2013年10月

暁の護衛クリア (バレあり)

まずは点数から

シナリオ 90/150 キャラ 110/150 絵 85/100 音 70/100 その他システム 80/100 印象 25/50

合計 465/650(96位/170ゲームくらい?)
 
ESにつける点数 72


『全体の感想』→『キャラごとの感想』の順に書いていきます。

★全体の感想

キャラクター同士のかけ合いが面白い作品で、海斗×ツキや海斗×尊徳を中心に、プレイしていて何度も笑いました。
ゲーム自体が短めな事もあり、ストレスを感じながらプレイしたのは1ルートだけ。
手軽にプレイできて、笑えて、萌えられる作品だったと思います。
ただ、良くも悪くもそこだけと言いますか、他にウリらしきウリは見つけられません。


特にシナリオのやっつけ感は酷く、個人的に合格点のシナリオは妙だけでした。
麗佳・彩などは、素材自体は決して悪くなく、それだけにもう少し……もうだいぶ丁寧に描けば、
良いシナリオになったかもしれません。


起承転結の『承』と『転』のボリュームバランス、繋ぎが全くうまくいっておらず、恋愛描写も相当弱いため、
楽しく日常を過ごしていたのにある日突然シリアスになり、そのまま30分もしないうちにゲームが終わってしまったり、ある日突然恋仲になってそのまま30分もしないうちに(以下略)といったような、唐突感を強く感じる内容になっています。


薫ルートに至っては完全に「俺たちの闘いはこれからだ」であり、評価できるものではありません。


続編商法(シリーズものだが、単体で読んでも楽しめる)なら一向に気にしませんが、
分割商法(単体で読んだら意味不明。いわゆる上巻・下巻の上巻だけ)はどうかと。


もっとも、「某マブラヴ」や「某ef」ではそこまで不満に感じなかった自分もいるので、
単純にストーリーのやる気のなさが不満なだけかもしれません。


【シリアスを描くには練り込み不足な舞台設定】


年代・舞台の設定もよくわからない部分が多いです……というか真面目に考える価値があるのかも疑わしいのですが……。


・「前世紀の作品」という発言に対し、「古ッ!」という反応を返すキャラがいる。

・禁止区域やボディガードに代表されるように、今の日本とは少し違う世界観である。

・倉屋敷重工のアンドロイド技術が凄く、核ミサイルなども発射している。


→このことから、「全く違う世界」の物語(ファンタジー)であるか、「近未来」の物語(SF)である、という予測が成り立ちます。


しかし、

・『県の最低賃金650円で計算すると』という台詞がある←……未来の日本もデフレなんですかね……

・ちなみに、2012年の最低賃金を見ると(本当は本作が発売された2008年のデータが欲しかった)、
『東北・中国・四国・九州』には最低賃金が650円の県が複数あるが、『関東・近畿・東海』にはない。
で、お嬢様が集まっているのは大都市圏だと思うのだが(というのは僕の偏見?)、そんな大都市が最低賃金650円だったりするのだろうか??


・「匂ってみる」という動詞が何回も出てくる。この動詞はどうやら、関西の方の言葉らしい。
京都・奈良・滋賀・和歌山あたりでは使われているという(Yahoo!知恵袋がソースなので、信憑性の有無は各自の判断で)
少なくとも東京・神奈川あたりで暮らしてきた僕の周囲では、聞いたことがない単語であるし、本などでも他の作品で見たことはない。
では、京都・奈良・滋賀・和歌山あたりが舞台か?と思いきや、
この四県やその付近の最低賃金は650円よりもずっと上である。

(単にライターが関西出身で、「匂ってみる」を標準語だと思い込んでいる可能性は大いにあるのだが、それを言ってしまうとおしまいな気がする)


既に最後の2つが矛盾していて、「一体どこの『県』が舞台なんだよ!」というツッコミをしたくて仕方ないのですが、要はあまり考えないでノリで作った設定なんちゃうん? と思いました。


『ボディガードとお嬢様の恋愛は禁忌! ただし、家族の理解があれば別』という設定に関しても、
全てのルートでお嬢様の家族が理解を示してくれるので、あまり意味をなしていません。
もっともラブコメとして考えれば、単なる雰囲気作りのスパイスとして、こういう適当な設定もアリだと思います。


で、最初は「ラブコメ」(本作)で使う程度のテキトーな設定で良かったのが、
何故かライターの興が乗ってしまい、「次回に続く!」を繰り返した挙げ句三部作になってしまった。


結果、しょうもない設定を下敷きにシリアス重視の「罪深き終末論」(未プレイ)を上梓する羽目になり、
案の定コケた……というのは全て僕の妄想ではあります。
ありますが、この作品・シリーズにシリアスを期待するのは完全に間違いで、ぶっちゃけ海斗の過去やら、この世界の社会情勢などを真面目に描く力量は恐らくこのライターさんにはない。
一方コメディの腕はなかなかのものがあると思います。


一応僕は「罪深き終末論」まで買ってしまったのですが、正直「本作」をプレイして、
このシリーズは『コメディだけでいいな』と感じました。


次に個別ルートの感想を少し書いてみます。


★ツキルート 評価 C+

中盤までのコメディはとても楽しかったです。
ただ、シリアス部に入ってからはダメダメでした。
レイプ被害という重いテーマを描くにしては、作りが中途半端すぎます。
もう少しきちんと掘り下げて描くべきテーマだと思います、が、それをやると本作の明るいノリが保てないので
そもそも本作で選ぶべきテーマではなかったような気がするんですよね。 
また、ツキをいじめていたメイドにしても何の制裁もなしではカタルシスもあったもんじゃありません。


★妙ルート 評価 B+

王道で先が読めるものの、綺麗なお話でした。
アホっ娘でウザかわいい妙、向上心がなく将来も毎日ダラダラ過ごそうと考えていた妙が、
生きる目的を見つける、ユウキとのやりとりも含め なかなか良かったのではないでしょうか。
共通ルートではイマイチ良さのわからなかった妙が、個別ルートに入ってから魅力を増したのも嬉しい誤算。
終わってみれば、唯一満足したルートでした。

……にしても、金持ちで母親が怖いからいいようなものの、なんか悪い男に騙されそうな性格してますね、妙って。
エッチする=付き合う、ではないと僕なんかは思うのですが。
「……本人は付き合ってるつもりだけど、男から見たら実はセフレ」なんてことになりそうでちょっと心配ですw
 

★麗佳ルート 評価 B-

メインヒロイン(ですよね?)にしては微妙なルート。
起承転結の「転」がなく、突然「承」から「結」に飛んだような、話のつなぎ目がうまくいっていない印象を受けました。
海斗がボディガードを辞めるシーンがあまりにも唐突すぎるなら、麗佳が海斗を好きになるのもいかにも唐突でした。
自らの父親がかつてたどった道を知り、別の道へと進むという、
あらすじ自体は決して悪くなかったと思います。
それだけに、もう少し丁寧に描いても良かったんじゃないかなぁと思います。

ラストも「次回へ続く」的なエンディングですしね……。 


★萌ルート 評価 D

本作の他ルートは「ウザキャラがおらず、掛け合いが楽しく、日常シーンを笑いながら読める」というのがウリだったんですが、 このルートはその美点を全て覆してしまったという意味で、「やっちゃった」感があります。

ルートの評価というよりキャラの評価になってしまうんですが、
萌にしろ薫にしろジジイにしろ、このルートで出番の多いキャラは皆ウザい……。


自分の欲求最優先で、周囲の迷惑を考えない萌が行動を起こし、海斗がそれに巻き込まれ、
薫は立場上からか萌の肩を持ち、ジジイは海斗をいじめ……
読んでてウンザリ。
海斗ももう少し、反骨精神あるキャラだと思っていました。
理不尽な仕打ちを受けたら、ちゃんと反旗を翻せよ。
萌に説教の一つでもかませよ、それが凡百の(理想的な)ボディガードとは違う、海斗の魅力じゃなかったのかよと。

★薫ルート 評価 D

Dというか、ほとんど萌ルートと同じで最後がちょっと違うだけですし……。
典型的な「次回に続く!」エンド。
Hシーンすらありゃしない。まぁしょうがないかもしれないが。

ところで回想シーンで佐竹とバトルする際に、「髪の毛を掴んで殴る」シーンがありますが、
佐竹のどこに髪の毛があったんでしょうか。

他にも
「君はどうにも緊張感に欠けるな。それと、その張り詰めた気配はどうにかした方がいい」
というセリフがあって、どっちなんだよ!と。
雰囲気だけで台詞を書いて、そのあと推敲を忘れた~ということでしょうか……。


★彩ルート 評価C+

話自体は悪くないのですが、圧倒的に長さが足りていません。
彩と関係を深めるシーンが、「ゲームに付き合う」だけ。
文章を額面通りに受け取るならば、『お互い、少しずつ意識してちょっといい感じになってきたかな?』という
段階だと思います。
それが突然、彩のプリンシパルの座を賭けて、尊と勝負することになり、勝つとそこで尻切れトンボのエンディング。

もう少し彩と仲良くなって、彼女との絆を確かに紡いでからならあの展開もわかりますが、
まだ「ちょっといい感じ」程度の相手を得るために、尊と闘う必要があるのかな?と思いました。
これは、尊と闘うのがダメと言いたいのではなく、もっと恋愛描写に力を割け、ということです。

結局、『あの一夜』を除いて、恋人らしいことは何一つしてないですよね。
それがこの二人の関係の薄さ(というか、恋愛描写の薄さ)を表していると思います。
 

【最後に】

ラブコメとしてはまずまず満足。
だったのですが、萌ルートが楽しめなかったので、大満足とは言えません。
急展開する物語の唐突さはいかんともしがたく、「手軽に笑えて、萌える」作品以上のものではありませんでした。

ついでに言うなら、物語同様エロシーンも尺が足りませんね。せっかく絵は可愛いのに、これじゃ抜けません。 

シークレットゲーム感想(重バレあり)

Flatさんの「シークレットゲーム」をクリアしました。

まずは点数から

シナリオ110/150  キャラクター110/150  絵75/100 音80/100 その他システム85/100 
印象度30/50 合計  490/650 (73位/数えてないけど多分170作くらい)

ESにつける点 80点 (490÷650+5=80.3)



★前置き


本作は一見、バトルロワイアルものの外見を持っているものの、実際そこで繰り広げられる物語は、歪な思考回路を持つ主人公が自らの思考の過ちに気づく……要するにいつもの健速ストーリーと言って良さそうです。


バトルロワイアルものとして評価できるのは1章のみ。
その後はルールもロクに作れない運営側の不手際と、不自然で強引な展開が目立つ、しょうもないエピソードが2・3と続きます。
エピソード3の後半、渚ルート後半で物語がどこへ向かっていくのかが明示され、
エピソード4では完全にバトルロワイアルものをやめ、皆が心を一つにして巨悪へと立ち向かうバトルものへと変貌します。


この感想では、「物語のテーマ」→「各章ごとの感想」→「キャラクターの感想」の順に書いていきます。


★物語のテーマ(「こなたよりかなたまで」、「遥かに仰ぎ、麗しの」のバレがあります)


ライターの健速さんは、描きたいものが非常にハッキリとしている作り手だと思います。
特に本作は「こなたよりかなたまで」と姉妹作とも言える内容で、
片や『余命いくばくもない少年と、彼に恋する幼馴染』を、片や『元恋人の幻影を拭えない少年と、彼を信頼する少女』が配置されていますが、メインテーマは同じです。
吸血鬼や病気、バトルロワイアルに銃撃戦などはあくまで物語の外形に過ぎないのです。


では、そこで描かれているテーマはというと、それは『「他者を最優先に考える」ことにこだわっていた主人公が、『実は自分のことを最優先に考えていた』ことに気づく』という物語です。


他人を傷つけることを全面的に否定する彼らの行為は、一見他人のことを想っているように見えます。
ですが、実際はそうではありません。他人を傷つけることで、自分が傷つくのが嫌なだけ、なのです。

彼らは周囲の人々の心の強さを『信頼』しておらず、究極的には彼らの「本当の気持ち」などどうでもいいと考えています。


「こなかな」の彼方は自らを慕う佳苗に対し、病気の事実をひた隠しにし、心無い言葉で彼女を傷つけ遠ざけようとします。
その根底にあるものは彼女への*配慮ではなく、彼方の病気の事実を知った佳苗が絶望に打ちひしがれる姿を、彼方自身が見たくないだけなのです。
けれどそんな彼方の『身勝手な配慮』が間違っていたことは、佳苗ルートのラストで明示されています。


病気の事実に直面するよりも、今まで仲良しだった主人公に突然嫌われてしまった事、病気の事実を打ち明けてもらえなかったことの方が、佳苗にはよほど辛かったのですね。
やっと事実をありのままに伝えた彼方を佳苗が赦すシーンは、「こなかな」のハイライトになっております。


「遥かに仰ぎ、麗しの」本校編においても(記憶が曖昧ですが)、主人公の司は理由を言わずにヒロインの梓乃を避ける展開がありました。
幼少時の経験より、「人を愛することのできない自分、人に愛されることのできない自分」という妄想から抜け出せない司は、「梓乃に迷惑をかけたくない」という言い訳から、彼女を避けてしまうのです。
本当のところは、自分に自信がないから。
梓乃に真正面から向かっていくだけの勇気がないから。
そして梓乃の心の強さ(包容力)を過小評価して、梓乃の本当の気持ちを考えてあげられないからなのです。


実際には梓乃はそんなことは知らないわけで、理由もわからずに司に嫌われてしまう展開は、事情は違えど「こなかな」の佳苗と同じ立場です。
そしてそんな司がやっと、自らの幼少時のトラウマを梓乃に明かし、彼女に受け入れられるシーンが、「梓乃」ルートのテーマでもありました。


本作も同じです。
「シークレットゲーム」の総一もまた、「他人は絶対に殺さない」、「自分の命はいらない」という考えに囚われています。
これもまた欺瞞で、実際には「恋人を失った世界で、生きる希望を失ってしまった」から。
そして「恋人との約束を守りたいから」。


総一は身を呈して、大切な人たちを守ります。
けれど本当に大切なのは他人ではなく、自分の気持ちなのです。
そのことを看破した咲実が、欺瞞を彼に突きつけるシーン。

『貴方は正しいことなんてしていない! 貴方は私たちを自殺の道具にしようとしている』。

バトルロワイアル、首輪、PDA、ショーの恐ろしさなどなどは全て、この台詞を導き出すための舞台装置に過ぎなかったのではないでしょうか。


そんな総一に、コロっと騙されてしまったかりんが彼との幸せな結末にたどり着けなかったこと。
この事実を総一に面と向かって突きつけたのが咲実だった事からも、やはり本作のメインヒロインは咲実だと考えて良さそうです。
 
 
次に個別ルートの感想を書きます。


*話を単純にするために「配慮ではなく」と本文では言い切りましたが、もちろん「配慮」も混じっているとは思います。


★1章 評価 A-


元々バトルロワイアルものというジャンルが好きな僕は、唯一真面目にバトロワをやってくれた第1章が一番読んでいて楽しかったです。
全編、スリルに満ちていてダレることなく楽しめ、葉月・文香・咲実・渚・総一・高山、仲間パーティーの絆も良かったです。


わけても、【クイーンPDAの所有者を殺害する】という文面を使ったラストの叙述トリックはなかなかのもので、「巧いなぁ」と思いました。
一方で、郷田・渚の正体や、クイーンPDAの件など、謎を惜しみなく放出してしまったことが、エピソード2・3の停滞を生んだようにも思います。
個人的には、1章の方向性・質で残りの章も書いてほしかったと思っています。



★2章 評価 B-


1章とは打って変わって、雑さを感じるシナリオでした。
まず、麗佳の心理描写が不自然すぎます。


かりんを問答無用で撃つシーンもそうですが、
総一と利害関係がぶつからないことがわかった瞬間に、総一のことを疑いだすというのはいくらなんでもおかしいのではないでしょうか。
あそこはむしろ、やっと総一の目的が解ったことで警戒を解く場面だと思うのですが。


そんなふうに完全に「狂っていた」麗佳が突如として聖人君子のようになるのも奇妙ならば、
自分たちに敵意を向けてくる見ず知らずのかりんを、自分の身(それも、麗佳と相思相愛の自分の身)よりも
優先する総一も狂気じみています。
大切な麗佳を悲しませることよりも、見ず知らずの子の命を救うほうが大事なのか?と問い詰めたい。


4章の咲実の指摘を最も歪に表したのがこのルートの総一なわけで、伏線と言えば伏線になるのかもしれませんが、感情移入などできようもありません。


おまけにラスト、首輪の壊れ方と来たらアンフェア極まりないもので、こんなのが許されるなら誰もルールを守る必要はないでしょう。
ルールを守らねば首輪は外れない、という前提あってこその「シークレットゲーム」ではないのでしょうか。
この部分をおろそかにすれば、ゲームは成り立たないでしょうに。


1章に引き続きサスペンス部はグッドで、ダレは少なく、
葉月さんが漢を挙げた点と、悪役ながら手塚のカッコ良さはなかなかのものでしたが、全ルート中最も評価の低いルートとなりました。


★3章 かりんルート 評価 B


唯一のバッドエンドルートで、麗佳ルートと並び、出来の良くないルートだったと思います。


普通に考えればバッドエンド一直線の流れだったにも関わらず、
「やったね総ちゃん! ホントだったらルールを守らなきゃ外れないはずの首輪が、流れ弾でなんと外れちゃったよ! 驚きだねッ!」
という脱力モノの超ご都合主義を使い、力づくでハッピーエンドに着地させたのが麗佳シナリオならば、


普通に考えればハッピーエンド一直線の流れだったにも関わらず、
切れ者であるはずの渚さんが、銃を構えている手塚を黙殺するというまさかの大チョンボをかました挙げ句お亡くなりになり、
ドミノ式に総一も死んでしまいバッドエンドへとなだれこむのが、このかりんルートになります。

そもそも慎重な知恵者である手塚があそこまで危険な賭けに出るというのも、割と信じがたい話ですが、
手塚を無理やり動かそうとゲームマスターがあれこれとルールを新しく作っていくさまは目を覆いたくなるほどに酷く(後述します)、
到底高評価に値する内容ではありません。



下手にどんでん返しを狙いすぎた結果なのか、はたまた単に製作者が気まぐれだったのかはわかりませんが、
麗佳ルートの結末(ハッピーエンド)とかりんルートの結末(バッドエンド)を逆にしてはいけなかったのか、という疑問も残ります。


なお、1章・2章に引き続きサスペンス部はグッドで、やはりダレることなくスイスイと読める点は高評価したいところです。
結末だけを言うなら赤点レベルなのですが、それに至る中盤までは楽しく読める……それだけに、最後が勿体ないですね、本当に。


★脱線:センスの悪いゲームマスター(健速氏)


「公平さとルールの尊重がショーの大前提」
「カジノの客の公平さを奪うようなやり口は許されない」
「ここで意味もなくかりんを殺せば、彼女に賭けた客が大損することになる」
「ゲームマスターに許されているのは、あくまでもゲームバランスの管理と、『つまらない決着を防ぐ』ことなのだ」

この驚くべき一連の文章は、3章渚ルートにて現れます。
僕はこれを読んだ瞬間、「……あーあ」と思ってしまいました。


ゲームマスターが参加者を殺したり、特定の参加者の殺害を指令しておいて『公平』を謳うとはとんだ偽善っぷりですが、
ライター氏は本気でこのゲームを『公平』だとでも思っているのでしょうか。
(かりんルートで)手塚さんに賭けた人たちも、(渚ルートで)高山さんに賭けた人たちも、今頃大損して大激怒ですよ?


この手の作品で一番興ざめするのは「外部の人間」のゲーム操作だと思います。
僕は、「大会参加者の知恵と力を尽くした闘い」が見たいのです。


超超超不謹慎なことを言えば、「バトルロワイアルものとは、一種のスポーツ」です。
ゲームマスターとは、決められた「死のゲーム」のルールを選手たちが踏み外さないために、力を振るう存在であり、要は「審判」みたいなものです。


それが、気まぐれに介入するのでは興ざめもいいところではないですか。
「ゲームを面白くするため」などという不明瞭な理由でゲームに介入し、一参加者を殺すなど、いくらなんでもこの「審判」は出しゃばりすぎです。


バトロワをサッカーに例えます。

『汚いファウル(違反行為)』に「イエローカードを出す(首輪爆発などのペナルティを課す)」のが審判(ゲームマスター)の役目であって、

「10点差で負けているチームに贔屓して、バンバンPKを与えてスコアをイーブンにし、盛り上げる」とか
(人数差が出来たので、意図的に分断するようトラップを仕掛けるとか)

「試合途中で突然ルールを変えて、リードを奪ったチームが守りに入ってつまらないから、攻撃に出ないと罰を与える」とか、そんなのは論外でしょう。
どうしても攻撃的な試合を作り出したいなら、「得点数も勝ち点に上乗せする」などのルールを、【試合開催前に】作っておく必要があると思います。


本作の運営者たちはまともにルールも作れずに、その場限りでの気まぐれな干渉を行い続け、参加者まで殺しているにも関わらず、
ライターの健速氏に言わせれば「公平さとルールの尊重がショーの大前提」らしいです。
八百長をしておきながらやってないと開き直るチームの如き、厚顔無恥さではないでしょうか。


本作では各プレイヤーに様々な勝利条件が課せられています。
その中には『戦闘』を必須としない、戦わずして勝利条件を達成できるプレイヤーも複数おります。
単に「殺し合い」がさせたいなら、そんな勝利条件を設定しなければいいだけの話でしょう。
一度そういう勝利条件を設定したなら、殺し合いになろうがなるまいが、黙って静観するのがスポーツというものではありませんか。


だいたい、「全員死亡」の勝利条件を持つ『9』や、「3名以上の殺害」を勝利条件に持つ『3』がいて、『PDAを偽装できるジョーカー』まであるのだから、
くだらないことをせずとも、そのうち疑心暗鬼は生まれるはず。
その成り行きをじっくり観察するのも、興味深い心理スポーツではないですか。
そりゃたまにはつまらない凡戦もあるでしょう。でもそれも含めてのスポーツではないのですか?
凡戦のたびに審判が好き勝手に介入して、それで本当に面白い出し物と言えますか?


どうしても「膠着状態がイヤ」なら、確実に派手な殺し合いを誘発できるよう前もって「ルールを整えておく」必要があるでしょう。
過去に何十回何百回も行われているらしいシークレットゲームなのに、
毎回このような場当たり的なことしかできないなんて、大会開催者は無能の謗りも免れないと思います。



【3章 渚ルート 評価 B】


この章は、これまで描かれてきた「バトルロワイアル」から、最終章で描かれる「大会運営者側との対決」方向へと舵を切る、伏線のためのルートだと思います。
とひと言で済ませてしまってもいいような内容なんですが、それだけではあまりに寂しいので、余談を一つ。
渚ルートのHシーンについてです。


渚ルートでは、30分間の休憩時間が与えられ、そこでHをした事になっています。
その中で、(正確に何分かはわかりませんが)まず作戦タイムに時間を費やし、
残りの時間でSEX中出しを行ったあと、フェラ口内発射までこなし、しかもまだ時間が多少あったのか慌てる素振りもなく服を着なおして、
のんきに会話シーンまであるのですが、慌ただしいにも程があるんじゃないでしょうか。


これは渚ルートだけでなく、麗佳ルートでもかりんルートでも、敵と闘う直前(1時間前とか)にHシーンが入るんですよね。


(ちっとも抜けないHシーンではありますが)、僕はHシーン自体は好きなのでエロをなくせとは言いません。
言いませんが、クリア後のオマケとか後日談に回してもいいのにと思います。


たまに「本編にエロが入ってねぇ! 後日談にしかないとはどういうこった!」と怒る方もいらっしゃるのですが、
個人的には無理やりHシーンを入れて物語の興を削ぐくらいなら、後日談にまとめてくれた方がずっと嬉しいんですけれど。



【4章 評価 B+】

最終章はバトルロワイアルものの外見をついにかなぐり捨て、「大会運営者達とのバトルもの」になってしまいます。
正直、望まない方向転換ではあったのですが、既に2・3章でバトルロワイアルものとしては破綻していたために、「まぁ、これもアリかな」と思いました。


実はこの「シークレットゲーム」、スーザン・コリンズという作家の「ハンガーゲーム」という小説とすごくよく似ています。
(シークレットゲームのPS2版が2008年8月、ハンガーゲームが2008年9月ですから、偶然の産物だと思います)


どちらの作品も、『バトルロワイアルものだと見せかけて、実は大会運営者とのバトルもの』という流れで、
ゲームマスターが乱入しまくって、バトロワ部をつまらなくしてしまっているところまで同じなんですね。


僕は以前「ハンガーゲーム」を読んで、審判の乱入の酷さとバトルものへの転換に激怒した経験があります。
その甲斐あってか、今回「シークレットゲーム」を読んでも、失望こそすれど激怒まではいかず
「あ、『ハンガーゲーム』そっくりや……。でも、『ハンガーゲーム』よりかは面白いな」と、ある程度好意的に本作を見ることができました。


4章で最も特筆すべき「咲実が総一の偽善を指摘する」シーンは前述しましたし、それ以外に特筆すべきポイントも特にありません。
やや残念だったのは、仲間たちの輪に高山さんがいなかった事でしょうか。
1章・2章ととても頼りになり、総一たちとのやりとりに好意的な感情を抱いていた高山さんだっただけに、
4章でももう少し協力体制を敷いてほしかったなと感じます。
あぁいう流れにするのなら、手塚も含めて総一たちの仲間に入れてしまっても良かったのではないか、と。


★各キャラクターについて


最後にキャラクターについて書いて、感想を終わりたいと思います。
大会参加者は13人いるので、嫌いな方から順に発表(?)します。


13位 郷田さん……単純に好き・嫌いというよりも、この人が暴れると必ず物語がつまらなくなるという、迷惑なキャラクター。そんなわけで、最下位を進呈したいと思います。


12位 長沢……最も好きになれないキャラクター。友達としても嫌だし、敵としても嫌で、その上害がある。考えなしのクソガキですが、そういうふうに設計されたキャラなので
仕方ないと言えば仕方ありません。


11位 漆山さん……郷田さんから優希ちゃんまで、見境なしなのは微笑ましい(!?)ですが、あれだけエロキャラ全開でしかもバトロワものというジャンルなのに、
レイプシーンの一つも残せなかったヘタレキャラ。あと、女性と男性であからさまに態度を変えるのは、あまりに小物でいただけませんw


10位 手塚さん……非常に惜しい悪役。2章の『進入禁止区域』を逆手にとった作戦など、「やるなぁ」と思わせるシーンも多かったのですが、
スミスのショボい策略に踊らされたり、仲間の振りをして不穏分子として活躍するかと思いきや、すぐに魂胆がバレてしまうなど、ガッカリさせられるシーンも多かったです。


9位 高山さん……2章までは相当なイケメンだったにも関わらず、3章以降で株を落とした不憫なキャラ。善役/悪役、ということだけでなく、手塚とつるむと途端に存在感がなくなります(手塚の方が上手【うわて】に見える)。
また、手塚とのやりとりが端的に言ってつまらない(笑)。
「手塚、お前を敵に回さなくて良かったよ」→「なら高山さん、一緒にくもうぜ」→「だが断る」→「つれねぇなぁ」のかけ合いばかりで、この2人の会話シーンくっそつまらんとです。


8位(色条)優希……この順位ではありますが、優希ちゃんは嫌いではありません。ただ、優希ちゃんは最終章にしか出てこないため、影がやや薄うございます。


7位 麗佳さん……シナリオの不備をモロに被った形の麗佳さんが7位。だって麗佳さんの心情描写、変なんだもん。主人公のことを「オマエ」っていうのもちょっと馴染めず。
敵として対峙した1章では、ロボットを使った攻撃など「実力」を見せてくれたのですが、仲間になると尻すぼみ……。


6位 葉月さん……2章で漢を見せた葉月さんが6位。やや影が薄いものの、紳士でカッコいい中年キャラを終始貫いてくれました。将来、こういうおじさまに僕もなりたい。

5位 総一……好きか嫌いかと聞かれると、なんとも答えようがない総一くん。良くも悪くも「健速主人公」として、他のライターの主人公にはない一種独特の雰囲気があります。
本作が総一君の物語である以上、この主人公はこれで良いのだと思います。


4位 文香さん……性格も良くて頼れるお姉さん。僕がシークレットゲームに参加してしまったら、仲間にしてもらうため、真っ先に声をかけると思います。
最終章ではまさかの大活躍でしたが、Hシーンがないのが悔やまれる……。甲乙つけがたい3位との差はそこか。


3位 かりん……妹のためには人殺しも辞さないかりんが3位。非常に感情移入のしやすいキャラで、総一ファミリーの中では咲実に次いで総一との絡みが印象的でした。
将来絶対いい女になりますよ!

2位 渚さん……ゆるキャラに見せかけた実力者、渚おねーさんにとって唯一の失態はかりんルートでのまさかの油断。あれがなければ1位だったかも。
過去のエピソードなども良い感じでしたが、総一と恋人と考えるとどうもピンと来ないです。あくまで、総一たちを見守る和み系お姉さんとして、好きなキャラクターでした。


1位 咲実……メインヒロインなのに不人気だそうですが、僕の1位は咲実ちゃんです。いやだって、どう見ても(異論は認める)総一に最もお似合いですし、
物語テーマを考えてもルート数を考えても堂々のメインヒロインです。エロシーンも(まぁ抜けないけど)一番エロいような気がするし、こういう守ってあげたいキャラは好きですなぁ。
あ、でも最後総一を尻に敷いてた姿を見ると、考え直した方が良いかもしれませんが……。



「シークレットゲーム」のシナリオには不満がありますが、キャラクターはかなり良かったと思っています。
健速さんの描くヒロインはどの作品でも割と好みで、マジでウザい子、クリアする気になれない子っていなかったりします。
文香さんや葉月さんのように脇役も良い感じでしたし……。


シナリオ重視で考えると本作はあまり褒めたくありませんが、キャラクター重視で考えるならそんじょそこらの萌えゲーよりも遥かに良かったですね。
なので良質のキャラゲーとして評価し、80点をつけました!
 
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