「笑う警官」に続いて、「唾棄すべき男」も面白かったので、
5月に書いた「笑う警官」の記事を「マルティン・べックシリーズ感想」と改め、「唾棄すべき男」の感想を
統合しました。

このシリーズは、スウェーデンを舞台にした警察物語で、主人公のベックや親友のコルベリを中心に、
キャラクターに魅力があるのが特徴です。
また、描写も巧くて、頭に映像が浮かぶような文章に触れることができます。


著者はマイ・シューヴァルとペール・ヴァールーのご夫妻。

No4(4作目)「笑う警官」
評価はB+。


すげぇって感じではないのだけれど、退屈せずにスイスイと読めました。
一人の刑事が事件を解決するという話ではなく、署内の刑事一同が力を合わせていろんな角度から事件を解剖していく様子が、臨場感を持って伝わってきました。

また、刑事一人ひとりの描き分けがきちんとできていて、
魅力に富んでいたのが良かったですね。
似たタイプの作品である87分署シリーズとはよく比較されると思うのだけれど、個人的にはこちらのシリーズのほうが好みです。


No7「唾棄すべき男」
評価はB。

最初の100ページくらいが退屈だったのと、ラストが駆け足だったのが響いてBにしたものの、中盤から終盤にかけてぐんぐん惹きこまれてしまいました。

しっかし、いくらなんでも犯人がかわいそすぎます。

&、最初に殺された人(唾棄すべき男)、この人は殺されても当然というか、
こいつさえいなければこの犯人が狂うこともなかったということで、
とばっちり(?)で犯人に殺されてしまった2人も、この唾棄すべき男のせいで死んだように感じてしまいます。

ここまで登場人物に嫌悪を覚えたのは久しぶりかも。

警察の腐敗をテーマにしたお話ですが、確かにこんな警官がのさばっていたら、イメージも悪くなりますよね。
それでとばっちりを受ける他の警官は至極かわいそうですが。

しかも、2番目に死んでほしかったハルトは生きてるし…


No9「警官殺し」
評価はC+。


2つの事件が扱われているのですが、この2つがあまりリンクしていないんですよね。
タイトルの「警官殺し」は、文字通り警官殺害の事件についての標題だと思うのですが、もう一つの「女性殺害事件」も同じくらい比重が割かれていて、
なんだか2つの事件を無理に1冊にまとめたような感じを受けました。
結構長めの作品だったこともあって、焦点がぼやけてしまったのが残念です。