩したのかすら理解していない。これでは楽しめるはずもない。

別にアンチがしたかったのではない。純粋に、「皆が褒めたたえる作品・作家を楽しめないのは何故だ?」と思って読んだのだ。
今なら解る。向いてない作家・作品というのはあるものだ。
しかも僕の場合、海外古典ミステリの多くは僕に向いていないのだ、と。


69位

「ダ・ヴィンチ・コード」

これは面白い。話題になるだけの事はあったと思う。
前作「天使と悪魔」も超面白かったと思うのでランク外なのは残念だ。
(「ロストシンボル」はちょっとイマイチだった。「インフェルノ」はそのうち読む)


61位

「ミザリー」

スティーブン・キングは大好きな作家だが、なぜここに「ミザリー」が?? これはミステリなのか?
まぁ確かにストーカーの話だし、サスペンスと言えなくもない、のか。
ミザリー以上に好きなキング作品なら10作近くはあるが、「ミステリ」かどうかと聞かれると微妙なので、まぁ何でもいいか……。


57位

「ウィチャリー家の女」

ロス・マクドナルドも10冊以上読んだ作家だ。
よくミステリの本では、ハメット→チャンドラー→ロスマクの系譜が、というのを目にしたが、この3人の中で唯一僕の肌に合ったのはロス・マクドナルドである。
15位の「さむけ」、57位の「ウィチャリー家の女」という選出作品にも納得だ。
納得だが……個人的には現代作家のジョン・ハートが、
『実にロスマクが書きそうな作品』を、ロスマク以上に僕好みに描いている。
他の人にとってはわからないし、作家に対して非常に失礼なのだが、僕の中でジョン・ハートはロスマクの上位互換である。
しかし、ジョン・ハートの作品は1作も入っていない。
「ラスト・チャイルド」や「キングの死」は、「ウィチャリー家の女」や「さむけ」以上に凄い作品だと思うのだが……。


50位以上


46位
「利腕」

ディック・フランシスについても以前書いた。個人的最高傑作である「利腕」がここに入ってくるのもなっとく……え、35位に「興奮」が入っているの? 「興奮」ってそんなに面白いかしら。
なんか主人公がひたすらしんどい目に遭うマゾ小説だったような……。
それよりは「大穴」とか「度胸」の方が……。


45位

「ナイン・テイラーズ」

セイヤーズも肌に合わない作家である。8作くらい読んだが、面白いと思ったのは1作もなかった。


38位

「血の収穫」

ハメットも、これまた肌に合わない作家である。
ただ、同じ系譜とされるチャンドラーよりはまだ、なんとかなった。


37位

「皇帝のかぎ煙草入れ」


ディクスン・カーが肌に合わない。これでは、ミステリ好きとは到底言えないのではないだろうか?
日本の作家が強く強く影響を受けた密室トリックの大家である。
とにかく密室トリックである。密室、密室、密室! 
しかし全然ピンと来ない。
登場人物にほとんど魅力がないので、誰が殺されようが、どんなふうに殺されようが、誰が犯人だろうがどうでもいいのである……。

そんな中、この37位「皇帝のかぎ煙草入れ」は唯一、楽しく読めたカー作品である。
キャラクター描写は確実に(僕が読んだ中では)一番巧い。
なんだ、カーも面白い(と僕が感じる)作品書けるんじゃん!(←何様だよ)と思ったのだが、
「カーらしくない異色作」だそうで……。ですよねぇ……。
ちなみに44位の「ユダの窓」や選外の「曲がった蝶番」あたりもまずまず楽しかったような気もする。
「三つの棺」や「火刑法廷」は……すみません。


34位

「モルグ街の殺人」

エドガー・アラン・ポーは面白い。面白いのだが、モルグ街の殺人ってどんな話だっけ……。
ポーはどうもホラー作品の印象が強くて……。ミステリでは「盗まれた手紙」は覚えているんだけど。
今度読み直しますかね。


31位

「トライアル&エラー」

アントニー・バークリー。実は読んだことがない。
この「トライアル&エラー」と「毒入りチョコレート事件」は近日読む予定で、今から楽しみにしている。


30位

「笑う警官」

スウェーデン版87分署。マルティン・ベックシリーズの代表作はやはり「笑う警官」なのだろう。
確かに割と面白かった。
って、書いて気づいたけど87分署シリーズの方は入ってないのか……


25位


「深夜プラス1」

ギャビン・ライアルは「もっとも危険なゲーム」が一番だと思うんだけど、オールタイムベストではこっちが入る事に決まってるんですよね……。


23位

「ギリシャ棺の謎」

オールタイムベスト界(?)の王者、エラリー・クイーンである。しかし僕はほとんど読んでいない。
この度、私はこんなことではいけない!と謎の義務感にかられ、
「Xの悲劇」、「エジプト十字架の謎」、「ギリシャ棺の謎」、「Yの悲劇」の4冊を入手した!
そしてこの順番に読んでおり、今「ギリシャ棺の謎」を読んでいるが
……エラリー・クイーンも、どうも僕向きの作家ではないという確信が深まりつつある。
本来なら、10冊程度読んでみてから判断するのだが、今、僕は色々とリアルの方で疲れており、
あまり余裕がないため、読書は「自分が楽しめると確信できる」作品を優先したい……というか普通はそうだよな。
なお、この後「Yの悲劇」に感動し一気にクイーンファンになる未来が……待っているといいな。


さっきから文句ばっかりじゃないか! 感じの悪い記事になりつつあって恐縮至極ですが


19位

「鷲は舞い降りた」

これかぁ……。うーん???
ヒギンズと言えば、僕の中で「死にゆく者への祈り」が超名作である。「脱出航路」も結構好きだ。
だからヒギンズは嫌いではない。
しかし超有名作である「鷲は舞い降りた」は……。やはり男キャラばかりなのがいけないのかもしれない。
私はスケベな人間なので、美女の一人くらいほしいのだ。(鷲は舞い降りたにもいたっけ?? 既に記憶がない)



18位

「僧正殺人事件」

あかん、ヴァンダイン先生のお出ましだ。
ヴァンダイン先生は「ミステリのニ十則」とかいうものを作った作家先生としても有名なのだが、
・読者は知的読み物を求めているのであって、男女間のことなどどうでもいい。恋愛は禁止 
みたいなクッソつまらない縛りばっかり書いている。余計なお世話である。

といったところにも反感を覚えるが、それ以前に彼の作品もまたキャラクター描写が弱く、ちっとも楽しめなかった。なんとも奇妙な事に、私は彼の作品を全作読んでいる。何がしたかったのか、さっぱりわからない。
僕は自分が発達障害なのではないかと疑っているのだが(検査は受けていない)、それを象徴するような事例である。
読むと決めたら、とにかく読むんだ、的な意味のわからない強迫観念で読んだのだろう、多分。
手がすりむけるまで手を洗ったりとか、鍵の開閉を続けまくって外に出られないような形ではないので、
社会生活は一応送れてはいるが。
普通の人なら、最初の4作くらい読んでつまらなかったら、もう読まないのでは? 知らんけど。

その中では「グリーン家殺人事件」の方が、「僧正」よりはまだ楽しかった記憶がある。


13位

「死の接吻」

やっと、心から「名作だ!」と言える作品が出てきた。
ここまでの記事でもわかるように、「お前、ミステリ読まない方がええんちゃう?」と言われかねない私にも
楽しめた名作ミステリである。
人物描写もしっかりしているし、文章力・構成力は本当に凄い。
微妙にダレるシーンまで、全てが計算されている。


12位

「ミレニアム 三部作」

言うのを忘れていたが、ミステリのオールタイムベストは、どのオールタイムベストを見ても
あまりに古い作品に偏りすぎている。
現代ミステリが、古典に劣るとは全く思えないのだが……。

さて、「ミレニアム」だが1の「ドラゴンタトゥーの女」は最高に面白かった。
だが、2の「火と戯れる女」は普通くらいだったので(決してつまらなくはなかった)、3は読んでいない。
読むべきだろうか? 


9位

「羊たちの沈黙」

これは読んだ。特に感動はなかったが……。


8位

「ブラウン神父の童心」

古典ミステリに対して総じて苦手意識のある私だが、ここに収録されている「折れた剣」は、確かに名作だとつくづく痛感させられた。


4位

「幻の女」

アイリッシュは大好きな作家だ。非常に詩的で、悲しみに満ちた中にも暖かな交流を、そして孤独を描く。
さてそんなアイリッシュの中で、江戸川乱歩大先生が褒めた「幻の女」だけが注目される現状が続いている。
もちろん「幻の女」は素晴らしい。
ただ、個人的には「暁の死線」や「黒い天使」も、「幻の女」に匹敵する名作なので、もし「幻の女」が気に入った人はどうか読んでほしい、と思う。


新版に入っていない作家・作品群


99位 

「魔性の殺人」

これは結構面白かった記憶がある。
特に犯人が「ズボンのポケットに穴をあけておいて、そこからち〇ぽをいじりながら、街ゆく人を見てニヤニヤと散策するのが趣味」というものすごい輩で、なかなかインパクトのある犯人で良かった。



85位

「針の眼」

最強だけど女性には弱い、陰のある暗殺者を描いた傑作で、暗殺者モノではヒギンズ「死にゆく者への祈り」と並ぶ最高傑作(と言うほど読めてないんだけども)。2013年版ではランク外なのが残念だ。
これは実に面白かった。


71位

「ディミトリオスの棺」

アンブラ―も、最新版では消えてしまったのか……。
「あるスパイへの墓碑銘」が、タイトルからは想像できないくらいのどかな作品で好きでした。
「ディミトリオス」も読んでいるはずだけど覚えてない……。


64位

「警官嫌い」


87分署の登場……はいいのだが、「警官嫌い」が87分署の最高傑作だなんて聞いた事もない。
多分シリーズ第1作目だからの選出だと思うが、順番に読まないといけないシリーズでもないのだから、
もっと面白い作品を選べばいいのに……。
個人的87分署最高傑作は「キングの身代金」。次点は「ハートの刺青」、「殺意の楔」あたり。
「警官嫌い」よりはずっと面白いと思います……。


56位

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

なんと、旧版ではランクインしていたのか! ハードボイルドの系譜は
ハメット→チャンドラー→ロスマク、というのはよく聞かされるのだが、ハメットの前にケインを置いている本をどこかで読んだ。
で、このケインだが……面白いのである。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は傑作だ。何が傑作って、ある種の倒叙ものなのだが、非常に緊迫感があり、
強烈に感情移入しながら読んだ。
どう考えてもクズな主人公である。しかしこのクズな主人公にめちゃくちゃ感情移入できて、手に汗握ってしまう。

以後、「キャラクターに感情移入させるために、主人公を善良に書かなくてはならない」というような、小説創作本のアドバイスには眉に唾をつけて読むようにしている。

ちなみに「殺人保険」という作品も相当面白いので「郵便配達は~」が気に入った方には薦めたい。



33位

「寒い国から帰ってきたスパイ」

特に好きでも嫌いでもないのだが、ル・カレはビッグネームだと思っていただけに、新版でランク外なのには驚いた。


32位

「暗殺者」

これまた不可解である。
「暗殺者(ボーン・アイデンティティ)」はラドラム作品では最も有名な作品であり、
恐らく最も評価も高い作品である。
しかし僕が読んだところでは、かなり地味な作品である。ぶっちゃけ、外れの部類だった。
やはり真面目な読者が多いのだろうか?


僕としては、厨二病全開の「マタレーズ暗殺集団」が最高傑作である。こんなに面白い、マフィアものはそうそうない。ハッタリの利かせ方が凄いのだ。
それを言うならデビュー作の「スカーラッチ家の遺産」だって面白かった。
なんで「暗殺者」なんだろう……。


僕が大好きなのに、ここに入っていない作品・作家


「ゴッドファーザー」

これは本当に謎だ。映画版はあれだけ大人気ではないか。
小説版を読んだが、映画版に引けを取らない大傑作である。なぜ入らないのだろう?
ゴッドファーザーはミステリではない、のか?


「殺しの接吻」

ウィリアム・ゴールドマンも1作も入っていない。
この「殺しの接吻」はサスペンス小説の傑作だし、「マラソンマン」、「ブラザーズ」だって面白い。
1作ぐらいランクインしてもいいのに……とも思う。


「悲しみよこんにちは」

不安定な思春期の少女が殺人を犯すまでを描いた、繊細で感傷的なクライムノベルだが、
ミステリにはなぜか含まれていないようだ。
売れている割に、そもそも評価が高くない可能性もあるが、個人的には大好きです。


「クワイヤボーイズ」

警察小説の(読んだ中での)最高傑作は、ジョゼフ・ウォンボーの「クワイヤボーイズ」だと思う。
警察ドラマっぽい87分署や「笑う警官」なども悪くはないが、ストレスに苦しみながらパブで暴れる警官の日常を
こんなにも興味深く綴った作品はそうそうないと思う。
個人的な好みを言わせてもらえば、これが入らないのはおかしい……というか、僕が好きなミステリって、多分こういう作品なんだと思う。


「3,1,2とノックせよ」

そういえばフレドリック・ブラウンも1作も入っていない。
ブラウンは素晴らしいSF作品を残しているが、サスペンス小説も結構面白いと思う。
この「3,1,2とノックせよ」も、87分署シリーズ(個人的)最高レベルの「ハートの刺青」に匹敵する
スリル満点のサスペンスだった。


「殺人者」

あまりミステリ作家という印象でもないとは思うが、殺人鬼の一生を描きつつ、巧みな叙述トリックで世界の見え方を一変させるこの「殺人者」なども、見逃せない作品だと思う。


「ケイン号の叛乱」

この辺になってくるとミステリなのかもよくわからないが、スコット・トゥロー「推定無罪」がランクインしているのなら、この「ケイン号の叛乱」も法廷ミステリとしてランクインしても良いのではないか。
非常に考えさせられるだけでなく、エンタメとしても面白い名作だ。


「燃える接吻」

大好きか?と聞かれるとそこまでではないが、チャンドラーやハメットよりも、僕はスピレインの方が楽しかった。
なんだ、ハードボイルドって思ってたほどつまらなくないんじゃん、と思ったものだ。



他、最近の作品なので入っていないのかもしれないが


「解錠師」や「ラスト・チャイルド」、あるいは「ミスティック・リバー」あたりも当然入ってきて良い作品群だと思う。


単に僕の肌に合わないだけなのだが、ディクスン・カーやらヴァン・ダインやらよりも、
この辺りの作家を読んだ方が面白くないですか? 


なお、現代海外作家は僕も言うほど読めていないので、更なる研鑽が必要なのだが、
できればもう少し新しい作品も入ってくれると嬉しいなと思う。


ちなみに、海外SFだと古い作品の方が好きだったりする私なのであるが……。



ということで、気分を害した方も多いかもしれず、大変恐縮なのであるが、
単にミステリが嫌いでくそみそに叩いただけの感想ではないつもりなので、一つご容赦を願いたい……。
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