2006年06月

ワールドカップ雑記―6月28日分―

オーストラリア各紙、誤審のカンタレーホを一斉に非難

気持ちはわかる。けど、オーストラリアってのも、ずいぶん身勝手といえば身勝手。
日本戦でも、駒野のPKはスルーで、日本の誤審ゴールだけ取り上げて「正義の勝利だ」とか言ってたし、
今回もマテラッツィの誤審退場についてはスルーなのな。


エクアドル帰国も、国民熱狂的に出迎え


負けた後の国民や新聞の反応って、各国それぞれで結構面白いんだよね。

スペイン代表まとめ

3勝→1位通過  VSフランス ×1-3

得点9 失点4 攻撃 A- 守備 B スペクタクル A- 総合 A-


万能の3センターを軸としたスペインの冒険は終わった。ザビ・エルナンデス、ザビ・アロンソ、セスクと技巧的な3人のレジスタを同時起用という、斬新なシステムは見所も多く、ウクライナ戦のようにはまった時の威力は絶大だった。
FW陣も大舞台デビューのビジャが3ゴール、今まで頼りないと言われてきたトーレスも3ゴールと素晴らしい成績を残し、ラウールも途中出場で1ゴールを決めるなど、完璧に近かった。

守備面も、フランス戦を迎えるまでは3試合で1失点と文句の無い数字。
大会のダークホースとして活躍が期待されていた。一方のフランスがここまでダメダメだったことも踏まえ、試合前はスペイン絶対有利だと思われていた。
だが、フランスは突如眠りから覚め、スペインは奈落の底に突き落とされた。


何が敗因なのか。アラゴネスの采配は悪くなかったはずだ。確かに3トップという選択ははずれだったが、同点の段階でホアキン、ルイス・ガルシアと2枚のサイドアタッカーを同時投入し、明確にチームの戦い方を変えた。この投入で新たな武器を得たスペインは、リズムを取り戻しかけたのだ。


何が敗因なのか。フランスが良すぎた、としか言いようが無いのか。軽率なプジョールのプレイのみに責任を求めていいのか。私にはわからない。


スペインはベスト8にいける実力を持っていた。それは確かだ。
だが、それはフランスを貶めるものではない。フランスもベスト8に相応しいチームだった。
結局、フランスが2位通過したのがスペインにとっての不運だったといえるのかもしれない。まぁ、スイス相手に絶対勝てたかと言われたらそれはそれで怪しいのだが。

スペインVSフランス

得点 (ス) ビジャ(PK)(パブロが倒される)
   (フ) リベリー(ビエイラ)、ビエイラ(ジダン)、ジダン

試合内容 A-


    スペイン            フランス

             1-3


GK  カシージャス(60)          バルテズ(75)
DF  セルヒオ・ラモス(65)        テュラム(30)
    プジョール(10)           アビダル(30)
    パブロ(55)             ギャラス(50)
    ペルニア(65)            サニョール(60)
    ザビ・エルナンデス(50)       マケレレ(65)
    セスク(50)             ビエイラ(80)
    ザビ・アロンソ(40)         リベリー(70)
    ラウール(40)            マルダ(60)
    ビジャ(55)             ジダン(80)
    フェルナンド・トーレス(45)     アンリ(55)

監督  アラゴネス B-          ドメネク B

ビジャ→ホアキン B+           マルダ→ゴブ C
ラウール→ルイス・ガルシア B       アンリ→ヴィルトール ?
ザビ・エルナンデス→セナ C

主審  ロゼッティ(イタリア) A-


MVP CHパトリック・ビエイラ(80)&OHジネディーヌ・ジダン(80)(フランス)


フランスが突如復活した。意図的に中盤からの鋭いワンタッチパスを多用し、スペインの守備陣をずたずたに切り裂いた。パスの基点は主にビエイラとジダンの二人で、リベリーとアンリが飛び出し役。時にビエイラ自らが飛び出すこともあった。

それにしても今大会のビエイラは絶好調だ。韓国戦の幻のゴールも彼だったし、トーゴ戦でもゴールを決めていた(と思った)。前線への果敢な飛び出しで、シャドーストライカーとなっている。それでいて本職の守備もしっかりとこなしているのだからものすごい。
カンビアッソと並んでこのポジションでは今大会のベストプレイヤーだと言える。


輝きを放ったのは、今大会限りで引退を表明したジダンも同様だ。3点目のゴールを見る限り、完全に体のキレも戻ったようだ。次のブラジル戦では新王者ロナウジーニョとの対決。前王者としてジダンが貫禄を見せられるか。
勝手な期待を言えば、フランスはここも勝ち抜いて、ぜひ決勝でアルゼンチンと当たってほしい。新世代の王者候補メッシーとジダンが同じピッチで試合をする姿が見たいのだ。


スペインは、ここまで素晴らしい戦いを見せてきた。それだけに、ベスト16で終わるのはいささか惜しい気がする。このチームはもっと上まで行く資格を持っていたからだ。
フランス戦では自慢の3センターが、ビエイラ・マケレレに押さえ込まれていた。ホアキン、ルイス・ガルシア同時投入という大胆采配で、試合の流れを引き戻したものの、今一歩及ばなかった。


Pickup Player

<スペイン>

CB カルロス・プジョール(10)……間違いなく、この試合の戦犯だ。特に2失点目。彼がアンリを倒したFKで、決められてしまうわけだが、あのファウルは全くの無駄だった。プジョールがファウルをしなくともスペインのDFは余っており、十分に対処できたからだ。
 3失点目ではあまりにも軽い守備でジダンにやすやすと抜き去られ、名DFの偶像は音を立てて崩れ落ちた。


SB セルヒオ・ラモス(65)&マリアーノ・ペルニア(65)……今大会を通じて、積極的なオーバーラップでスペインのサイドに君臨した二人。前者はスピード溢れるドリブル突破で、後者は精度の高いキックで相手チームを脅かし続けた。

 <フランス>

CH パトリック・ビエイラ(80)……まさに大黒柱。守備時には何者をも通さぬ盾となり、攻撃時には全てを貫く矛となる。フランス中盤の守護者にして、全知全能の魔人。


OH ジネディーヌ・ジダン(80)……マエストロ。今大会序盤は輝きを失っていたものの、突如復活。華麗なパス捌きにドリブル突破で、フランス攻撃陣の中心となった。来シーズン、彼のいなくなったサッカー界に寂しさを感じたら、この試合をもう一度観ようと思う。


GK ファビアン・バルテズ(75)……国民から総バッシングを受けていた守護神だが、この試合の活躍で“赦し”を得られるのではないだろうか。ここに来て復活したのはジダンばかりではない。98年優勝メンバーが次々と輝きを取り戻していく様子は、まさに奇跡だ。


DH クロード・マケレレ(65)……ビエイラが飛び出していけるのもこの男の働きがあってこそ。狡いプレーをやらせれば世界一で、この試合でも小さなファウルで大きなピンチを防いでいた。(……私はあまりこういうプレイは好きではないのだが)、彼の貢献はチームにとって極めて大きいと言える。


SH フランク・リベリー(70)……フランスのニュースターがとうとう爆発した。第1戦から小気味良い動きを見せていたものの、ゴールだけが足りなかった。この試合、鮮やかな飛び出しから値千金の同点ゴールを決め、フランスの新星は一気にスターダムへと躍り出る。3年前まで、彼がフランスの下部リーグでプレイしていたことが、私には信じられない。


CF ティエリ・アンリ(55)……この試合での彼はまるでインザーギのようだった。前線で怪しい動きを再三見せ、DFの脅威となっていたが、結局ボールはやってこなかった。最悪、トレゼゲにポジションを奪われる可能性も……?

ガーナ代表まとめ

2勝1敗→2位通過  VSブラジル ×0-3

得点4 失点6 攻撃 B+ 守備 D+ スペクタクル B+ 総合 C

初出場ながら、アフリカで唯一のベスト16進出。それもチェコを蹴落としての進出ということで、大会の驚きとなったガーナ。
特に印象に残ったのが、エッシェン、アッピアー、ムンタリの3センター。彼らのフィジカルの強さ、ボール奪取の能力、スピード、そして運動量には圧倒された。
一方、守備は脆く、再三に渡ってDFの裏をとられるシーンが目立った。


アフリカ特有の身体能力の高さを見せた反面、イマジネーション溢れる奔放さに欠けたのは残念な点だった。
予選リーグで敗退したコートジボアールが、依然としてアフリカ最強と言われるのも、ガーナにはそれが欠けていたから。
ストライカーも力不足で、ここにドログバがいれば、エトーがいればと何度思ったことか。ギャンは奮闘していたものの、大エースと呼ぶには決定力に欠けていたし、アモアーはほとんど存在感が無かった。


とは言え、今大会で培った経験は還元され更にガーナは強くなるはず。
アピアー(25歳)、ムンタリ(21歳)、エッシェン(23歳)と中心選手も若いだけに、4年後が今から楽しみである。


ブラジルVSガーナ

負傷者(ブ) CFロビーニョ

出場停止(ガ) CHエッシェン

得点(ブ)ロナウド(カカー)、アドリアーノ(ゼ・ロベルト)
ゼ・ロベルト

試合内容 B-


      ブラジル         ガーナ
            
             3-0

GK    ジーダ(85)          キングストン(80)
DF    カフー(65)          パッポエ(40)
      ルッシオ(60)         イリアス(40)
      ファン(60)          メンサー(45)
      ロベルト・カルロス(65)    ペイントシル(40)
      エメルソン(65)        アッピアー(55)
      ゼ・ロベルト(80)       エリック・アッド(40)
      カカー(75)          ドラマニ(60)
      ロナウジーニョ(65)      ムンタリ(50)
      ロナウド(70)       アモアー(55)
      アドリアーノ(55)       アサモア・ギャン(50)(


監督    パレイラ B-         ドゥイコビッチ C

 エメルソン→ジルベルト・シルバ(60)  アッド→ボアテング(C)
 アドリアーノ→ジュニーニョ(C)    アモアー→ペシエ・メンサー(?)
 カカー→リカルジーニョ(B)

主審   D+(スロバキア人)
MVP CH ゼ・ロベルト(80)(ブラジル)


やはり、ブラジルは強かった。中盤を完全に支配するような、カナリア色のサッカーは見せられなかったが、中盤底から繰り出されるショートカウンターの威力は本家イタリアも真っ青の鋭さを見せた。そのショートカウンターは主にゼ・ロベルトとカカー、2人のスルーパサーによって担われていた。
動きにキレが戻り、完全に復活したロナウドがゴールを決め、ブラジルが先制。ロナウドはこれでゲルト・ミュラーを超え、正真正銘ワールドカップ史上最強のフォワードとして名を残すこととなった。
その後はガーナが押し気味に進め、ブラジルは防戦に移る。惜しいチャンスを何度か作ったものの、GKジーダの神セーブ(偶然当たっただけとも思うが)もあり、なんとか無失点に抑えた。
攻めてはアドリアーノが痛恨の判断ミスを犯しチャンスを不意にするも、しぶとく守ってカウンターの流れは続く。ガーナDFのラインが浅すぎることもあり、2点目も同じような形からゴール。アドリアーノの位置は僅かにオフサイドだったもののゴールが認められ、ブラジルは前半終了間際に2-0とする。
誤審ではあったが、あれだけ似たような形から崩されまくっていては、失点もやむなしといえるだろう。
これで、事実上試合は決まった。


後半に入っても同じような流れが続き、最後にはゼ・ロベルトが3点目をフィニッシュ。
3-0の完勝でベスト8に進出するとともに、王国ブラジル復活を印象付け、優勝候補に再び名乗りをあげた。大会序盤調子が悪かったのも、おそらくは計算の範囲内。ブラジルは決勝に向けて、着実にコンディションを上げていく。


Pick up Player

<ガーナ>

GK キングストン(80)……決して技術の高いキーパーではないのだが、超人的な反射神経でガーナゴールを死守してきた守護神。どの試合でも相手に多くの決定機を与えたガーナ守備陣を支え続けた。

<ブラジル>

GK ジーダ(85)……前半終了間際、ガーナのヘディングを足に当てたセーブはまさに奇跡。その直後にブラジルの追加点が生まれ、ブラジルは安全圏に逃げ込んだものの、あのセーブが無ければブラジルはここまで楽に勝てたかどうか。

SB カフー(65)&ロベルト・カルロス(65)……チャンスと見るや果敢にオーバーラップを展開し、惜しいシュートを放つ。年齢を感じさせない上下動は、ブラジルに欠かせない。

CH ゼ・ロベルト(80)……ショートカウンターの基点であり、二列目から飛び出すフィニッシャーであり、守備にも気を回すバランサーでもある。ピッチを縦横無尽に駆け回り、ガーナを自由にさせない献身ぶりは脅威的。点数はジーダより5点少ないものの、MVPに選出した。


OH カカー(75)……初戦から絶好調を保っているブラジルの司令塔。卓越したドリブル技術で、ガーナ中盤のプレスを掻い潜り、ショートカウンターを司った。

CF ロナウド(70)……怪物は完全に復活した。勝負どころを逃さず、冷静沈着にゴールを決めるフィニッシャーは大会3得点目。前回に引き続いての得点王も狙える位置まで上がってきた。彼が得点を決め続ける限り、ブラジルは限りなく優勝に近い存在であり続けるだろう。周囲からの酷評も賞賛へと変わった今、彼を止めるものは何も無い。

CF アドリアーノ(55)……動きは徐々に戻ってきたが、焦りがあるのか、利己的なプレイに終始した。早めにロナウドにパスを出しておけばよいのに、自分で突破をしようとして失敗、シミュレーションを取られるなど、悪いときの流れからまだ抜け出せていない。もっとも調子が悪いながらも1ゴールを決めたのは立派か。

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