2010年04月

若き獅子たち開始

火曜日の面接に今からビビっていたりする。
面接は何度やっても慣れない。
いや、多少は慣れた(ビビり度は確実に減った)んだけど、
やっぱりビビるし精神的に疲れる。


さて、アーウィン・ショーの「若き獅子たち」を読み始めた。
ゴールデンウィークに、
・若き獅子たち(1000ページ級)
・トリストラムシャンディ(1000ページ級)
・ヴァインランド(600ページ強のハードカバー)
・心変わり(400ページ強)

まで読めれば目標に追いつく。頑張りたい。


4・27 AM3:00

上巻読了。

アーウィン・ショーの本は「富めるもの貧しきもの」、「真夜中の滑降」がいずれもA評価。
それに比べると本作はイマイチな気がする。
徐々に面白くはなるけど、面白くなるまでが長い。
現在はB-というところ。

それはともかく、陰湿なユダヤ人いじめの描写には考えさせられた。
ユダヤ人といえば、ナチスドイツでは差別されていたわけだけど、
アメリカでもこんなに差別されていたとは思わなかった。
この中隊は本当にゲス野郎の集まりというか……こんな奴らに囲まれてたら、そりゃ愛国心なんてなくなりますわな。このあたり、どこの国の軍隊も一緒なんですかね。
よく、戦争のために命を投げ出すような描写を読んで感動したりする人がいますけど、実際に行われているのは、どちらかというと「若き獅子たち」の世界でしょうね…。


人種差別だけじゃないけど、なんでわざわざ自分たちで勝手に争いごとを作って、生きにくくするんでしょうね。
どうしても利害が衝突したりする場面はありますけど、なるべく無駄な争いは避けたいものです。


4/28 AM0:00

本題と全然違うけど、面接行ってきました。
うーん、疲れた。

仕事自体は割に面白そうだったけど、結構ハードそう。
毎日のようにお酒に誘われそうなのが嫌だ。というかこれが一番嫌だ。一月に一度程度なら新鮮味もあるし、付き合ってもいいけど、貴重な時間とお金をそんなものに使ってたまるか。


それよりも、「どうしてうちの会社に」「どうしてうちの業界に」と突っ込んで聞かれたので、たぶん落ちたな。
はっきり言って、別に業界にこだわりはないし、そんなようなことを言っちゃったし。
「うちの仕事を好きで好きで仕方ない」人を採りたいって言ってたからなぁ。前述のように、私の感想は「割に面白そう」程度だもんね…。

ただ、社長の話自体は結構面白かった。良い人ではあると思う。
だから、万一受かっていたら、あまり気乗りはしないにせよOKすると思う。そもそも仕事人間というよりは趣味人なので、「面白くて面白くてたまらない仕事」なんて、はっきり言ってほとんどないと思うし。

それにしても、面接で、思ってることが全部顔に出るのはなんとかならないかなぁ。
厳しめのことを言われると、「うぇー」って気持ちが全部顔に出るもんな。

もう一社の面接予定日がなかなか決まりません。30日か、あるいはゴールデンウィーク明けか。
そこは今日受けた会社以上に、厳しそうなイメージだけど、果たしてどうなるかな。頑張ってきます。

PS 30日に決まりました。
しかし、29日か30日かどちらかに面接をしたいのですが……って、29日は祝日じゃないの。
祝日に面接=祝日は休めないってことなんだろうか。

4/28 PM10:10

若き獅子たち、880/1050ページまできました。
もちろん、最後まで読んでから評価は出しますが、この後よほど面白くならない限り、評価はB止まりだと思います。現在の評価はB-。

主人公が3人いて、それぞれの視点で戦争を語るという内容です。
ただ、3人のうち、ドイツ人のクリスチャンは全く好きになれないウザキャラで、読んでいてムカつくし、アメリカ人のマイケルはわがままなお子様だし。
結局ユダヤ人アメリカ兵のノア以外、まともなキャラがいないという。

戦争が彼らをこんなふうにした、みたいな側面があるんですが、それにしたってねぇ。
戦争の悲惨さ、醜さ、嫌さがビンビンと伝わってくる小説で、こんなことはもう起こってほしくないと本当に思います。
ただ、読んでいて面白いともあまり思わないし、戦争を何かヒーローショーのように勘違いしている人には「考えさせられる」材料になるかもしれませんが…。

真夜中の滑降 読了

著者はアーウィン・ショー。評価はA。

冴えない中年男性が、大金を手に入れたことから始まる、愉快でちょっとドキドキな人生物語。
感想が書きにくいのですが、
かなり笑えて、すいすい読めて、ちょっといい話。でした。
特に、イケメン老紳士フェビアンとの友情が良いですね。

主人公はかなりいい人で、大金を手に入れたことからモテモテ男に大変身しますが(吃音も直るし)、以前の冴えなかった反動なのか、それに戸惑って遊び人になりきれないところがまた面白い。
フローラにモーションをかけられて、仮病まで使って逃げ回るシーンなど、笑いが止まりませんでした。

フェビアンは、どう考えても胡散臭い男で、実際主人公を騙しているわけですが、そんなフェビアンに
「たかが金のことじゃないか。あんたとの付き合いにはそれだけの価値があったよ」と言い切ってしまえる主人公は、本当に良い奴だなと。
利害も絡んで、騙してもいた相手だけど、そんなフェビアンと絆を結べたのは主人公の人徳ですね。

不満というほどの不満はないですが、主人公を追跡する悪役(悪役というか、着服した主人公が悪いんだけど)がちょっとよくわかりませんでした。
主人公には全然危害を加えない紳士ぶりを発揮しているけど、よく考えるまでもなく2人殺してるよね……。しかも関係ない人を。よくわからん……。

ともあれ、素敵な物語でした。アーウィン・ショーは今のところ2作読んで2作とも当たり。積本の「若き獅子たち」も楽しみです。

大空港 感想

著者はアーサー・ヘイリー。評価はA-。

ヘイリーといえば、綿密な取材により業界の舞台裏を描く名人。
今作でも航空業界を、パイロットやスチュワーデスから空港で働く職員、密航者や爆弾魔といった旅客(?)から、騒音に悩まされる市民団体までを深く描いている。
それだけでなく、本作は今まで読んだヘイリーの作品(「自動車」「ホテル」「マネーチェンジャーズ」)に比べてよりサスペンス色が強く、後半はまさにハラハラどきどきしながら読むことができた。
サスペンス小説が好きな人なら、更に評価は高まるだろう。

一方で、この確立された芸風は見事ではあるのだが、毎度おなじみの構成で、他作品に似通った感じを受けるのも事実。
また、これは良いとも悪いともいえないのだが、「強く感情移入できるキャラ」がいないのも少し寂しい。こいつを応援したい、このキャラが好きというのがないのだ。
英雄的な活躍をするパイロットはかなり嫌な奴だし、特に成長したようにも見えない。空港長のメルが恐らく一番人気が出そうなキャラだが、それでも描き込みは薄い。爆弾魔を相手に奮闘する密航者も、これでお咎めなしでいいのか?って感じだし。


ラストも少し不満。キースが吹っ切れたのは良かったが、今までの奮闘から、その決断への繋がりがイマイチ読み取れず。
最も気になるヴァーノンとグレンのその後は完全にスルー。こいつらのその後が一番気になるところだと思うのに、なぜ。


今まで読んだヘイリーの4作品の中では最もハイレベルな作品だと思う。
とはいえ、好き嫌いで言えば「自動車」には劣る。

人物描写、共感力は「自動車」、
サスペンス、スリルは「大空港」

といったところだろう。この辺は、読者の好みが別れるところだと思う。
なお「マネーチェンジャーズ」や「ホテル」も含めて、業界小説としてはどの作品も超一流。
読んでいない作品はどうこう言えないが、何しろ芸風が確立しているため、恐らく彼の他作品、「ニュースキャスター」や「エネルギー」などもその点はブレないだろう。
差し当たって読む予定はなかったが、4作品全てが70~80点と、ホームランこそないものの安定してヒットを叩き出すヘイリーの作品を、もう少し追いかけてみてもいいかもしれないと思った。

君たちはどう生きるか 読了

著者は吉野源三郎。評価はS。

第二次世界大戦直前の日本で、未来を担う子供たちに本当に大切なメッセージを伝えた本。
その時代背景を考えながら読むと涙なしには読めないが、普遍性があり、現代にも十分通じる素晴らしい小説。
前述の通り子供向けの本で読みやすいが、何歳の人にでも勧められると思う。


たとえば、第二章のくだり。ここは全文を引用したくなるくらい素晴らしいです。

「もしも君が、学校でこう教えられ、世間でもそれが立派なこととして通っているからといって、ただそれだけで、いわれたとおりに行動し、教えられたとおりに生きてゆこうとするならば、――コペル君、いいか――、それじゃあ、君はいつまでたっても一人前の人間にはなれないんだ」

「そうでないと、(中略)君はただ『立派そうに見える人』になるばかりで、本当に『立派な人』にはなれないでしまうだろう。(中略)自分がひとの眼にどう映るかということを一番気にするようになって、本当の自分、ありのままの自分がどんなものかということを、つい、お留守にしてしまうものだ。僕は、君にそんな人になってもらいたくないと思う。」

「君自身が心から感じたことや、しみじみと心を動かされたことを、くれぐれも大切にしなくてはならない」

日ごろ考えていることを(しかし実行はできていない)、著者に力強く断言していただいて、思わず、そうだ、そのとおりだ!と感じて、嬉しくなってしまいました。


一方で、4章の「貧しき友」は、自己中で怠け者の私には大変耳の痛いエピソードで、「すみません」と反省することしきり。こちらも反省だけでなかなか自己変革には至りませんが、そういう視点を持って生きていかなきゃなと思います。

3章の「ニュートン」の話は学問的な内容でしたが、こちらも目から鱗で、なるほどそういう見方があったのか!と、感じました。
誰もが知っていること、でもそれを深く考えたことがなかったもの。
それらを組み合わせることによって、新しい発見が生れるというのは本当に面白いものですね。

6章と7章のエピソードも、読んでいて涙してしまいました。
私も、コペル君と同じようなことをしてしまった経験があります。
しかもその後、友達には謝れませんでした。

私とその友達Y君は、自転車で走っていました。
Y君がいったん自転車を降りたとき、散歩中の犬が一匹Y君に向かって走っていったんです。
別に猛犬というわけでもなかったんですが、私は犬が本当に怖くて(昔から大の苦手なんです)、Y君を置いて自転車で逃げてしまいました。
結果的に犬はY君に噛み付いたわけでもなく、Y君も「逃げるなよ~(笑)」と言って許してくれたんですが、私は今でもそのときのことを、Y君にすまなく思っています。
Y君とはもう7年も連絡をとっていないし、仮に顔を合わせてもいまさらそんな10年以上前のことを謝ることもできないのですけどね(謝っても自己満足にしかならないでしょう)。

全員とは言いませんけど、割に多くの人がこういう経験をしたことがあるんじゃないかと思います。その中で、コペル君のようにきちんと謝れる人が何人いるでしょう。それに、コペル君は、背中を押してくれる叔父さんのような人がいて、本当に幸せ者ですね。

悪魔のハンマー感想(注意:ザ・スタンドのネタバレもあり)

著者はラリー・ニーヴンとジュリー・パーネル。評価はA。


この作品、とにかくスティーブン・キングの「ザ・スタンド」によく似ている。
「悪魔のハンマー」自体面白い作品だが、どうしても「ザ・スタンド」と比べると劣るなと感じた。

もっとも「悪魔のハンマー」は1977年、「ザ・スタンド」は1978年に書かれており、「悪魔のハンマー」の方が時期が早いのだから、文句を言うのはお門違いだが。
以下、比較。


☆物語の全体構造

「ハンマー(以下H)」、「ザ・スタンド(以下S)」共通


前半は世界が崩壊するまで。
後半は、崩壊後に生き残った人々が2つの陣営(「正義」VS「悪」)に分れて戦う。
共に大長編であり、登場人物も多い。

・崩壊理由

「H」→彗星の衝突と、それに伴う核戦争。

「S」→生物兵器の漏洩。


一応、人間の愚行が崩壊を加速させますが、「H」はあくまでも彗星がメインです。

・「正義」と「悪」

「H」→科学技術と文明を守る、正義陣営
        VS
    科学技術を壊す宗教家が率いる、悪の陣営

「S」→科学技術を放棄する宗教家が率いる、正義陣営
        VS
    科学技術を体現する悪魔の率いる、悪の陣営

完全に立場が入れ替わっています。この辺りは作者の思想も影響しているのかもしれません。


「総評」

どちらも、非常に面白い作品であることに代わりはありません。
しかし、物語としては「ザ・スタンド」の方が上だと感じました。
これはもちろん、私の好みですが。


まず、崩壊について。
単純に、「彗星が一発ドカンと衝突」する「H」よりも、「じわじわと人が病気で死んでいく」、「S」の方が、面白い…というか恐ろしいです。


また、崩壊理由ですが「S」の方は、世界崩壊の原因を、人間の愚行とし、「悪」を科学技術側とするのはつじつまがあっているように思います。
科学技術に頼りたいという気持ちもわかるし、それを完全に放棄して昔ながらの生き方を選ぶプロセスも理解できます。


それに対して「H」は、彗星が世界崩壊の原因だけに、人間には反省のしようもありません。そして、「科学技術を崩壊させる」という悪側の行動は支離滅裂であり、そこには「頭のおかしい宗教家」以外の要素はありません。

細かいことですが、「H」の減点理由は他にもあります。
それは、登場人物がわかりにくいこと。
上巻でたくさんの人物が登場しますが、下巻でも新しくたくさんの登場人物が現れます。
それでいて、下巻の「登場人物紹介」は明らかに上巻の流用。上巻で死んでしまったどうでもいいキャラが載っていて、下巻の重要人物が載っていないため、途中でわからなくなりました。

輪をかけて困るのが、登場人物名が似ていること。
ハーディとハーヴェイはどちらも重要人物ですが、名前が似ています。
ハリー・ニューカムというキャラとハリー・スティムズというキャラが出てきます。バリーというキャラもいます。
さすがに間違えないとは思いますが、アリスというキャラとアリムというキャラがいます。

世界崩壊後の登場人物の行動が皆似ていて、しかも男女ペアのため、どのカップルか一瞬わからなくなったりもしました。



しかし一方で、「S」よりも優れている点もいくつか見受けられます。
その中でも特に大きいのが「読後感」。
脱力感の漂うしょんぼりなラストだった「S」に比べて、期待通り、期待以上のラストを見せてくれた「H」。特に終わり間際のリック・デランティの演説には力がありました。
上では「H」を叩いているように感じると思いますが、それはあくまで名作である「S」と比べてのもの。
「H」単体で考えれば、十分に満足のいくエンターテイメント作品だったと思います。

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