2012年02月

「穢翼のユースティア」におけるa103netさんへのレス

コメントありがとうございます!
字数制限が厄介なので、1つ記事を設けて書かせていただきます。
 

>> 2点、気になる点があります。

> 1つは、兄殺し(親族殺し)が、
> 今作で打ち出された大きな3つのテーマの1つであるという点です。
> 「テーマ」だというのなら、作者はそれをテーマにして、
> 何を読者に訴えたかったのでしょうか?

僕が使った「テーマ」という単語が、不適切だったかもしれません。 
テーマというよりも、テーマを補強する「モチーフ」という言葉の方が適切だったかも。

(「クラシック音楽」における「テーマ:主題→あるメロディラインが、いろいろと形を変えながら繰り返されていく」の印象で、僕は以前からこの単語を使っていますが、これは一般的ではないのかもしれません)


この作品は『カイン・コンプレックス』を下敷きにして描かれた物語であると感じています。 


ですので、(当然作者が読者に何かを訴えたくて、使用されたものであることはほぼ確実なのですが)、明確に主張を示す必要があるとは、僕は考えていません。

 
> もちろん、単なる「共通項」だというつもりはなく、
> 兄殺し(親族殺し)というのは、尊敬している人、世話になった人を
> 敵に回して殺すわけですから、「不条理」の最たるものです。
> また、兄(親族)を乗り越える点で成長・変化もあるでしょう。
> これらの要素につながる大きな事項ではあったと思います。


恐らく、目上の親族(兄・親)を乗り越えるという意味あいが最も強いと思います。
それも、単に倒す・殺すのではなく、目上の親族の視点にまで上がり、それを乗り越えるという感じでしょうか。
当然、神に見捨てられた土地における「不条理」を演出するための機能も果たしていると思います。
僕が一言で言えなかったことを、a103netさんが丁寧にまとめてくださって、感謝しています。
 

> もう1つは、「バランスのとれた結末」です。
> 私は、ハッピーエンド好きなので、
> 「バランス」がfeeさんと異なるのは承知しておりますが、
> 私の好みとしては、ティアの存在を天秤にかけてまでして救った、
> その後の世界をもう少し描いてほしかったです。
> 生き残った各自が幸せに、そして、自分の生きる道を見つけて、進んでいく様を。


魔法使いさんからも、同じ意見をいただきました。
批評空間をざっと読ませていただいたところ、ユースティアエンドの悪評は主に2点ありまして、「悲しい、救いがないから嫌だ」というものと、「あっさりしすぎている」というものがありました。
この「あっさりしすぎ」というのは、恐らくこのことを指しているのだろうと思います。


ここは、好みの部分が大きいと思うのですが、個人的には『その後の世界』を描くことには(今回に限っては)反対です。


何故なら、大地への落下という大きな不幸にありながら、
『上層・下層・牢獄』という三層構造が崩れ、新しい希望・可能性が生まれたあの瞬間こそが、世界が最も美しく、希望に溢れた瞬間だったのではないか、と考えるからです。


後日談を書いてしまうと、各キャラのその後が見られること自体は興味深いと思うのですが、
『新しい希望・未知なる可能性』はやがて色褪せ、 
単に今までとは変化した日常を各キャラが送るものになってしまうのではないでしょうか。


考えたくはないことですが、「あの新しい世界」ですら、平等ではありません。
「大切な人を全て失ってしまった人」もいれば、「運良く家族が無事だった人」もいると思います。
「身体が弱い人、強い人」その他もろもろ、どちらにしても不条理は転がっているのです。
牢獄民はまだしも、下層や上層に暮らしていた人々にとっては、むしろ新しい世界こそが地獄かもしれません。


そういったものを描かずに、ユースティアがカイムの心に届けたメッセージを流すことで、
「新しい世界への未知なる可能性・希望」をプレイヤーに抱かせるという、
(ヒロインが死んでしまったにしては)妙に爽やかで前向きな読後感を提供してくれたように感じています。


爽やかで前向きな読後感だったと言っている人が、かなり少数派なので成功していないのかもしれませんがw
僕個人としては、
最もドラマチックな場面で幕を引き、現実(新しい世界における不条理)を覆い隠しつつも、
カイム・アイム・ユースティアの主要三キャラにとっては最大の不条理を叩きつける、
最高のエンディングだった、巧いなぁと思ったのです。
 

穢翼のユースティア クリア感想(重バレあり)

オーガストの「穢翼のユースティア」、無事クリアしました。


まずは、点数から。ストーリー 125/150 キャラクター 125/150 絵 100/100 音楽 90/100 

         システムその他 80/100 印象 40/50 

         トータル 560/650(10位/140ゲームくらい)

ESにつける点数 91。




ここでは、各シナリオについてそれぞれ感想を書いていきますが、その前に。



★ 前置き


オーガスト作品は、処女作の「バイナリィポット」こそプレイしてはいませんが、「プリンセスホリデー」~「Fortune Arterial」までの4作は全てコンプしており、贔屓にしているメーカーです。


今までのオーガストは、『萌え』を売りにしたゲームを作ってきたメーカーでした。そこに共通するのは、とにかく明るい雰囲気を持つ物語であるということ。人の心の闇を描かず、ひたすら明るく癒される雰囲気を作るメーカーでした。ヒロインはそれぞれみな『良い子』で、用意された欠点もせいぜい「萌え」のためのスパイス程度にしか機能していませんでした。


(『夜明け前より瑠璃色な』移植版の追加ヒロイン2人は、やや欠点を意識した描かれ方がされています。エステル・フリージアの頑固さはフィオネに通じるものがあり、遠山翠の臆病さはユースティア、または初期のリシアに通じるものを感じます)



かつて、オーガストは、シリアスゲーにチャレンジしたことがあります。前述の『夜明け前より瑠璃色な』という作品です。しかしその試みは、フィーナシナリオ(+最終シナリオ)で部分的に成功はしましたが、大きな成功には至りませんでした。
盛り上げようという意思は伝わったのですが、カレンとの剣術勝負ではオチが早々にわかってしまいましたし、ラスト、フィーナの演説も月側の説得に留まっており、力不足を感じたものでした。


とりわけ大きかったのが、日常テキストに何ら変化がなかったこと。
従来どおり、抑え気味ではありながら気の利いた会話のやりとりを中心に組み立てられた文章は、萌えを生み出しこそすれ、重厚な世界観の構築には不向きなものでした。

(ちなみに、それでも「夜明け前より瑠璃色な」は、81点をつけていることからもおわかりいただけると思いますが、お気に入りの萌えゲーです)


また、今回、明確に掲げられているテーマの2つ『不条理』と『血縁(主に兄)殺し』は、「Fortune Arterial」の東儀白シナリオなどに見ることもできます。
以前から、このタイプのテーマを描きたいと模索していたものの、萌えゲーの方法論のまま行っていたために、大成功には至らなかったのではないか、と考えています。


 

ですが、今回オーガストはとうとう殻を破ってくれたように感じています。一見してわかるとおり、今までとはまるで正反対のダークで不条理な世界。テキストも会話のやりとりを減らし、地の文を長くすることで、重厚な世界観を構築することに成功しました。
また、作品世界の中に明確なテーマ・メッセージ性(後述します)が組み込まれており、これが全くブレておりません。これは、シナリオゲーを作る上で、とても大切なことだと思います。

ヒロインの性格設定にも変化が見られ、今回のヒロインはそれぞれ皆、大きな欠点を持っています。この工夫により、各キャラは厚みのある人物として、息づいています。
悪役も、特にルキウスのキャラ設定は実に素晴らしいと感じました。今まで悪役たる悪役をほとんど出してこなかったこのメーカーが、ここまで立派に悪役を描けると知って、内心驚きました。

 


では、各シナリオについて見ていきたいと思います。
 

 

★ フィオネシナリオ(第1章)について

 

プレイヤーが始めに読むことになるのが、羽狩り隊長フィオネ・シルヴァリアのルートです。
このルートの役割は、本作のテーマ・世界観の徹底にあるでしょう。

フィオネルートでは、フィオネの性格的欠陥……生真面目で融通がきかない、頑固者という側面が顔を覗かせます。ですが、その裏返しとして職務に忠実で義に厚い。それは、彼女の短所でもありますが、長所でもあります。
 


シナリオ後半、『羽化病罹患者は、保護されているのではなく、殺されている』という、このゲーム一つめの爆弾が落とされます。
このゲームがこれから描く、『不条理』というキーワードを明解に打ち出した、印象深いシーンです。
 

職務に忠実である。それはとても立派なことだったはずなのですが、フィオネは知らずして多くの人を殺していました。そして、彼女は第一章の終わりで、「己の行為を知ってなお、殺人に手を染め続ける道を選ぶ」ことになります。
 

本来、仕事熱心で上官(あるいは上司)に忠実というのは素晴らしい美徳のはずなのに、ここでは価値観が転倒しているのです。けれど、それは、誰かがやらなければならないことでした。
そんなフィオネの変遷は、これからのカイム、そしてまだほとんど姿を見せないルキウスの行く先を暗示する伏線にもなっています。


もう一点、カイムが、羽化病罹患者である(と思われた)ユースティアを、羽狩りから必死に匿っていることにも注目してください。この時点では、ユースティアは文字通り単なる羽化病罹患者に過ぎませんが、『牢獄民』であるカイムは、ユースティアを守ります。

そこには、『羽狩りに見つかったら面倒なことになる』という程度のリスクはありますが、最終章のように『世界崩壊』のリスクがあるわけではありません。
この部分は最終章とも対応しておりますので、見落としてはならないポイントだと思います。


最後に。第一章の敵役であるクーガー、フィオネが殺したクーガーは、フィオネにとって『兄』にあたる人間だったことも、忘れてはならない重要なポイントです。
クーガーを殺すのは、フィオネでなくてはなりません。
それは、このゲームのもう一つのテーマが『兄殺し』でもあるからなのです。
『フィオネの手を家族の血で濡らすわけにはいかない』という選択肢を選んだ場合、
第一章でゲームが終ってしまうのはそのためです。
 

 

★ エリスシナリオ(第2章)について

 

僕は唯一、このルートだけはさほど高く評価してはおりません。というのも、正直に言って退屈だったからです。伏線としては十分に機能していますが、それ以上の面白みを見つけることは困難でした。
 


まず、このシナリオの最大の機能といえば、このゲーム二つ目のテーマである『親族殺し』が明確に打ち出されたことでしょう。
ジークによる、ベルナドの誅伐。2つめのシナリオにおいて、2つめの兄殺しはもはや偶然とは言えません。


 

エリスとの関わりによって、この物語のラスボスとも言うべき、カイムの『兄』アイムの存在が明かされることも、大きな意味のある伏線です。
カイムはエリスに「生きる意味を持ち、まともな人間であるように」と言い聞かせますが、これはアイムの呪縛にカイムが完全に囚われた結果であることは、最終章でも語られていました。

 

他には、『牢獄』の生活が丁寧に描かれた物語であり、腐食金鎖と手を組んだルキウスと、風錆と組んだ反ルキウスの貴族(ギルバルトですが、確かまだ名前は出てきてないはず)の存在もこのシナリオで明かされます。
自分たちの争いが誰とも知れない貴族の争いに利用されている、『視野が確保できない牢獄民』の立場から描かれたこのシナリオでは、そんな薄気味悪さを感じとることができます。


このゲームでは、シナリオを追うにつれてカイムの世界がどんどん拡がっていきます。そして、それに伴う『カイムの変化』もまた、特筆すべきテーマといえるでしょう。

 
 

★ コレット&ラヴィリアシナリオ(第3章)について

聖女をヒロインにいただくこのシナリオにおいて、遂にカイムの活躍の場は牢獄から上へと向かいます。彼の活躍するフィールドが高くなるにつれ、彼の知識は増し、視野が拡がっていき、そして考え方もまた大きく変わっていくことになります。


このルートの最大の機能は、「牢獄出身」という『土着意識』をコレットに指摘され、カイムがそれを捨て去るシーンではないでしょうか。
 


より、衝撃的なシーンといえば、このシナリオで明かされる、『聖女が都市を浮かせているのではない』という情報です。
これは、今作の方向性を決定づけた最後の一矢となりました。


聖女が民衆の目を欺くスケープゴートというのは、薄々、わかっていたことではありました。ですが、今までのオーガスト作品をプレイしてきた経験上、「まさかオーガストが、そこまで容赦のない設定を出しては来ないだろう」という予断、甘えがこの時点の僕にはまだ残っていました。

しかし、オーガストは一歩を踏み込みました。
『不条理』というテーマを、本気で描こうとする姿を僕はこのシナリオに見たのです。それをより強烈に推し進めたのが、牢獄で皆の居場所となっていたヴィノレタ、ジーク達を暖かく見守ってきたメルトの死でした。間違っていたら申し訳ありませんが、バッドエンド以外で、名前のあるキャラクターが死んだのは、オーガスト作品史上初ではないでしょうか(厳密に言えば、今作の敵役のクーガーが、死者第一号だと思います。もっとも、過去作にはところどころ記憶が曖昧な部分もありますので、間違っていたらすみません)。


 

ただ、この章の終わらせ方は、やや手ぬるいものでもありました。最終章で活躍する手前、コレットとラヴィリアを殺すわけにはいかなかったという理由はわかるのですが、やはりあそこはコレットとラヴィリアが抱き合いながら落命する、そんな儚く美しいシーンで幕を下ろしても良かったと思うのです。
“正史”ルートで無理ならば、“ヒロイン選択ルート”において、それを描いてほしかったなというのが、僕の数少ない注文・不満です。
わざわざラヴィリアというヒロインのエンドまで作ったのですから、いろいろと物語分岐を用意する余地はあったわけなのに、“正史”も含めて3つのエンディングでいずれも聖女が助かるというのは、『不条理』を描く物語としては、やや拍子抜けの感はありました。



余談ですが、コレットはとても僕好みのキャラクターで、かなり萌えてしまいました。コレットのCVである遠野そよぎさんも、初めて聞いた時はあまりピンと来なかったのですが、プレイしていくうちに「この声じゃなきゃダメだ」とまで思うようになりました。

 


 

★ リシアシナリオ(第4章)について


とうとう、宮廷にまで活躍の場が拡がるこのシナリオでは、大崩落(グラン・フォルテ)の原因が明かされます。その正体は、ギルバルトという貴族が、私利私欲のためにもたらした、人災でした。
更に、都市を浮かせている力の正体や、ルキウスの正体の判明、白兵戦では圧倒的存在感を放つガウの存在もあって、情報量の多いシナリオだったということができます。

 

よりカイムの身近に目を向けるならば、リシアの成長がこのシナリオの一つの鍵となります。個人的にはリシアの成長がやや速すぎた感が否めませんが、彼女は最終シナリオにおいて、その魅力を存分に披露してくれます。



ルキウスの正体は、隠すつもりがないのでは?と思われるくらいにバレバレでしたので、もう少し慎重に隠した方が良かったのではと思います。一方で、このリシアの戴冠シーンでの花冠のエピソードには心を動かされるものがありました。

 

このシナリオでは、二つの『親殺し』が描かれます。ルキウスによるネヴィル殺しと、システィナによるギルバルト殺しです。


このギルバルトというキャラは、一応の事情があるにせよ、解りやすい悪を体現したキャラクターであり、第4章には『悪を打倒する』というある種のわかりやすさがありました。
 


どうも、皆さんの感想をちらほらと拝見しますと、リシアシナリオの評判が良く、ユースティアシナリオの評判が悪いようです。


しかし、個人的にこのリシアシナリオは『不条理』を描くユースティアシナリオのための伏線に過ぎないと考えています。
リシアシナリオの流れは、不条理を食い止めるためのハッピーエンドの物語です。この流れを最終シナリオにそのまま適用すれば、ハッピーエンドへと到れるであろう。そんな希望を抱かせる終わりです。

 

世界が救われてほしい。皆が幸せになるハッピーエンドを読みたいという方の気持ちもわかります。

ですが、それは“不条理”を徹底的に描いたこの「穢翼のユースティア」に求める要素ではないはずです(それこそ、『いつものオーガスト』になってしまうでしょう)。
何より、ここまで散々繰り返されてきた『親族殺し』、その代表となるであろう“アイム”を、カイムは超えていけません。
 


ユースティアシナリオを描くために、あのエンディングを書くために、このゲームの全てのシナリオは設計されており、各シナリオに『兄殺し』や『不条理』、そして『牢獄・下層・上層の三層構造』といった設定が組み込まれているわけです。
ですので、リシアシナリオで終われば良かったのに~というご意見は、全くのナンセンスであり、もしも本当にここで終ってしまったならば、どの要素についても中途半端なままだったでしょう。
 

 

★ ユースティアシナリオ(最終章)について

 

いよいよ最終シナリオ。全てを知ったカイムの決断が描かれるこのシナリオは、ヒロインであるユースティアよりもむしろ、カイムとアイムの兄弟に焦点を当てた物語となっています。ここまで、ほぼ全てのシナリオで行われてきた『兄殺し』が繰り返され、最後の敵であるルキウスを打倒することになるわけです。



ルキウスというこの悪役は、まさに作品そのものを象徴した素晴らしい造形になっています。

「正しいと思われること」をし続ける人。悪役、と書きましたが、彼を悪と断じるのはとても難しい。ギルバルトや、初代イレーヌを裏切った人々のツケを、ルキウスは払わされているわけで、彼もまた被害者なのです。

とはいえ、彼の徹底した功利主義はおよそ非人間的であり(人間性を保つだけの余裕が、もはやあの世界にはなかった。それこそが、最大の不条理であり、あの世界に完全に適応したのはカイムではなく、むしろアイムの方でした)、
反感を抱かせるに十分なもの。
作中では、天使の力を非人道的な形で引き出そうとしたばかりに、天使の怒りが増幅されるという皮肉が生まれていますが、これは、ややルキウスには酷な形だなと感じました。

 

カイムに話を戻すと、牢獄から下層、そして上層へと至る過程において、彼は新たな知識を得、ものの見方が変わっていきます。最後まで牢獄民としての視点を持つジークとの決別は、起こるべくして起きたこと。ジークの置かれた位置は、『牢獄に留まり続けた場合のカイム』を表しているように思います。


カイムは、良くも悪くも変わっていきます。牢獄民としてのカイムが、上層民としてのカイムに変わった時。
牢獄民を相手に武器を取る(未遂でしたが)という行動を、ユースティアを犠牲にするという行為を、彼は選んでしまいます。


牢獄から出たことのなかった、身近なものしか見えていなかったカイムなら、迷うことなくユースティアを守ったことでしょう。ユースティアを守ることに、障害はないのですから。
そう、それは第一章でカイムが、ユースティアを大して逡巡もせぬままに匿ったように。

 

ですが、カイムは知ってしまった。世界の全てと、彼女の存在が天秤にかけられていることを。
視野が広がり、あまりにも見える物が増えすぎたが故に、本当に大切な一つのものが、見えなくなってしまった。


けれどカイムは、アイムの呪縛を解き放ち、最後にはユースティアを選びます。他のもの全てを犠牲にしてでも、彼はユースティアを選んでしまうのです。
その選択の是非はここでは問いませんが、上層の視野を持ってなお、彼はユースティアを求めた。
それは第一章でユースティアを守ったように、ただ闇雲に彼女を守るのに比べて、大きく強い覚悟がないとできないこと。そして、何も知らずに彼女を守るのに比べて、とてもとても罪深いことでした。
(もしもカイムが牢獄に留まっていたならば、ユースティアの秘密を知ることもなかったでしょうし、いきなり天使と言われても信じなかったでしょう)

 

個を優先させることができなかったアイム、みすみす自分の手でシスティナを死地に追いやった兄とは違う原理で動き、違う道を選んだカイム。どちらが正しいのかは、僕にはわかりません。 



ラスト、ユースティアが結局亡くなってしまうという結末。
そして、上層・下層・牢獄という境目が取り払われ、世界全体の破滅が防がれたという結末は、落としどころとしても実にバランスのとれた結末だと思います。

 

たとえ世界が壊れてしまったとしても、ユースティアだけを守りたかったカイム。そのために兄をも手にかけたカイム。
それにも関わらず残された結末は、アイムが望んだ世界の救済、そしてユースティアの死でした。

 

究極の『不条理』を体現したこのエンディングは、作品のテーマに相応しい最高のエンディングだったと私は思います。
この結末を迎えたからこそ、『穢翼のユースティア』は、「いつものオーガスト」から脱却した、強いテーマ性を秘めた作品に仕上がったのです。




















穢翼のユースティア 途中感想②コレット√クリア(バレあり)

ユースティアは3つ目のシナリオ、コレット√をクリアしましたが……うん、実に面白かったです。

聖女が何故、存在するのか。
これは、薄々想像はついていましたが、『オーガストだし、そんなエグい設定はしないんじゃないか?』、
『ファンタジー世界なんだから、 ひょっとしたら本当に力があるんじゃないか?』という淡い希望は
やはりと言おうか裏切られ、どうしょうもない現実を突きつけられました。

唯一の良心?救い? あるいは甘さは、コレット√の終わらせ方でしょうか。
コレットとラヴィリアが崖から落ちていっておしまい、の方が美しかったのではないかな、と思います。
とはいえ、そうしてしまうとこの後のシナリオには彼女たちが登場できなくなってしまいますし、
あまりに救いがないので、この形で内心ホッとしたのも事実です。

ジョン・グリシャム「陪審評決」読了(重バレあり)

評価は B。

感想を書く前に、前置きをさせていただきます。
まず、僕は『煙草』という存在を、心底憎んでいることをお伝えします。


なので、『煙草が大好き(別に吸うことが好きでも構いませんが、煙草という存在そのものが好きという)な方』 は
気分を害されると思いますので、お読みにならないでください。
この件に関して反論をいただいても、お返事はできません。
感情的ではなく、冷静な頭で対応できてこそ、議論というものは成り立つものですが、この件に関しては冷静でいられる自信がなく、喧嘩をしてしまいそうなので。


では。



この作品は、タバコ訴訟を扱った作品です。
『ヘビースモークが理由で、肺癌になり夫を失った未亡人が、タバコ会社に損害賠償を起こした』という設定のお話になります。

僕は、この題材を提示されると、いろいろなことを考えました。


「いくらタバコが害になるからといって、それを承知で吸っている人間が死んだからといって、損害賠償を払う必要があるのかどうか? もしこれを認めたら、お酒会社も、ジャンクフード店も、その他少しでも害になりそうなものは次々に訴えられてしまい、物が作れなくなってしまうのではないか?」
 
また、こうも考えました。

「いくら、承知で吸っているからといって、どう考えても害悪しかもたらさないものを売って、金儲けをして良いものかどうか? 麻薬を売っていいとは誰も思うまい。同じく、中毒性があり、健康に悪影響を及ぼすものなのに、なぜ、煙草は許されているのか?」 


この2つの問いには、答えはありません。 
要はバランスの問題だからです。 


この問題については、 本書でもそれなりには取り上げられていました。
ただ、この本にはかなり不満も持っています。


ひとつは、『副流煙』の存在に全く触れていないこと。
もうひとつは、「サスペンス性・ストーリー性」を重視するあまり、 タバコ会社を過度に悪役に仕立て上げてしまったことです。


前者ですが、僕はこの「副流煙」こそがタバコの真の害悪だと思うのです。
吸っている本人は自分の選択で吸っているかもしれませんが、吸わされる人間は、そんな選択などしていない。
一方的に、被害者なのです。


ぶっちゃけてしまえば、僕の感情としては、「主流煙で死んだ、この物語の死者に損害賠償を払う必要があるかどうか」は、何とも言えませんが、「副流煙で死んだなら、払って然るべき」かと思うのです。 
副流煙について一切触れていないのは、(ひょっとしてこの当時、そこまで研究が進んでいなかったのかもですが)手落ちだと思います。


次に、サスペンス性の問題です。
この物語では、タバコ会社を悪役にするために、評の買収はまだしも、不法侵入をしたり、恐喝をしたり、放火をしたりとやりたい放題です。
さすがにアメリカの法廷の現状は知りませんが、いくらなんでもここまでフリーダムではない……と信じたいです。もしこれが本当の姿なのだとしたら言葉もありませんが、僕としてはあまりにも度がすぎていて、白けてしまいました。


また、 いくらタバコ会社が憎いからといって、主人公たちのとった行動もあまり褒められたものではありません。
汚い手を使ってでも彼らを倒さなければならない、正義の戦いだったのかもしれませんが……おいおい、と思えるようなシーンが幾つもありました。
陪審員にしても、主人公とエレーラ大佐は明らかに不適格者ですし、こんなんでいいのか?と呆れてしまいました。
法廷のシーンは基本的に興味深く、面白く読めたのですが、タバコ会社が暗躍する下巻の序盤は眠気を感じ、 途中で読むのをやめようか迷うこともありました。


ラスト、タバコ会社をやっつける!という意味で、胸がすっとし、カタルシスを感じられたために70点をつけましたが、しかしそれは僕がタバコが大嫌いだからではないでしょうか?
タバコについて、好きでも嫌いでもない人や、タバコが好きな人は、この小説を読んでもカタルシスを感じることはできないのでは?
そう考えると、素直に高評価はしにくいです。



最後に。
少し重い話になりますが、僕は小学1年生から中学1年生まで、都合7年間イジメに遭いました。
理由は幾つかありますが、一番大きな理由は「クサい」からでした。
そうは言っても自分ではよくわかりませんでした。汗の臭いなのか、何なのか……。
中学生になって、ようやく解りました。それは、父親の吸うタバコの匂いが僕にも染み付いていたのです。 

「あいつに物を貸すと、クサくなる」と言われ、漫画を貸してもらうこともできませんし、「近寄るな、クサい」とも言われました。
父親に「家で吸わないでくれ」と何度も言いましたが、取り合ってはもらえませんでした。何度も大喧嘩をしました。
僕は、父親が嫌いではありませんが、その一点のみ、とても憎んでいます。


その後、父親は脳出血で倒れて亡くなり、母も脳出血で倒れました(一応生きてはいます)。
タバコの害の一つに、高血圧になるというものがあります。
無論、味の濃い料理が好きだったという事実もありますし、ストレスなどでも血圧は上がるので、脳出血の原因がタバコのせいかどうかはわかりません。
ですが、モヤモヤした気持ちは残っています。


そんなわけで、僕は煙草を憎んでいます。この世から消えてほしいとすら、思います。

まぁ、僕の親友にも煙草を吸う人間はいますし、Twitterなどで親しくさせていただいている方も何人かは喫煙者の方です。
僕の前で吸わなければ何も言いません。
マナーを守っている喫煙者の方まで、 叩く気はありません。


ですが、マナーを守れない人間というのはいるのです。
夜、仕事から帰ってくると必ず路上で吸っている人間を見かけます。
僕は彼らの側を、息を止めて通り抜けます。後ろから喫煙者が近づいてくる時は、走って距離をとったり、敢えて追い抜かせてやりすごすこともあります。
コンビニの前で吸っている人間を見かけると(これは灰皿をそこに置いているコンビニが悪いので、マナー違反ではない気がしますが)、そのコンビニには寄る気がしません。
正直に言ってしまえば、他人の迷惑を考えずに煙を吐き出す人間を、僕は軽蔑すらしています。


それくらいタバコが嫌いではあるのですが、それでもこの作品を読んだ感想としては、
「タバコ会社を悪者にして、安易に解決しちゃっていいのかよ」と思いましたです。

だって、この未亡人も、結構な食わせ物だと思いますもんw

ドラゴンマージャン3 竜神編 感想&攻略

ドラゴンマージャン3竜神編、無事エクストラダンジョンまでクリアしました。

感想としては、相変わらず面白い。
一方で、ドラゴンマージャン2の時点で、システムが完成されつくしてしまったため、真新しさはないというのが欠点か。ストーリーこそ違えど、マイナーチェンジに留まっていて、マンネリ感は確かにあります。
ただ、それでも……十分すぎるほど面白いゲームですね。
(個人的に、アへ顔が嫌いなので、エロシーンはアヘ顔をやめてくれるとありがたいのですが)


攻略記事ですが、ドラゴンマージャン2や3の天空編と内容はほとんど変わりません。
唯一変わったのは、ギフトの存在。これのおかげで、花嫁(任意)がめっぽう強くなりました。
ちなみに花嫁は、誰を選んでも構いません。
エッチシーンは後々回収できますし、花嫁ギフトが強いので誰を選んでも最強レベルに強くなるはずです。 
ローラ姫を選ばないと、ローラが仲間になるのが遅くなります(それでもちゃんと仲間にはなります)ので、
ローラを使いたい!という方はローラを。それ以外なら、好きなキャラをお選びください。


次に、使えるスキルの紹介を。
このゲームは、極めて膨大な数のスキルがあり、とても全ての効果を検証したりする気にはなれません。
ここでお薦めするスキルも、他のスキルで代用できるものはあると思います。
あくまで参考程度に留めてください。


その上で、まず絶対必須と言えるのが、回復魔法でしょう。
序盤は『ホイミ』や『ベホイミ』。中盤は『ベホマラー』。『ベホマ』や『ベホマズン』は最後まで使えます。
『ザオリク』も必須です。


次に必要不可欠なのが、補助魔法。
『ラリホーマ』の威力は絶大で、7割のボスが眠ります。これがあるとないとでは、難易度は段違いです。
『バイキルト』は攻撃の要。こちらも最後まで使えますので、是非用意しておきましょう。
必須ではないですが、前衛キャラが『スカラ』を覚えると、役に立ちます。最終的には『スカラル』を(こちらは、前衛キャラじゃなくても構いません)。
また、今回は『マホトーン』の効きが良いように感じます。ラリホーマが効かない敵にはマホトーンをかけましょう。


ツミコミ技も必須です。
僕は人間主体のメンバーでしたので、『ベギラゴン』がとても役に立ちました。
序盤は『ギラ』、『べギラマ』、最終的には『ギラブレイド』ですね。
モンスター主体でしたら『かがやくいき』、『しゃくねつのほのお』、『グランドクロス』あたりでしょうか。
ギラ系、もしくは火ブレス、氷ブレス、何でも構いませんが、ツミコミ技は是非覚えてください。
ラストの段階まで来たプレイヤーには、僕が教えることなど何もありませんが、『メドローア』はとても強いです。
覚えておくと良いでしょう。
また、『マダンテ』はあまり活躍しませんが、ここぞという時にあると心強いです。


リーチ技も必須です。
こちらも最終的にはたくさんのスキルを覚えられるようになりますが、
序盤は『イオ』、『イオラ』が良いでしょう。『イオナズン』も最後まで使えます。
ヒュンケルの覚える『ブラッディースクライド』は使い勝手が良く感じましたし、
ダイの『アバンストラッシュクロス』は最強クラスの威力を誇ります。
戦士系のスキルには、『上がれる率を20%アップ』だとか、『ゾンビ系の敵にのみ有効』とか、そんな中途半端な技がたくさんありますが、
そんな技を覚えるくらいなら、男は(女も)黙ってイオで行きましょう。


天空編よりは多少難しくなっていますが、一部の敵を除いて、難易度はやはり低いです。
その敵とは、ラスボスのバーン様、そして隠しダンジョンのマガルギあたりでしょうか。

バーン様を含めた多くのボスは、マージャンで倒すよりも、HPを0にして倒す方を心がけた方がうまくいくと思います。敵を倒してしまえば、上がるのは楽勝ですからね。
『バイキルト+アバンストラッシュクロス』に『マダンテ』あたりを連発して、切り抜けてください。


他にデルコンダルの花嫁タッグ戦も僕は苦しみましたが……こちらは何と天和2連発という幸運で切り抜けたので、何とも……。一つ言えることは、主人公と花嫁は鍛えておきましょう。

 
……あまり役に立たない記事でしたが、以上になります。
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