2次リーグ最終節。
事実上の準決勝第2戦は、ホスト国の西ドイツと東欧の雄ポーランド。
勝った方が決勝戦、負けた方が3位決定戦、引き分けた場合は西ドイツが決勝へ行くことになる。


試合の方は、悪天候の影響で水浸しのピッチによって台無しに。
ボールが急に止まったり選手が滑ったりと、とてもハイレベルのプレイが見られる環境ではなかった。
おかげでボール回しにリズムが生まれず、退屈な展開に。
というかそのせいで、途中で脱落したのだけれど。
後でハイライトを見たらチャンス自体は随分あって、それをことごとく西ドイツGKマイヤーがセーブしていた。
リズムが悪かったから退屈だったけれど、チャンス自体はあったということか。


結果は1-0で西ドイツが決勝に進出しました。
ではポーランドのまとめを。


ポーランド代表:1次リーグ 3勝 2次リーグ 2勝1敗→3位決定戦へ。
攻撃 A- 守備 B+ スペクタクル B- 総合 A-



1次リーグ、唯一の3戦全勝を達成し序盤の台風の目となったポーランド。
アルゼンチンを3-2で下して勢いに乗った彼らは、ハイチから7-0の勝利を収め、完全に自信をつけると、返す刀でイタリアをも粉砕。まさかの1位突破を成し遂げた。
前線の3トップ、ラトー、ガドーハ、シャルマッフは盛んにポジションチェンジを繰り返し、攻撃に幅を加えれば、守備ではGKのトマシェフスキーが大会期間中PKを2本も止める活躍を見せた。


だが、彼らのピークはその1次リーグだったのかもしれない。
戦いぶりにケチをつけるわけではないが、2次リーグではスウェーデン、ユーゴスラビアに勝利を収めるものの、1次リーグで見せた華麗なアタッキングは鳴りを潜めてしまう。
敗退を決めたのが、両チーム満足な試合の出来なかった、雨中での西ドイツ戦では正当に評価するのは難しいが、いずれにせよ1次リーグで見せたような勢いを感じることは出来なかった。




だが、ポーランドはこの大会で一人のスターを輩出する。8ゴールで得点王に輝いたグジェゴシュ・ラトーである。ウイングでありながら中央へ切り込み、得点力を発揮したラトーと、CF(センター・フォワード)でありながら、ラトーが切り込むスペースを作り、彼にスペースを提供したシャルマッフの連携は実に見事であった。



一ヶ月にも及ぶ戦いで、どこにコンディションのピークを持ってくるかというのは、難しい問題だ。アルゼンチン、イタリアと同居したポーランドは1次リーグにピークを持ってこざるを得なかったため、2次リーグではやや精彩を欠いた。
逆に、1次リーグで敗退したイタリアは、ピークをその先に設定していた可能性がある。イタリアが毎大会スロースターターと言われ、予選グループで苦戦すればするほど、好成績を収めると言われるのはこの辺が関係してくる。歴史は証明している。グループリーグ0勝3分で青息吐息の突破を決めた後、一気に優勝まで駆け上がった82年大会。同じくグループリーグ1勝1分1敗とこちらもギリギリで突破した後、準優勝にのぼりつめた94年大会。


逆の例ではアフリカ勢が上げられる。90年のカメルーン、94、98年のナイジェリア、02年のセネガルを思い出してほしい。彼らはいずれも大会初戦にピークを迎え、大会が進むにつれて緩やかにコンディションが下がっていくのである。


彼らがサプライズを起こすのは多くの場合、初戦である。アルゼンチンを破った90年のカメルーン、スペインを破った98年のナイジェリア、フランスを破った02年のセネガル、いずれも初戦である。


06年大会、アフリカ最強と目されるコートジボアールと初戦で当たるチームは、アルゼンチン。
同じく、ガーナと初戦で当たるのは、イタリア。


ここに、波乱の香りを感じ取ることができる。