良くも悪くも、エンディング付近に感動ポイントが集中していた印象があります。
フィー教官の最期は、かなり感動しました。後、エンディングも良かったです。


複雑な専門用語に気を取られがちですが、このゲームは戦争シーンそのものよりも、
やはり戦争シーンを客観的に捉えることの方に、重きが置かれているような感じを受けます。

もちろん、客観的な視線を効果的に描くためには戦争シーン、もっと言えば空戦シーン自体にもボリュームを割く必要があるのですが、このゲームでかなりのボリュームを占める空戦シーン自体は、大して面白いわけでもないんですよね。
むしろ、司令と美樹さんの語る戦略の方が面白かったです。


ただ、日本地理の知識が僕になかったのは残念でした。これからプレイする人は、日本地図とにらめっこしながらゲームをするとより楽しめるかもしれません。
基地の場所や攻撃目標、防衛ラインなどなどの地名は(多分)全て実在の地名ですので、
場所が具体的にイメージできると更に更に楽しめると思いますので。


作品の大部分を占める戦時中の関東は、熱に浮かされたような印象を受けます。
何のために闘っているのか、本当は多分誰にもわからない。
力を合わせて、命を賭けて闘ってきたのだから、そこに価値を見い出したいという気持ちが無意識に働いているのか、
うまく言葉には出来ない、戦友たちとの絆や責任感がそうさせるのか……。
それは、平和な日本に生きる私たちの『何のために生きるのか』という問いと大差のないもののように、思えます。


女優という熱に浮かされ、女優に疲れやめていくニーナは、戦争に参加し、生き残った関東軍の人々を象徴していると言えるかもしれません。
戦争に人生を大きく揺さぶられた社は、未だ戦争の影に囚われています。
そんな社と若菜は、新たな闘い・生きがいを見つけます。
それは急速に風化していく戦争の記憶を残すこと。
願わくばそれが、恨みや哀しみの再確認ではなく、
二度と同じ過ちを繰り返さないための教訓として、しっかりと残してくれることを望みます。


……過ちだなんて書いちゃっていいのかな? 円経済圏というものが、まだ具体的に説明されていない以上、関東政府がどのような理念を掲げていたのかもよくわからないし、過ちと断言してしまっていいのかもわからないんですね。
縄文人と弥生人の例えも、今のところまだよくわかっていないし……。


残念だったのは、誤字の多さ。
他のシナリオでも誤字はあるのですが、このシナリオはちょっと多すぎます。

象徴的なのが、『足持ちにうがくまったまま』という文。
普通、誤字脱字というのは『俺ははグリペン乗って』(俺はグリペンに乗って)のように、間抜けではあるものの、
意味は汲み取れるものがほとんどですが、この文は酷い。
多分、『足下にうずくまったまま』だと思われるのですが、これでは……。