2013年07月

Venus Blood Abyss感想

愚痴が多いので、嫌な人は読まないでくださいませ。


☆前置き&良かったところ


RPGとして、一定水準には達しているゲームだと思う。


「産卵で軍隊を作る」というのは非常に悪趣味ではあるものの、ユニークなおかしみを持つアイディアで
なるほどなかなか考えたものだ。
実際やってみるとこの産卵システムは大して面白いわけでもなく拍子抜けしたものの、普通にユニットを生み出す程度の楽しさはある。


ユニットの数は70を超え、「全部のユニットを集めたい」欲を掻き立ててくれる。
また、個人的に嬉しかったのがリリシア・ノート。
一つ一つのアイテム解説がなかなか楽しく、解説を見たいがために必要のないアイテムを買ってしまう事態が勃発。
この遊び心一つで、アイテム収集の楽しさがグッと増した。


そんなわけで、2周をプレイするくらいは面白かったと言える。
出したお金と時間、ギリギリ元は取れたという印象もある。


しかし……「自分には合わなかった部分」が多く、「合う合わない以前の問題だと感じる部分」も多い。



☆主な問題点、不満点



・『振り』だけの「拠点防衛」SLG


最大の問題点は、「拠点防衛SLG」の部分。


「国盗りSLG」のような振りをしつつ、実際はオーソドックスなRPGだった前作の「Empire」に続き今作もまた
「拠点防衛SLG」の振りをしつつ、要は普通のRPGなのだ。


何故なら、この拠点には階段も廊下もなく、敵軍は瞬間移動のように何の脈絡もない部屋に現れるのである。
つまり階段の近くに「魔獣の墓場」を置いて近寄らせないように努力したりとか、そういう工夫は報われない。
やることと言えば、「財宝室」と「ダミー階段」と「牢屋」でも置いておけばそれでいい感じである。


エンカウントバトルが、やや拠点防衛らしさを出しているのだが、ゲーム後半にもなると敵の被害よりもこちらの被害が多く、
僕はこれを封印することにした。
味方主力部隊1つによる、単独殲滅こそが最も効率が良いと気づいたのだ。
これはもちろん、タイムアタックを狙う場合や難易度HARD以降なら話は別かもしれないが、Normalでならこれで十分だ。
しかしこれでは、それこそ60もいるモンスター部隊がまるで役に立っておらず、結局前作のEmpire同様
「仲間は50人以上もいるのに、使うのはいつも同じ6人」の惨状を呈してしまった。


普通のRPGとして考えれば別に悪くない出来なのだが、「悪い部分」(後述)のみを受け継いでしまっている「拠点防衛」については
明らかに失敗だったように思う。



・脇道がなく、常に「受け身」を強いられるプレイヤー


拠点防衛のよろしくない点は、常に「受け身」であることで、こちらから能動的に攻めていくような実感がないことである。
これは拠点防衛ゲームにつきまとう宿命のようなもので受け入れるしかないのだが、
本作は拠点防衛の部分がそもそも「振り」なので、こういう不満もクローズアップされてしまう。


このゲームを起動していた時間、やっていたことと言えば
「侵入してくる敵軍を撃退し、撃退し、撃退し、ちょっとHシーンを見たり軍備を整える。
一定数撃退するとシナリオが進行し、テキストを読む。
そして再び侵入してくる敵軍を撃退し、撃退し、撃退する」わけで、前作の「国盗り(の振り)SLG」にあったような
能動的に攻め込む高揚感はない。
ただ、ひたすらにやってくる敵を撃退するもので、「アクション」ではなく「全てがリアクション」なのだ。


極めて大きな不満として「フリーでレベル上げができない」ことも挙げられる。
物語の横道にそれて、弱い部隊を鍛える機会が全くないのだ。
前作でも同様の不満を持ったが、エンカウントバトルを導入して複数部隊の必要性を打ち出したかった本作では、その不満がより
顕著に現れてくる。


フリーのレベル上げマップが複数あれば、それこそ仲間モンスター全てのレベルを上げてやるぜ!と腕まくりをした可能性も否定できないのだが……。
これは非常に勿体無かったと思う。
「横道にそれる」部分もないので、まるで物語のベルトコンベアに載せられて、やってくる敵を撃退し続けるオートマタにでもなったような窮屈さを感じた。
物語の展開においても、(一応『治世』と『覇道』というパラメータはあれど)徹底したリアクションなのだ。



☆好みに合わないHシーン(アヘ顔+奇天烈なあえぎ声)


このようなスタイル(アヘ顔+むほぉぉぉぉんひぃぃぃぃぃ)がそれなりにユーザーの支持を受けているのは僕も理解している。
理解しているが、どうしても拒絶反応が出てしまい(下品にしか見えず、可愛らしさを感じない)、僕は全く興奮することができない。
単にスキップをして読まなかったことにすればいいだけではなく、ヒロインの顔を思い出そうとすると脳裏にアヘ顔が浮かんでさえくる始末で、
他のシーンで可愛いことを言っていても、一度あれを見てしまったら全然萌えられねーのである。


気持ちの悪いことを言えば、憧れのアイドルのゲロまみれ糞尿まみれのシーンを見せられるようなもので、
そりゃ長年連れ添った女房ならば一度くらいは見る羽目になってしまうこともひょっとしたらあるかもしれないが(介護とかで)、
できれば見たくないのである。
まして愛着の湧いた人間でもない、「憧れだけのアイドル」がそのような醜態を晒した暁には、その憧れも消え失せてしまうのは必定だと思う。



Dual Tail作品では過去に「奴隷将校クラリス」という、アヘ顔も「むほぉぉ」もなかった抜きゲーがあり、
これが相当僕の好みに合っていたことから、是非以前のようなスタイルに戻してほしいと感じているのだが、難しいのだろうか。


Empireでもアヘ顔や「むほぉぉ」はあったが、序盤のHではほとんど搭載されておらず、「悪堕ち寸前」に至ってようやく現れてきたように思う。
しかし本作では序盤からもうアヘ顔という有様だ。


まぁ、これは優劣の問題ではなく好みの問題なので、単に「feeには合わなかった」というだけの話ではあるけれど。



☆細々とした問題点

ゲームを快適に楽しむためのインターフェースの部分も痒いところに手が届かない印象で、
劣悪な操作性が無用なストレスの元になっています。
(注:もしかすると設定などで、変更ができた可能性があります。もし、「あれ?」と思われましたらご指摘ください。)


・物を売買する際、1個ずつしか売れない。

→たとえば銅鉱石を65個売りたいなら、65回クリックしないといけない。


・体力を回復したいとき、1クリックでHPが100程度しか回復しない。

→HPを500回復したいときには、5クリックしないといけない。全回復ボタンの1つくらい、用意してほしい。


この、無駄にクリックさせるという仕様は前作の「Empire」時と変わっていない。
前作でもレベルを1つずつしか上げられず、周回プレイ時には100回以上のクリック連打を強いられた。
「○○をいくつ売りますか?」とでもして、数字を入力させてくれれば1つの動作で済むのだし、
どうしてもクリックにこだわるなら「長押し」を有効にしてほしかった。
一々手を離して連打しないといけないとは……。



・産卵システムにおいて、レシピ上からワンボタンでモンスターを作ることができない。


・レシピ上で自分が既に産んだモンスターが見られず、自軍の所属部隊をワンボタンで見ることもできない。


→(あれ、ラミアって作ったっけ……? 見覚えはあるんだよな、敵として戦っただけだったかな?)


という場合、レシピでラミアを見ても、作ったんだか作っていないんだかがわからない。
レシピ上では「外見も、職種(ガーダーとかシューターとか)すら表示されない」ため、
仲間部隊を全てチェックしてラミアらしき奴がいるかどうかを見なければならない。
が、後半では仲間モンスターが70体くらいいたりする。




・更に、レシピは対応するシードがアイコンで表示されるため、非常に見にくい


【例:レシピを見る

fee(よし、ラミアを作ろう。この角生えたようなアイコンのシードと、卵焼きみたいなシードと、コウモリみたいなシードで作るんだね)

→産卵コマンド→fee(えと、角生えたやつと、卵焼きみたいな……あれ、卵焼きみたいなやつってこっちだっけ、あれ? できない!)
→またレシピをチェック→fee(あぁ、これだこれだ。卵焼きっていうより溶岩みたいじゃないか、ハハ)→ようやく作成


みたいな。
対応するシードをノートにでも書いて、アイコンと名称を全て暗記しないといけないんですかね……。
そこを持ってきて、前述したように「そもそもラミアって作ったっけ?」という疑問から始めると、優に3~4分はかかっちゃいます。


・イベントボスとのバトルでは、何故か一番下の師団にカーソルが合っている

→僕は強い順に上から並べてるんですよね。
きちんと注意すればいいんですが、危うく弱い師団でバトルして全滅したことがありました。
何で一番上の師団にカーソルを合わせてくれないんですかね……。
確認メッセージもないですし、イベントボス戦は負けると即ゲームオーバーなので、もう少し考えてほしいです。


・大した不満ではないが、誤字が非常に多い

→この多さは正直ひどい。読み返す時間がなかったのだろうか。
ちなみに前作でもそうだったし、基本このメーカーは(と言ってもまだ3作しかプレイしていないが)誤字がとても多いのである。



☆まとめ

本作は「拠点防衛SLG」のはずである。
しかし、拠点防衛部は張子の虎であり、ウリの産卵システムは煩雑で、
非常にインターフェースが悪くプレイしていてストレスの溜まる仕様が多い。

また、大して優れてもいない物語には脇道がほとんど用意されておらず、敵の侵入→撃退を繰り返す作業は
さながらライン工のようである。

それでいて中央値は80を超えているし、僕自身も一応2周はプレイしたのだから「つまらないゲームではなかった」ことは言えるが、
せめてもう少し操作性に気を配ってほしいと思うのだった。

新海誠「秒速5センチメートル」読了(バレあり)

評価はS

以前見た映画版の感動を、そのまま味わえるノベライズ。
新海さんはあくまでも映像作家であり小説家ではないので、文章面を心配していたのですが、
全く問題ありませんでした。
描写がしっかりしていて(ちょっと大仰に頑張っているかなと感じた部分はあるにせよ、十分許容範囲)、
きっちりと描き込まれた優れたノベライズですね。


映画版、小説版に共通して言えるのは
どれだけ人を大切に想っても、その気持ちを時間が変質させ、やがて人と人とは離れていく。
そんな諦観と切なさ、 幼き日の大切な初恋と相まって素晴らしい作品だったということ。


それにしても貴樹にとって、明里のような素敵な子を初彼女に持ったことは
とても幸せで、とても哀れなことだったんじゃないかと感じます。


忘れられない大切な人。逢いたくてももう会えない人。
この作品を読むとその人のことを、その人と過ごした楽しかった記憶を、どうしても思い出してしまいます。
貴樹と同じ境遇ではなくとも、今までの人生で通り過ぎていった大事な恋人、大事な友人。
けれど人も、人と人との距離もきっと、変わってしまうのだなぁと。


しかしそうして過去を大切にしすぎるのではなく、今いる大切な人にも目を向けなくてはいけませんね。


 

タチアナ・ド・ロネ「サラの鍵」読了(バレあり)

評価はA。

ペタン政権下のフランスによるユダヤ人強制収容事件、通称「ヴェルディヴ事件」の被害者サラ。
ひょんなことからその事実を知り、 彼女の痕跡を追いかけるジュリア。
物語前半はこの二つの視点で推移していきます。


ユダヤ人迫害、虐殺といえばナチス・ドイツが真っ先に思い浮かびますが、
歴史を紐解けばドイツに限らず、ソ連、フランス、意外なところではポーランドでも虐殺事件があったようで、
ユダヤ人差別の歴史は根深いなと改めて痛感しました。


作品全体を通して共感したのは「負の歴史を決して忘れない」ということ。
そして、忘れないことでそれを「繰り返さない」ということ。
認めたくない過去から目をそらしたくなる気持ちはわかりますが、それでは将来また繰り返す可能性があります。 
そうではなく、「二度と起こしてはならない」と心に刻むその大切さを、この作品は描いています。


収容所の描写は、この手の小説にしては割とソフト。
僕はグロいシーンを読むのは苦手なので、助かりました。
迫力に欠ける、と思わなくもないですが、ユダヤ人強制収容所の実態はドキュメンタリー番組や他作品などで十分に知っていたので、その知識で補っていけば全く問題ないと思いました。


一方後半の、ジュリアがサラを探し出すパートは、(長々書いても仕方ない部分とはいえ)広いアメリカで、
名前しかわからない人物を一発で見つけてしまうあたり、ちょっとご都合主義に感じなくもないですし、
メロドラマ仕立てにしたのも、やや疑問が残りました。


 小学生並の感想になってしまいますが、そういう人種差別とは無縁の世界になってほしいと思うし、
そのためには、自分の心の中にある他人への差別意識としっかりと向き合うこと。
そして、過去の歴史を、たとえ直視したくないものであったとしてもきちんと受け入れ、認識することが大事だと思います。
 

つよきす3学期 感想(バレあり)

まず採点から。

シナリオ 105/150      キャラ125/150      絵80/100     音85/100 

その他システム70/100    印象 +30/(+-50)    合計 495/650 (69位/160ゲームくらい?中)

ESにつける点 81


どうしても比べてしまうのが、「つよきす無印」(以下無印)の存在。
なぜなら、この『3学期』はよくある「ナンバリングは打ったけど、実際は別物」の作品ではなく、
登場人物のほとんどと設定のほぼ全てを「無印・2学期」と共有する、続編、もしくはファンディスク、はたまた二次創作のような作品だからです。


ちなみに僕は無印(&みにきす)はコンプ。 
2学期はエリカとセレブはやった覚えがあります。コンプはしていません。
なので、2学期についてはあまり触れないと思います。コンプしていないのに不正確な こと書いちゃったらまずいですしね。
また、無印に関してもクリアしたのが6~7年前なので、記憶違いがある可能性はあります。
もし勘違いなどあったら、ごめんなさい。


☆作品全体


作品全体を見ると、「無印」に巧みに似せつつも、うまい具合にライターの独自性が出せていて、好感を持ちました。
タカヒロ成分7に、さかき傘成分3を混ぜて、うまくアレンジした感じ。
似ているようで、別物の作品に仕上がっています。


タカヒロ作品は、良くも悪くも戯画的でした。そして刺激が強かった。
ヒロインのトゲの強さは相当なもので、ギャグもパロディを駆使して「ここで笑ってくれ!!」と狙いに来ている感がありました。
そして個人的には、そういう部分はあまり得意ではなかったのでした。


一方でさかき傘さんの書いた「3学期」は、ヒロインの長所・短所の傾向はほぼ踏襲しながらも、毒を非常に薄めています。
「無印」の毒とは、『傍若無人な ヒロインの振る舞い』が多かったことです。
良く言えば周囲に流されない強さを持ったヒロイン達、悪く言えば独善的な傾向のヒロインがとても多かった。
これは好き嫌いの問題で、 独善的だからこそ強烈なキャラクター性を保てていたとみることはできますし、
僕のようにそれを苦手だと感じた人もいたことと思います。


一方、今作では、それぞれのヒロインについて独善的な部分は残しつつも、自省するシーンが見えます。
特に象徴的なのが乙女さんでしょうか。
「無印」の乙女さんなら「このコンジョーナシが!」で済ませていたところを、
「三学期」では「私の接し方が間違っていたのかもしれない」と言わせています。 
説教くさくて面倒見の良いところが乙女さんのウザさであり、魅力でもあるわけですが、
3学期では、その説教くさい部分は残しつつも、自省をし、レオの気持ちを忖度するだけの度量を持つヒロインに成長を遂げていました。


素奈緒ルートに関しても、(うろ覚えですが)確か「無印(みにきす)」では、
レオが素奈緒に引きづられるように昔の熱血さを取り戻していった覚えがありますが、
「3学期」ではお互いの考え方を尊重し合うという展開でした。
ある意味、ヒロインが自分を曲げた・妥協したとも言えますが、独善性が薄れたぶん柔軟さを増している点は
僕の好みにあったものでした。


では次に個々のルートについて書いていきます。


☆乙女さんルート B評価(S~E)

このルートで描かれたのは、乙女さんとレオの関係性。
レオはなんだかんだでコンジョーはあり、自主性がなかったというお話。
あぁいう接し方をしていたら、そりゃレオがそうなっても無理ないよなぁという自然な流れで、
乙女さんが人間らしい側面を見せたこともあり、好感をもって読むことができました。


また、乙女さんを「いると安心できる、癒し系頼れるお姉ちゃん」と表現したのはたぶん今回が初めてで。
「無印」でもそういう面はあったと思うのですが、あぁ、そういう人だったのかと改めて魅力に気づいた思いがしました。
卑怯な敵拳法部をぶちのめす展開もなかなか熱かったですね。


☆エリカルート C+評価

ところどころいいなと思ったシーンはあったのだけど、全体としてはまずまず。
途中ちょっと中だるみを感じるところがありました。
「姫」が人間的魅力を増した一方で、「強烈なカリスマ」が影をひそめてしまったというのは、
この「無印」と「3学期」の関係をも表しているようで、なかなか興味深かったです。


☆カニルート B+評価

序盤のバスケシーンを読んでいた時は「なんじゃこりゃ」と思ったのですが、終わってみれば良いルートでした。
「無印」でもカニルートはスバルとの関係を絡めた、良シナリオでしたが、
今回もまたその「無印」を発展させた、素晴らしいものに仕上がっていたと思います。
あと、「バカップル」はなくなったと書いている方を何人か見ましたが、二人で「バカ」をやるシーンがなくなっただけで、「甘々ニヤニヤな意味でのバカップル」ぶりは健在だったのではないかと。

フカヒレの活躍も嬉しいですね。スバルの存在がクローズアップされることは多いですが、
やはりフカヒレも含めての親友グループ。
いじられ役になりがちな彼ですが、「いじる相手」としてではなく、しっかり「親友」だなと感じさせてくれるシーンが
あって、とてもよかったなと思いました。


☆よっぴールート B評価


とってつけたような姫とレオの入れ替わりイベントといい、やたら不自然な「よっぴーはいい人」推しといい、
やりたいことはわかるものの、拙さを随所に感じたシナリオ。
また、「よっぴーが生徒会長に立候補で終わりでしょ!」という、先の極めて読みやすい展開も賛否が分かれそうです。

とはいえ、
「こんなの本当の私じゃない!」と悩むよっぴーに対し、「演技も含めて、それが本当のあなた」との回答を提示したエンディング直前の展開は、当たり前と言えば当たり前ながらも「うんうん、そのとおり」と思わず納得してしまう筋立てで、終わってみればスッキリとした読後感。
自分も学生の頃は、「他人に見せている自分」と「本当の自分」の乖離に居心地の悪さを感じ、
「本当の自分」を知ってほしいと思っていた時期がありましたので、(少々よっぴーは特殊ではあるものの)
共感をもって読むことができたと同時に、学生時代の自分を少し思い出しました。
あの頃は潔癖だったなぁというか、今はどうしてこんなにいい加減になっちゃったのかなぁ……と自分語りに入っても仕方ないので、話を戻して。


こんなシナリオもアリではないでしょうか。
ただ、返す返すも、入れ替わりイベントに頼らずに恋愛を進めて欲しかったというのはあります。


☆瀬麗武ルート B-評価


正直中盤まではあまり面白くなかったんですが、軍団長とのバトルはなかなか良かったです。
乙女にしろ軍団長にしろ館長にしろ、ドラゴンボール的強さの彼ら彼女らを相手に、凡人が挑むというシチュは燃えますね。
後は瀬麗武が結構エロくてよかったです。
あ、あまり書く事がないな……。


そ、それと皆さんのレビューなどで「何でいるのかわからない」と言われている権田瓦さん。
僕は割と好きですよ!
いや、確かにいなくてもいいとは思いますがw


☆なごみルート C+評価

「無印」ではなごみが最萌えだった僕。当然期待して読んだのですが、
少々期待はずれだったルートです。
最大の不満点は、「淡々としすぎている」こと。物語の起伏に乏しいと感じました。


なごみの成長(母の再婚を祝福できるようになる)→天王寺とのどかの再婚(エンディング)
までの流れは共通ルートを終わらせた時点で、あるいはその前から既に確定とも言える流れで、
後はどれだけそのシーンを盛り上げるか。
もしくは予想外の展開を盛り込むかに期待していたのですが
結局は淡々と成長し、淡々と予想されたエンドを迎えただけだったのは肩透かしでした。
なごみが、天王寺を真っ向から認めるシーンがあっても良かったんじゃないかなぁ、と。
また、なごみというキャラの特性上、皆とワイワイしたり、楽しいギャグ日常も描けないのが辛いところです。


キャラについて書きますと、無印版から大きく印象が変わったのがこのなごみでした。
デレッデレだった無印版に比べて、ツン成分が強いですね。
これはこれでアリだと思いますし、相変わらず可愛いのですが、個人的には無印版のデレなごみの方が好きでした。


ところで、これはなごみルートだけに言えることではありませんが(よっぴー、瀬麗武、かに、乙女にも該当すると思います)、Hシーンでのレオの振る舞い方はエロくて良いなぁと。
Hシーンそのものではなく、正しくは、Hシーン直前の流れですね。


エロゲーの多くは、「告白」→「相思相愛を確認」→「はじらいながらの初H」という流れが多いのですが、
今作では「恐らく相思相愛だけど確信が持てず」→「スキンシップなどで良い雰囲気に」
→「エッチな雰囲気の中、流すようにヒロインをHに持っていく」という流れで、底はかとなくナンパ師的というかヤリチン的というか……と書くと言葉が悪いんですが、「良いなぁ!」と。


「告白を受け、気持ちを完全に固めてHする」や「なーんも考えないでHする」のではなく、
「本当にいいのかな……いいのかな?」みたいなヒロインの戸惑いと、
彼女の抵抗を少しずつほぐしていくレオの振る舞い、エロ空間でヒロインの思考を麻痺させていくその描写は地味に高評価ですね。
肝心のHシーンは、まぁ普通くらいなんですが、流れがとてもよかでした。


☆素奈緒ルート  評価 A-

「3学期」のみならず、「無印」を含め最も気に入ったシナリオです。
特に弁論大会のシーンは必見とも言える出来で、固唾を飲むように読まされてしまいました。


自らの行いを「これ、正論よね!」の台詞で貫いていった「無印」と如実に違ったのが、
レオに対して言った
「私のために変わってくれて、ありがとう」
「あなたのために変われなくて、ごめんなさい」の台詞(←メモをとっていないので、一言一句同じではないです。あしからず)。


これは「無印」のタカヒロ氏では絶対に、書けなかった(もしくは、タカヒロ氏は絶対に書かなかったであろう)台詞だと思ったし、個人的なことを言えば、画面の向こうでニヤニヤしっぱなしでした。


☆終わりに


タカヒロ氏がいなくなったにも関わらず、2学期、そして3学期を発売する「つよきす商法」には正直呆れていました。
ぶっちゃけてしまえば、「3学期」に関しては冷やかし半分の気持ちで購入しました。
そもそも「無印」に74点をつけており、「2学期」に55点をつけている僕は「つよきすフリーク」というわけではありません。


しかし、終わってみればこの『3学期』は、僕の中で『無印』を上回る作品になりました。
そして長く付き合ってきた「つよきすワールド」がとうとう終わってしまう(NEXTは別キャラなので)のが、少し寂しいような、そんな気持ちにもなっています。
「無印」、「2学期」の出来なら、そんな気持ちにはきっとならなかった。
そういう意味でも、この「3学期」は「つよきすシリーズ」の集大成とも言える作品になったのではないでしょうか。


コンフェデベスト4総括

コンフェデレーションズカップも終わりました。
最後にベスト4に勝ち上がった各チームの感想を書いてみます。


☆ブラジル

優勝したからいうわけではなく、今大会で最も収穫のあったチームがブラジルだと思います。


◎1:勝負弱さの払拭

コパアメリカ2011(パラグアイ戦)、ロンドン五輪(メキシコ戦)と、ブラジルは試合を押し気味に進めながらも相手チームに粘られ、終わってみれば負けてしまう姿が目立ちました。
しかし今大会では、予選リーグメキシコ戦、準決勝のウルグアイ戦と同様に粘られながらも、勝ちきる強さを手に入れたのが特に印象に残りました。これは来年の本番に向けて大きな武器になると思います。


◎2:ポゼッションとショートカウンターの両立

もともとショートカウンターの威力には定評のあるブラジルでしたが、今大会ではポゼッションのチームに変貌を遂げていました。
ではショートカウンターは封印されたかというと、決勝のスペイン戦ではネイマールを軸に鋭い速攻も見られ、「どちらもできる」チームであることを印象づけました。


◎3:勝負どころでの集中力

サッカーでは、前後半開始5分と前後半終わりの5分をよく「魔の時間帯」といいます。
これは、立ち上がりor終盤という「気が緩みやすい」時間な上に、この時間帯にゴールが決まると
出端を挫かれやすい、意欲を削がれやすいことからです。

さて、今大会のブラジルの得点を振り返ってみると。


VS日本 前半3分、後半3分、後半ロスタイムで3-0
VSメキシコ 前半9分、後半ロスタイムで2-0
VSイタリア 前半ロスタイム、後半10分、後半22分、後半43分で4-2
VSウルグアイ 前半41分、後半41分で2-1
VSスペイン 前半2分、前半44分、後半2分で3-0


と、この「魔の時間帯」に得点が集中しています。
ここまで偏るというのは偶然では考えにくく、チーム全体を通して「意識づけ」をしていることが伺えます。
そしてもちろん、意識をしただけでなくきちんと「ゴールを決めている」。
ブラジルの強さを象徴している数字だと思います。


◎4:活躍した選手

まずは何と言ってもネイマールでしょう。
大会MVPに選ばれたのも当然の圧巻のパフォーマンスでした。
彼のスピード、ドリブル、得点力は本当に卓越したものがあります。

前線では大会得点王にも輝いたフレッジの決定力はお見事。
来年の大会でもエースとしてブラジルの前線を引っ張ることになると思います。

右ウイングのフッキは、やっとチームに馴染んできた印象です。
今まで彼は全く良くなかったのですが、今大会では課題だった球離れの悪さも少しずつ改善されてきました。
まだ満点とは言えませんが、ようやく戦力として計算できるようになってきました。

中盤の要、パウリーニョは新たな発見でした。
守備と前線を繋ぐ、考えようによっては最も大切なポジション。
それもブラジルの弱点であるポジションで存在感を放ちました。
ブロンズボール賞(MVP投票で3位)も納得です。


唯一不満が残ったのは、オスカルでしょうか。
ブラジルの中では間違いなくワーストでした。
もっとも、オスカルの所属するチェルシーは、恐らく今シーズン最も多くの公式戦を戦ったチーム。
疲労が残っていたのかもしれません。
そう考えればエクスキューズもありますが……もっとも、チェルシーは昨シーズンも最も多くの公式戦を戦ったチームなので、チェルシーにいる限り改善されることはないのかも……。
DFのダビド・ルイスもチェルシー所属でしたが、今大会は良かったですし……。


後は、迷信じみてきますが、コンフェデで優勝したチームは翌年のワールドカップでは活躍できないという
ジンクスが気になってくるぐらいでしょうか。


とにかく文句のつけようがない優勝だったと思います。


☆スペイン

新しい発見はほぼ皆無で、有意義な大会にはならなかった、という印象です。
特に不満があるのは、デルボスケ監督の采配でしょうか。


◎1 ウルグアイ戦で見せた圧巻のポゼッションと、準決勝までの「いつもどおりの」勝ち上がり

南米王者のウルグアイを相手にした初戦、パーフェクトな試合をしたのがスペインでした。
完勝と呼べる内容でボール支配率は70%を超え、ウルグアイに何もさせなかった試合は、
ますます進化するスペインを印象づけました。


◎2 良かった選手

今大会素晴らしい輝きを見せたのはイニエスタ。
衰えの見えるシャビに変わり、攻撃を司る彼のボールキープ、パスセンスがスペインを活性化させていました。
完敗したブラジル戦でも唯一彼だけは、ブラジルを相手に及第点のプレイをしてくれました。


×1 フェルナンド・トーレスと心中を続けるデルボスケ監督


過去3年にわたり、フェルナンド・トーレスはほぼ全く、前線でスペイン代表の足を引っ張り続ける存在となっています。
ファンの方には申し訳ありませんが、全く怖さがなく、大事な試合で存在感なく、スペインの苦戦の主因となっています。
にも関わらず、デルボスケ監督は未だにこの選手に固執し続けています。

今大会、デルボスケ監督は初戦のウルグアイ戦でトーレスに代わり、ソルダードを起用しました。
ソルダードは期待に応えて1ゴール、素晴らしいスタートを切りました。
次のタヒチ戦、明らかに力の劣る相手にスペインは二軍を先発させました。
そこでトーレスは4ゴールの大暴れ。と言っても、相手はタヒチですし、試合は10-0でスペインが勝っています。

第3戦、ナイジェリア戦でも先発したソルダードはまずまずのプレイでしたが得点を奪うことはできず、
後半から登場したトーレスがゴールを決めました。ここに関してはトーレスも良かったと思います。


これでデルボスケ監督は早々にソルダードに見切りをつけてしまい、再びトーレスを先発に使うようになります。
以後イタリア戦、ブラジル戦で先発したトーレスですが案の定何もできずに終わりました。


今大会だけの話ならここまで言いません。
2010ワールドカップ、Euro2012と、デルボスケ監督はトーレスにこだわり続けましたが、
この二大会でトーレスが活躍したのは、Euro2012のアイルランド戦のみ。
後の試合ではほぼ全くといっていいほど、試合に絡めていませんでした。


そのトーレスを、なぜ未だに使い続けるのか。
ソルダードのことは1試合で見切りをつけるのに、なぜトーレスを辛抱強く使い続けるのか。
これがデルボスケ最大の疑問点です。
トーレスを使ったからブラジルに負けた、とは全く思っていませんが、
トーレスを起用して負けたでは、「選手のテスト」という言い訳もできません。


☆イタリア

守備が崩れたことは予想外でしたが、印象としては大会前と特に変わることはありませんでした。


◎活躍した選手

GKのブッフォン、中盤のピルロに前線のバロテッリ。
センターラインを固めるこの3人が傑出したパフォーマンスを見せ、チームを引き締めていたのがイタリアです。スペイン戦でのマッジョも素晴らしかったですね。
しかし、ブッフォンとピルロはもう大ベテランですし、ピルロとバロテッリは大会途中に負傷してしまいました。
ピルロをサポートするべきモントリーボやアクイラーニ、バロテッリに代わって登場したジラルディーノは正直物足りなさばかりが目立ち、選手層の薄さも感じさせられました。


×1 負傷者の続出

ピルロ、バロテッリ、アバテといった負傷離脱者も含め、3位決定戦の舞台に登場したイタリア代表は
野戦病院のような惨状を呈しました。
スペイン戦がPKまでもつれたこともあって、ピッチに立った11人はバテバテで、なおかつベンチにも五体満足な選手がほとんどいない状態に。

この1点をとれば不運と考えられなくもないですが、Euro2012でもイタリアは全く同じ状況に陥っています。
これはチーム全体のスタミナの問題、あるいは大会を通してのペース配分のミスではないでしょうか。
来年のワールドカップでは選手のフィジカルコンディションをしっかり調整し、休める試合では休み、
うまく選手をやりくりして、何とかやっていってほしいものです。


スペインもまた、Euro2012でもコンフェデ2013でもPK戦を戦っていますが、イタリアのような悲惨な状態にはなっていないことを考えなくてはなりません。


☆ウルグアイ

ウルグアイのベスト4は予想どおり。チームの印象も変わりません。
ですが、ここ最近調子を落としていたこのチームにとっては、失われた自信を取り戻した大会になったのではないでしょうか。


◎1 カバーニの活躍

フォルラン、スアレス、カバーニと豪華な前線を擁するウルグアイ。
ですが、前者二人はともかくカバーニに関しては、今までほとんど活躍できていませんでした。
2010ワールドカップでも、快調にゴールを量産するフォルラン、スアレスを尻目にカバーニは鳴かず飛ばす……。

ですが今大会、とうとうカバーニは代表でも本来の力を見せ始めました。
ブラジル戦、そしてイタリア戦。
負けはしましたが、守備に攻撃にと全力でピッチを駆け回るカバーニの姿はひときわ印象に残りました。
これからは代表でも「頼りになる」カバーニを目にすることができそうです。


◎2 健在だった強さ

2010ワールドカップ、コパアメリカ2011と素晴らしい成績を収めてきたウルグアイ。
そこから全くメンバーが変わらず、おまけにワールドカップ予選では大苦戦中ということで
どれほど「劣化」してしまったのか気になっていたのですが、
今大会では2010・2011の頃のような強さを見せ、安心させてくれました。
選手の入れ替わりが全くないのは心配ですが、今大会、弱体化を顕著に感じることはありませんでした。
変わらず「強い」と言って良さそうです。


◎3 中盤の番人アレバロと、新たな武器となりつつあるロドリゲス

今大会、カバーニの次に活躍が目立ったのが中盤のスキンヘッド、アレバロでした。
以前からペレスとコンビを組んでウルグアイの中盤を支えてきた選手ですが、
今大会では彼の守備能力は際立っておりました。

タバレス監督が、守備専業のペレスではなく、攻撃重視のロドリゲスを起用できたのは
アレバロ一人に任せても守備が安定していたから。
今まではベンチにいることの多かったロドリゲスが試合に出場し、良い動きができたのも
間接的にはアレバロの力が大きかったと思います。
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