2012年06月

準々決勝 ドイツVSギリシャ 

ドイツ  4-2          ギリシャ

試合内容 A-
MOM  OH メスト・エジル(90)(ドイツ)
主審 B

GK マヌエル・ノイアー(55)                ミハリス・シファキス (0)  
CB マッツ・フンメルス (55)                 キリアコス・パパドプーロス (50) 
   ホルガー・バドシュトゥバー (50)            ソクラティス・パパスタソプーロス (60) 
SB フィリップ・ラーム (65)                 ヴァシリス・トロシディス (45) 
   イェロメ・ボアテンク (60)                ゲオルギオス・ツァベラス (40) 
CH サミ・ケディラ (80)                 DH ジャニス・マニアティス (50) 
   バスティアン・シュバインシュタイガー (60)   CH コンスタンティノス・カツラニス (55) 
SH アンドレ・シュールレ(65)                グレゴリス・マコス (60) 
   マルコ・ロイス (80)                WG ソティリス・ニニス (55) 
OH メスト・エジル (90)                    ディミトリオス・サルピンギディス (65) 
CF ミロスラフ・クローゼ (70)                CF ゲオルギアス・サマラス (50)

交代

(ド)シュールレ→トマス・ミュラー(55)
  ロイス→マリオ・ゲッツェ(50)
  クローゼ→マリオ・ゴメス(55)

(ギ)
ニニス→テオファニス・ゲカス(55)
ツァベラス→ゲオルギオス・フォタキス(55)
マコス→ニコス・リベロプーロス(50)

監督 ヨアヒム・レーブ  S                  フェルナンド・サントス B

【試合概要】

優勝候補ドイツが、とうとう覚醒した。
この日のドイツは、前戦までに動きの悪かった3人(ポドルスキ、ミュラー、ゴメス)を、
ロイス、シュールレ、クローゼへと一気に代えてきた。
このレーブ監督の英断が、ドイツを蘇らせたと言える。
特にロイス、クローゼの動きは秀逸で、次戦からの継続起用を望みたい。

試合は前半からドイツが圧倒的な力の差を見せつける展開に。
後半、一度は同点に追いついたギリシャだが、すぐに突き放され、完全に引き立て役に回ってしまった。


【ドイツ】

前述したように、前節からメンバーを変えたレーブ監督の英断が、ドイツ代表を更なる高みへと導いた。
動きの少ないゴメスが前線に張っている時と違い、クローゼを前線に置くとチーム全体が活性化する。
初登場のロイスは、中央に構えるエジルとパス交換を繰り返し、そのエジルは大車輪の活躍で完全にゲームを掌握した。
後方に控えるケディラは好調を維持し、組み立てにも積極的に参加。
前節まで、馬鹿の一つ覚えのようにアーリークロスを繰り返したミュラーや、強引で利己的なプレイの目だったポドルスキに代わって入った、ロイスとシュールレ(シュールレはポドルスキ同様、少々利己的ではあったが)の働きにより、優勝候補の名にふさわしい圧巻のパフォーマンスを見せたのだ。
守備陣も、ギリシャにサイドを破られたシーンもあったとはいえ、十分許容範囲だろう。
ラーム、ボアテンクのオーバーラップも冴え渡り、チームの攻撃力は大幅に上がった。

この日のようなプレイができれば、どんな相手にも負けない。
そう思わせるだけの、充実したパフォーマンスだった。


【ギリシャ】

まずはここまで大会を盛り上げてくれた、その健闘を称えたい。
その上で、やはりドイツとはレベルが違うということをまざまざと見せつけられた。
特に守備陣は完全崩壊レベルで、ここまで抜群の安定感を見せていたトロシディスでさえ、例外ではなかった。
それにしてもGKのシファキスはどうしてしまったのか。
元から良いGKという認識はなかったが、今日の彼はボロボロだった。
何でもないボールもキャッチせずにコーナーに逃げる、頻繁にボールをこぼす、ふらふらと意図不明に飛び出すなど、完全に自分を見失ってしまっていた。
堅守を土台にして戦術を組み立てるチームの守護神が、これではいけない。

攻撃においてはサルピンギディスの存在が際立っていた。
何より1点目のアシスト、完璧な突破からの完璧なクロスで、試合を束の間面白くしてくれた。



【ギリシャ代表まとめ】

1勝1分2敗 得点5 失点7 攻撃 B- 守備 B- 面白さ B 総合 B


強豪国とは言えないが、実に不気味なチームだった。
ポーランド戦、度重なる不利なジャッジを覆して同点に追いついたあの試合から、ギリシャはどこか
可能性を感じさせるチームだった。

攻撃は、前線を走り回るウイングプレイヤー、サマラスに向けてのロングボールから。
彼が足元にボールを収めると、逆サイドのサルピンギディスが裏を狙って走り出す。
ぎこちない攻撃でありながらも、振り返ってみれば毎試合確実に1ゴールは奪えていた。

チームの精神的支柱は、04年大会の生き残りであるカラグーニス。
彼の一撃は、大国ロシアをも沈めた。
守りの局面では、若いセンターバックコンビ、パパスタソプーロスとK・パパドプーロスが可能性を感じさせ、
右サイドバックのトロシディスも好パフォーマンスを披露。
唯一不満だったのが、左サイドで穴になり続けたホレヴァスとGKのシファキス。

フェルナンド・サントス監督のポーカーフェイス(うまくいっている時でも、常に苦渋の表情をしている)も含め、
今大会のギリシャは、記憶に残るチームであった。





【プレビュー】

圧倒的に有利なのはドイツだ。それは誰が見ても明らかだろう。
死の組と呼ばれたグループBを3戦全勝、全く危なげなく勝ち上がってきたドイツ。
れっきとした優勝候補である。

グループリーグの戦いぶりを見る限り、やはり強い。
だが、面白さ、という意味では期待に応えられていないのが実際のところだ。
攻撃陣の両サイド、ミュラーとポドルスキに冴えが見られず、ラームのオーバーラップが少ないために
攻撃が中央に偏りがちになっている。
恐らくチーム戦術なのだろうが、工夫のないアーリークロスを繰り返すミュラー
ベンチにはデンマーク戦で良い動きを見せたシュールレやロイス、ゲッツェといった新鋭が控えており、ポドルスキやミュラーに拘泥することなく、彼らを試してほしいというのが率直な感想だ。
その絶好の機会であったデンマーク戦を逃した今、彼らの出番は訪れないのだろうか。
エースのゴメスもオランダ戦で永い眠りから覚めたものの、デンマーク戦で再び眠りについてしまった。
ベンチに控えるクローゼにはまだ、一歩も二歩も劣る。そんな印象だ。

そんなチームの中で最も輝いているのがケディラだ。
レアル・マドリーでは潰し屋の側面が強いが、思い返せば2010ワールドカップの時にも彼は
積極的な前線への飛び出しで、バラックの代役を立派に務めたのではなかったか。
ドイツ代表での彼は、守って良し、飛び出して良しの万能型センターハーフである。
ケディラとコンビを組む、シュバインシュタイガー、中央のエジルは彼らの実力を考えれば本領発揮とまではいかないものの、評価に値するパフォーマンスを見せているといえそうだ。
守備面では、ポルトガルのサイドアタックにやや苦戦を強いられたものの、ここまではほぼ問題ないと言っていいだろう。
心配されていたセンターの守備は、新戦力フンメルスの目を見張るパフォーマンスにより大幅に改善された。
バドシュトゥバーにやや落ち着きが見られないものの、ラーム、ボアテンクと組む最終ラインに問題は見られず、
後方に控えるのは今や世界でも3本の指に入るGKノイアーである。


一方、ギリシャの方はどうか。
奇跡的なメンタルの強さで、逆境を勝ち上がってきたのがこのチーム。
だが、ドイツと比べると1ランクどころか3ランク、4ランクは違うと言わざるを得ない。
特にキャプテン、カラグーニスの出場停止は大きく、彼抜きでチームの闘争心を保つことができるのか、
興味は尽きない。
立ち上がりに弱いのがここまでのギリシャの悪癖だが、ロシアを完封したことは自信に繋がったのではないだろうか。

まず大きな鍵を握るであろう最終ラインから見ていこう。
ポーランド戦、チェコ戦と、ボロボロだったのが左サイドだ。ここを守っていたホレヴァスは完全に「穴」で、
各チームに狙い撃ちにされていた。
ロシア戦ではツァベラスが起用され、やや改善したように見える。相変わらず磐石とは言いがたいが、前任者に比べればマシであろう。ドイツとしてはこのサイドを衝きたいところだが、ここまでのミュラーの動きを見ていると、ギリシャに脅威を与えるには不十分かもしれない。
ディフェンスリーダーはパパスタソプーロス、その横に若いK(キリヤコス)・パパドプーロスがつく。
ちなみにKと書くのは、アブラハム・パパドプーロスという選手がいるためだが、彼は負傷で大会を後にした。
この守備ライン、フィジカルに強く割と堅いが、スピード勝負に弱く、小回りの利く選手を捕まえるのは苦手である。
右サイドのトロシディスはここまで磐石。何の問題もない。
中盤のアンカーはマニアティス。更にここまではカツラニスとカラグーニスがコンビを組んでいた中盤センターは、攻撃よりも主に守備力に定評のある選手たちだ。
だが、今日はカラグーニスがいない。
代役に選ばれる選手が誰になるのかはわからないが、便宜上フォルトゥニスを予想スタメンには入れてみた。
これは、カラグーニスに最も特性が近い選手が彼だからという理由で、守りを固めるという意味でフォタキスを起用する可能性も高い。
(更に言えば、僕はギリシャ代表に詳しくはないので、僕の知らない選手が出てくる可能性も高い)。

ギリシャの攻撃は前線任せである。より具体的に言えば、中盤を省略してロングボールを蹴りこみ、機動力に優れたサマラスがそれを収める。ここからギリシャの攻撃は動き出す。
そのサマラスは、この役回りをこなすには少々パス能力に欠けるところがあり、決定力も低い。
だが、そうは言っても彼しかいないのがギリシャの実情で、キープ力は高く、守備にも貢献するサマラスの働きは大事な一戦になればなるほど重要となる。
逆サイドのサルピンギディスは、ラインの裏を取る嗅覚に優れ、ポーランド戦では大暴れ。
ドイツの右サイド、ボアテンクの裏をつくことも可能と見る。
だが、ドイツ代表はより守備力に優れたラームサルピンギディス番に任命する可能性があり、こうなってくるとギリシャは相当キツくなるだろう。
最前線にはゲカスが構える。ブンデスリーガでも長く活躍したCFで、今大会でもチェコ戦で1ゴールを挙げている。
悪くない活躍だと個人的に思っているが、フェルナンド・サントス監督は彼をあまり評価していないのか、
途中でニニスなどを投入し、サイドのサマラスをセンターに置くオプションも多用している。


戦力を分析してみても、ドイツの勝利は固い。ギリシャの勝利は20%、ドイツの勝利は80%と予想する。
だが、ここまで不可能を可能にしてきたのがギリシャだ。
1人少ない状態から彼らがポーランドに追いすがると、引き分けすら許されない状況からロシアに勝利すると
予想した人は多くないだろう。
ベスト8に進出しただけでもビッグサプライズである。だが、逆境に負けないメンタルの強さを持っているだけに、
不気味な存在と言えるだろう。







準々決勝 ポルトガルVSチェコ 

ポルトガル 1-0  チェコ


試合内容  C
MOM WG クリスチアーノ・ロナウド(70)(ポルトガル)
主審 A

GK ルイ・パトリーシオ(60)       ペトル・ツェフ (70)
CB  ブルーノ・アウベス (60)      トマシュ・シボク (50)
    ペペ (65)               ミハル・カドレツ (55) 
SB ファビオ・コエントラン (70)     ダビド・リンベルスキー (65) 
   ジョアン・ペレイラ (60)        ゲブレ・セラシェ (55) 
CH ジョアン・モウチーニョ (65)   DH トマシュ・ヒュブシュマン (50) 
   ミゲウ・ヴェローゾ (55)     CH ヤロスラフ・プラシル (55) 
  ラウール・メイレレス (70)     SH ヴァツラフ・ピラジュ (40) 
WG ナニ (65)                ペトル・イラチェク (55) 
   クリスチアーノ・ロナウド (70)  OH ウラディミール・ダリダ(60) 
CF エルデル・ポスティガ (40)    CF ミラン・バロシュ (40) 

監督 パウロ・ベント B-          ミハル・ビレク C+

欠場者                   OH トマシュ・ロシツキー

交代

(ポ)
ポスティガ→ウーゴ・アウメイダ(40)
ナニ→クストージオ(?)
メイレレス→ロランド(?)

(チェ) 

ダリダ→レゼク(40)
ヒュブシュマン→ペクハルト(?)


【試合概要】

はっきりいって、凡戦だった。
Euroの決勝トーナメントというビッグマッチでなければ、途中で観るのをやめてしまっただろう。
その責任は、チェコにある。
いくら守りに守っても、枠内シュート0本では話にならない(枠外も2本)。


立ち上がりから、チェコはナニ、ロナウドを警戒し、徹底的にサイドを封鎖してきた。
これがポルトガルを攻略する上で非常に有効な手段であったといえる。
特にリンベルスキーはナニとのマッチアップにことごとく勝利を収め、完全に彼を封じることに成功した。
従来の、ナニ&ロナウドに任せきりの攻撃ではチェコを崩せない。
ポルトガルの攻撃はコエントランがオーバーラップしてサイドに厚みを増すか、
あるいは中央からのスルーパスに頼るかの選択を迫られることになる。
個人的には後者のほうがより可能性を感じるし、現にモウチーニョやメイレレスのパスから
ロナウドが抜け出すシーンもあったが、チーム全体としてそれを狙っていく意識には乏しいように映った。
また、ポスティガの負傷交代により、前半のうちに1枠を使ってしまったのも痛かった。
ポスティガの代わりに投入されたのは、秘密兵器のオリベイラではなく、ポストワーカータイプのアウメイダ。
個人的には、ベント監督にはもっとオリベイラを信用してあげてほしいが、
可能性を感じるとはいえ実績のないオリベイラよりも、長年代表に定着しているアウメイダをとる選択をベントは行った。
これにより、勝負どころの時間でオリベイラを投入することが難しくなってしまった。


一方のチェコは、前述したように格上相手ということでまずは守備からという入り。
このプランは成功を収め、前半はチェコペースといってもいい展開だった。
とはいえ、ポルトガルゴールを脅かせたかといえばそんなことはなく。
セラシェのオーバーラップからの決定機が一度あった以外は、これといった見せ場はなく前半を終えた。
ロシツキーの代役ダリダは溌剌としたプレイを見せ、プラシル、イラチェク、そして何よりリンベルスキーのパフォーマンスが良かった。


後半に入っても試合の流れは変わらず。
前半同様、守りのことしか考えていないチェコには正直失望させられた。
時間を追うにつれ、ナニ、モウチーニョ、メイレレスとポルトガルの圧力が増していき、とうとうロナウドにゴールを決められた時、チェコの可能性は完全に消えた。
守ることはできても、攻めることができないチーム。
ベスト8でありながら、ネガティブな印象を残してチェコは大会を去った。


【ポルトガル】

ナニ、ロナウド頼みという弱点が如実に表れた試合となった。
同時に、攻め手を封じられても、全てを打開するだけの力が、ロナウドの個人技にあることも教えてくれた。
MOMは、この大事な試合でもきっちりとゴールを決めた、ロナウドだろう。
ナニも前半の不出来は痛かったとはいえ、後半は違いを作り出せていたので65点とした。
中盤では、いつも以上に前線にスルーパスを供給できていたメイレレスを70点。
後半からチャンスメイクに存在感を発揮したモウチーニョを65点とした。
最終ラインでは、効果的な攻め上がりを見せたコエントランを70点と評価。
とはいえ、チェコの攻撃があまりにも酷かったため、ポルトガル守備陣は仕事がほとんどなかった。
GKのパトリーシオがボールをセーブするシーンは皆無だった。

ベント監督の采配にはやや疑問が残った。
チェコにはまったくチャンスがなかったのだから、後半立て続けに守備固めの交代をする必要はなかったと感じた。
むしろ、攻撃の駒を試すなり、あるいは万一の時のために交代枠を残しても良かったのではないか。


【チェコ】

力の差といわれればそれまでだが、あまりにも守備的にすぎた。
その中ではGKツェフを70点、前半はナニをほぼ完璧に封じ込んだリンベルスキーを65点とした。
ロシツキーの代役を果たしたダリダは、運動量豊富で、少なくともコラージュよりは上だと感じさせた。
ワーストはバロシュ。この試合を含め、今大会4試合全ての試合で、何もできなかった。
バロシュ以外にFWがいないのかもしれないが、動き出しの遅かったビレク監督の采配にも不満が残る。



【チェコ代表まとめ】

2勝2敗 4得点 6失点 攻撃 C+ 守備 B- 面白さ B- 総合 B-


チーム力を考えれば、ベスト8に行けたことだけでも成功と言えるだろう。
テクニシャンを揃えた中盤2列目、イラチェクやピラジュ(どちらも来シーズンはヴォルフスブルクですね)など面白いタレントはいたが、一人で打開できるほどの選手ではない。
前線には終始眠り続けたバロシュがいるのみで、その攻撃力の乏しさがポルトガル戦ではモロに出てしまった格好だ。
一方、守備陣は初戦のロシア戦で崩壊の憂き目にあったが、DHヒュブシュマンの起用を境に持ち直したと言える。
ゲブレ・セラシェ、リンベルスキーのSBにはポジティブな評価を与えられるものの、やはり力不足という印象は拭えなかった。


【試合前に書いたプレビュー】

死のグループを2位で通過したポルトガル。
大会前は正直、彼らを全く評価していなかっただけに、予想外のパフォーマンスに驚かされた。
守備陣はペペコエントランのレアル勢のパフォーマンスが抜群に良い。
特にコエントランは、2年前の輝きを取り戻したように、縦横無尽の運動量を見せている。
逆サイドのジョアン・ペレイラもオランダ戦では1アシスト。
数字では3試合で失点4を喫しているが、守備の堅いチームという印象は変わらない。
堅実な守備をベースにした3センターも、守備力の高さに一役買っている。
特に、セットプレイも任されるモウチーニョは、守備と攻撃の繋ぎ役として大きく貢献しているといっていい。
欲を言えば、メイレレスあたりの飛び出しがもう少しあっても良いところ。

チームの重心は低く、攻撃は前線の3人任せというシーンが多い。
両サイドのナニ、ロナウドの2枚はいずれも圧巻の突破力を誇っており、同時に決定力をも兼ね備えている。
ナニ、もしくはロナウドがサイドを突破すると、前線、機動力を生かしてポスティガがスペースを作り、そのスペースに逆サイドのウイング(ナニが突破をすればロナウドが、ロナウドが突破をすればナニ)が詰めてくるのだ。
チーム戦術は攻撃的とは言えないのだが、両ウイングの破壊力溢れる突破は見ていて面白い。


一方のチェコは、グループAを首位で通過した。
だが、ポルトガルを相手にするには分が悪いというのが率直な印象だ。
大会前、謳われていた守備力は、ロシアを相手の4失点で崩壊。
続くギリシャ戦では守護神ツェフのファンブルまで加わった。
両サイドバックは比較的良い。特に同国初の有色人種選手でもあるセラシェは、抜群のスプリントを見せている。ポルトガルの攻撃はサイドアタックが主であるため、セラシェ、リンベルスキーがいかにポルトガルのウイングを抑えられるか注目である。

守備の重鎮といえばDHのヒュブシュマンだ。ロシア戦の後半から登場し、瞬く間にレギュラーポジションを奪った彼の存在により、チェコの守備は格段に改善された。
チェコの中盤はとにかくテクニカル。吸い付くようなボールタッチが魅力の好選手揃いだ。
中でも右サイドのイラチェクのドリブルは実に巧い。スピードではなくテクニックで抜き去るタイプのSHである。
対して左サイドのピラージュは、前線への飛び出しの得意なMF。するすると抜け出して得点を奪う。
中央のロシツキーのゲームメイクも必見だ。ポーランド戦は負傷欠場したが、恐らくポルトガル戦には戻ってくるだろう。
イラチェク、ピラジュ、ロシツキーの中盤はチェコのストロングポイントであり、個性溢れる三者三様のプレイは見所だ。ただ、巧く言葉にできないのだが、タレント性というかパーソナリティがどこか小粒な印象は拭えない。
優れたタレントではあるが、スター選手ではないというか、小さくまとまっている印象が否めないのだ。
最前線のバロシュは、過去3試合いずれも眠ったままである。はっきり言って、全く脅威になれていない。
まだ30歳と老け込むような年齢ではないのだが、8年前の得点王は復活するのだろうか。
得点はもっぱら、二列目のピラジュ、イラチェクらにかかっているというのが、チェコの苦しいところである。


#青字は今大会、ここまでポジティブな印象を抱いている選手
赤字はネガティブ。色なしはまずまず。


グループC スペインVSクロアチア

スペイン1-0 クロアチア

MOM GK イケル・カシージャス(70)(スペイン)
試合内容 B
主審 C+
 
GK カシージャス(70)                  プレティコサ (65) 
DF アルバ  (60)                                  ストゥリニッチ (50) 
   アルベロア (60)                               ヴィダ (40) →イェラビッチ(50)
   ラモス (60)                                    シルデンフェルト (45) 
   ピケ (55)                                   コルルカ (50) 
MF ブスケッツ (60)                                 プラニッチ (40) →ペリシッチ(50)
   シャビ・エルナンデス (60)→ネグレド(55)   スルナ (50) 
   シャビ・アロンソ (60)                             ラキティッチ (25) 
FW イニエスタ (70)                                モドリッチ (65)    
   シルバ (60)→セスク(60)             ブコイェビッチ (20) →エドゥアルド(?)
   トーレス (60)→ナバス(60)             マンジュキッチ (65)

監督 デルボスケ  B                  ビリッチ B+


【試合概要】

2-2の引き分けなら両者突破ということで、両チームの目標がどこにあるのかを探りながらの観戦。
引き分けで良いという消極的な入り方をしたスペインに対し、ファウル紛いのプレイでガツガツと削りにいくクロアチア。
クロアチアの守備の荒さに、スペインは自由にボールを回せないまま前半が終了する。

後半に入ると、クロアチアは攻撃姿勢を強め始める。
スペインは後手後手に回り、完全にクロアチアペースに。
イタリア戦の後半を思わせる、クロアチアのペースコントロールは実に見事で、スペインが失点を免れたのは
ひとえにカシージャスのスーパーセーブによるもの。

終盤、デルボスケ監督はトーレスを下げ、ナバス、シルバに代えてセスクを投入する不可解な采配を見せるも、これが当たってしまうのだから面白い。
後半43分、セスクのスルーパスに飛び出したイニエスタ。横パスでGKを外して詰めたのはナバス。
セスク、ナバスと、監督の采配が的中し、スペインは綱渡りの勝利を収めた。


【スペイン】

全体的に良くなかった。
チームの窮地を救ったのはカシージャスのスーパーセーブ。
彼をMOMに選ぶのはある意味当然といおうか、それ以外に選ぶべき選手が見当たらない。
トーレス、シルバと動きの良かった選手を下げたデルボスケ采配にも疑問が残るが、
交代して入ってきたナバス、セスクが仕事をしたのでここは評価しておくべきか。

【クロアチア】

闘志の伝わってくる好試合ではあった。
だが、その闘士がファウルという形で見えてしまったのは少し残念ではある。
特に目を覆うファウルが数回あったラキティッチとヴコイェビッチの採点は辛い。
スルナも攻撃面で素晴らしい働きを帳消しにしてしまうような2回のラフプレイであった。
一方、アイルランド戦、イタリア戦以上にキレのある動きを見せたモドリッチ、
前線で脅威となり続けていたマンジュキッチには一定の評価が与えられる。

2010年のオランダについての記事 コピペ

今大会のオランダは、2010年ワールドカップのオランダとほとんど印象が変わらない。
成績自体は雲泥の差であっても、やっているサッカーの質は同じだ。

敗退国まとめのオランダの項目で、2年前に僕が書いた文章を見てほしいと書いた。
だが、僕のブログは、僕自身がタグ付けなどを怠っているため、過去記事を遡って読むのがやりにくい。
そのため、関係ありそうな記事を僕のほうでまとめてみた。

これらの文章は全て、僕が2年前に書いた文章である。


2010
VSデンマーク

勝ってなお、失望しか残らなかった。どうして、ファンニステルローイを呼ばなかったのか? ファンペルシーをセンターに回したことと、ロッベンの負傷でウイングプレイは消滅。サイドバックもまるで上がらず、サイドアタックは後半エリアが投入されるまで皆無だった。
そのエリアが攻撃を活性化し、後半はチャンスを作ったが、それでもスペクタクルとまでは行かず。


2010
VS日本

2連勝でベスト16進出。にも関わらず、オランダの今大会の評価は暴落気味だ。日本相手に、ゴールは1つ、決定機もほとんど作れないオランダ。サイドバックも上がらず、ウイングもいない、サイドアタックが存在しないオランダ。得点を決めることのできないCFファンペルシーの苛立ちだけが目立つ。
ロッベンの欠場、そしてファンペルシーのセンター起用により、翼をもがれたオランダは、堅守に支えられたごくありふれた強豪になってしまった。世界のサッカーファンを魅了した、あのユーロ08のオランダは、ユーロ04の、ユーロ00の、98ワールドカップのオランダは、いったいどこへ行ってしまったのか。  


2010
VSカメルーン

強い、けどつまらないオランダにポジティブな印象はあまりない。ロッベンが入れば変わるかと思ったが、大して変わらず。カイトはともかく、フンテラールまで下がって守備をしているんだから、ある意味立派。守備力の方はなかなかのもので、PKによる1失点(それも、偶発的なハンド)のみである。
1回戦の相手がスロバキアなので、ベスト8進出はほぼ決まったようなものだろう。面白いサッカーはまるで期待できないが、成績の方は期待してもいいかもしれない。 


2010
VSスロバキア

腐りかけのオレンジ。4勝0分0敗、8得点2失点(うちPK2)のチームには本来ふさわしくない形容詞だが、印象としてはこれ以外にない。見る価値があったのは、ロッベンとカイトのみで、後は極めて凡庸で退屈なゲームの脇役でしかなかった。

オランダに夢を見るのはやめよう。2年前、ベスト8で散りながらもあれだけ鮮烈な印象を残したオレンジ軍団は今日、再びベスト8に進出した。だが、今大会のオレンジ軍団は思い出す価値もない。


2010
VSブラジルプレビュー

事実上の準決勝……と言ってしまっていいものか。選手の名前だけならその通りなのだろうが、今大会のオランダはあまりにも魅力がない。スロバキア戦でも、攻撃は単発、ロッベンの個人技頼りに終始。攻撃の頼りなさを補う守備陣の奮闘はあるものの、ベスト4を狙うチームのパフォーマンスとは言えない。注目選手には攻撃を担う4選手を挙げたが、この平均点からもファンペルシーの絶不調、スナイデルの不調が見てとれるだろう。  
 

2010
VSブラジル

 ブラジルを破ってのベスト4。にも関わらずオランダを手放しで賞賛できないのは、行っているサッカーがあまりにも退屈で、レベルも高くないからだろう。デンマーク戦の相手のオウンゴール、日本戦のスナイデルの一発芸、スロバキア戦でもロッベンの個人技、そしてこの試合のオウンゴール。

オランダは未だに、一度たりとも、相手を組織で崩したゴールを挙げていない。オランダだということを忘れて、このチームをイタリアだとでも割り切れば良いのだろうか。こんなに美しくないオランダ、それでいて結果だけは残してくるオランダをどう評価していいのか、正直に言えば迷っている。
ただ、このオランダが優勝をしても、オランダ人以外喜ばないだろうことは確かだ。 


2010
VSウルグアイ

オランダの2点目は、オフサイド気味ではあった。あのゴールがなければ…という思いはあっただろう。

退屈なオランダは、それでも少しずつマシにはなってきている。2点目、オフサイド気味ではあったが、ロッベンを基点に、ファンペルシー、スナイデルと絡んでのゴールは『悪くはなかった』。特にファン・ブロンクホルストの復調ぶりは目覚しく、彼本来のオーバーラップが今大会初めて見られた。ロッベンも少しずつ体が切れてきている。ただ、決勝に進出してきたチームにしては、やはり攻撃のアイディアでも、守備の堅さでも物足りなさが強く残る。場違いな気さえする。率直に言って、ユーロ04のギリシャなんて目じゃないほど、つまらない。
違和感が残るのはスナイデル。今大会5ゴール。素晴らしい成績だ。だが、スナイデルは試合を決めるだけの仕事はしているが、さほど輝いてはいない。90分間消えていても、1ゴール決めれば英雄。ストライカーを形容する言葉だが、今大会のスナイデルはまさにそれだ。


2010
VSスペイン

オランダは醜悪だった。ファンボンメルはいったい何回、相手を蹴ったのだろう? デヨングはいったい何を考えて相手を踏んだのだろう? ハイティンガは、スナイデルは? ロッベンのカウンターは確かに切れ味が鋭かったが、それだけ。3人は退場していてもおかしくなかった。最後の、ファンブロンクホルスト→ブラーフヘイトという交代も謎だ。不調のファンペルシーを最後まで引っ張らず、アフェライ、もしくはフンテラールを起用することはできなかったのか。こんな醜いサッカーに堕さずに、次からはまたオランダらしいフットボールを期待する。結局、ブンデスリーガで復調していたファンニステルローイを呼ばなかったことが、致命傷だったのだ
CFのファンペルシーは大会を通じて全く輝かず、スナイデル・ロッベンの個人技と運だけに頼った攻撃に留まってしまった
デンマーク・日本・カメルーン・スロバキア・ブラジル・ウルグアイ。対戦相手にここまで恵まれなければベスト8が精一杯のチーム力だっただろう。ブラジル戦も、相手が自滅してくれただけだ。


ちなみに、Euro2008のオランダは、まるで違うチームだった。4年前に書いた記事がこれである。


VSフランス

(前略)それが今や、大会でも1、2を争うくらいに美しく、魅力的なチームである。
私事で恐縮だが、仕事で疲労困憊になって帰ってきたのだが、この試合を見るや否や
疲労が吹き飛んでしまった。それくらい、わくわくする、興奮できる90分だった。
特にロッベンとファンペルシーが加わった後半、オランダの破壊力は異次元レベルへ昇華した。
リードしても攻め続けるサッカーで、イタリア・フランスから実に7得点!
それも、ほとんどが流れの中からの美しいゴールである。
スナイデル、ファンデルファールト、ファンニステルローイ、カイト、ロッベン、ファンペルシー……。
同じく今大会で恐るべき強さを見せているポルトガルが、ロナウドとデコの2人が協演しているのに対し、オランダはオールキャストがオーケストラを奏でて
いるのである。なんと恐るべきチームであろうか。






グループリーグ敗退国まとめ 

★クロアチア 1勝1分1敗 得点4 失点3 攻撃 B- 守備 B+ 面白さ B- 総合 B

注目選手 CF マリオ・マンジュキッチ(63.3/3試合)

大会随一の試合巧者という印象だ。
幸運に恵まれたアイルランド戦の快勝よりも、むしろイタリア戦の後半、そしてスペイン戦の後半に
彼らの強さが垣間見えた。
それは、スルスルといつのまにかペースを握ってしまうペースコントロールの妙。
そして前線に構えるマンジュキッチに送り込まれる質の高いロングボール、クロスだ。
スペイン戦の後半にはGKまで上がっての全員攻撃を敢行。
熱い男、ビリッチ監督の魂が伝わる名シーンだったと言える。

一方、やや不満が残るのは、サッカースタイルの転換だろう。
Euro2008のクロアチアは、ラキティッチ、モドリッチ、クラニツァルを中心に、足元の技術を活かしたテクニカルで華麗なサッカーを見せてくれていた。
今大会のクロアチアは、中盤のメンバーはさほど変わっていないにも関わらず、泥臭いフィジカルサッカーへと変貌を遂げていた。
スペイン戦の前半でも見せたような、相手の中盤を潰すサッカーだ。

闘志溢れる激しいサッカー自体を否定するつもりはない。
だが、華麗さを失ってしまったのは少々残念である。
天才モドリッチが本領を発揮したのは、スペイン戦最後の45分間だけだった。




★オランダ 0勝3敗 得点2 失点5 攻撃 C+ 守備 C+ 面白さ C+ 総合 B-

失態を晒したA級戦犯は、ファンマルバイク監督だ。
2010ワールドカップ当時から、オランダのサッカーはロクでもないものだった。
前線のタレント能力だけに頼り、デヨング&ファンボンメルのフィルターがファウルで相手の攻撃を叩き潰すだけ。
だが、そのワールドカップでオランダは数々の幸運に恵まれ、なんと準優勝をしてしまった。
ワールドカップ準優勝。しかも、決勝では延長までもつれるほどの激戦。
やっているサッカーはつまらなくても、このままでいいんだ。
そんな誤った確信が、今回のEuro敗退の直接の原因なのだ。
考えてみてほしい。
あのワールドカップで当たった相手は、デンマーク、日本、カメルーン。
トーナメント1回戦のスロバキア、準々決勝のブラジル戦では前半のうちに相手にレッドカードが出され、オウンゴールまであった。
準決勝のウルグアイ戦では、相手の2大エースの片割れ、スアレスが出場停止に。
そして本来オフサイドだったゴールが認められての勝ち抜けではなかったか。

しかし、今回の相手はデンマーク、ドイツ、ポルトガルである。
相手の出場停止にも、オウンゴールにも、退場にも頼れなければこの結果は必然だ。

ファンボンメル&デヨングの中盤が調子を落とし、フィルターがかからなかったこと。ファンブロンクホルストの引退で、サイドに穴が開いてしまったことにより、2年前よりも明らかに守備力が低下した。

そして攻撃陣。
僕自身が当時オランダをどう書いたか、興味があればお読みいただきたい。
2年前当時と攻撃の印象は、まるで変わっていない。
ロッベン、アフェライ(当時はエリア)、スナイデル、そしてファンペルシー。
各々の破壊力は抜群で、個人技だけでも十分に相手に脅威を与えることができるメンバーが揃う。
だが、彼らが有機的に連携することはほぼ皆無で、特に前線のファンペルシーの切れ味の悪さは目を覆うばかり。
未だファンニステルローイの穴は埋まっていない、とは2年前にも書いた。

それならいっそファンペルシーをウイングで起用して、CFにフンテラールを置いてみては?と、
予想記事で書いた記憶があるが、結局ファンマルバイクはファンペルシーと共に心中することを選んだようだ。


僕は、それでも今大会のオランダをベスト8と予想していた。
それは、ポルトガルの力を甘く見ていたからだ。
だが、ポルトガルは僕の予測を遥かに超えた良いチームだった。

一方、オランダは、予想通りのパフォーマンスだった。
これでは勝ち抜けないのも、無理はない。



★デンマーク 1勝2敗 得点4 失点5 攻撃 B- 守備 B+ 面白さ B 総合 B+

注目選手 GKアンデルセン(平均68.3点/3試合)
      CF ニクラス・ベントナー(65/3)
      WG クローン・デリ(65/3)

ドイツ、オランダ、ポルトガルの死のグループに組み込まれながら、大健闘を見せたといっていいだろう。
GKアンデルセン、CBのキアル、アッゲルを中心にした最終ラインが見事に踏ん張り、攻撃陣、中でも大事な場面で2ゴールを決めたクローン・デリの勝負強さと、最前線でエースの重責を担い期待に応えたベントナーの活躍は見逃せない。
中盤の底、クビストやジムリングも好選手であったし、シモン・ポウルセン、ヤコブセンのSBのオーバーラップも見応えがあった。

一方、パスがあまり巧くない最終ラインでの繋ぎは、繋ぐ意識が高いこともあって、不安定なパスミスが散見された。この大会では致命傷にはならなかったものの、これは2010年以来の悪癖である。
また、期待されていたエリクセン、ロンメダルは今ひとつで、特に前者の切れ味が悪かったのは残念ではあった。
何より、ポルトガル戦。後半42分までリードをしておきながら、ヴァレラの一発に泣いたあの試合。
あと3分(+ロスタイム)を踏ん張り、引き分けのまま終えていれば、べスト8に進出できていただけに、本当に悔やまれる失点だっただろう。

大会前、列強3ヶ国ばかりを注目していた人もいるだろうが、そんな人たちを見返すだけのパフォーマンスを
今大会のデンマークは見せてくれたように思う。



★ロシア 1勝1分1敗 得点5 失点3 攻撃 B+ 守備 B- 面白さ B 総合 B

注目選手 WG アンドレイ・アルシャビン(平均70点/3試合)
       WG アラン・ジャゴエフ(60/3試合)

グループAで最大の実力を持った国であり、実際その実力もある程度の部分までは出せていた。
故に早すぎる敗退と言っても言い過ぎではないだろう。
だが、対戦相手に恵まれたグループAを突破できなかったという事実は、やはり深くかみ締めるべきである。

チェコを相手に4-1と圧勝した、あれこそがロシアの真の姿だろう。特に前半のパフォーマンスは見事で、
4年前の強いロシアを今大会でも見られると期待したものだ。
続くポーランド戦、そしてギリシャ戦・・・・・・。不思議と、ロシアが悪かった印象はない。
ただ、エンジンがかからず、のらりくらりとしているうちにいつのまにか負け(あるいは分け)ていた。そんな印象だ。
選手個々で見れば、アルシャビン、ジャゴエフの両ウイングは十分に持ち味を発揮していたといえる。
また、両SBのジルコフ、アニュコフもまずまずで、彼らには合格点が与えられるだろう。
GKのマラフェエフも特に問題はなかった。

一方、物足りなかったのが自慢であるはずの中盤だ。
デニゾフ、シロコフ、ジリヤノフのゼニト所属の3センターはロシア最大の強みだったはずだ。
彼らが「らしさ」を見せたのは、チェコ戦の前半だけだった。シロコフはチェコ戦、デニゾフはギリシャ戦で及第点以上のパフォーマンスを見せてくれたが、あくまでも日替わり。常に良質なパフォーマンスを期待したかった。
最大の失望はCFのケルジャコフだろう。とにかく点が決められない。シュートが枠に飛ばず、ゴールから完全に見放されていた。

返す返すも、チェコ戦前半の45分。あのパフォーマンスだけを良い思い出に残し、ロシアは大会を去った。


★ポーランド 0勝2分1敗 得点2 失点3 攻撃 B- 守備 C+ 面白さ B- 総合 C+

ポーランドを端的に表現するなら「ガス欠」。これに尽きる。
良い時間帯は確かにあるのだ。その時間には、ブラシュチコフスキがどんどん突破してきたり、
レバンドフスキが存在感を発揮したりもする。
ところが、その時間は長く続かない。その時間を過ぎると、反動が来たかのように疲労困憊してしまうのだ。
無駄走りが多く、体力が足りない。そんな印象である。

さすがといおうか、ドルトムント勢のクオリティは高かった。
だが、ギリシャ戦の露骨なホーム寄りの笛、そしてロシア戦でも審判に味方されておきながら。
そして何より、大国不在のこのグループを突破できないようでは、言い訳もできないだろう。
スムダ監督の弱腰の采配にも疑問が残る。
ギリシャ戦、相手が一人少ない時間もあったのに、どうして攻撃的なカードを切らないのか。

今大会のポーランドは「失敗」だった。そう思わざるを得ない。


★スウェーデン 0勝2敗 得点3 失点5 攻撃 C+ 守備 C+ 面白さ B- 総合 C

今大会べスト8進出を予想していた身としては、期待はずれと言わざるを得ない。
アウトサイダーと目されたウクライナと、相性抜群のイングランドに連敗。
グループ最強と思われるフランス戦を戦わずして敗退を喫したのだから、辛い評価にならざるを得ない。

世代交代に完全に失敗したというのが率直な印象だ。
元より4年前の2008年の時点で、とっくに限界は見えていた。
あれから4年、新しいタレントはまるでいなかった。
守備の要、35歳のメルベリが最も目立つようではダメだろう。
ウォルコットのようにスピード溢れるアタッカーを相手にすると、鈍重な守備陣はまるで無力だった。
中盤はある程度の構成力を保持していたが、サイドのエルム、ラーションは突破力に欠けた。
攻撃は構築からフィニッシュまで、全てイブラヒモビッチ一人に任せきり。
頼りになる相棒がいればまた違ったのだろうが、S級タレントの彼でもさすがにこれではどうしょうもない。
敗退は必然だった。振り返れば、そういうことなのだろう。


★アイルランド 0勝2敗 得点1 失点7 攻撃 C- 守備 C+ 面白さ C- 総合 D

注目選手 GKシェイ・ギブン(70点/2試合平均)

残念ながら全くいいところがなかった。
開幕戦、クロアチアを相手に不運な失点を繰り返すと、スペインには実力の差を完膚なきまでに見せつけられた。
敗因はやはり、工夫に乏しい攻撃にある。
前線へ向けてロングボール一本。 ポストに当てて、そのこぼれを拾うという戦術にも関わらず
そのポスト役が180センチのドイルや183センチのコックスでは厳しい。
その上、エースのはずのロビー・キーンは2試合通して精彩を欠いた。
ぱっとしなかったのはキーンだけではない。サイドのダフやマクギーディがもっと効果的なクロスを上げることができていれば。

守備に関しても褒められる点は少ないが、スペイン戦で魂のセーブを見せたギブンと、中盤で必死に火消しに走り回っていたアンドリュースの存在は、数少ない好印象を与えてくれた。
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