2012年07月

キラ☆キラ 自分のための覚え書き (バレあり)

きちんとしたレビューは、全員クリア後に書きます。
この記事は、後でレビューを書く際に使うメモ書きみたいな感じ。


千絵ルートを終わっての感想

まず、第二文芸部のメンバーが、全員大人。
高校生とは到底思えないほど、落ち着き、成熟していると思う。 

僕が考える青春というのは、難関にぶつかったとき、「仲間の手助けも得て、無謀でも必死に立ち向かっていく→そしてしばしば解決してしまう」というものなのだけど、この作品はそうじゃない。
「何とか現実と妥協する」という、実に大人な、実にリアルな問題解決方法を提示してきている。
少なくとも千絵姉クリア段階ではそう。
この点、悪いとは言わないけれど、僕の好みとは違うな、と。


千絵姉ルートは、お世辞にも出来はよくないと思う。
最大のミスマッチは翠親子で、正直何のために登場しているのかがよくわからない。
ただただ不快なキャラだった。


正確な状況を知りもしない、第三者が(実の娘である千絵姉ならまだしも)、
あぁいうデリケートな問題について、一方的に誰かを責めるというのはとても不愉快。
現に、的外れな罵詈雑言を、千絵パパの不倫相手にぶつけていたわけで、まったく話にならない。
しかも、不快なら不快なりに、問題をかき回してくれるのかと思うと、それほどでもなかった。


そして、千絵姉ルートは、ハッピーエンドではない。

何故なら、『理解しても、うまくいかないことはある』とか、『他人への依存から生まれる幸せは儚い』という
千絵姉の発言自体が、この先の不安を暗示している。

この先、様々な難関・懸念材料が二人に襲い掛かってくることは容易に想像がつくけれど、
それに対する解決策は、『ロックンロール!』の掛け声と、円陣を組む二人の団結力だけである。


懸念が、『外敵』によるものならば、これはこれで(「俺たちの戦いはこれからだ」的ではあるにせよ)良い終わり方だと思うが、このシナリオで呈示された『懸念』は前述したように、『内部崩壊』である。


鹿乃介の助けを借りず、一人でロックンロール、と叫んで父と立ち向かった方がまだしも良かったように思うのは僕だけか。


ちなみに、この『相手への依存』というテーマは、エロゲに限らず恋愛小説においては、相当描くのが難しいテーマであるように思う。


確かに現実の恋愛では、 実はこの問題こそが二人を引き裂く最大の懸念材料なのだが
(付き合ったカップルが別れる原因は、「外敵に無理やり引き裂かれる」よりも、圧倒的に「お互いしっくりいかなくなった」の方が遥かに可能性が高いだろう)、
「外敵に立ち向かう」テーマが二人の絆を描きやすいのに対し、「最大の敵が、お互いへの依存心」というのは
いかんともしがたい。


「つよきす」の良美シナリオのように、「それでも俺はお前を愛すんだ!」と、(ある種間違った方向にとはいえ)開き直れてしまえば物語としては格好がつくのだが、千絵姉ルートはそこのところ、どっちつかずな印象だ。
60点。



紗理奈ルートが終わっての感想。

こちらは、まずまずといったところ。
特にこれと言って書きたいこともないけれど、樫原一族(おじいさんも雄二さんも、メイドの佐々木さんも)は皆、
キャラが立っていて、良かったと思う。
地味なテーマではあるけれど、最後は祖父と和解して、気持ちの良い終わりかただった。

根は悪い人じゃないのに、素直になれなかったり、色々と感情的にこじれてしまって~というお話。
70点。

前半の沖縄旅行編も悪い話じゃないのだけど、後半と全くつながりがないので、『水増し』に見えてしまうのは欠点。
あと、やっぱり全然パンクじゃないよね(苦笑)

チョ・チャンイン「グッドライフ(カシコギ)」読了(重バレあり)

評価は A+。
 

韓流、というと、『ベタな展開による泣かせ系』を連想する人が多いのではないだろうか?
少なくとも、僕はそうだった。
それだけに、以前ウィ・ギチョルの「9歳の人生」という愉快な作品を読んで、(当たり前だけど)韓流と言ってもいろんな作品があるんだなぁと感じたものだ。


さて、今回読んだ「グッドライフ」は、僕が以前連想していた韓流そのままの、『ベタ泣かせ系』の作品だった。


主人公は、30代のシングルファザー。
9歳の息子は白血病で長期入院中で、入院費が嵩んで、治療を拒否されそうな状況(ひでぇ……日本だと、さすがに治療拒否はないですよね……)。
とにかく息子が生きがいの主人公は、何とかして息子を救おうと、文字通り身を粉にしてがんばるのですが、
彼自身もまた、肝臓がんに冒されていたのでした……。


という、何とも救いようのない、悲しい悲しいお話でした。
この主人公の設定が秀逸で、何度も挫けそうになりながらも、必死で息子を守るその姿勢は涙なしには読めないものがあります。


もし僕が彼の立場なら、「息子はもう無理だ……まだ30代なんだし、再婚してまた新しく息子を作ればいいや」などと思ってしまうかもしれません。
もちろん、命というのはそういうものではないのは百も承知なのですが、厳然として人間には、できないことがあります。
あきらめてしまっても仕方がないレベルの困難だと思うのです。


ですが、この主人公は諦めず、闘います。そしてその結果、なんと息子の命を守り通すのです。
自らの命を、犠牲にしてまでも。


……真の『漢』と言いましょうか、こんなに立派なパパは、フィクションの中でもそうそう見られるものではありません。
ファンタジー小説で、世界を救うべく強大な悪と闘う主人公のことを勇者と呼びますが、
この小説の主人公であるチャン・ホヨンこそ、真の勇者だと僕は思いました。

悲しいだけでなく、かけがえのない父親の愛を感じ取れる名作だったと思います。


ちなみに、この本は元々「カシコギ(トゲウオの意)」というタイトルで発売され、
ドラマ化にあわせて 「グッドライフ」と改題されましたが、絶対に元の「カシコギ」のままが良いです。

主人公の生き様を象徴した「カシコギ」というタイトルに比べ、
「グッドライフ」というタイトルからは何も伝わりません。

三浦綾子「ひつじが丘」読了(バレだらけ)

評価はA。
面白かったです。

物語は、5人の男女が絡む泥沼恋愛小説といった趣が強いですが、
そういうのが好きな人には堪らないですね。


奈緒美(ヒロイン格)→良一が好きで、結婚するも、良一の欠点に幻滅気味。

良一(男主人公格)→奈緒美も輝子も好きなので、奈緒美と結婚して輝子も愛人にしちゃうぜ!

輝子(ライバル役)→良一の愛人。

竹山(失恋役?)→奈緒美のことが好きだけど失恋。未練タラタラ状態で、京子と結婚。

京子(良一の妹)→竹山と結ばれる。


という、感じです。
そんな恋愛設定も面白いですが、テーマは『キリスト教的な、愛と赦し』です。

ろくでもない良一が更正していくという筋書きで、彼が更正し、キリストに赦しを乞うシーンでは
思わずぐっと感動してしまいました。
僕のような無心論者にも訴えかける、 三浦さんの筆力、ストーリーテリングの巧さは、さすが往年の人気作家さんと思わされます。

また、(やや京子の描写が薄い気はするけれども)、良一や輝子といった、どちらかというと「悪役に近い人」にも
共感させられる、心理描写にも目を見張らされました。
やっていることはひどいけれど、良一の孤独も、輝子の孤独も感じ取ることができました。
輝子が、ただのやな奴として薄っぺらく書かず、きちんとした一人の人間として描いていたことも好ましいです(三浦さんの作品は、登場人物を少人数に絞る一方で、一人ひとりをきちんと描く姿勢に好感がもてます)。


『愛とは、赦すこと』。
僕の乏しい恋愛経験の中で、どうしても赦せなかった女性もいました。
今どうしているかもわかりませんし、恐らく相変わらずなのだろうと思いますが、
彼女を赦すことができていれば、僕も彼女も、ひょっとしたら今とは違った形で生きていたのかな、とも思いました。

……まぁ、現実にはなかなか、良一のように綺麗に改心して真っ当になる人は多くないと思うので、
最初からある程度真っ当な人を愛した方がいいような気もしなくもないですが、
人間なんて、皆、多かれ少なかれいろいろな欠点を持っているもの。


欠点まで含めて、愛せるようになりたいと思いました。


東野圭吾「夜明けの街で」感想(ばれあり)

評価はA-。


ちなみに、↓は感想と共に僕の不倫観も書いてあります。
どちらかというと、寛容派の発言なので、不倫絶対ダメ!派の方からすると不愉快かもしれません。
ご了承を。


面白かったです。
不倫のドキドキ(恋愛小説的な面白さ)と、徐々に明かされていく秋葉の怖さ(サイコホラー)、
一粒で二度美味しかったですね。
それだけに、秋葉の正体は殺人犯で押し通しちゃった方が、より怖くて良かったんじゃないかなぁ、なんて思ったりもしました。
『「ごめんなさい」が言えない理由』としても、ちょっとインパクトが弱いというか、無理やりな感じがします。
殺人犯でいけば、スッキリしたのに、と。


主人公についても少し。
まず、年齢気にしすぎだからw と何度も思いました。
だって、主人公40前でしょ? 不倫相手のヒロインは31歳。
相手が20代前半ならともかく、この程度の差なら大して気にする必要ねーじゃん、と思います。


主人公がしょうもない、というのも確かで、フラフラしてやがるなーと。
「浮気」なら浮気として、楽しく。けれども心できちんと線を引いて、けじめをつけて遊ぶべきかなと。


僕の不倫観については、P120からの新谷さんの台詞「赤い糸なんて存在しない」そのままで、何も付け加える必要はないです。
つまり、浮気したくなるのは結婚した相手がダメだったから(=離婚して、不倫相手とゴールインすればきっとうまくいく)ではなく、「新鮮味が薄れたから」にすぎない(不倫相手とゴールインしても、数年経てばまた同じ)と思います。
もちろん相手によって、賞味期限の長さはあるにせよ、本質的なところは同じ。
ときめきを楽しみたいなら、奥さん以外の女性が必要ということです。


なので、ときめき欲しさのために、奥さんと離婚して不倫相手と結婚するというのは、愚の骨頂かなと思いました。けじめをつけて遊ぶべき、というのはそれが言いたかったのです。


で、主人公は秋葉にのぼせて、「本気(離婚して君と結婚したい、みたいな)っぽいこと」を言っちゃうんですけど、まぁ情けないですね。
これは、言っちゃいけない。言うとすれば、本当に気持ちが固まってから言うべきで、
この主人公のように、フラフラした状態で、口からでまかせのように言うべきではないです。


「離婚して、新しい女性と一歩を踏み出す」という行為自体を全否定するつもりはありませんが、
「ときめきが欲しい」、「男じゃなくなってきてる」、「いいエッチができてねーなぁ」ということでしたら、
遊びでとどめておくべき。


主人公のこの軽率な発言とともに、秋葉がマジになっていくところはリアルに怖いですね。
しかも、秋葉には殺人犯かもしれない、という過去があるのですから。


そう考えると、秋葉は本当に優しい女性だったんだなと思います(最初に登場した時は「なんだこいつw」と思ったけど)。
ちなみに、人物描写が薄すぎるので何ともいえませんが、奥さんもよくできた奥さんだと思いますよ。
「それをすてるなんてとんでもない」(ドラクエ)というやつです。秋葉が身を引いてくれて、本当に良かったと思いますよ。


ラスト、奥さんに『ごめんなさい』と言えない日々がこれから始まるのですね~という感じで終わりますが、
殺人犯の愛人と結婚するため板ばさみにあって苦しむ、という最悪の流れを考えれば、
これくらいで済んでまだ良かったんじゃないかな、と思いました。

韓寒「上海ビート」読了(重バレあり)

評価は A+。

これがデビュー作であり、17歳の時に書かれたという話を聞いて、完全に恐れ入った。

10代でデビューした作家の作品というと、乙一の「夏と花火と私の死体」や綿矢りさの「蹴りたい背中」などが思い浮かぶ。
しかし、「夏と花火と私の死体」にしろ「蹴りたい背中」にしろ、『若さ故の未熟さ』のようなものを感じる部分も多い(特に前者:そしてこう言っておきながらなんだけど、乙一は大好きな作家です)。
 

だが、この「上海ビート」には、まるで作家生活十年を超えた、文字通り完成された作家が書いたと言っても不思議ではないと感じた。


「上海ビート」は、とにかくユーモアに溢れ、非常に笑える作品である。
特に主人公の雨翔や、中学時代の恩師、馬先生の描写がたまらない。
笑いを支えているのは、作者のユーモアセンスだけではない。
人間の心理・行動を面白おかしく描く、観察眼が極めて優れていると感じた。
「あぁ、言われてみれば、そうだ。何で気づかなかったんだろう」。文章を読み、笑いながらも、そう思わされることがとにかく多かった。
また、作者の知識量にも脱帽するばかりで、笑いのために引用される中国古典、海外純文学など、とても17歳とは思えない読書家ぶりだ。


風刺も実に効いており、僕が20代も半ばに達してから気づいたことや、いまだ気づけなかったことを、
ズバリと言い切ってしまう(しかもそれが頷ける)その成熟ぶりには驚かされるばかりで、
「天才ってこういう人を言うんだろうなぁ」と思い、ワナビとしての我が身の至らなさをつくづくと感じた。



「上海ビート」は主人公の中学時代と高校時代を描いた小説である。
前半部が中学、後半部が高校だ。
あらすじを一言で言ってしまうと
『お調子者な主人公が楽しく中学を過ごしていくが、高校で挫折してしまう』。
これだけである。

この小説で唯一問題なのが構成で、高校での挫折が少々急ぎ足に感じる。
全414ページ(単行本)のうち、最後の50ページで次々と破滅がやってくるのだが、
唐突感は否めない。


また、作者はこの結末を前提に描いたと思うので叩く部分ではないのだが、
どうしても中学時代の楽しかった日々と比べると、高校時代は面白い友人も一人だけで、少々物寂しい。
主人公の破滅はあまりにも不運に感じてしまうのだが、自業自得な側面も大きく、この破滅自体にやるせなさ・悲壮感はさほどない。
だが、自業自得とはいえ面白いキャラでもあり、陰ながら彼の幸せを応援しながら読んでいたので、バッドエンドに終わってしまったのは、やはり残念だし、辛かった。
高校のキャラは非常に意地が悪く、読んでいて不快なキャラがのさばっているのも少々辛かった。
とはいえ、主人公自体も褒められた性格ではないので、読者(僕)にかかるストレスは最小限に抑えられており、
この辺はやはり巧いなと感じた。


恋愛小説としても非常に面白い。
ヒロイン、スーザンの気持ちは完全に主人公に向いているにも関わらず、主人公はまるで気づかないので
「何で気づかねーんだよ!」と思いたくもなるが、スーザンのアプローチも非常に消極的かつ見当違いな部分が多く、いろいろともったいない気持ちにさせられる。
残念だが、ここまですれ違いが多いのでは、『合わないんだろうなぁ』と思ってしまう。
この恋については、はっきりと終わったとは書かれていないが、厳しいな、と。
厳しいと感じる一方で、結ばれてほしいなと強く思った。
(しかし、主人公も手紙くらい書けよ)。


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