何となくあらすじは知っていますが、実はこの物語を読むのは初めてです。
童話って結構そういうのありませんか? 不思議の国のアリスとかピーターパンとか、
読んだことはなくてもなんとなく知っている
(私、アリスは読んだことあるけど、ピーターパンは読んでません)。
そんなわけで、何となくではなく『読んだよ』と言うために(?)、齢20を過ぎて
オズの魔法使いを読んでみたわけです。
早川文庫から出ている、佐藤高子さん訳の本です。


……驚きました。
主人公のドロシーがすごいんです。性格悪いんです。びっくりですよ。
童話の主人公って、何となくいい子なイメージがありました。

「かかしさんは、オツムに脳みそを少し入れてもらいたいんですって」
脳みその無い仲間のかかしを、他の人に紹介するドロシー。

自分としてはエムおばさんのもとへ帰れさえすればそれでいいので、木こりに脳みそがなかろうと、かかしに心臓がなかろうと(略)、たいしてもんだいじゃないわと思いました。

ドロシーの性格を端的に表す一文。
おまけに木こりには心臓がなく、かかしには脳みそがないはずなのだが、
ドロシーは木こりやかかしの一生の問題についても、ドロシーにはたいしてもんだいじゃないので、
一々そんなことは覚えていません
(単なる誤植かもしれませんが)。

斜線部引用。


こんな感じで、物語の最初から最後までドロシーってば、すげー冷淡です。
きついです。空気読めないし、ずけずけ言います。
世界の支配者オズの前で、「私はこの国があまり好きじゃないから帰りたい」とか言います。


そんなわけで、ドロシーの暴れっぷりが面白かった。
ストーリーについては……あまり突っ込まない方向で。
かなりいい加減な話ですが、まぁそこら辺は……ね。他の小説と同じ感じで
評価するならC-~D+ですが、野暮というものでしょう。

「エッペッペッペのカッケッケ」という萌え台詞とともに、
ドロシー悪女伝説の幕が今上がったのです。

しかし、これ子供の頃に読んでいたら全然違った捉え方をしたんだろうなぁ。