著者は小野不由美。シリーズ通しての評価は S。
掛け値なしの名作でした。
元々、十二国記シリーズが好きで、小野不由美さんのファンになったのですが、
屍鬼は「とてつもない長さ」(2500ページ超)と、「タイトルがグロっぽい」(私はグロ苦手)なため、
敬遠しておりました。
しかし、4人もの方から「屍鬼お勧めだよ!」という勧めをいただいて、改めて興味を持ち、いざ読んでみました。
読んでよかったです。お勧めくださった皆さん、ありがとうございました!
1巻の最初の200ページくらいまでは微妙だったんですが、そこを乗り切ると本当に面白くて、かなりのスピードで読んでしまいました。
3巻くらいでまたちょっと中だるみするんですが、5巻の勢いは圧巻でした。
1~3巻くらいまでは、「人間側」の事情しか書かれないので、屍鬼にどうやって対抗すればいいんだろう……と思いながら、つまり人間側の気持ちで読んでいました。
ただ、それでも屍鬼自体よりも、むしろ結城とか、「自分が病院嫌いだから家族が病気でも病院に行かせない」姑とか、
そういう人間にいらついていましたけどね(笑)。
迷信を信じないのはいいとして、息子を思って子供が集めてきた破魔矢を捨てたとか、どんだけ救えないのかと。
5巻の方になるとむしろ、人間側よりも屍鬼側の方に同情的に描かれているせいもあって、
屍鬼の方に感情移入して読んでしまいました。
屍鬼自体も「人間」であることを考えると、本当に人間の心の「きれいな部分」と「醜い部分」が印象深く描かれた作品だったと思います。
「きれい」3:「醜い」7くらいの比率でしたが。
「悪いことはなかったことにしよう」という思考は、
小説として客観的に見ると、本当に滑稽で愚鈍に見えます。
しかし、実際自分の身に置き換えてみると私自身もそういう行動を結構しているので、身につまされた思いがしました。
人物描写の特徴として、「息子が息子なら親も親」という一家が結構多かった気がします。
武藤さんや田中さんのところみたいに、良い感じの親のところには良い感じの子供。清水さんや大川さんみたいにDQN色の強い子供がいるところは親もDQNだったり。
それとは別に、「姑・母」キャラに痛いキャラが多かった気がします。
好きなキャラは、沙子、かおり、敏夫、夏野、静信など(静信は、4巻あたりではあんまり好きじゃなかったんですが、最後に来て株が上がりました)。
沙子は、屍鬼の村を作るという思いつき自体、非常に稚拙で「バカ」ですし、そんな沙子の思いつきが外場という村を滅ぼしたわけですが、
屍鬼の村を作りたいという気持ち自体にはすごく共感できました。
ある意味、一番かわいそうに感じたキャラクターだったかもしれません。
嫌いなキャラは……たくさんいすぎて(笑)。
唯一の欠点は、読後感があまりよくないことでしょうか。
救いようのないバッドエンドなのは、初めからわかってはいたんですが……。
とにかく、人間の醜い部分を、これでもかと見せられますからね……。
掛け値なしの名作でした。
元々、十二国記シリーズが好きで、小野不由美さんのファンになったのですが、
屍鬼は「とてつもない長さ」(2500ページ超)と、「タイトルがグロっぽい」(私はグロ苦手)なため、
敬遠しておりました。
しかし、4人もの方から「屍鬼お勧めだよ!」という勧めをいただいて、改めて興味を持ち、いざ読んでみました。
読んでよかったです。お勧めくださった皆さん、ありがとうございました!
1巻の最初の200ページくらいまでは微妙だったんですが、そこを乗り切ると本当に面白くて、かなりのスピードで読んでしまいました。
3巻くらいでまたちょっと中だるみするんですが、5巻の勢いは圧巻でした。
1~3巻くらいまでは、「人間側」の事情しか書かれないので、屍鬼にどうやって対抗すればいいんだろう……と思いながら、つまり人間側の気持ちで読んでいました。
ただ、それでも屍鬼自体よりも、むしろ結城とか、「自分が病院嫌いだから家族が病気でも病院に行かせない」姑とか、
そういう人間にいらついていましたけどね(笑)。
迷信を信じないのはいいとして、息子を思って子供が集めてきた破魔矢を捨てたとか、どんだけ救えないのかと。
5巻の方になるとむしろ、人間側よりも屍鬼側の方に同情的に描かれているせいもあって、
屍鬼の方に感情移入して読んでしまいました。
屍鬼自体も「人間」であることを考えると、本当に人間の心の「きれいな部分」と「醜い部分」が印象深く描かれた作品だったと思います。
「きれい」3:「醜い」7くらいの比率でしたが。
「悪いことはなかったことにしよう」という思考は、
小説として客観的に見ると、本当に滑稽で愚鈍に見えます。
しかし、実際自分の身に置き換えてみると私自身もそういう行動を結構しているので、身につまされた思いがしました。
人物描写の特徴として、「息子が息子なら親も親」という一家が結構多かった気がします。
武藤さんや田中さんのところみたいに、良い感じの親のところには良い感じの子供。清水さんや大川さんみたいにDQN色の強い子供がいるところは親もDQNだったり。
それとは別に、「姑・母」キャラに痛いキャラが多かった気がします。
好きなキャラは、沙子、かおり、敏夫、夏野、静信など(静信は、4巻あたりではあんまり好きじゃなかったんですが、最後に来て株が上がりました)。
沙子は、屍鬼の村を作るという思いつき自体、非常に稚拙で「バカ」ですし、そんな沙子の思いつきが外場という村を滅ぼしたわけですが、
屍鬼の村を作りたいという気持ち自体にはすごく共感できました。
ある意味、一番かわいそうに感じたキャラクターだったかもしれません。
嫌いなキャラは……たくさんいすぎて(笑)。
唯一の欠点は、読後感があまりよくないことでしょうか。
救いようのないバッドエンドなのは、初めからわかってはいたんですが……。
とにかく、人間の醜い部分を、これでもかと見せられますからね……。