1次リーグ:1勝2分。2次リーグ:2勝1敗。→3位決定戦へ。
攻撃 C+ 守備 A- スペクタクル C- 総合 B-。

 ブラジルというのは永遠のブランドなのだと思う。他のチームとは違い、スペシャルなものが要求される。
それは、圧倒的なスペクタクル。ボール扱いの美しさ。絶対的なまでの強さ。目も眩むようなタレント集団。カナリアは美しく鳴き、そして勝つ。
 
 今大会のブラジルはベスト4で敗退。結果だけを見れば好成績である。にも関わらず、今大会のブラジルは“大失敗”のように言われている。それは何故か。
 
 それは上記のブラジル像をほとんど体現できていなかったから。
 
 今大会のブラジルの立場は、元より微妙な立場であった。
 4年前、メキシコの地で3度目のワールドカップ優勝を遂げたタレント集団は、今でも史上最強のブラジルと呼ばれている。
 王様ペレを筆頭に、技巧派ストライカーのトスタン、華麗なるウイングジャイルジーニョ。ペレの補佐役として輝きを放つリベリーノ。中盤を締めるのはクロドアウド、ジェルソンの最強ボランチ二人組。
 
 そして4年後。残ったのはジャイルジーニョとリベリーノの2人だけであった。
 ペレは早々に代表引退を宣言、今大会はベンチでファンのサインに応じている姿が映し出された。
 若きトスタンは、目の負傷だか病だかを患い、20代にして現役を引退。後に自身の経験から眼医者さんになったらしい。
 ジェルソンとクロドアウドのその後は知らないが、いなかったことは確かだ。
 ジャイルジーニョの輝きはすっかり色褪せ、今大会のジャイルジーニョに魅力を感じることは出来なかった。そんな中、唯一リベリーノだけが奮闘していた。これが、ブラジルの中盤から前線にかけての評価である。
 迎えた1次リーグでは、スコットランド、ユーゴを相手に無得点。ザイールからは3点を奪ったものの、続く2次リーグ東ドイツ戦でもFKからの1点のみ。アルゼンチン戦では2点を決めたが、オランダにもノーゴール。6試合で6得点。ザイール戦を除けば5試合で3得点。これはかなり情けない数字である。


 一方の守備陣は実に堅固だった。6試合での失点は3。そのうち2失点はオランダ戦である。オランダには屈したが、それ以外の相手からはほとんどゴールを許さなかったということだ。
 GKのエメルソン・レオンを中心に(後にJリーグで監督を務めたあのレオンだ)、よく守っていた。また、金髪の若き右SB、フランシスコ・マリーニョの攻め上がりは鮮烈で、淀んだ攻撃のリズムに一陣の清風を吹き込んでいた。
 
 
 このように74年のブラジル代表はディフェンススタイルのチームだったのだが、これは他のチームでは許されてもブラジルには許されないことなのだ。
 また、絶対的な強さという意味でも今大会は大失敗だった。何せ、ブラジルの上を行くスペクタクルを、オランダにやられてしまったのだから。
 サッカーファンの人気をオランダに持っていかれ、タイトルを西ドイツに持っていかれ、ベスト4進出の好成績を誇るでもなく大会を去っていったブラジル。
 彼らのサッカーはオールドスタイルであり、時代に取り残されていく焦りもあったのかもしれない。
 もはやペレはいない。ブラジルの天下は終わった。そのことを強く印象付けられたブラジルは、だからこそ”大失敗”だったと言われてしまうのかもしれない。
 それは、永遠のブランドに付きまとう一つの悲劇である。