著者ジョン・ジェイクス
のケント家物語シリーズ、スタートいたしました。
全8冊なのですが、手元には4冊しかないので、とりあえずその4冊を。


このシリーズは、アメリカ建国~アメリカが一つの確固たる国になるまでの物語です。

No1 「私生児」 評価 A

この巻では、ボストン茶会事件とか、茶法・印紙法なんかの時代が取り上げられています。
アメリカが、植民地としての立場を捨てて独立する姿と、
貴族の私生児である主人公フィリップが、
貴族という立場を捨て(諦めたともとれるが)、
新しく平等な立場の市民として、第一歩を踏み出す姿がオーバーラップしているのが巧いなと感じました。

貴族社会を代表するヒロイン、アリシャを捨て、
市民社会を代表するヒロイン、アンを選んだのも実に象徴的で、
作家の構成力が光ります。

歴史小説としてはもちろん、娯楽&恋愛小説としても実に面白かったです。


唯一の欠点は、本の作り方がひどすぎること。
誤植が、1ページにつき1箇所はあるんですよね。
あまりにも手抜きというか、校正者いなかったんでしょうか?

内容が悪くないだけにもったいないです。


No2「反逆者」 評価 B-

この巻では、アメリカの独立戦争が描かれます。

物語の出来自体は悪くないのですが、「私生児」に比べると『面白くなかった』印象です。
というのも、この巻では戦争の過酷さが強く描かれていて、
心が躍るロマンスシーンなどはほとんどないからです。
ただただ、辛く悲惨な感じを受けました。



No4「復讐者」 評価 B

この巻では、テキサスをめぐるアメリカ―メキシコ戦争と、
カリフォルニアのゴールドラッシュが描かれます。

良かった点は、この時代のアメリカについて知ることができたということです。
『テキサス兵』という言葉に違和感を感じて調べ、テキサス共和国の知識を得ることもできました。
テキサスが独立国だったということを知らなかったため、新鮮な驚きを受けました。
楽しみながら、新しい知識が得られるのは嬉しいです。


一方、微妙だった点は、主人公のアマンダに感情移入がしにくいことと、
話が陰鬱なこと。
2点とも、『小説構成としての欠点』ではなく、単純に『好き嫌い』の問題です。


前者は、アマンダが『家』という概念に異様な執着を持っている点が、理解できませんでした。悔しい気持ちはわかるのですが、何もここまでいこじにならなくてもと。

後者は、やはり黒人差別のところでしょうか。このような酷いことが、平気で行われて『いた』という事実には憤りを隠せません。
『いた』と書きましたが、海外サッカーなどを見ていますと、現在でもまだありますよね。本当に愚かなことだと思います。


No8「新世界」 評価 B



PS
日本ではほとんど知られていないのか、「私生児 ケント家物語 感想」でグーグル検索すると、トップに近い位置で表示されます(笑)。

ページ数が多い&値段が高いという欠点はありますが、
図書館で借りればタダなので、皆さんも良かったら読んでみてください。
せっかく面白い作品なので。