著者はハーマン・ウォーク。評価は


時は第二次世界大戦中のアメリカ海軍。
戦艦ケイン号の無能で横暴な上司、クイーグのもと、次から次へとトラブルが巻き起こり、
ついに副官がクイーグを見限る。
軍事法廷が開かれ、副官が無罪を勝ち取る。

というのが、大まかなストーリーですが、ドラマチックな内容に感動もひとしおでした。


まず、序盤。クイーグ艦長がとにかくウザいんですよ。
ウザいんですが、どことなくユーモラスに描かれているため、そこまでストレスは溜まりません。
ここまでの僕の暫定評価はB+でした。

圧巻だったのは420/606ページ以降の軍法会議のシーンと、
その後のケイン号について。

まず軍法会議のシーンでは、今までの伏線(クイーグ艦長のいただけない行動)が、これでもかと再生され、不利と思われた法廷をドローにまで持ち込みます!
ここが、この小説一番の見せ場といえるでしょう。
ここまでの暫定はA。


僕は548/606ページからの最終章に特に感動しました。

この最終章では

・クイーグ艦長もまた、戦争の犠牲の一人だったということ。

・抜け目ないキーファのこと(善悪で単純に割り切れないキャラクター)。

・別れた元恋人との復縁。

などが描かれます。
僕は、恋愛モノが大好きなので、最後の恋人とのハッピーエンドは本当に感動しました。主人公のラブレターがとても情熱的ですし、ラストの彼女への説得シーンは本当にじーんときました。

また、本書では終戦を迎え、ケイン号を去る主人公の心情はあまり描かれていないのですが、
読んでいた私は、ケイン号との(そして、本書との)お別れが
何だか少し寂しいような、そんな気持ちになりました。


クイーグ艦長を始め、深みのあるキャラクターが織り成すドラマ。
ちょっと長いのですが、時間があれば、皆さんもぜひ読んでみてください。