2009年07月

ガリバー旅行記 感想

著者はスウィフト。評価は 


子供向きの本かと思っていましたが、全然違いました。
特に3章と4章は絶品。


ラノベの「キノの旅」に雰囲気が似ていますが(てか、キノがガリバーに似てる)、『深さ』は段違いです。
そんなわけで、「キノ」が好きな人にはとりあえずお勧め。


異文化交流、人間社会の諷刺といった内容で、ギャグもたっぷり。
3章のバルニバービ渡航記では、何度も爆笑してしまいました。


2章の巨人の国もですが、中でも考えさせられるのは4章のフウイヌム渡航記。
人間の悪徳・醜悪な様子がこれでもかと描写されます。
そして、そのどれもがいちいち納得してしまうものばかり。


今までそういうことをまったく考えたことがなくて、影響を受けやすい人がこの本を読んだら、人間嫌いになっちゃうんじゃないか??と、
ちょっと心配してしまったりもします。

私は元々、人間については懐疑的なので(ガリバーほど嫌悪感は持っていませんが)、
大して変わりませんけどね(笑)。


巨人の国の「火薬とか兵器とか、そんなものがなんで必要なんだ?」という問いかけも、グサっとくるものがありますね。
この本が書かれたのは300年も前だというのに……人間はますます愚かになっていく一方のようです。


ラストの、ガリバーの様子も、
人間社会を基準に考えれば、「狂ってしまった」ようにしか見えませんけれども、
ガリバーからすれば「人間社会の方が狂っている」わけで。

たまたま前に読んだ本が「ドンキホーテ」だったわけですが、
正気とか狂気なんていうものも、所詮はどこに基準を置くかによって変わってくるものなんでしょうね。

ドンキホーテ(後編)読了

前編後編合わせての評価はA-。著者はセルバンテス。


一見して、「現実と虚構の区別のつかなくなった老人が暴れるギャグストーリー」。
でも本当は……??


前編についてはドンキホーテとサンチョの愉快な暴れっぷりを爆笑しながら楽しめたのだけど、
後編になってくると、ドンキホーテとサンチョを馬鹿にしようとする性悪の公爵夫妻が現れるため、
なんだか「いじめ」に見えてくる。
そのため、読んでいて気持ちよく笑うことができず、不愉快な気持ちでいっぱいになった。


サンチョの永年の夢(領主になる)を、あんな形で台無しにしたり、
(サンチョが領主になって大喜びした奥さんもかわいそう)
ドンキホーテに猫をけしかけて怪我をさせて笑ったり、
いったい何様なんでしょうか。


ところで、この公爵夫妻、「ドンキホーテ前編の愛読者」でもあると記されています。
その彼らが、ドンキホーテを散々からかって馬鹿にする。
メタ的に考えると、これは「前編の読者」に対する抗議でもあるのかなと思ったりもします。
ギャグ要素はもちろん強いのですが、ドンキホーテをそんなに馬鹿にして笑わないでほしかった、という作者のメッセージなのかもしれません。


ドンキホーテとサンチョ。
いつまでも心に残るヒーローにふさわしい、魅力的な主従の物語でした。


読後感としては「現実と虚構の~ギャグストーリー」よりも、
「いつまでも心に残る~物語」の方が、しっくり来ますね。


文庫本6冊分という大長編なので、読むのはいささか大変ですが、
最初の50ページを読んでそこそこ笑えれば、最後まで読む価値はありますよ。

ドンキホーテ(前編)読了

著者はセルバンテス。評価はB-。

あくまでも、「前編」読了なので、「後編」はこれからです。


「本の読みすぎで、現実と虚構の区別のつかなくなったお爺さんが暴れまわるお話」ということで、
結構笑えます。
笑えますが、ワンパターンでもあるので、連続で読んでいるとちょっと飽きます。
文庫にして3冊分、ひたすらワンパターンギャグが続くので。

なので、面白いか面白くないかといわれれば面白いのですが、
費やす時間の長さを考えて、お勧めかどうかと言われると微妙なところです。


それにしても、400年も前から「メディアによって現実と虚構の区別がつかなくなる」という恐れがあったんですね。
今は、新しいメディアということで「ゲーム」が。昔は「テレビ」。
400年前は「本」。

「本を読め」と言っている大人が、「ゲームは現実と虚構が……」なんて言っているのを聞くと、
「ドンキホーテ」を読んでから言ってくれと言いたくなりますね。

「マルティン・べック」シリーズ感想

「笑う警官」に続いて、「唾棄すべき男」も面白かったので、
5月に書いた「笑う警官」の記事を「マルティン・べックシリーズ感想」と改め、「唾棄すべき男」の感想を
統合しました。

このシリーズは、スウェーデンを舞台にした警察物語で、主人公のベックや親友のコルベリを中心に、
キャラクターに魅力があるのが特徴です。
また、描写も巧くて、頭に映像が浮かぶような文章に触れることができます。


著者はマイ・シューヴァルとペール・ヴァールーのご夫妻。

No4(4作目)「笑う警官」
評価はB+。


すげぇって感じではないのだけれど、退屈せずにスイスイと読めました。
一人の刑事が事件を解決するという話ではなく、署内の刑事一同が力を合わせていろんな角度から事件を解剖していく様子が、臨場感を持って伝わってきました。

また、刑事一人ひとりの描き分けがきちんとできていて、
魅力に富んでいたのが良かったですね。
似たタイプの作品である87分署シリーズとはよく比較されると思うのだけれど、個人的にはこちらのシリーズのほうが好みです。


No7「唾棄すべき男」
評価はB。

最初の100ページくらいが退屈だったのと、ラストが駆け足だったのが響いてBにしたものの、中盤から終盤にかけてぐんぐん惹きこまれてしまいました。

しっかし、いくらなんでも犯人がかわいそすぎます。

&、最初に殺された人(唾棄すべき男)、この人は殺されても当然というか、
こいつさえいなければこの犯人が狂うこともなかったということで、
とばっちり(?)で犯人に殺されてしまった2人も、この唾棄すべき男のせいで死んだように感じてしまいます。

ここまで登場人物に嫌悪を覚えたのは久しぶりかも。

警察の腐敗をテーマにしたお話ですが、確かにこんな警官がのさばっていたら、イメージも悪くなりますよね。
それでとばっちりを受ける他の警官は至極かわいそうですが。

しかも、2番目に死んでほしかったハルトは生きてるし…


No9「警官殺し」
評価はC+。


2つの事件が扱われているのですが、この2つがあまりリンクしていないんですよね。
タイトルの「警官殺し」は、文字通り警官殺害の事件についての標題だと思うのですが、もう一つの「女性殺害事件」も同じくらい比重が割かれていて、
なんだか2つの事件を無理に1冊にまとめたような感じを受けました。
結構長めの作品だったこともあって、焦点がぼやけてしまったのが残念です。

真理先生 感想

著者は武者小路実篤。評価はA-。


癒されました。
お金を使わず、ひたすらのんびり暮らしている人々のお話なので、
それだけで独特な雰囲気が漂っていますが、
とにかくひたすらのどか。
出てくる人物は、基本的に善い人ばかり。

のどかな中にも、葛藤などはあるのだけど、石かきさんに代表されるように
皆が、自分自身のやり方で人生を楽しんでいる感が漂っています。


善い人の周りには、自然と善い人が集まってくる。
善い人と善い人の間にも、立場の違いがあるから衝突も葛藤も起こる。
それでも、やはり善い人は報われ、それなりの幸せを得る。


現実はなかなかそううまくはいかないかもしれないけれど、
物語の中くらいは、いいじゃありませんか。

石かき先生が善い人すぎます。
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