2012年08月

真剣で私に恋しなさい(重バレ感想)

【メインヒロイン5ルート+リュウゼツラン+サブヒロイン3ルートのみクリア】


ESにつける点数は68。
この数字からもわかるように、かなり辛口でたたいているので、ファンの方は読まない方が良いかもしれません。

 

クリアした順番に感想を書き、最後に【細かい部分】に触れます。


☆百代ルート 評価 B-


モモ先輩は、パッケージイラストを見たときから「こりゃ、嫌だな」と感じていました。
その割に、プレイを始めてみると、良い先輩だったのは嬉しい発見でした。


また、『高嶺の花のヒロイン』を、主人公が頑張って振り向かせるというストーリーラインは、
『ヒロイン全員が主人公を大好き!』というハーレムゲーに食傷気味だった僕には、新鮮に感じられました。


一方で、不満点もあるにはあります。


モモ先輩の抱える弱みは、『戦闘狂』だという部分。
その弱点を解消するために、大和は漫画やゲームなどの娯楽をモモ先輩にあてがいます。
そしてとうとう、金魚の飼育にモモ先輩が興味を示し、自発的に飼育本を読むようになります。


ところが、物語後半に『川神大戦』なるバトルイベントが勃発すると、この件はうやむやになってしまうのです。
最後には『大和とエッチしてたら、バトル意欲が解消されたぜ』という、取ってつけたような終わり方。
率直に言って、なんじゃそりゃ!? と。


また、川神大戦にも、幾つか不満がありますが、これについては後述することにします。



☆まゆっちルート 評価 D+


これは、酷いです。
とんでもない駄シナリオでした。


まゆっちは、『友達が出来ない』少女です。
自然に考えれば、『友だちを作る』というのが物語のテーマになるはずでしょう。
同時に、彼女の心の弱さが生み出した『松風』からの『卒業』も重要なポイントになるはずです。


物語序盤は、まゆっちが『伊予』という女の子と、何とかして友だちになろうと頑張る姿が描かれます。
ここは良い。
うまくいかず河原でたそがれていると、某麻生太郎氏にしか見えない総理(以下、麻生氏と呼ばせていただきます)と友達になります。


麻生氏に似せる意味がわからないが、いい味は出しています。
また、『世代の違う友達と語り合う』というのも悪くないです。ここまでは僕もいいと思いました。
問題はその後です。


麻生氏はなんと、格闘大会(KOS)に出るというのです。
しかも、その政敵である野党幹事長も出場する。まゆっちは、『友だち(麻生氏)のために、KOSで闘う』のです。
このKOSのシーンが、ストーリー上で果たす機能はたった一つ。
『友だちのために、まゆっちが闘う』。この一点のみです。



しかしこれも、終盤『伊予のため、武蔵小杉と戦うまゆっち』のシーンがある以上、テーマの重複にしかなりません。
良いテーマは何度繰り返しても良いものですが、1時間以上も無駄なバトルを描く必然性は皆無です。


このKOSのルールも、シャレになっていませんが、これについては後述します。


ただ一つ言いたいのは、『そもそも、格闘大会の勝ち負けで、首相の支持率が上下するほど、国民はバカなのか?』と。
敵役となる野党幹事長とやらも、話にならないほどのバカ者で、テレビ中継されている前で、生身の人間にミサイルを発射しているのです。
たとえ勝負に勝っても、誰もそんな野党に投票したいとは思わないでしょう。


こうなってくると、首相の顔が麻生氏そっくりなところも引っかかります。
首相が完全に架空っぽい人物ならばまだいいのですが、要は自民党が正義で、野党(社民や共産かもしれないけど、これは民主っぽいかな?)幹事長が悪役、というふうに思えてしまいます。
政治批判をするなとは言いませんが、あまりにも軽率だと感じるし、この手の軽率さは後述するが他のシーンでも見受けられます。



話を戻すと、KOSのシーンは、徹頭徹尾、くだらなかったです。
こんなシーンを入れるくらいなら、まゆっちと伊予の友情話をもっと入れても良かったのではないでしょうか。
まゆっちが、2-Fの、たとえば千花や真与あたりと友だちになる話を入れても良かったし、他に書くべきことがいくらでもあったはずです。


物語終盤で、まゆっちは『伊予のために闘い、松風とお別れする』。
だが、ボリュームはKOSの4分の1もなかったと思います。
一体、何が大事で、何が大事ではないのでしょうか。
タカヒロ氏の構成力に大きな疑問を抱いたシナリオでした。



☆ 京ルート 評価 B+

京ルートに関しては、納得しています。

唯一不満があるとすれば、『ストーリーの都合上、無理にキャラにしゃべらせた』ような台詞が、少々見受けられる程度で、他に不満はありません。
(「今いてくれないような奴は、仲間じゃない」、だったかな。唐突すぎるように思いました。ちなみに、共通ルートでの、クリスの「こんな秘密基地必要ないだろ」発言もわざとらしすぎると思いました)。


共通ルートでの、あの衝突は、色々と衝撃的なシーンでした。
他レビュアーさんの感想を拝見しても、嫌悪感を示している方が何人もいて、僕自身もそうでした。


クリスのKY発言もいくらなんでもありえないし、かと言って、勝手に基地に連れてきて罵倒し出す連中も調子に乗りすぎだし、
何よりとばっちりを受けたまゆっちが可哀想だし。
そのシーンの直前、『仲間に入れるべきかどうかを、(まだクリスやまゆっちが参加の意思を表明もしていないのに)陰で話し合う風間ファミリー』の時点で
既に気分が悪かったですし。


ただ、(嫌悪はしても)、あの衝突シーンは京ルートでの伏線や、ラストのリュウゼツランシナリオにおける伏線として機能していることがわかったので、
胸のもやもやが晴れたような気はしました。
ライター自身が、『主人公たちの閉鎖性を強調するために』設定したイベントだったなら、とやかく言うことはないや、と。


京シナリオ後半での衝突も、割と身につまされるものがありました。


これは、大なり小なり体験している方は多いことと思いますが、『友だち集団』の多くは、いつしか疎遠になっていくものです。
もちろん、年に一度くらいは会って遊んだりもしますが、毎週毎週遊ぶというわけにもいかなくなってくる。
風間ファミリーは皆、同じ高校に通っており、部活らしき部活をしているキャラもほぼいないので、
集まるのは容易なはず。
ですが、進路がバラバラになれば、新しい人間関係もあり単に時間も合わなくなり、住む場所も変わりで、なかなか会えなくなります。


そこで機能するのが、『強制的な規律』。
『金曜日にはやむを得ない事情を除いて、全員集合』という約束事を決めていたおかげで、風間ファミリーは今まで強固な結束を保ってこれたのだと思います。
ところが、環境の急変により、出席率が著しく低下し始め、京が規律を強化しようとします。
それに一子やガクトが反発する。


こういった摩擦がリアルに描けている点に感心しました。


『参加を強制』されるのは息苦しい。でも、そうでもしないと人が集まらない。
どちらの立場も、理解できてしまうんですよね。


論自体は一子たちに理があると思うのですが、
『ケニアの挑戦者と2ヶ月後に闘うために修行したいから、それまでは参加するか微妙』とか、
『どう見ても脈がない相手にアプローチをかけたいから、それまでは参加するか微妙』とかは、端から見るとちょっとなと思いました。


それも、個人の自由なので、他人が強制したり、とやかく言う権利はないのですが、
『金曜集会』はそんなものよりも優先順位が下なのか、とは思っちゃいましたね。
『格闘チャンピオンを決める世界大会への参加』だとか、『試合一週間前』とかならわかりますし、
『素敵な女性とラブラブ』でもまぁいいのですが、そういうわけではないですしね。



一方で、たとえばまゆっちは夏休み中の金・土が忙しい~ということなのだから、
集まる曜日を夏休み中は代えてあげても良かったんじゃないかと思います。
そうすれば、少なくとも参加者が一人は増えるのですから。


あるいは、皆の中で優先順位が下がっているなら、『集まりは一ヶ月に一回。その代わり強制参加』みたいにするとか。
その辺の処理は大事かなと思ったのですが、残念ながら、京の『他者への依存の克服』にテーマが移り変わり、
グループ論の話は「京、焦りすぎ」という結論のまま、脇道にそれていきます
(現実には、あのまま自然消滅するパターンの方が遙かに多く、京の焦りは根拠のないものではないと思う)。


個人的にはグループ論ももっと突き詰めてやってほしかったのですが、
依存症克服の方も重要なテーマだと思いますし、最後まで京の成長にフォーカスしたシナリオが展開されていました。
良シナリオだったな、と感じます。




☆クリスルート C

個別ルートに入ってからのクリスの可愛さはなかなかのものですが、ストーリー自体は、ごくごく平凡。


気になるのは一点。リアルPKのことですが、これも例によって後述します。



それ以外に関しては、『親バカで軍人なクリス父』、『頑固なクリス』と役者が来たら、当然こういう流れになるだろうという
流れどおりの展開を見せるので、意外性はないけれど、まぁこんなもんだろう、と。
クリス父が若返るシーンはツボりました。


どうでもいいことを言えば、台詞のところに『フランツ』表記と『クリス父』表記が混在していました。
途中から変わるのではなくて、本当に混在。誤字というわけでもないが、統一したほうが良かったかなとは思います。




【一子ルート】 B+

またも体育祭の競技(川神ボール)で白けたのですが、そこに目を瞑ればそれなりに良いシナリオだったと思います。

(一子のような努力はほとんどしていない。にも関わらず、実現が限りなく困難に近い夢を今でもダラダラと持ち続けている僕としては)
結構、胸が痛いシナリオではありました(苦笑)。


とことん空気が読めていないクリスといい、妹想いの百代といい(ちょっとしんみりきました)、男前な源さん&英雄といい、キャラが良い味を出していて
良かったですね。




【リュウゼツランルート】 B

基本的に性格の悪い大和ですが、このルートの大和は正直どうかと思いました。
とりあえず、これについては後述します。


この部分を除くと、割と普通のバトル系シナリオだったなと。


共通ルートから問題にされていた、『風間ファミリーの閉鎖性』ですが、こういう形でラストルートに持っていったのはさすがですね。
強調されていた、『閉鎖的なコミュニティ』というのは、風間ファミリーもそうですし、冬馬・準・小雪のトリオもそうだなぁと。


というか、このゲームに出てくるコミュニティは、割と(言ってはなんだが、気持ち悪い感じで)閉鎖的すぎるかなぁと思います。
このシナリオを読めば、それも狙ったものだったとわかるのですが、個人的にこのゲームを楽しむ上において
『風間ファミリーに混ざりたい』と、全く思えなかったのは、ちょっと痛手でした。



【細かいこと】

さて、一言感想にも書いたのですが、このゲーム、『細かいことで不愉快になる頻度』が異様に多かったです。
本筋に関係あるところについては、個別シナリオの感想でも触れましたが、『不愉快になった』シーンの大半は、『シナリオ上どうでもいい部分』でした。


たとえばバトル関係。


百代ルートの川神大戦や、クリスルートのリアルPKなどなどですが、
『こんな危険で乱暴なことを、学園主導でやっちゃっていいわけ?』と思います。


腕に覚えのある格闘家同士が、やり合うのは構いません。
モモ先輩VSまゆっち・揚羽といったあたりで、バトっているだけならば。


ですが、たとえば2-F委員長のように、あんなバトルに巻き込まれたら、下手すりゃ死ぬぞ……と思える生徒もゴロゴロいるのです。


自分が真与(モロでもいいし、千花でもいいし、ヨンパチでもいいし、誰でもいいよ!)の父兄なら、どう考えるでしょうか?
苦情が来ないほうがおかしいですし、参加しない生徒が出ないほうがおかしいです。


(注:私学なので、それも込みで入学してるよ、というご指摘には一理あると思っていますが)



たとえば川神大戦では、部外者を50名まで入れていいという。
現に大和は、不良を入れたりしていますし、Sクラスは軍人を入れたりもしています。
学校行事で、軍人やら不良やらと闘わされたら一般生徒はたまらないでしょう。


また、百代ルートには『捕虜への拷問は許されない』という条項がありながら、
『捕虜(心)へお尻ペンペンをして痛めつける』シーンがありますが、なぜこれが許されるのかも理解に苦しみました。
しかもやっているのは、敵ではなく、我らが主人公の大和君。 
こんなシーンはいらないし、もしどうしてもやりたいなら、『捕虜への拷問は許されない』なんて条項を作らなきゃいいのに、と思います。
実はこの辺りで、百代シナリオへの関心はガクっと落ちました。
 

クリスルートでは、(ルールも知らされずに選ばれた生徒たちが)、相手に蹴りを見舞いあうという競技が登場しますが、これなど言語道断だと思います。
武道の達人の蹴りを食らう一般生徒、それを見て沸き返る生徒たちの図を考えると、率直に言って「気持ち悪いな」と感じました。


付け加えて言えば、クリス√の体育祭ではS組対F組の対決が行われますが、他のクラスの生徒(&保護者)はどうしちまったんだ?というくらい、全く出てきません。
『女装対決』には1時間もの時間がかかっているようなのですが、その間、競技はストップされたままなのです。


仮にも体育祭であると言い張るならば、せめてその1時間の間は他の競技をやらせるべきだし(他のクラスの競技シーンを描写する必要はないが)、
どうしてもストップさせたいなら昼休みを使って女装の準備をするべきだと感じます。
ライターが、何も考えずにノリで書いてるんだなぁ、というのが透けて見えてしまって、読むテンションが著しく下がりました。


まゆっちシナリオのKOSのルールもいかにもおかしくて、銃にミサイル、ロボットなどなど何でもOK。
自由参加なので、参加した奴が悪いとも言えますが、モロのような一般市民レベルの人間が、ミサイルや銃撃にさらされるわけですし、
普通に考えて、死にますよね。


ここまでが、バトル関係の『細かいけれど、不愉快だった部分』。


他には、たとえばリュウゼツランルートなのですが、


大和が「賭場でイカサマを使って金を儲け」、「あいつらにはいい薬だろう」とうそぶき、文句をつけてきた下級生を、拳法家の友人(一子)に倒してもらう。
とどめに、「先輩には敬語が必要かな?」などとのたまう一連のシーンがあります。


これを読んで、大和という人間は、心底腐りきっているのだなと感じました。
「てめぇ、いい加減にしろよ」というのが率直な気持ちで、こんな人間を『軍師』だの何だのと持ち上げている周囲も、クズだらけなのかな、と。



他には、割とデリケートな問題を、軽いノリでぽろっと書いてしまう軽薄さも、地味に不快でした。


たとえばどこかのルートで、『死刑に賛成か反対か』という議論があるのですが、実は死刑反対派は(キモキャラの)羽黒しかいないんですね。
『死刑に賛成or反対』というのは、非常に難しいところで、軽々しく賛成とか反対と言えるものではないと思うのです。
きちんとした論を組み立てて主張するならまだしも(それにしても、このゲームのおバカなノリとは合わないと思いますが)、あんなスカスカな議論(笑)を書くくらいなら、
賛成派・反対派をもっとバランス良く割り振れないものでしょうか。
タカヒロ氏は死刑賛成なのかもしれませんが、あまりにも軽々しいな、と呆れました。



その他にも、この辺は突っ込むほどではありませんが、
一子ルートの武術大会で優勝すれば百代と手合わせできる~という設定が、一子が優勝できないとわかった途端に忘れられてしまったり、、
本当にいろいろ細かい部分のフォローがないなぁ、と。


【細かいこと】の項目で触れた内容は、はっきり言って、シナリオ上、何の意味もない部分だと思います。
だからこそ、もう少し配慮をしてほしかったですね。
本来、必要ない部分で、不快になる記述がこんなにもあるのですから。


細部を大事にできないシナリオでは、正直精読する気もなくしてしまいますし、
ライターが真面目に考えて書いているのかすら疑ってしまいます。



『こまけぇこたぁいい』。確かに、そういう作品なのですが、この作品には『細かいこと』があまりにも多すぎる。
そして、そのどれか1つでも、急所をつけば、プレイ意欲がガクっと下がってしまいます。


この作品を楽しむためには、数ある『細かいこと』の全てに目を背けるか、受け流すかしないとダメなんだろうな、と思いました。






























真剣で私に恋しなさい(バレあり:自分のための覚書)

メモなので、まとめ感想は後で書きます。


☆モモ先輩ルート C+

ヒロインからの好感度がマックスで、追いかけられるエロゲシナリオに食傷気味なため、
『高嶺の花』であるモモ先輩に、何とか気に入られようと主人公が奮闘する姿勢は、好ましく感じながらプレイした。

ただ、一シナリオとしてはあまり褒められたものではない。


一番の問題は、モモ先輩の弱点である『戦闘欲の抑制』 についての、中途半端な書き込みだろうか。
さすがに、「エロいことしたら、戦闘欲薄れちゃいましたー」というのは、多少問題だと思う。

漫画やゲーム、果ては金魚を飼うなどさまざまな試行錯誤を行い、実際に金魚には多少の効果を認められたのだから、ここは金魚をかわいがるところから始めて、母性愛(?)に目覚めるモモ先輩~という流れが自然だったように思う。


また、これはおそらくすべてのシナリオに共通していることなのだろうが、『やりすぎ感が漂うバトルシーン』は
肌に合わない。
まさにドラゴンボール的なバトルなので、細かいことを気にするのは野暮なのだが、
それにしても死傷者が出そうなイベントを学園側が許可するのはおかしいし、助っ人と称して外部の連中が暴れるのもおかしいし、そもそも神奈川県にのみ人外の者があれだけ集うのもおかしいのである。
無茶な設定なら無茶な設定なりに、何らかの説明・こじつけがあって然るべきかと思う。


個人的に、一番ヒいたのは、不死川心をお尻ペンペンするシーンだったりする。
『捕虜への拷問は許されない』というルールがある以上、痛がっている捕虜に対して、執拗なる尻叩き行為は拷問じゃないのか?という疑問である。
はっきり言って、必要がない描写だと思う。
どうしてもあれがやりたいなら、『捕虜への拷問は許されない』なんてルールを設定すべきではない。


1つ1つは些細なことなのだが、どうにも気になる部分が多すぎる。


☆まゆっちルート  D


壮絶なる水増し。
「友だち作り」のはずのシナリオが、必然性の感じられないバトルイベントに食い荒らされてしまった。

このシナリオで、必要な部分は最後の20分だけ。
総理とか野党幹事長とか、あの辺りは全てカットして、
まゆっちと伊予と、学園の話に全力を注ぐべきだった。

長ければいい、というものではない。
無駄な贅肉はそぎ落とすべき。


☆京ルート B+


ここに来て、ようやくまともなシナリオが読めた。
基本的に、妙なバトルと暴力沙汰さえなければ、割と面白いゲームなのである。

共通ルートでの衝突シーンも伏線として機能しているし、
集団を維持するための、『自由』と『規律』の考え方は、どちらの立場もわかるだけに、考えさせられた。


惜しむらくは、ややキャラの台詞がわざとらしく、ストーリーの都合上『言わされた台詞』だと感じてしまうあたりか。


☆クリスルート C

個別ルートに入ってからのクリスの可愛さはなかなかのものだが、
ストーリー自体は、お粗末。

『クリス父が退学届を勝手に学園に提出してしまい、クリスと大和は学園を辞めることになる』という展開だが、
普通に考えて、親が子供の承諾なしに勝手に提出した退学願を、学園側が受理するというのはあり得ないと思う。
川神学園は普通じゃない学校なので、そういうこともあるかもしれないが、あくまで普通に考えればあり得ない。


東野圭吾「赤い指」感想(軽バレあり)

評価は A+。

今まで読んだ東野作品の中で、一番気に入りました。
(「さまよう刃」、「予知夢」、「容疑者Xの献身」、「手紙」、「白夜行」)


ある殺人事件と、それをめぐる一家の物語ですが、全編を通して『家族の絆』というテーマが貫かれています。


甘やかされて育った一家の糞ガキ(14歳)が、幼女を絞殺。
殺人が起こってなお、息子を庇おうとする馬鹿母と、それを止められないヘタレ主人公。
ヘタレ一家は、同居している痴呆症の母に罪をなすりつけ、何とか息子を守ろうとする~というストーリーです。


中盤までは、とにかくゲスな親子のやりとりにストレスを溜めながら読みますが、
ラスト50ページで、それは大いに報われました。


「今、明かされる衝撃のラスト」 などと書くととたんに安っぽくなってしまうのですが、
そのフレーズがこれほど当てはまる作品もそうはないと思います。
2度も涙腺を刺激されてしまいました。


痴呆症と、自宅介護の問題はとにかく大変ですよね。
僕自身、同居の祖母が痴呆状態になっていまして、正直あまり関わらないようにしています。


彼女のことが嫌いなわけではないとはいえ、耳が遠いので僕の声が聞こえないし、
共通の話題もないし、せっかく話しても1分後には忘れてしまい、もう一度同じことを聞いてくるので、
もう話す気力もなくなってしまうのです。


そんな自分の冷淡な対応に、祖母は傷ついたりしているのでしょうか。
そんなことを思いながら、読みました。

キラ☆キラ まとめ感想(重バレあり)

ESにつける予定の点数 82  (47位/140ゲームくらい?)


このゲームの登場人物は、『天才(きらり・殿谷)』と『凡人(それ以外)』に大きく分けられる。
残念ながら、凡人はいくら逆立ちしても天才には敵わない。
凡人である鹿乃助(や千絵姉)は、殿谷やきらりといった天才の恩恵に預かって、生活を壊さない範囲で
『キラキラした世界』を垣間見ることができるにすぎない。


そして、人は生まれ持った環境や性格、中学~高校くらいまでの育ち方によって、その後の生き方がほぼ決定され、その生き方を変えることはまずできない。
そんな諦観が、シナリオの根底に流れているのを、ひしひしと感じることができた。
それを最も衝撃的な形で表現しているのが、きらりパパである。


ところで、ゲームを通して、生き方を変えられるのは唯一、主人公の鹿乃介だけである。
(厳密に言えば、樫原のお祖父ちゃんもかもしれない)。
鹿乃助は、立場的に非常に傍にいる人の影響を受けやすい。
千絵姉なら普通のサラリーマン。紗理奈なら樫原グループ入り。
きらりバッドでは村上の影響で、バンド活動となる。



主人公の『鹿乃助』は本質的に、非パンクである。
ヒロイン候補の『千絵』も完全に非パンクで、この二人は住んでいる世界が同じである。
ちなみに、パンクを代表しているとも思えるし、単なる非常識娘にも思えるのが翠の存在だが、
残念ながら非常に浮きまくっている。
そのせいもあって、彼女のシナリオが個人的には一番出来が悪いように感じる。


そもそも、このシナリオはハッピーエンドではない。

何故なら、『理解しても、うまくいかないことはある』とか、『他人への依存から生まれる幸せは儚い』という、千絵姉の発言自体が、この先の不安を暗示している。

この先、様々な難関・懸念材料が二人に襲い掛かってくることは容易に想像がつくけれど、
それに対する解決策は、『ロックンロール!』の掛け声と、円陣を組む二人の団結力だけである。

懸念が、『外敵』によるものならば、これはこれで(「俺たちの戦いはこれからだ」的ではあるにせよ)良い終わり方だと思うが、このシナリオで呈示された『懸念』は前述したように、『内部崩壊』である。
言ってはなんだが、鹿乃助が将来浮気をする可能性は現に残されているように思う。


このシナリオでは、鹿之助は大学に進学し就職を考えているようで、ごく普通のサラリーマンとして
一生を送ることになりそうである。


『パンク度』が最も少ないシナリオとも言える。




お嬢様である『紗里奈』とは住む世界は違う。
だが、このシナリオで描かれる鹿乃助の行動も、実に常識的である。
青春を迸らせるような、駆け落ちだとかそういった行動には走らず、
頑固な祖父をひたすら説得するという、良識に溢れる行動を鹿乃助と紗理奈はとっていく。

紗理奈のためにわざわざ遠方から駆けつけたりと、ある程度の冒険は表現されるので
パンク度がまったくないわけではないが、本質的には『正攻法で、樫原一家の絆を見直す』物語であり、
主人公の生き方は(違う意味でシンデレラストーリーではあるものの)パンクとは言いがたい。


このシナリオは、樫原家の人々がそれぞれ魅力的で、そこそこ楽しめた。
主人公の将来は、このまま順調に紗理奈とゴールインできれば、樫原グループの重役のどこかにもぐりこめそうで、紗理奈とは休みの日に楽器のセッションをするくらいだろう。
末は、雄司おじさんのような感じの大人になるのではないかなぁ、などと想像している。



千絵、紗理奈両ルートでの鹿乃助は、学生時代の無茶(一瞬垣間見た、キラキラした世界)を大切な思い出として、これからの人生を生きていくのだろうと思う。
(音楽に限定せず、運動部なども含めれば、これは割と多くの方が選んできた生き方ではないかと思う)


さて、そんな2シナリオと明らかに様相が異なるのが、メインのきらりルート(特に、きらりバッド)である。


きらりバッドルートでは、鹿乃助は『真っ当な(非パンクな)生き方』を選ばず、
フリーターをしながら音楽を続けるというパンクな生き方を選択することになる。


このシナリオにおいて、鹿乃助は『きらりがいたバンド時代。キラキラした世界』を引きずり続けているように見える。
5年をかけて、とうとうきらりの幻影を見事に吹っ切る鹿乃助ではあったが、パンクの生き方が染み付いてしまった彼は、もはや非パンクの世界に戻ることはできない。


もちろん、バンドマンとしてこの後成功を収めていく可能性もないとは言わないが、
『キラ☆キラ』というゲームに流れているリアリズムと諦観からすれば、可能性は低いと言わざるを得ない。
きらりや殿谷のような天才ならば、パンクな世界で生きていくこともできるが、鹿乃助や村上のような凡人には、
なかなか難しいのである。
  (逆に言えば、きらりやアキが非パンクな世界で生きていくのは難しい。殿谷は大丈夫そうな気がする)



きらりグッドエンドについては、語れる内容は少ない。
自らは『非パンク』な生き方をしつつ、パンクで天才なきらりの彼氏として、
その恩恵に預かることができる鹿乃助のその後の人生は、割と楽しそうであるし、破滅的な感じもしない。


このシナリオは、きらりパパを見殺しにするシーンや、その後、闇を抱えながらきらりと接していく描写、
ハッピーエンドと、非常に読んでいて面白い内容になっていると思うが、
作品テーマからすると、紗理奈シナリオとあまり違わないように思う。


つまり、『凡人』の鹿乃助が、『少々の無茶をして』、『本来は住む世界が違う人とゴールインし、その恩恵を受けて、楽しく生きる』という流れである。



個人的に、2章のバンド旅行について、イマイチ青春っぽさを感じなかったのだが、
きらりバッドを見た後で思い返してみると、あの旅行は『キラキラ』していたのだなぁと思う。

まるで、(実際にやっている最中以上に、振り返った時に輝きが増す)、本当の『青春』のような感慨を持てた。





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