Date
1次リーグ:2勝1分 
VSウルグアイ  ○2-0 VSスウェーデン △0-0 
VSブルガリア  ○4-1

2次リーグ:3勝
VSアルゼンチン ○4-0 VS東ドイツ ○2-0 VSブラジル ○2-0

決勝 VS西ドイツ ×1-2

7試合 得点 15 失点3

攻撃 A- 守備 S スペクタクル A+ 総合 A+


総評

オランダは、天上の国から舞い降りたフットボールの天使たちだ。
彼らのサッカーは、他の国とは次元が違った。
DFがゴールを守り、MFがボールをつなぎ、FWがゴールを決めるスポーツ。
そんな常識を覆したのが、74年のオランダだった。
クライフを中心にした巨大な渦巻きが、ピッチ上を席巻した。
クライフは時にDF、時にMF、時にFWだった。ニースケンスは、クロルは、アリー・ハーンは、レイスベルヘンは……
彼らもまたDF、MF、そしてFWだった。
彼らには4-3-3という数字も、DFやMFといった区分も全く意味を為さなかった。新たなフットボール、トータルフットボールの誕生である。
トータルフットボールは、攻撃であり守備だった。ピッチ中央に出現した巨大なオレンジの渦がボールを呑み込んでいく。その渦を乗り越えてオランダゴールに到達するFWは皆無に近かった。
相手チームはシュートすら打てない。そんな試合が続いた。


ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジルの南米三大巨頭を相手に得点8の失点0。
旧時代を飲み込む革命の寵児たちが、そのまま優勝まで突き進むと誰もが思ったことだろう。


だが、そこに落とし穴が待っていた。
オランダとは別の形で、進化を遂げた西ドイツもまたモダンフットボールの担い手であった。
彼らはオランダほどに斬新ではなかったが、オランダよりも数段優れたストライカーを持っていた。
オランダに足りなかったのは、絶対的なエースだった。


決勝の西ドイツ戦。オランダの攻撃に立ち向かった西ドイツのGKマイヤー。
オランダにはマイヤーを打ち崩すだけの武器が無かった。
ゲルト・ミュラーはオランダの一瞬の隙をつき、見事にネットを揺らす。


オランダは膝をつき、クライフは代表からの引退を決意する。
神話のオランダは4年後にも登場し、ここでも決勝でアルゼンチンに敗れた。
2大会連続、決勝でホスト国と当たる不運。


オランダは未だかつて一度もトロフィーを掲げていない。