2011年02月

タウゼロ読了 (バレあり)

著者はポール・アンダースン。評価はA-。


P・アンダースンは「当たり外れの少ない作家」「大外れもないが、大当たりもない」というイメージだったのですが、この『タウゼロ』で僕のイメージは覆されました。
この人、こんな凄いものを書ける人だったのか。


ここまでバカでかいスケールの小説に触れた経験は、掛け値無しに初めて。
それでいて破綻もないのだから、その時点でもう脱帽だろう。
加えて今作は、人物描写も絶賛するほどのレベルではないにせよ、まぁまぁ頑張っている。
魅力的な女性キャラも2人登場するし、リーダーのレイモントは「これぞリーダー!」と呼べる、頼りになる人物だ。
ハインラインの好きそうな人物造型で、僕はこのテのキャラは大嫌いなのだが(笑)、エンディングのレイモントを見ればそんな嫌悪感も吹き飛ぶというもの。
物語の途中でわかるとはいえ、こういうフォローは憎いなと感じる。
旧敵とも言えるフュードロフとの熱い握手のシーンも、地味ながらいいシーンだ。


ジャンルとしてはハードSFに当たるのだろうが、私は完全文系脳なのでこのジャンルは苦手だ。
しかし、今作に関しては魅力あるストーリーに載せて、平易な文章で説明されるので
ある程度の概要は理解することができた。これも嬉しかったところだ。


欠点は、感情が昂るほどの名シーンがなかったこと。
補足として、レイモントとイングリッドが和解するシーンが描かれていないことが挙げられる。
どうしてこのシーンを書かなかったのか、アンダースンを問い詰めたい。
いつの間にか和解したことになっている。
このシーンは書かなきゃいかんよ!!


とにかく壮大なスケールの物語で、記憶に焼きつく内容だった。
A評価、あるいはA+評価でも、時間とともにあらすじを忘れてしまう作品も多いのだが、
この「タウゼロ」はA-でありながらもおそらく忘れない、むしろ1年、2年経った後に振り返って、
「タウゼロって、本当に凄かったよね」と言える作品だと思う。

戦女神VERITA 1周目 光ルートクリア

最近、読書が滞っていた理由の1つがこれです。


2周、3周とやる予定なので、批評空間への感想投下はそのうちにということで、
今回は備忘録的なメモ書きを。現時点での評価は80~85点くらいです。


今回も、不満点はありますが、面白いです。
RPGとして、バトルが面白いのは戦女神シリーズの最大のセールスポイントで、
今回もその点は満足です。
また、仲間がZEROの時よりも遥かに多いので、やり込みも十分に出来そう(これからやります)なのも評価ポイント。
何せ、やり込みには基本興味を示さない僕が、戦女神シリーズではやりこみを楽しみにしているくらいなのですから、これは相当なことです。


一方で、仲間がなかなか揃わないのもZEROの時同様。
私は仲間が6人以上いて、誰を先発メンバーに入れるかを悩みながら戦うのが好きなので、ほぼ最後まで先発メンバーが強制されている、おまけに2人や3人で戦う場面が多いのが、若干不満です。


シナリオ面は、ルート分岐という今までの戦女神シリーズにはないものを盛り込んだ点は評価できますが、内容に関してはZEROの時よりも落ちる感じで、正直言うと大したテキストではありません。
キャラクターは、まぁかわいいと言えばかわいいですし、人間として深みがあるかどうかと言われればありません。
エウシュリーはいつもこんな感じなので、そこに期待するのは無謀ではありますが、
エクリアさんなんかは力のあるライターさんが書けば、絶対感動できる内容に仕上げてくるのになぁ、という歯痒さは感じます。まー、こんなもんかという。ボスがいつもカッサレさん一族なのはもう少しひねってほしいな。


他に、今回は「戦女神シリーズ」と「幻燐の姫将軍」シリーズのコラボレーションなわけですが、
幻燐シリーズは1作もやっていないので、リウイ側への愛着はどうしても弱かったです。


1周目の感覚で言いますと、前衛キャラで強いのはリウイ、セリカ、カーリアン。
後衛キャラで強いのは、ルナ・クリア、ナベリウス。
他に、テトリ、モナルカ、ぺテレーネやリタもまぁ使えます。
エクリアさんは好きなんですが、回復魔法が使えないので少々使い勝手が悪かったですね。
マリーニャもⅡでは無双状態だったのに、今回はかなりおとなしめ…というか、リリィともども、1周目時点ではぶっちゃけよわすぎて使えませんでした。

コリン・ウィルソン「殺人者」読了(重バレあり)

評価はA。

一行であらすじを言えば、

殺人者アーサー・リンガードが、精神科医に語る、彼の人生の物語。です。


このリンガードは、「自分はいつか凄い人間になる!」と思いながら少年時代を過ごしていきます。
白昼夢のようにフィクションの世界にとりつかれます。
多感な少年ならよくあることではありますが、彼の場合は辛い境遇(後述)を忘れる逃避行動でした。
彼の最初の憧れは、火星探検隊の隊長ですとか、まともだったんです。でも、いつからかホームズものにハマり、なんとモリアーティ教授(ラスボスです)に憧れちゃうんですね。いやー、参った。



彼の家庭環境は、お世辞にもいいものではありません。両親は亡くなっていて、叔父叔母夫婦に引き取られますが、まぁぶっちゃけどうしょうもない叔父叔母です。家も貧乏。
叔父は、姪(アーサーの姉)のポーリーンに手を出してますからね。どうしょうもないです。
この、叔父のポーリーンへの行為は、アーサーの心を歪ませる大きな要因になったと思います。


アーサーは、唯一の肉親ポーリーンを、母代わりとしても慕っていました。
ですが、その姿を見てからは、ポーリーンを“性の対象”として見てしまうんですね。
「お姉ちゃんとエッチしたい!」と。
しかも、いとこたちも兄妹でエロエロという、かなり性の乱れた一家なんですね。
その中でアーサーは、下着に興奮する下着フェチになってしまいます。
なんと、弱冠9歳で、彼は初の下着泥棒を……。
(うーむ、私がエッチなことに興味を持ったのって13歳でしたよ。私が遅れてるのかしら)。


その後は、アーサー君はやりたい放題。
催眠術をマスターした彼は、従妹の愚鈍なアビーを散々弄んだり、体育の先生の奥さんを散々弄んだりと、楽しい変態ライフを送ります。
余談ですが、この変態ライフの文章は結構多いです。僕はエロ小説を読んでいるのかと、何度も思いました。
ファーストフード店で催眠術でイかせたとか、体育の先生の奥さんの下着をいじりながら、体育の先生を見ることが楽しかったとか、どこのエロゲー主人公かと。
僕は楽しみましたけど、この辺、ドン引きしちゃう読者もいそうですね。
僕は、下着フェチではないのに、下着フェチのエロティシズムが語られるくだりも楽しく読めて、
「あれ、下着ってひょっとしてエロい?」と妙なところで開眼しそうになりました。


その後いろいろありまして。
ラスト20ページが素晴らしい。
精神科医が、大人になった「従妹の愚鈍なアビー」を訪ねるシーンなんですが。
まず、アビーが凄く美しく、上品な女性になっていたという描写。
貧乏だった少年時代、性の乱れに直面し、おかしくなってしまい、獄中死を遂げるアーサー君。
同じ時代を過ごし、アーサー君に弄ばれ蔑まれながらも、アーサー君を一途に愛し、その後別の幸せを手に入れた、アビー。
この対照は、泣けます。アビーの子供が読んでいる本が、アーサー君が昔好きだった小説だったというくだりも、本当ににくい演出です。


それだけでなく、「リンガードのレンズを通した世界」と、「精神科医が見た世界」の相違。
そして、リンガードが白昼夢のような世界を漂っていたこと。
本当のアビーの姿が見えるラスト。とこう考えていくと、実に巧くできた小説だなぁと感じました。


余談ですが、「精神科医が見たポーリーン」は、「エネルギーに溢れ、がっしりした体格の女性。魅力的だが、ちょっと肌が汚れている」というのも面白かった。
お姉ちゃん大好きっ子のリンガードの話では、「性に奔放で誰とでも寝ちゃうエッチなお姉ちゃんだけど、容姿は完璧!」だったはずなので(笑)。



性犯罪者の話ということもあって、底はかとなく18禁めいていますが、そこで引かずに是非読んでほしいなと感じる小説でした。
もちろん、生粋の変態紳士の皆さんにもお勧めします。
エロいだけじゃなくて、しんみりと悲しいお話でしたけどね。
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