2006年10月

私信―web拍手レス―

Web拍手で丁寧なコメントを寄せてくれた方がいらしたので、
それに対するレスをしたいと思います。
私信みたいなものなので、本記事は他の方が見てもよくわからないかもしれません。
ごめんなさい。


>>10月29日23時14分~19分の方へ

まずは、わざわざコメントをいただき本当にありがとうございます。
うちのページはほとんど誰からもコメントをいただけないので、
反応があると言うのはとても嬉しいです。

保坂さんの本は……合いませんでしたね~。
私が小説を読むときに興味を抱くのは、大抵人間に関することなわけで、
例えばこの本ならば、
「”見覚えのある”ナッちゃんと中野の因縁は? 中野はナッちゃんとどういう関係を築いていくのか」
「*美紗ちゃんと木村君の関係の進展は?」
「蛯乃木さんとか二階堂さんという、物語の根幹を為す『4人組+ナッちゃん親子』以外の人物を、登場させる”作者の意図”は?」
といったあたりに興味を置いていました。

ですが、この3つについてはほとんど触れられることはありませんでした。
特にナッちゃんと中野の関係については、不満だったりします
(美紗ちゃんと木村君に関しては、恋愛小説じゃないんだから期待するのは無謀)。
そして、筋のはっきりした物語が嫌いなら、蛯乃木や二階堂が”風景”のようになってしまうのも、
無理も無いのかもしれません。

後は子供への観察眼とか(クゥちゃんがかわいすぎです)、
「”自意識”の意味」といった大人たちの議論部はそれなりに楽しく読めました。


そんな感じで、正直あまり風景描写というのは気にしなかったりします
(この前に読んだ江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」は、珍しく風景描写を楽しめた作品でした)。
ですが、風景描写にチャレンジしたのだったらもっと、そこの部分に注目した方が良かったですね。


私の求めるものと、保坂さんが書きたいことの方向性が
完全にズレてしまっているわけで、結局合わなかったんだろうなぁと
思っていたりします。


最後に、繰り返しになりますが、コメントを寄せていただいてありがとうございました。
また何かありましたら、よろしくお願いします。





*読み返して気づいたのですが、美紗ちゃんなのですね。
ずっと美沙ちゃんと書いていました。とりあえず、直してきます。

保坂和志著 季節の記憶

評価はC-。要約のような要約でない記事は前記事参照。


とにかく、なーーーんも起こらない小説である。
ギャルゲーなんかで、何にも起こらないまったりゲーと言われるゲームがあるが、
この小説はそれ以上に本当に何にも起こらない。
主人公たちが、ひたすら代わり映えのしない日常を生きる物語なのである。


育児日記的側面を持つ物語であり、確かに子供への観察眼はなかなか鋭いと思うし、
クゥちゃんという子供キャラはなかなかにかわいらしい。
夜な夜な交わされる問答には、一部新鮮な部分もあり、たまに「おっ」とは思わせる。
風景はごく詳細に描かれており、こだわりを感じさせる。


小説修行の参考にしようと思って読んだんだけど、こりゃ全く参考にならないです。
だって何にも起こらないんですもん。

小説修行とは関係なく、一読者としてこれは眠い。
……つーか、徹底的に求めるモノが違ったといった方が正しいかも。
それなりに人気のある作家さんだし。
下手だとは思わなかったが、面白いともついぞ思わなかった。

季節の記憶 要約

正直、要約とはこれは言えないと思う。要約に失敗した残骸と言うべきか。
とりあえず晒す。ネタバレっちゃネタバレだけど、何も起こらないのでネタバレかどうかも不明。
再挑戦してもう少し巧くいったら書き直すかも。



鎌倉の稲村ヶ崎は、山と海に囲まれた大自然溢れる田舎である。主人公の中野と五歳の息子“クイちゃん”は、この稲村ヶ崎に引っ越してきて以来、近所の松井さんと年の離れた妹、美紗ちゃんの二人と家族同然の付き合いを続けている。

松井さんは便利屋を生業としていてそれなりに忙しいのだが、妹の美紗ちゃんは便利屋の手伝い、中野はかなり時間のとれる職業(コンビニ本の企画・編集)に就いている為、クイちゃんも入れての朝の散歩はほぼ日課のようになっている。夜は松井さんの家に押しかけて、酒を呑んだり取り止めのないおしゃべりをしたり。そんな時間が緩やかに流れている。

クイちゃんは好奇心旺盛で、『時間はどのくらい大きなものなのか?』とか、『時計を見ないでいる間は時間は流れないのか』、
『紙を見えないくらいにまで千切っていったら、紙は無くなってしまうのか』といった、難しい質問を中野にぶつけてくる。そんなクイちゃんが、中野には可愛くて仕方が無いのである。

クイちゃんのお気に入りは、宇宙の本とミュータントタートルズ、散歩コースにあるお化け屋敷などである。

美紗ちゃんはさばさばした性格で、クイちゃんの面倒を楽しんで見てくれる女性である。歳の離れた兄とも仲が良く、一種社交性に乏しい中野や松井さんに比べ、人当たりが良い。松井さんは容貌魁偉な大男で、何でもそつなくこなす才能があって便利屋という職に就いている。

中野は奥さんと離婚して稲村ヶ崎に移った男で、クイちゃんを溺愛している。教育方針として、保育園に預けず文字を教えていない。クイちゃんは近所のやんちゃ小僧として有名で、いろんな大人たちから可愛がられている。

この物語は主にこの四人の日々の暮らし、とりわけクゥちゃんの育児日記的性格を持った物語である。

ある日、ナッちゃんという子連れのバツイチ女性が引っ越してくる。ナッちゃんは七年ぶりに故郷に帰ってきた出戻りで、美沙ちゃんや松井さんとは旧知の仲である。中野はナッちゃんの自己完結的な性格、何事にも決め付けてかかる癖に反感を覚える。血液型がAだから几帳面、Bだから変わり者といった、非科学的なレッテル貼りが中野の神経に障るのだ。

ナっちゃん以外にも、何人かの人物がこの小説には登場する。愉快な電話をかけてくる変人蛯乃木や、最近恋人のタツヤに振られてしまったゲイの二階堂、美沙ちゃんの奇妙な腐れ縁、木村君などである。

さて、ナっちゃんとはあまり巧くいかない中野であるが、中野の息子クゥちゃんと、ナっちゃんの娘で同じく五歳のつぼみちゃんは、大の仲良しとなる。人見知りが強いつぼみちゃんは、美沙ちゃんとクゥちゃんが優しく話しかけることで、打ち解けることが出来たのである。

だが、そのつぼみちゃんの投じた小さな小石が、ちょっとした波紋を呼び起こす。ある日、つぼみちゃんとクゥちゃんが喧嘩した折、つぼみちゃんに「文字が読めない」と言われたクゥちゃんが、文字を覚えようと考え始めるのである。今まで、本は中野か美沙ちゃんに読んでもらっていたし、文字を読み書きする必要性は無く、クゥちゃんも文字に対して興味が無かったのである。一方の中野も、小さい頃は文字に縛られない世界に生きて欲しいと願っていた為、積極的に文字を教えようとはしていなかったのだ。

宇宙の本を使って、文字を覚え始めるクゥちゃん。だが、興味のあるページに関して、クゥちゃんは暗唱出来るほどに内容を記憶しており、興味の無いページはすぐに飽きてしまう為、結局クゥちゃんの文字覚えは三日坊主に終わる。気がつけば、クゥちゃんとつぼみちゃんは仲直りを済ませており、二人でおままごとをしたりして楽しく遊んでいるのだった。

三次元や四次元、因果関係や迷信などについて、夜な夜な飽きもせずに論じ続ける中野と松井さん、時折意見を挟む美紗ちゃんと、枕を相手に格闘したりレゴを作ったり、たまに興味のある単語を聞きつけるとやってくるクゥちゃん。

大人の世界と子供の世界。大人が思いもよらないことまで理解していたり、鋭い観察眼を見せたりと、瑞々しい感性を振りまくクゥちゃんを中心にした、四人の関係はまだ当分続いていくはずである。

だが、季節が緩やかに移り変わるように、ある日突然にそんな季節も終わりを告げてしまうかもしれない。いつも鳥に餌をやっていたホームレスのおじさんが、いつの間にか姿を現さなくなってしまったように。例えば美紗ちゃんが結婚をしたら。

例えばクゥちゃんが成長し中学生くらいになったら。今ままの関係ではいられなくなってしまうだろう。

ふとした瞬間、懐かしくも優しい気持ちを持って思い出す、そんなかけがえのない季節を生きていくのだ。

ミラノダービー試合感想

今シーズン今まで見た中では最高の試合だった。
『つまらないセリエA』というのは、固定観念ではなく実際つまらない試合が
非常に多いのだけれど、
この試合のように魂の名勝負もあるということか。


試合内容は。4-3でインテルの勝利だ。

序盤、ミランの4-3-2-1(クリスマス・ツリーシステム)が全く機能せず、
インテルが圧倒的に試合を支配。前半が終わった段階(インテルの2-0)でインテルの勝利は
ほぼ間違いないと思われた。

後半、ミランはいきなりの3人交代で、スクランブル体制に入る。
そして、後半半ばの2つのプレーが試合の流れをがらりと変えた。
一つ目はガットゥーゾのラフプレイでビエイラが負傷したこと(ガットゥーゾにはお咎めなし)、
二つ目はマテラッツィのゴール(インテル4-1)と、ユニフォームを上げたことによる退場。

これで、形成が逆転。3点差になったとは言え、怒涛の猛反撃を開始したミランは、
前半の冴えないミランとは別のチームのようになっていた。

これに輪をかけたのがインテル、マンチーニ監督の采配ミス。
負傷で動けないビエイラをピッチに残すという自殺的な采配により、
インテルは実質9人で戦う羽目に。
交代枠は残っていたのに、何故交代させなかったのか、恐らくマンチーニ以外の誰にもわからない奇怪な采配である。

ミランの勢いは留まるところを知らず、インテルGKジュリオ・セーザルの
数え切れないファインセーブがあったにも関わらず、
試合終了5分前のスコアは4-3。1点差にまで迫られていた。
結局インテルが逃げ切ることになるのだが、最後の最後まで全く予断を許さない展開であった。


インテルのMVPは、GKのジュリオ・セーザルだろう。ファインセーブを超えた神がかり的なセーブも1つ見せた。まさに目を疑うような奇跡だった。
また、キャプテン・サネッティの今シーズンの充実振りには目を奪われる。
今夏のワールドカップには、不思議なことに召集されなかったアルゼンチンのサイドバックは、
今もって世界最高クラスの選手であることを証明し続けている。
ドリブルのキレはロッベンにも劣らない。

ミラン側は……後半はみんな良かったからなぁ。長いスランプを抜けつつある
ジラルディーノ、いぶし銀のセードルフ、大ベテランのマルディーニ、
ダーティーな野獣ガットゥーゾが特に印象に残った。
特にガットゥーゾは、インテルの野蛮人マテラッツィとイブラヒモビッチ
二人に威圧感で勝っていた。

ミラノダービーとセリエA雑感

ミラノダービーは息詰まる熱戦だった。
両チーム、とりわけインテルの破壊力には驚かされた。
ピッチ上でこれだけレベルの高いサッカーを見せられる、両チームなのだけれど
悲しいかな、ピッチを取り巻く周囲は四流というのが今のセリエAである。

先ごろ、三度目の減刑が下された。
八百長したチームがいけしゃあしゃあと「私たちは無実だ」と訴え、
ジダンを先に挑発したマテラッツィは、「ジダンが謝りに来るのを待つ」と言いながら、
頭突きの暴露本を発表するといった具合に、イタリアという国はその品性の無さを
世界中に発信している。
2006年、世界王者のイタリア。文句のつけ所の無い世界最強国の現状だ。


そのマテラッツィといえば、この試合での退場はカードの基準を改めて考えさせられる出来事であった。
ラフプレイでビエイラを負傷に追いやったガットゥーゾのファウルは、
明らかに故意であったがお咎めは無かった。
その直後、ゴールを決めたマテラッツィはユニフォームを捲り上げ、
下のTシャツを見せた。何かのメッセージが書かれたそのシャツ
―それは政治的な主張かもしれないし、愛する娘の誕生日を祝うメッセージかもしれない―を見せた。これが原因で、イエローカード。マテラッツィは前半にも1枚イエローを受けていたので退場となった。


ユニフォームを脱いで裸になるとカード。非紳士的行為という分類である。
ゴールを決めた時くらい好きにさせてやれよとも思うが、まぁ見苦しいっちゃ見苦しい場合もあるし、
まさかイケメン選手だけお咎めなしというわけにもいかないので、仕方ない……?

さて、今回のマテラッツィは裸ではない。下にシャツを着ていたのだ。
見苦しくもなんとも無い。
では何故イエローなのか。
それは、スポンサーであるユニフォームメーカーのロゴを見えなくする行為、がイエローなのである。
ゴールを決めて脚光を浴びたその瞬間にロゴが見えないと困るというのだ。
これで、レッドカード。
相手を負傷させる不正はお咎め無しで、こんな試合とは関係ないマーケティング上のことでイエローカード。

もちろん、それをど忘れして大事な試合ではしゃいでしまったマテラッツィにも問題はあるが、試合の興を殺いだのは間違いなく、
選手の健康よりもスポンサーの都合を重視するこの判定であった。


私はマテラッツィは昔っから(5年くらい前から)大嫌いなのだが、
今回はさすがにちょっとかわいそうだと思った。

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