2009年05月

マリア様がみてる25巻~

☆大きな扉、小さな鍵 評価 B

まーだ、決着がつかねーのかよー
と思ったのは私だけではないはず。
「スールオーディション」から数えて6冊目。
いいかげん、瞳子問題だけで引っ張り続けるのは辛いんじゃないでしょうか。
柏木さんが祐巳を好きだったとかいう初耳情報はありましたが(いつからだよ!?)。

後、乃梨子はがんばった。

☆クリスクロス 評価 B+

カード探し騒動が、前回以上にわくわくさせられるものに仕上がっていたので
高評価。
にしても、志摩子さんのカードの探し場所わからない…。
ファンレター読者の60~70%が合ってたらしいのに(苦笑)

☆あなたを探して 評価 A-

新・ファーストデートトライアングル。
前巻の「新・ウァレンティーヌス」もでしたが、去年と同じイベントにも関わらず、楽しんで読むことができました。
紅薔薇さんのところは、仲直りの瞳子・祐巳。
黄薔薇さんのところは、ちさと―由乃が意外にも楽しいデートを展開。
白薔薇さんのところは、アイドル好きの初々しいファンのお話でこれもなかなか。

個人的には、特に大きな問題が起こらずとも、活き活きとした学園生活が描かれていた方が楽しいなぁ、なんて思っています。

☆フレームオブマインド 評価 A+

懐が深いなぁというのが、マリみて短編集を読んでの印象。
「リリアン女学園」という舞台は、
蓉子―祥子―祐巳―瞳子……というように、もう何十年も前から代々受け継がれてきた、確立された世界。
そんな世界には、もちろん山百合会のように注目を浴びる人々以外にも、
さまざまな生徒たちがいる。
平凡な女子高生たちにも、何かしらドラマはある。
そんなドラマを集めたお話。

「四月のデジャブ」「三つ葉のクローバー」「枯れ木に芽吹き」「温室の妖精」「ドッペルかいだん」と、5つもお気に入りの短編が入っていて
とても満足しました。

ただ、本末転倒なことを言うと、最近の本編よりも短編集のほうが数段面白い
のですが(笑)。

☆薔薇の花かんむり 評価 B+

ようやく決着がついた。この一言に尽きるのではないでしょうか。
いやー長かった。
…それ以外感想が出てこないのだけれど、面白かったですよ。


☆きらきらまわる 評価 A

あまりに自己中な由乃さんにドン引き……は、今に始まったことじゃないか(笑)。
とにかく楽しい遊園地デート。瞳子合流後のラスト10ページの締めも秀逸で、
余韻を感じたまま読み終えることができました。

シリアスなマリみても嫌いじゃないんですけど(「いばらの森」とかを高評価してる時点でわかっていただけると思う)、こういうライトなマリみても大好きです。

☆マーガレットにリボン 評価 B

「青い傘」のお話は好きだったけど、別にマリみてでやらなくてもいい話ではあったしなぁ。

☆卒業前小景 評価 B+

A-にしようか迷ったけど、シリーズファンのため甘口評価になるのを恐れてB+に。

前半のエピソードは面白いものが多く、「支えとスキンシップ」はその頂点(A評価)。
大変おいしゅうございました。

その後、尻すぼみでそれほどでもないエピソードが続いたのですが、
ラストシーン、リボンで結ばれる祐巳と祥子様はとても綺麗で、印象的。
ラストシーン抜きならB+確定だったのですが、ラストシーン4ページの描写のために、A-に格上げをしようか迷いました。
結局B+のままにしておきましたけれども。

しかし、いよいよ次は最終巻なんですね……。
なんだかとても寂しい気がします。


☆ハローグッバイ 評価 B

同じく卒業を舞台にした「いとしき歳月(後)」に比べると、良くも悪くも全くしんみりしませんでした。
それが良いのか悪いのかは、好き好きだとは思いますが、なんかあっさりしすぎて拍子抜けというのが
率直なところです。

楢山節考 読了

著者は深沢七郎 評価は B+。

描写力にまず驚いた。このリアルさは凄い。
完全に、一つの舞台、世界観(村)を作り上げている。

作品のインプレッションは、
たとえて言うなら悲惨なニュースみたいなもの。
繰り返してみたくないし、嫌な気持ちになるけど、
知らないで済ませるわけにもいかないから、必要性は認めるみたいな。


日本の貧困集落を舞台にした姥捨ての物語。
物質的に貧しいだけじゃなく、人の心まで貧しくて地獄のような集落ですね……。
辰平と玉やんはいいとして、後のキャラはみんな嫌いだ…。
聖母と絶賛されてるおりんだって、ある種の潔さは認めるものの、
パーソナリティとしては凡俗にしか思えない。
むしろ、死を厭った銭屋のオヤジは、もちろん困ったちゃんではあるんだろうけど、「死ぬのが当たり前」の村社会にあっては、なんぼかまともに感じる。



他人とちょっと違うってだけで、その人を馬鹿にして面白がる人々。
馬鹿にされないために、せっかく健康な歯を持っているのにわざわざ叩き割らなきゃいけないような、
そういう空間。

なぜ健康な歯が悪いかっていうと、「貧しい=食料が少ない→健康な歯(食料をバクバクかじれそう)」という、
全く根拠がなく、くだらない誹謗中傷だったりする。

他にも、姥捨てで殺されるのを嫌がっているお爺さんを、自分も捨てられるお婆さんが、わざわざ『ご親切に』
「おまえさん、情けないぞ」とご忠告あそばしたりもする。


ここからは脱線なんだけど、

元々、人間というのは「他人に迷惑をなるべくかけない」という条件範囲の中で、
「自分が快いと感じる生き方」をすればいいと思っているので、
それ以上のことをあれこれ言われる筋合いもなければ、口を出す権利もないと思ってます。


もちろん、「他人を喜ばせてあげよう」という行為はあればあるほどいいけれど、それが枷になるのは本末転倒。
これが、特に社会的慣習になったりすると、枷になることの方が多かったりするけれどもね。
プレゼントをあげたら喜ばれるのはいいけれど、あげないだけで怒られるとかね。


「悪」なんてのも結局、「迷惑をかける」行為をそう定義しているだけで、
「正義」なんて「悪・もしくは悪を攻撃する」ための口実(得てして悪用されやすい)に過ぎないと、
半ば本気で思っていたりする人間なので、
こういう集落に行ったら、気が狂っちゃうかもしれませんな。


ここまでしないと生きられない集落なんだろうけど、
その割に仲間同士で助け合ったりとかもしているように見えないし
(どこの家にもそんな余力はないってことだと思うけどね)、
わざわざ他人を馬鹿にする歌を作ったりもするし、やっぱ嫌だわ、こんな村。


そんなわけで、嫌悪感も凄かったけど、圧倒的なまでにリアルさを感じさせる描写と、問題意識の必要性を考えるに、低評価はくだせない。
文章、巧いし読みやすい。
いい気分にはならないけど、こういうのも一度読んでおいたほうがいいと思う。

異邦人 読了

著者はアルベール・カミュ。評価は A+。


面白かった…というか、興味深い作品。
ムルソー視点でストレスためながら、ムカつきながら読んでいたから面白いというのは違うかもしれないが、
ページを繰る指が止まらなかったのだから、やっぱり面白かったといっていいんだろう。


↓は感想・解説だけど、書いているうちにどんどん新しい考えが浮かんできて、それを書き留めていったら、流れがかなりおかしくなりました。
感想書き直すのも面倒なので(ひょっとしたら書き直すかもだけど、あまり期待しないで)、追記含めて、最後まで全部読んでみてください。


考察1:『太陽のせい、は言い訳』説


「人間は、自分の理解できないものを『自分に理解できる形に歪めてまで理解しようとし』、
それでも理解できないと排除する」というお話のように感じた。


「太陽のせい」というというフレーズばかりが一人歩きしている気がするが、
これは要するに、ムルソーが『説明不能なものを、無理やり説明しようとした』だけで
そういう要求があったからこそ出てきた説明だった。


世の中には、説明しようと思ってもうまく説明できないことなんてたくさんあるし、
誰からも理解してもらえないことが、本当の『理由』だったりもするものだ。
けれど、ここに出てくる胸糞の悪い裁判のシーンや司祭のように、
「自分の頭・感性で理解できないものを、自分にとって理解可能な物語に歪めようとする」人間というのは、
世の中にわんさかいる。


ムルソーはどこまで『社会に迎合する気があるのか』については、再読してみる価値があるかもしれないといったところか。


実際、ムルソーは人を殺しているわけだから有罪なことは確かなんだけどね。
母の死を悲しんだのか?とか
翌日に喜劇を見に行ったかどうかとか、
神様を信じているのか?とか、
そんなことで罪の重さを決めようとしている人々の描写が、
本当に腹立たしかったです。


他人は他人、自分は自分。
いちいち干渉してくんなや、うっとうしい! と、司祭にぶちきれるシーンがわかりやすい形での、クライマックスなのかな。


何というか、私はムルソーと違って「なるべく演技しよう」とは思っていますが、
元々変わり者と評される上に、嘘をつくことにとても抵抗がある人間なので、
ムルソーの抱いたであろう感覚は、とてもよくわかる『気がする』のです。


よくわかります、とは書きません。そういう「自分の理解できる物語に意味を歪めて、わかった振りをする」のは、この小説の意味内容に反しますので。


感想2;「太陽のせい、は事実説」

『人を殺すこと』と『人を殴ること』、あるいは『人を愛すること(本当は、「愛」なんて抽象的な単語はここでは使ってはいけないはずなんですが』。

これらは、要するに『行為』であり、『行為』でしかない。
ここに意味を付け加え、物語に仕立て上げるのが人間だ。
「太陽のせいで殺した」とは、「太陽のせいで殺した」という事実を述べただけに過ぎず、それが他の人間にとってわかりやすい理由かどうかなどというのは、
物事の本質とは関係ないのだ。

というお話、かもしれない。


考察1よりもよりいっそう、考察2のほうが「感情」を廃し、物事をリアリスティックに捉えた見方になっている。
ムルソーに自分を重ねながら読んで浮かんできたのが、考察1の「言い訳説」なんだけど、本を閉じてしばらくして浮かんできたのが考察2だ。

付け加えるなら考察1のムルソー像は「深く考えているようで、感情のまま行動する矛盾を秘めた、人間味溢れるキャラクター。しかし多くの人間からは理解されない」であり、この線でいくと「ヒューマン小説」のようになる。


考察2のムルソー像は「感情を排し、物事を客観的に捉える観察者。非人間的で冷静な人間」である。
この線でいくと、より観念的な小説になる。


女性との結婚に関しての言及も考察2を裏付けているように感じるし、(考察1でも、普段の彼はこうだ。というふうに考えることは十分可能だが)
母親の死とその翌日の行動についてもこの考察2のほうに近いかもしれない。
ただ、司祭に食って掛かったのは考察1を後押しするし、個人的には考察1
のムルソーのほうが好きなんだよな。

考察2のムルソーだと、怖いし。(好き嫌いで決めるなよという突っ込みはあり)。


そんなわけで、ムルソーとは何者かという謎が、「太陽のせい」という1つの台詞に象徴的にあらわされているわけですな。


ちなみに、今日は卒業検定。なぜ寝ないでこの本を読んでいたのか?と聞かれたら、「だって面白かったんだもん」としか言いようがない。
冷静に考えたら「卒検を受けて、帰ってきてから読めばいい」のに、
実際には「わざわざ夜中にこれを読んで、興奮して眠れなくなって、卒検に支障をきたす」のは馬鹿なわけだけど。

じゃあ何でそれがわかっていて読んだのですか?と聞かれて、
考察1のムルソー君なら「夜風と雨の香りのせい」と答えるだろうなぁ。
考察2のムルソー君だと、どう答えるかは難しいところだけれど。

指輪物語「旅の仲間」読了

著者はトールキン。評価は…難しいけど、C+で。

実は、これと並行して映画も見た。映画の評価はA-。


まず小説なんだけど、2巻が終わるまで(『旅の仲間』のちょうど半分)は
かなり退屈で、何度も挫折しかけた。
3巻、エルロンドの館からは、魅力的なキャラクター(レゴラス・ギムリ・ボロミア)の参戦もあって、
そこそこ楽しみながら読めた。
2巻までが一つの山と言えるんじゃないかと思う。


で、映画。
これも以前見たんだけど、そのときはあんまりピンと来なかった。
ところが、原作を読んですぐそのシーンを映像で見ると、
かなり忠実な上にとても美しく、感動的だった。
こんなにいい話だったのか!と。
原作を読んだからこそ楽しめる映画なのかなぁとも思う。


そんなわけで、小説の評価はC+だから評価は高くないんだけど、
それとは別に「ファンタジー好き・RPGゲーマーの必須読本」としても、読んで損はないと思うし、
映画を楽しむためにも、やっぱり読んでおいた方が良いんじゃないかなと思った。
序盤、しんどいけどね。

後は、地図を見ながら読むこと。で、キャラクターのたどった道を、
地図上に書いたりしても面白い。今どこを歩いてるんだなとか、わかるから。

指輪物語に挑戦中

過去に挫折した、「指輪物語」に再チャレンジです。
映画「ロードオブザリング」は見ました。

同作者の「ホビットの冒険」は子供のころ好きだっただけに、
なんで「指輪物語」がこんなに辛いのかよくわかりません。

現在第1巻。
まず始めに、えっらく退屈な資料を読まされます。
次にホビット庄での生活が描かれますが、ここは面白いです。
世界を闇が徐々に覆っているという切迫感と、でももう少しだけここにいさせて……
というこのモラトリアム感が、何とも言えません。
ところが、旅に出始めるとまた急に退屈になってしまうのです。

冒険モノなのに、村にいるときは楽しくて旅に出始めた途端に退屈になるとはこれいかに?
(ちなみに、多くの方は逆で、旅に出るまでが退屈と感じる人が多いようです。なんでだー、ホビット庄のどかだし、楽しいキャラも多いし良いじゃないかぁ。俺はずっとホビット庄で楽しく暮らしたいんだぁ!)


参った…今回は覚悟を決めての再チャレンジなのですが、
また挫折してしまいそうです。
よほど退屈になったら、映画版を借りて映画版と一緒に見ていこうかなとも思っています。

今日と明日の2日間はお休みなので、「二つの塔」の真ん中くらいまでいけたらいいと思っていましたが、
今日1日も半分以上を過ぎたときにまだ「旅の仲間」が5分の1しか終わっていなかったりします。

1巻 評価 C-

5/27 PM20:00

2巻まで終了。辛い…「アンナカレーニナ」以来の辛さを味わっております。

2巻 評価 D+

5/28 AM9:00

3巻終了。エルロンドの館到着後、ようやく面白くなってきました。
ここまで耐えれば、後はなんとかなりそうな予感がします。

3巻 評価 C+
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