著者はハーマン・ウォーク。評価はA。

ポーランド侵攻直前の、独ソ不可侵条約締結~真珠湾攻撃(というより、イタリア・ドイツの対アメリカ宣戦布告)まで、第二次世界大戦の前半を描ききった歴史小説。

歴史好きには必読の小説です。
世界史は大の得意だった私ですが、それでも第二次大戦を専門的に学習したわけではなかったので、
知らなかったことをたくさん知ることができました。
特に、ソ連の異様なまでの死傷者数、ソ連・フィンランド戦争、モスクワ防衛戦といった、ソ連関係の知識はほとんどなかったので、また一つ知識を増やせてよかったです。

圧倒的な歴史の魅力に比べ、物語としてはそれほどでもないので、
同著者の「ケイン号の叛乱」と違って、歴史が特に好きではない人は読む必要はないように思います。

とりあえず、ユダヤ人のジャストロウ一族の空気の読めなさは異常で、
「これでは、強制収容所入りもやむなし…」と感じてしまうほどの間抜けぶりに、
読んでいていらいらしてしまいました。
もちろん、何も悪いことをしていない、ただ状況判断ができずにむざむざ危険に飛び込んでいる無邪気な一族、というだけなんですけど、何もここまで間抜けキャラにしなくても…という。
あと、ローズベルトを除いて、チャーチル・ヒトラー・スターリンといった首脳たちの書き分けがあまりできていないように感じました。
この小説内だけでいうなら、ぶっちゃけ、みんな似てます。


続編に、「戦争と追憶」という作品があるらしいのですが、日本語に翻訳されていないので読めません。
この続編によりますと、ジャストロウ一族はどうもほんとに強制収容所に入ってしまい、アーロンは毒ガスで亡くなってしまうそうです……。
…だから早く逃げろとあれほど…(泣)。