2013年11月

黄昏のシンセミア 感想(バレあり)

まずは点数から。

シナリオ 110/150 キャラクター125/150 絵 75/100 音 90/100 その他システム 100/100 
印象 35/50  合計 535/650 (26位/150ゲームくらい?)  

535÷650=82.3+5

ESにつける点数 87


【物語を支える屋台骨の強さ】


87点をつけておいてなんですが、特に感動した、笑えた、深いテーマだった! というわけではないんですよね。
ですが、ストレスフリーで退屈せず、全ての物語が楽しめる(既読率100%)というのはやはりそれだけでも高評価に値すると思います。


まず始めに、特筆したいのはフローチャートシステムでしょうか。
物語がどこで分岐したかが一目瞭然で、ワンクリックで目当てのシーンへとジャンプできる。
その上、既読率表示まで完備ということで、ついつい既読率100%を目指してしまいました。


音楽もまた素晴らしいです。
専門的なことは言えないのですが、雰囲気にピタリとマッチした良BGMが多く、
別の作業をしている時も背景に流しておきたいような、癒される音色が印象的でした。


システム、音楽、絵は物語要素(シナリオ・キャラクターとそれを綴るテキスト)を支える*脇役だと思っておりますが
本作は物語を支える屋台骨が優れているため、物語への没入度が増し、心おきなく御名神村での生活に没頭できました。
 

*異論のある方はいらっしゃると思います。絵買いをする人や声優買いなどをする方もいらっしゃいますので。
あくまでも僕の場合は、ということです。


【臨場感のある舞台設定】


天女伝説をバックボーンにした伝奇モノ、というのが本作のジャンルなのでしょう。
ただ、個人的には伝奇モノという印象はあまり強くありません。
序盤に訪れる熊との遭遇シーンや翔子シナリオでの翔子の変貌など、サスペンスもありましたが、限定的。
天女の呪いの仕組みについても、よく考えたなとは思いますが、インパクトはありませんでした。
反面、山に囲まれた田舎生活において、緊張感を高めるためのスパイス、雰囲気づくり、という意味では非常に良かったと思います。 



個人的には伝奇的要素よりも、御名神村という田舎を舞台にした日常シーン、そこで育まれる恋愛模様を丁寧に描いた作品という印象ですね。
嫌いなキャラクターが一人もおらず(翔子シナリオでの立ち絵のないクソガキはちょっとウザかったけど;笑)、
非常に雰囲気が良かったです。
それでいて、田舎のマイナス部分もいろはシナリオで触れるあたりも抜け目なく、単なる『理想の田舎』というわけでもありません。
舞台設定に臨場感があり、まるで本当に御名神村という村があって、そこでひと夏を過ごしてきたような、そんな感慨があります。
ヒロインがうんたら、ストーリーがどうたらという切り口ではなく、「田舎を体感してきたなぁ」という感じ。
こういうのもまた、雰囲気ゲーというのでしょうか。


【サブヒロインについて】


本作では、伝奇的要素の絡む攻略ヒロインが4人。伝奇要素の絡まないヒロインが3人おります。
この感想では便宜上、伝奇要素の絡むヒロインをメインヒロイン、伝奇要素の絡まないヒロインをサブヒロインと書かせていただきます。
いずれも『村の一員』として欠かせない人たちです。


孝介たちの幼馴染で、現在は村で先生をしている美里さん。
春日神社の巫女で、いろはの先輩でもある朱音さん。
駄菓子屋を経営するおばあちゃんっ子の沙智子。
立ち位置、役回りが綺麗に分散しているのも巧いです。


ただ……ヒロインとして見ると、沙智子ちゃんはまだしも、美里さんと朱音さんはシナリオが短いのが残念でした。


孝介たちの幼馴染でもある美里さんですが、過去については本当に必要最小限のエピソードしか語られていない印象です。
孝介たちの記憶が薄れているため仕方ないのですが、フラグメントなどで美里さん視点から、もう少し補強してほしかったなぁと思います。


朱音さん。朱音さん本当に可愛いですよねぇ……。可愛いんですけど……やっぱり短いです。
美里さんもそうなんですが、恋愛描写自体はなかなか初々しくて読んでいて楽しいものだっただけに、もう少しゆっくり描いてほしかったなぁと思ってしまいます。


その点、沙智子ちゃんは単純な恋愛モノだけでなく、翔子との関係性も含めたものになっていて、他の2人に比べればシナリオはやや長め。
伝奇要素(水場で足を取られる)と、村の日常がうまく絡んでいる点が気に入っています。
人間誰しも、一生のうちで一度くらいは説明のつかない事柄に遭遇するもの(だと思う)。
そんな怪異を『気のせい』ということにして、日常に復帰していくあたりが、リアリティがあるというか、良かったなぁと。
ただ、「関係を秘密」にするなら避妊はしましょうよw 
さくや相手にはコンドームを用意したのに、沙智子相手には中出しっすか!


あと、翔子との3Pはシチュエーション的に良かったです。はい。
ただ、このゲーム全体に言えることですが、あまりHシーンには力が入っていないのでそこは少々残念です。



【攻略順について】

個人的なお薦め攻略順は「銀子」→「いろは」→「翔子」→「さくや」→「シンセミア」です。


この感想ではここまでほとんど触れてきませんでしたが、やはり本作を語る上で避けて通れないのが『伝奇要素』。
ですが割と独特で、とっつきづらい設定になっている上、ライターさんはどうも難しい設定をうまく説明するのが苦手のようで、
しかも文章量少なく、わかりやすいエピソード・例などもあまりないまま、あっさりと説明してしまうため、孝介たちは理解していてもプレイヤーである僕らが同じように理解できるとは限りません。


僕自身は「いろは」→「銀子」→「翔子」→「さくや」の順でやったのですが、いろはルートをやっている時点では、「???なんのこっちゃ???」という感じでした。

銀子シナリオは割と説明を丁寧にしてくれるルートなので、まずは銀子ルートをクリアするのが本作の設定を理解する上で良いんじゃないかなぁと思います。
また、最終のシンセミアルートはさくやルートの続きなので、さくやを最後に。
途中までさくやと同じ共通ルートを辿る翔子をさくやの前にくっつけると、推奨クリア順となります。


【メインヒロイン各キャラの感想】


そんなわけで、まずは銀子さんから。

ゲームをコンプして改めて思うのですが、非常に重要かつ印象深いキャラクターですね。
物語の全てを俯瞰できる立場にいるのは実質彼女だけですし、見ようによっては孝介やさくやよりも核心に近いキャラかもしれません。
孝介たちに情報を提供してくれるのも、思い返せばほとんど銀子さんだったような気がします。
……そうか、伝奇要素の説明が下手なのも銀子さんのせいか……。


次にいろは。
幼馴染であり、悪友のような頼れる相棒のような、そんなポジションにいるいろはなんですが、
『幼馴染』として美味しい部分を美里に持っていかれてしまっているのが勿体ないと思いました。
あと、『いろは』って名前自体は全然悪くないんですが、どうしても文字で書くと『~といろはは言った』のように、平仮名が連続してちょっと読みにくいのが難点かもしれません。
ストーリーに関しては、御名神村の排他的側面が見られるのは地味にこのルートだけ。
怪異を村側から見た物語として、良かったと思います。が、最初にプレイしたため、説明がわかりづらかったです。


個別シナリオで一番楽しめたのは、実は翔子ルートでした。
悪夢に侵食され、変貌していく翔子の姿はなかなか緊迫感があり、地味に怖かったです。
翔子が魔性の存在として追われるように人間界を離れるラストも、余韻があって好みです。



【作品全体に貫かれるテーマ「禁断の関係」について】


最後にさくや。
本作のメインテーマは『禁断の関係』であり、OP曲でも「誰かを想うことが『過ち』というのなら」と歌われています。


ざっと整理してみます。
まず、過去において村の男性と天女(長女)が『禁断の恋』に落ちます。
「立場の違う者同士」の禁断の恋。これが1つ目。


次に、この村の男性は天女(次女)とも子供を作っているので、これも『禁断の関係』になります。
これが2つ目。「立場が違う」だけではなく、「嫁の妹(義妹)」とできているわけですからいろんな意味で禁断です。
もっとも、この時代は一夫多妻制だった気もしますので、法律上(?)では問題ないような気もしますが、
まぁそうは言っても、ねぇ(苦笑)。


この長女の血筋が皆神家に伝わり、さくやが現在受け継いでいます。
次女の方の血筋は岩永家に伝わり、翔子が現在受け継いでいます。
三女は言わずと知れた銀子さん。
そして、天女と契りを交わした男性の生まれ変わりが孝介になります。


この*3人の誰かと孝介が結ばれるというのは、大昔の「人間」と「天女」の『禁断の恋』をなぞることになるわけです。
付け加えれば、孝介とさくやは『実の兄妹』でもあるわけなので、二重の意味で「禁断」なわけですね。
ついでに言えば翔子(と沙智子)も年齢的な意味で『禁断』かもしれません。これは時が経てばすぐに乗り越えられますけどね。


なのですが、孝介と銀子、孝介と翔子の関係が『禁断』であるという描写はさほど前面には出ておらず、
孝介―さくや間に関しても「兄妹」の方が前面に出ていて、「生まれ変わり」としての描写が弱めなのは少々残念でした。
付け加えれば、大元の「過去編」に関しても、きちんと立ち絵を用意して、サブヒロインルートくらいのボリュームを用意してもほしかったように思いますし。


さくやシナリオ・シンセミアシナリオに関しても、動物の大移動自体は面白いと思うのですが、「切ない恋」・「禁断の恋」という側面は弱く、
メインルートだというふうに考えれば、少々インパクトが弱かったです。
共通ルート序盤の『いろはのいたずらメール』を出してくるくだりは印象的でしたが、それくらいかなぁ。
むしろサブルートの美里さんや朱音さんシナリオの方が、恋愛描写はしっかりしていた気さえするんですよね。


「過去編」が用意されていて、さくやルートを(サスペンス的な意味ではなく、ロマンス的な意味で)もっと過去編に絡めてくれれば
90点も夢ではなかっただけに、惜しいなと感じました。



*……こうして考えてみると、メインヒロインの中でいろはが弱い理由も何となく見えてきます。
だっていろはが相手なら全然「禁断」じゃないですし……。





【最後に、ヒロインの体型についてのどうでも良い雑感】


普段、エロゲーキャラの身長体重というのはあまり気にしないのですが、この業界は『モデル体型』のヒロインが多いという印象を持っています。
参考までに有名作として、Keyから「CLANNAD」、Type moonから「Fate/stay night」のヒロインの身長体重を見てみます。


CLANNADはメインヒロインの古河渚が155センチ43キロ。藤林杏が160センチで46キロ。坂上智代が161センチで47キロ。
キリがないのでやめますが、どのヒロインもだいたいBMIが18くらいと、完全にモデル体型です。各キャラクターごとの体型もあまり変わりません。


Fateに関してもセイバーが154センチで42キロ。凛が159センチで47キロ。桜が156センチで46キロ……皆似たような体型であまり代わり映えしません。
セイバーと渚の体型や凛と杏の体型もほとんど一緒なんですね。
セイバーなんて筋肉ついてるんだからもう少し重くても良いような、渚ってアンパンばっかり食べてるけど
太らないのか……いやまぁいいんですけど。 
攻略ヒロインから外れると、ライダーが172センチ57キロなどもおりますが、やはり全体的に痩せております。


そこで「シンセミア」。さくや167センチ57キロ。翔子145センチ31キロ、いろはが172センチ61キロ、銀子が164センチ58キロ。
かなりバラエティ豊かではありませんか。


まずいろはの172センチ。これははっきり高身長な気がします。
高め身長の娘も好きですよ。


次、翔子の145センチ31キロ。成長期なのであれですが、割と痩せ気味です。
ガリ一歩手前くらい。モデル体型といえばモデル体型。子供だけど。


で、銀子さんですよ。164センチ58キロ。BMIは21.5。
標準BMIが22なので、全然太いわけじゃないんですが、いわゆるモデル体型ではありません。


サブヒロインを見ても美里さんが156センチ52キロ。
朱音さんに至っては162センチで58キロとBMI22.1!


モデルを目指しているような奇跡の体型が続出するエロゲ界において、この現実的なBMI。
ガリ一歩手前の痩せキャラから標準キャラまでを網羅しているこのキャラ設定は、何かこだわりでもあるのでしょうか。
残念ながらシナリオ上で触れられるシーンはありませんでしたが、面白いなぁと思って見ていました。


【まとめ】

惜しい部分があり、感情を揺さぶられるようなインパクトはありませんでしたが、
総じてどのシナリオ・どのヒロインにも明らかなハズレがなく、
丁寧に作られた良質な雰囲気ゲーでした。

田舎の雰囲気にとても癒されました。
既読率100%になりましたが、またそのうち御名神村を再訪したいなぁ。 

紫影のソナーニル(バレあり)

81点。


読了後、爽やかな風が心を吹き抜け、元気が湧いて出てくるような、素敵なお話でした。


詩的な文体に酩酊させられがちですが、テーマ自体は明確に表現されていて分かりやすかったです。


作品のテーマは、『生命讃歌』。その象徴がリリィです。
『記憶喪失』が『誕生』を。
彼女が理由もわからずに、使命感から目指している「紫影の塔」が、『死』を象徴していると考えて良いでしょう。


記憶喪失の彼女は、ヴェラザノ、ブロンクス、ロング・アイランドと旅をしていくうちに
「寂しさ」、「喜び」、「悲しみ」、「憎しみ」、「愛」といった様々な感情に触れ、成長していきます。
ヴェラザノから紫影の塔への道は、一人の人間の人生を凝縮したものと言えるでしょう。
そうして成長していった果てに待っている彼女の終着点は『死』。
理由などわからずとも、本心では目指したくないとしても、結局人はそこを目指して進むしかないのです。


チクタクマンの印象的な台詞を引用します。

引用↓

「すべて、すべて、あらゆるものは意味を持たない」
「たとえば……忘れてしまえば、なんの意味もない」
  
                   
         

これは、「何故人は生きるのか」という問いかけになります。
どうせいつかは滅びゆくのに。どうせいつかは忘れられてしまうのに。
そこに意味はあるのだろうか、という問題提起になります。


また、自らが『影』であることを知ったリリィがAを置いてきてしまうシーン。

引用↓

「どうせ消えてしまうんだから、一人でいる」
「どうせ消えてしまうんだから、私を守って傷つくなんて意味ないよ」
「消えるってわかっているのに嫌がるなんてさ、ちぐはぐだよ」

                          

この3つの台詞もまた、同じテーマへの言及でしょう。

「人はどうせ最後には死んでしまう。だから、一人でいる。私を守って傷つく(→私のせいで迷惑をかける。などの言い換えも可能)なんて意味がない」


にも関わらず、ちぐはぐにも関わらず、『消えるのを嫌がる』リリィ。
身につまされる話だとは思いませんか?


けれどラスト。
Aを含め、今まで関わってきた人々に支えられたリリィは言います。

引用↓

「あたしは”いた”じゃない! みんなは”いた”じゃない! それを、『意味がない』とか言うな!」
「あたしは見たよ、あたしは聞いたよ。ここにみんながいたって、あたしは知ってる」
                                     

この事はエリシアの視点からより丁寧に、

引用↓


「私は見た。廃墟を、この都市の今を。消えていった彼らが遺したものを。
消えてなんていない。誰も彼もが忘れても、確かにここに彼らはいた。
誰も彼もが忘れても、確かに、かつて、生きていた(中略)
世界の誰もが忘れたとしても、私は目にした。私の、記憶に、刻んだ。
(中略)
だから、あなたが『意味はない』と嘯いても、少なくとも私には『意味がある』のだと信じます」


という回答が示されます。



そしてリリィは『神』を撃ち、『死』をも乗り越える。
彼女は実際には死んだのかもしれないし、生きているのかもしれない。
そこはきっと大事なことではなく、使い古された言い回しをすれば、
エリシアの、そして皆の心の中に生きている。


地下の世界が消えてしまったにも関わらず、幻であったはずの彼女はこれからも、
いつまでもAと一緒に、一輛だけの地下鉄に乗って、新たな冒険に乗り出すのです。



エリシアが、生きている限り。
そしてこのゲームソフトを手にとった僕たちが、この物語を忘れない限り。
今日もどこかでリリィとAが青空の下を駆け回る、そんな楽しい空想が続く限り、
二人は『生きて』いるのでしょう。


「生きる」ことを力強く肯定され、プレイした後、元気になれる。
そんな素敵な物語でした。

リベリオンズ感想 (バレあり)

まずは点数から

話120/150 人 105/150  絵 85/100 音 80/100 その他システム 75/100 印象 30/50

合計 495/650 (67位/160ゲームくらい?) 批評空間につける点数 80


【前置き】

本当に勿体ない作品だなと感じました。
途中までは……Cルート中盤くらいまでは85~90点くらいも狙えるなと感じていたんです。
ところがそこから急失速し、最終結果は80点。
確かに80点は決して低い点数ではないのですが、途中までが素晴らしかっただけにこの結果はいかにも残念でした。



ここでは、まずストーリーの感想を。

その前提として、最初に『バトルロワイアル』という形式について考えてみます。


次に、上で書いたことを絡めつつ、『リベリオンズ』のシナリオ感想を書きます。


そして最後にキャラクターごとの感想を書きたいと思います。


なお、本感想で使う『前作』という単語は健速氏の『シークレットゲーム―キラークイーン―』を指します。
リメイク前の「シークレットゲーム code:revise」のことではありませんので、よろしくお願いします。



【バトルロワイアルという形式――①ホラー小説――】

まずは、このバトルロワイアルというジャンルについて考えてみます。
と言っても、僕がこれまでに触れた数少ない作品についてしか語れませんので、よろしくお願いします。


まず、最も有名だと思われるのが高見広春の小説、タイトルもそのままの「バトルロワイアル」です。
「爆発する首輪」や、前作での進入禁止区域などはこの作品をヒントにしたものかなと思っております。
リピーターなんかもそうですね(あの小説では、望んでリピーターになったわけではありませんでしたが)。


それから、貴志祐介の小説「クリムゾンの迷宮」。
プレイヤーに与えられるPDAは、この作品をヒントにしたのかな。前作の渚などは、まんまこの小説のヒロインでした。


少し毛色が違いますが、スティーブン・キングの「死のロングウォーク」も、このジャンルに含めて良いと思います。
この小説は殺し合いではなく、「歩いて歩いて歩き続け、最後の1人が倒れるまで歩く」というものですが、
テレビ中継をされている、道から外れたりルールを破ると、運営側に射殺されるという意味では同じ系統の作品です。


この3作はいずれもスリリングなホラー小説の作品ですが、共通して言えることは「絶望的な展開」。
そして、「無機質で、公正・厳格な運営」がなされていることです。
運営は目立たず、ただ厳格にルールを適用する存在で、プレイヤーたちの生死は全て、プレイヤーたちの手によって決められていました。
(「クリムゾンの迷宮」に関しては、やや運営の暗躍も見られますが明かされるのは最後の10ページということで、物語を終わらせた後での種明かしでした)
感情などはなく、そもそも肉体すら持たない。故に倒せるものではない。ただただ不条理な「ルール」。
これらの作品における『運営』とは絶対に守らなければいけない「ルール」そのものであり、それ以上のものではありません。
 


【バトルロワイアルという形式②――メタ的な解釈――】


ここで、少しメタ的な視点を考えてみましょう。
『リベリオンズ』には、3つの立場の人間が登場します。


まず、「死のゲーム」に参加する『プレイヤー』たち。修平やまり子たちですね。
次に、「死のゲーム」を運営する『運営者』。修平パパやその上司たちです。
最後に、「死のゲーム」を観戦している『客』。


これら3つをメタ的に解釈すると、こう言い換えることができます。


『死のゲーム』=『リベリオンズというゲームソフト』
『客』=『読者』
『プレイヤーたち』=『作中登場人物』
『運営者』=『作者』




リベリオンズというゲームのジャンルは「サスペンスアドベンチャー」です。
つまりこのゲームを購入した人は、サスペンス(暴力・殺し合い・緊張・スリル・戦闘など)を期待して買った、のだと思います。例外はいらっしゃるとは思いますが。


さて、作中にも「サスペンス」を期待している人たちがいますね。「死のゲーム」を待ち望んでいる人たち。つまり、『客』です。これが僕たち『読者』です。
その「死のゲーム」に参加する羽目になった『プレイヤーたち』は、そのまま「リベリオンズ」というサスペンスゲームに登場させられた『登場人物』に対応します。
『運営者』とは、『死のゲーム』のルールを作り、『プレイヤーたち』を選出し、『サスペンス』に導く存在です。

つまり、「リベリオンズ」というゲームのルールを作り、登場人物を作り、客(読者)が喜ぶようにサスペンスを提供する存在。すなわち『作者』ということになります。


さて、『作品』(死のゲーム)において、『作者』(運営)が「話を面白くしてやろうとして」、伏線もなく、突然妙な設定を出してきたり、
登場人物が明らかにそのように動いていないのに、「無理やり」展開を変えようとすることを何というでしょうか。


それは広く、『ご都合主義』、と呼ばれています。
好きな人もいるかもしれませんが、大多数の『読者』には好かれないやり方だと思います。


【バトルロワイアルという形式――③少年漫画的バトルものとしてのバトロワ――】


ホラー小説としてのバトルロワイアルを上では3作挙げました。
これらの作品群とは全く異なる作品に、スーザン・コリンズの小説「ハンガーゲーム」があります。
この作品は一見、前に挙げた3作と同じホラー小説の体裁をとっていますが、中身はまるで別物です。
「ルール」そのものであったホラー小説の『運営』とは違い、この『運営』は、熱いバトルの末に倒すべき敵として設定されているのです。


「ハンガーゲーム」では、『運営』が極めて恣意的な介入を度々行い、ゲームの行方を完全に操作します。
そして、『プレイヤーたち』は『運営』に反逆し、ついに運営組織を打倒する~という話です。
「シークレットゲーム」シリーズはホラー小説として挙げた3作ではなく、こちらに近いストーリーラインになります。


この『運営』は「人間」の顔を持っています。独善的で、しばしば『私情』をもって『ルール』を捻じ曲げます。
何故彼らがそうするかと言う、理由とも呼べない理由は「その方が面白いから」です。
良い言い方をするならば、「融通が効く」とも言えます。
ルールは「厳密・厳格」ではなく、『運営』というルール適用者の手によって歪められ、好き放題に適用されます。
同時に、『ルールそのもの』であったホラー小説の『運営』とは違い、『少年漫画的バトルもの』の運営は非常に人間的で時にはミスも犯します。


そしてそんな『運営』を打倒せよ、というのがこちらのジャンルの特色になります。


さて、いきなり個人的な考えを言ってしまうと、このストーリーラインはよほど巧くやらない限り、面白くはなりません。


先ほど触れたメタ要素をもう一度確認してみましょう。


『死のゲーム』は「リベリオンズ」。
『死のゲームの登場人物』は「作中登場人物」。
『運営』は「作者」。
『客』は「読者」。


「作者」が自分の都合でいい加減なルール変更を行い、「作中登場人物」が「作者」と戦い、打倒する。
『運営組織』(作者)が潰され、「死のゲーム=シークレットゲームシリーズ」をこれ以上やらせないようにする。
罪のない人々が再び「死のゲーム=シークレットゲームシリーズ」に「登場人物」として参加させられることのないように。


……かなり、脱力モノの構造になっちゃいますよね。
この物語で作者は何を伝えようとしているのでしょうか?


『作者(運営)」は「暴力的な物語(シークレットゲーム)」を作って登場人物(修平たち)を不幸にするのはやめよう。でしょうか? まさか。

『死のゲーム=理不尽』に屈せず立ち向かえば、いつか理不尽に打ち勝てる。でしょうか?

こちらの方が近そうですが、しかしその『理不尽』とは作者が与えた理不尽ですし、それを購入した僕らは作中で『死のゲームを喜ぶ客』として登場しているわけだから……

そもそも『運営』(作者)を倒しても、そのジャンルを望む『客』(読者)がいる限り
罪のない登場人物は理不尽な危険に晒される。
なら、行き着く先はそのジャンルを望む『客』(読者)をなくそう、
「サスペンス作品」は悪趣味だから、楽しむのをやめよう?

まさか、そんなテーマなわけないですよね? でもメタ的に見ると、そういう話になりかねないのです。
 

こう書くとテーマの全否定になってしまいますが、思うに『バトルロワイアル』というホラー的要素と、『運営を打倒する』という少年漫画的バトル要素は
本来噛み合せが最悪なのではないでしょうか。


ホラー小説的なバトロワを楽しみたいなら、明らかに『運営を打倒する』パートが邪魔になります。
打倒できるような『運営』、破れるような『ルール』では、真の恐怖は描けないからです。


一方、『巨大な権力者を打倒する』というバトルパートを重要視するなら、『バトルロワイアル』という形をとる必要がありません。
魔王・勇者でも、独裁者とレジスタンスでも、悪の校長と一生徒でも、何でもいいんですけど別にバトロワである必要はないんです。
むしろ、前述したようなメタ要素が絡んできてしまうぶん、『バトルロワイアル』の形をとるのは、はっきりマイナスであるとすら思います。



【質の高い、ホラー的バトルロワイアル――Aルート&Bルート――】


ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。ようやく「リベリオンズ」の感想に移ります。


本作のAルート&Bルートは、ホラー系バトルロワイアルものとして挙げた3作に混ぜても遜色がない、素晴らしくサスペンスフルな物語でした。
先が気になって仕方ない、クリックする手が止まらない、そんな緊張感に満ちていて、これぞ僕が求めた作品だと強く感じたものです。


Aルート序盤、大祐とまり子が仲違いするシーンは『集団生活における、性格の不一致から来る軋轢』を見事に描いたシーンです。
見ず知らずの14人もの他人が一つに団結することの難しさを、痛感させられました。
『PDAの情報を偽った』伏線が回収される決着も見事でした。


Bルートでは、初めて、運営が介入をします。
ですが、ここでの介入は「おや、プレイヤーが一人足りませんね」と発言する、たったこれだけです。
誰かが有利になることを狙ってのものでも、試合を意図的に変えてやろうというものでもありません。


たったこれだけの変更で、
「春菜の不在に気づいた修平が、春菜を追いかける」→「運営者に質問する役が、修平から司へと変わる」
→「これにより瞳がストーキングする相手が、修平から司へと変わる」→「瞳のせいで、玲は司と仲間にならない」
というように、雪崩式に物語展開をシフトし、もう一つの魅力的な「バトルロワイアル」を描いてみせたライターの実力には驚嘆しました。


この変更は、全て論理的なもので、「偶然」によるものではありません。
Aルートでは雨が降らなかったのに、Bルートでは何故か同じ日に雨が降った……というような『ズル』も行われておりません。
全てはたった一言の言葉があるか、ないか。たった一つの選択で、物語の様相を一変させる。
それが何より素晴らしかったです。 
このルートでは充の活躍も胸に残りました。


2つの素晴らしいルートを読んだこの時点での暫定得点は85点。
ですが、この得点は更に上がっていくものと予想していました。

この作品には、1st stageという、ルールに明記された『ハッピーエンドの条件』が既に提示されており、
恐らく最終シナリオでは『2nd stage』への移行を防ぐという形での激闘(乗り越えなければならない確執・疑心暗鬼・価値観の相違などを乗り越えていく)が
見られるのではないかと予測できました。


王道的で、先が読める展開ではあるのですが、僕はこういう物語が大好物なのです。




【1st stage――ハッピーエンドへ至る画期的な設定――】


1st stage。皆が協力し、14人全員がまとまれば皆が生還できる。
けれどプレイヤーの1人が死ねば、一気にゲームは様相を変え、地獄のような2nd stageが始まる。
これは言い換えれば、2nd stageに移行することを防ぐことができれば、ハッピーエンドを迎えられるということになります。
1st stageとは、ルールにも明記された「全プレイヤーが目指すべき、ハッピーエンドの条件」なのです。


ですが、それは容易な道のりではありません。
そもそも、ランダムに選ばれた見ず知らずの14人が心を一つにするというのはとても難しいことです。
それは、学生時代のクラスや、職場などを考えても解ると思います。


本作では瞳や大祐、黒河のような『ちょっと関わりたくない人たち』もいますし、春菜の条件『3回危害を加える』というのもネック。
玲は悠奈と因縁がある……という具合に、様々な障害があります。
そのうえ武器がゴロゴロ落ちていますし、危険なPDA機能もある。
相当厳しい条件ですが、皆で生きて帰るにはやはりどうしても目指さないといけない、『ハッピーエンドの条件。


そういう物語ラインを、僕は望んでいました。


【Cルート――運営(作者)の迷走――】


さて、物語は僕が予想したとおりの道筋を歩み始めます。
Cルートです。


黒河と真島の確執や、玲の復讐心などが割とあっさり解決してしまうことに拍子抜けをしつつも、
期待どおりの展開に目が離せず読んでいきます。
そしてついに、3日目にして彼らは一つの場所に集まります。やった!
しかしゲームは終わりません。


そうです、このゲームは6日間あるのです。
明記されているわけではありませんが、今回が8度目の参加になる春菜さんの記憶によれば常に6日間なのでした。


3日目にして、一つの場所に集まった彼らですが、もちろん未だ心は一つではありません。
集団行動を重ねていくうちに、Aルートでの大祐とまり子のような、『性格の不一致による対立』なども起こってくるでしょう。
そうしたところから、亀裂が走り、最悪の結末(殺人)に至る可能性も否定できません。


さて、運命の6日目。ですが、何故か試合は終わらないのです。
ここで僕は初めて、軽い懸念を覚えました。
というのも、『確かにルール上、6日で終わるとは明記されていない』ものの、『(事前に決められていたものではなく)、ゲーム展開を見て、運営が恣意的にルールを運用した』初めての例になるからです。


ルール上明記されていないのだから、ズルではありません。
しかし、実際今まで起こり得なかった奇跡、『皆を一つにまとめて、6日目まで死者を出さない』を成し遂げた修平たちなのです。
正直に言いまして、それは「殺し合い」と同じか、それ以上にスリリングで面白い『見世物』だったと僕は思います。
それを、「運営」が「つまらない」と判断し、試合を延長しようというのはいささか乱暴だと思うのです。


更に修平たちにはやることがもうありません。
これまでの修平たちは、「団結して6日目まで生き残る」という目的があり、その達成を目指して頑張ってきました。
それが、「いつ終わるかわからないけど、それまで団結する」というのでは哀れに思います。
決められたルールを達成したにも関わらず、クリアできないゲーム。
それでは何のために1st stageというものがあるのでしょうか? 


この時点でもうゲンナリなのに、運営は更なる介入を図り、読者(僕)の評価を下げていきます。


何も起こらない事に業を煮やした運営が、リピーターズコードなる『ルール変更』を行い、瞳に結衣を殺させます。
この展開を読んだ瞬間、僕のテンションがガタ落ちしたのは言うまでもありません。


「作者」が突然妙な設定を持ち出して、強引に「物語の筋」を変えること。これは「ご都合主義」と呼ばれ、忌み嫌われる行為であることは上述しました。
「運営」(=ライターの月島氏)もまた、同じことをやってしまったのです。


どうやら、「客」(=読者)は「14人が団結することの難しさ:障害を乗り越えて6日間生き残る奇跡」に「退屈」し、「殺し合い」を求めているらしいのです。
そして、「運営」(=作者)は読者の希望に応えるために、無理やりジャンルと設定を変更して、殺し合いを描くことにしたというのです。

実際の「客」(=読者)である僕はそんなこと望んじゃいないんですがw 


こうなってはもう何でもアリでしょう。ルールなんて守る意味もありません。どうせ「運営」が後付けで変えてしまえるのですから。
その後の展開はもはや茶番です。
「審判」の意図どおりにコントロールされた八百長試合が面白くないように、「作中登場人物」の気持ちを無視して「運営=作者」が強引に仕組んだ殺し合いなど
面白くもなんともありません。


【Cルート――作者の都合、が見え隠れ――】


Cルート後半を擁護することは、正直難しいです。


「理不尽さ」を表現するために、運営の「理不尽」さを強調したのでしょうか?
しかし、突然拉致されてこんな死のゲームに放り込まれた時点でもう十二分に「理不尽」でしょう。


ハッピーエンド、と見せかけてそれを突き落とすシナリオが見せたかったのでしょうか?
その可能性は大いにあります。ですが、やり方があまりに稚拙すぎます。


それをするなら皆が1つにまとまり、6日目になる直前(もしくは試合終了のアナウンスが流れる直前)に、
14人の中で揉め事を起こし、事故によって殺人が起きてしまう。
「自然に瓦解する」ように描写するのです。
気が合わず、心が病んでいる人間もチラホラいる14人が団結し続けるのがいかに難しいかを、自然に表せる物語を書いてほしかったと思います。
ほとんど解決したと思われていた火種を一つ残しておき、黒河や大祐といった危険なプレイヤーにご活躍願えば、
その結末に導くことは可能だったはずです。


ではなぜ、そうしなかったのか。
それは、簡単に言ってしまえば「少年漫画的バトル」が描きたかったライター陣の都合であり、
前作「シークレットゲーム」にうまく物語を繋げるためという制作者側の都合ではないでしょうか。


確かに死者の一人も出ないと、運営と闘い続ける理由としては弱くなります(黒河、悠奈、玲には既に運営と闘う深い理由がありますし、それに引っ張られる形で結衣、司は参戦しそうですが)。


それに「ルールそのもの」であるホラー小説的な運営ではなく、「人間くさい」倒せる敵として運営を設定しないと、
運営側とのバトルという方向へは物語が進んでくれないというのもわかります。
前作に繋げることが非常に難しくなるのです。


しかし1st stageのルールを守る気がまるでないのなら、そもそも『1st stageなんて設定は要らなかった』のではないでしょうか。




実際、Dルートの「少年漫画的バトル」の出来は悪くありませんでした。
前作「シークレットゲーム」への連結もまずまずうまくいっています。


皆に慕われていた悠奈を殺すことには物語的必然があり
(これにより、悠奈の遺志を受け継いだ仲間たちが全員、参戦するという流れを導ける。
たとえば大祐が死んでも誰も参戦してくれなそうだしね……)、物語として無理のない展開になっています。



しかし、そういう作者の都合はわかった上でなお、
それを描くために「運営」を暴れさせる必要はあったのでしょうか?
条件を満たしてのハッピーエンド、よりも「俺たちの闘いはこれからだ―前回へ続く―」な展開の方が面白かったでしょうか。


僕にとって、Cルート後半からその後の流れは、大いなる蛇足でしかありません。
Dルートはまだ見られる内容ですが、Cルートの後半は本当に酷かったと思います。


過去編にあたるZルートは、面白いんですが、ちょっと短いかなと。
悠奈かわいいよ。


【シナリオまとめ】

というわけで結論です。
A・Bルートで容赦ないバトルロワイアルを見せ、Cルートで『2nd stageへ移行せず』大団円、で良かったのに。

どうしてもDルートの『運営側との対決』がやりたいなら、『1st stage』なんてルールは邪魔ですし、
あれもこれもと欲張った結果、迷走したように感じてしまいます。


まぁ、単に「僕の期待してた展開じゃないよっ!」の一言で済ませてしまってもいいのですがw


また、改めて思うのは、ノベルゲー(マルチエンディング)という媒体とバトルロワイアルの本質的なかみ合わせの悪さです。
小説の場合、素晴らしいバトロワ展開を1つ書くだけで事足ります(それだって難しいことですが)。


しかしマルチエンディングを謳うノベルゲーの場合、例えば今回の「リベリオンズ」では過去編を除いても4つものルートがあるのです。
同じキャラを使って4パターンもの優れたバトロワ展開を描かなければならないわけですが、これはそうそう出来ることではないでしょう。


結果、運営の介入のようなくだらない手を使ったり、最初の2ルートではホラー系シリアスバトルロワイアルを描きながら、後半2ルートでは少年漫画的バトルロワイアルに移行するというような、苦し紛れの手を取るしかなかったのかもしれません。
そう考えると、むしろ2つもきちんとした展開を描いてくれたライター陣は高評価に値するのではないかとすら思います。


個人的に、「バトルロワイアル」という形式は大好きで、「ノベルゲー」という媒体も大好きです。
なので、これからも是非「バトロワなノベルゲー」を読みたいと思います。
思うのですが、本作と前作の2作品に触れた今、バトロワはノベルゲーとは相性が悪そうだなぁという思いに駆られています。
同じキャラクターたちではなく、キャラ・舞台を変えて、アンソロジーのようにすれば物語面での問題は解消しますが、そうなると今度はゲーム4作ぶんのキャラクターを作らなければならず、それはそれで大変そうですしね……。


【キャラクターについて】

最後に各キャラクターについて、数字の小さい方から順番に書いていきます。


A:上野まり子

はっきり言わせてください。僕、この人かなり嫌いです。
リアル世界で出会ったら、最も僕と相性が悪いタイプでしょう。
人望がないのに仕切りたがり、有事の際には役に立たない。
悪いことは何一つしていないのに、こんなに嫌悪感のあるキャラクターも珍しいです。
ちなみに、前作の陸島文香さんは好きだったんですが(苦笑)


2:粕谷瞳

キチガイストーカーメイド。
非常に厄介なプレイヤーで、彼女に魅入られたが最後、まともな仲間を作ることはまずできません。
彼女の暴走によって仲間になれたはずの人間と敵対する羽目になり、ついに暗黒面へと落ちてしまう。
そんな迷惑さが迸る彼女に読んでいてストレスも溜まりますが、
まぁそういう役どころですものね……いや、でもキモチ悪いw


3:細谷春菜

女性として見た際に、一番好みのキャラクターです。
外見・声も好みですし、エピソードAで修平を兄と呼べない葛藤、
心を押し殺している健気さ、直情型でやや不安定なところも含め、
守ってあげたいなと思わせるキャラでした。Hシーンはないですか……そうですか。


4:藤田修平

主人公らしい主人公で、格好いいです。
面白みに欠けるとも言え、特にコメントしたいことはなかったり。


5:荻原結衣

脳みそお花畑で、あまり好きなキャラではなかったです。
あの状況で黒河を解放するとか、ありえないでしょ(しかし結果オーライ)。
あまり頭が良くなく、お花畑を貫き通すのですが、それで結果オーライになることも多く、
責めるつもりはありません。
大祐にレイプされるシーンは何故描いてくれなかったのだろう……。


6:吹石琴美

上では叩いたCルート後半ですが、Cルート後半での琴美の奮闘は良かったです。
とかく修平とセットというか、修平のいる前で頑張るAルートなども悪くはないんですが、
修平と別行動をして、一人で頑張るCルート後半で魅力が増しました。


7:真島彰則

この人も格好いいんですが、面白みに欠けるとも言え、特にコメントしたいことはなかったり。
まり子のどこがいいんだろう……。姉に似てるから? シスコン? うーん。


8:黒河正規

The.DQN
事情があるのは理解しましたが、やはり好きにはなれないですね。
必要もないのに争い事を好みすぎです。近寄りたくないです。


9:蒔岡玲

おバカ可愛い玲ちゃん。
もう少し頭を使ってくれよと思ったり、イライラすることもありましたが、
総合的に考えると、憎めないキャラ。
家が厳しくて貞操を固く守ってきたにも関わらず、あの程度の関係(感情)でHするんかい!と思いましたが、
Hシーン自体はこのゲームの中で一番好きかもしれません。


10:伊藤大祐

可愛い女の子をレイプしたい気持ちは解ります。集団行動が苦手なところなんて、僕みたいです。
でもね、「自分の命」が危険に曝されている状況で、レイプマシーンと化す
そのバカさ加減はちょっと救いようがありません。
ただでさえ敵だらけのゲームなのに、自分から敵を作ってどうするんですか。
瞳や黒河と違い、『深い事情があったんだよ』というフォローもなく、ある意味哀れなキャラ。


11:藤堂悠奈

物語全体の主人公格と言っても過言ではないでしょう。
頼れる姉御として、皆を引っ張ってきたその姿は最後まで輝いていました。
それだけに、Dルートのような展開を描くなら、亡くなってしまうのも必然だったのかもしれません。


12:阿刀田初音

酷い条件を引き当てるは、大祐に狙われるわでロクな目に遭わない不幸な子。
プレイヤー14人中、最も僕に似ているキャラでもあります(Not 外見)。
なんだか自分を見ているようで、放っておけません。
初音ちゃんと充くんが幸せになるルートが欲しかったです……。
あと整形した初音のCGがないのは何故ですか!



13:三ツ林司

男性キャラで一番好きですね。
玲とのコンビもいいですし、頭の切れる童顔の少年というのはなかなか好みな役どころでした。


ジョーカー:城咲充

なんで充くんはいつも死んでしまうんだろう。
一つくらい、生き残るルートがあってもいいのに。
初音を必死で守る充くんの姿は、胸を打ちました。
初音と幸せになるルートがあってもいいじゃないですか……。



以上、14人の雑感を書いて、感想を終わりたいと思います。
本当に長い上に読みにくい文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

現在読んでいる本&プレイしているゲーム

12月20日更新

★現在プレイしているゲーム

Dies Irae


★現在読んでいる本

一休み

2013年に読んだ本(随時更新)

以下、2013年に読んだ本の短評を。


S→この本に出会えて良かったと心から思える作品。

秒速5センチメートル/新海誠……表題は、桜の花びらが木から舞い散る速度だそうだが、「二人の心が離れていく速度」と考えた方が妥当かと思う。映画版とやや印象の異なる小説版では、距離が離れていなくても「時間が二人の心を離していく」さまも描けていた。
好きな人はとことん好き、嫌いな人はとことん嫌い、その中間は(ほとんど)ない。そんな作品。


A→とても素晴らしい読書体験のできた作品。

敵手/ディック・フランシス……今回はいつになく敵キャラがまとも(同著者の他作に比較してですが)。制裁もきちんと加えられるので、気楽に安心して読める。白血病の少女や、別れた元妻とシッドの交流が温かく、敵とのバトルよりも人間ドラマとして面白い。

崩れゆく絆/チヌア・アチェベ……ブラックアフリカの村が、西欧キリスト教徒たちの侵略にあい、併呑されていくまでの物語。現地文化の興味深いエピソードや、(キリスト教徒たちの侵略に擁護のしようはないが)一方的な悲劇ではなく、様々な面から一つのイデオロギーの敗北を考えさせられる良書。


クワイヤボーイズ/ジョゼフ・ウォンボー……元警察官の描いた、巡査たちの悲喜交々の日常。キャラクターは極めて生き生きとしており、彼らの乱痴気騒ぎに笑いつつも、そこには一抹の寂しさが漂っている。

死にゆく者へ祈りを/ジャック・ヒギンズ……罪のない子どもを殺してしまった暗殺者の、救済の物語。スケールの大きな作品ではないが、全編に漂うもの悲しさは必見。

葬儀を終えて/アガサ・クリスティ……やはり、一族をめぐる殺人ミステリ作品は面白い。クリスティらしく、キャラの一人ひとりの描き分けが光る名作。
今まで読んだ彼女の作品マイベスト3(他2つは「ナイル」、「オリエント」)に食い込むくらい気に入りました。

動く指/アガサ・クリスティ……村を震撼させた悪質な誹謗中傷手紙事件を描いた作品。キャラクターが実に生き生きとしていて、ヒロインのミーガンを筆頭に特に女性キャラが皆素晴らしい。狭い世界における人間関係のネガティブな部分が描かれつつも、暖かな交流もあり読後感は爽やか。


サラの鍵/タチアナ・ド・ロネ……フランスによる、ユダヤ人強制収容事件『ヴェルディヴの悲劇』。それに関わる主人公ジュリアが、ヴェルディヴの被害者サラを探す旅の中で描かれたのは、『過去の過ちから目を背けない』こと。『歴史の闇を忘れない』こと。
後半、ややこじんまりしてしまったが、良い作品だった。


興奮/ディック・フランシス……正直に言うと、360ページ中250ページくらいまではつまらなかった。しかしそこから一気にテンションを上げ、終わってみれば爽快な読後感を得ることができた。バトルシーンも熱い。フランシス作品ならSランク相当の「利腕」をまずはお薦めするが、こちらも良作。


度胸/ディック・フランシス……先に言っておくと、僕はこの作品は好きではない。あまりに悪役が邪悪に過ぎ、読んでいて血管が破裂しそうになった。こんなにキレながら読んだ作品もそうはない。この敵をもっと苦しませ、破滅させてやればいいと思った。
ただ、この敵役の嫌らしさはなかなか真似しようと思っても真似できるものではなく、評価しないわけにもいかないだろうと思う。インパクトは絶大。


B→まずまず面白く、損はしなかったと思える作品。

ミレニアム2 火と戯れる女/スティグ・ラーソン……面白いは面白いが、『3部作の2巻目』の典型的なパターンに嵌っている。1巻ほどの新鮮味はなく、結末は3巻に続く感じ。まぁそれでも水準よりは上なのだけど。


ストロングメディスン/アーサー・ヘイリー……製薬会社に勤める若手女性プロパーが、昇進を重ねついに社長へとステップアップしていくと同時に、様々な薬害事件、製薬業界の裏側などを描いた作品。面白いし、ヘイリーらしさも出ているものの、彼の作品の中では下の方かもしれない。

エネルギー/アーサー・ヘイリー……今まで読んだヘイリー作品7作の中ではワースト。エネルギー業界の問題点を描く作品にしては、テロリズムとの闘いに相当量のページが割かれていたり、意味のない不倫エピソードが連続するなど、何がやりたかったのかよくわからない。それでも読ませるあたりはさすがだが。

ホテルニューハンプシャー/ジョン・アーヴィング……ある大家族の年代記。「子供~青春時代編」が描かれる前半部に比べ、「青年~中年時代編」が描かれる後半にややパワーダウンを感じてしまうのは、単に好みの問題か、それとも青春はそれだけ輝いていたということなのか。


初秋/ロバート・B・パーカー……ハードボイルドでカッコいい大人の男(主人公)が、ニート引きこもり予備軍の少年をたくましく育てていく、異色ハードボイルド作品。期待していたほどではなかったが、面白かった。少年が初めて母親に反抗するシーンが一番熱かったけど、惜しむらくはそれが200ページ付近にあったこと。最後に同じくらい感動させてくれたら、Aになったかも。


強盗プロフェッショナル/ドナルド・ウェストレイク……「ホットロック」に続くドートマンダーシリーズ第二作は、今回も期待を裏切らない『笑い』を提供してくれました。名作、とか、読まなきゃ損!というわけではないけれど、肩の力を抜いて笑えるギャグ小説として、良質なシリーズだと思います。


学寮祭の夜/ドロシー・セイヤーズ……(あまり肌に合わない)セイヤーズ作品の中ではベスト。ピーター卿視点ではなく、ヒロインのハリエット視点なのが功を奏して、恋愛描写にも強度が出てきた。犯人の主張も、キチガイじみている中に「あ、でも、ちょっとだけわかる」と思わせられるところがあって、巧かったなと。


女と男の名誉/リチャード・コンドン……ラスト10ページの緊張感は紛れもなくAクラス。中盤以降の展開も読ませるものがある。欠点はヒロインが目先の金のことしか考えられない大馬鹿者にしか思えないこと。この女の何に主人公が惚れたのか、最後までわからなかった。


黒後家蜘蛛の会1~5/アイザック・アシモフ……秘密クラブ、ブラックウィドワーズのメンバーが挑む数々の謎を集めた短編集。たまに微妙なモノもあるけれど、出来のいい短編も多く、総合して考えるに良作。ただ、個人的にアシモフのSFミステリの大ファンなので、それに比べると個人的にはやや落ちる。

狂気のモザイク/ロバート・ラドラム……上巻までは面白いのだが、その後、主人公の巻き込まれる陰謀が大きくなりすぎて感情移入しづらかった。全体を通して考えれば70~75点で十分及第点以上なのだが、1000ページを超えるボリュームを考えると、手放しでおすすめはしづらい。


躍る黄金像/ドナルド・ウェストレイク……ニューヨークを舞台にしたドタバタ冒険譚。身近なところに出会いも冒険も転がっているというテーマは、繰り返しの日常にマンネリを感じる読者(僕)の心を浮き立たせてくれる。
快い読後感からBにランクしたが、コミックノベルにしては少々読みづらいのがネック。

ゼロ時間へ/アガサ・クリスティ……前半の泥沼愛憎恋愛劇に胸を躍らせ、薄幸の美女オードリーに肩入れして読むも、後半は普通の(と言っても出来は良いが)ミステリにシフトしてしまって少々残念。そして何より、勝手に萌えたオードリーに勝手に失望し物語は終わった。まぁ、彼女が今度こそ幸せを掴んでくれれば俺からいうことはないのだが、尻軽感が否めず、これは犯人に恨まれても仕方ない。


ABC殺人事件/アガサ・クリスティ……Aに近いB。読んでいてとても楽しく、飽きずに読めた。これが書かれた当初は恐らく画期的な作品だったのでは?とも思う。ただ、今となっては一件無意味に見える連続殺人は、その中の一つに本当の狙いがあるというのも見え見えで、そう考えて犯人を探したところ、物語の半分も行かないうちに犯人がわかってしまったのが悔やまれる。



特別料理/スタンリー・エリン……10の短編のうち、特に素晴らしい(A評価以上)と思うものはなかったが、一方で外れもなく、全体的に良質な短編集。面白かった。強いて言うなら、表題作の「特別料理」は極めて評判が良いようで、実際割と面白いんだけど、宮沢賢治の小説で同じネタが既にあったよね。

あるスパイへの墓碑銘/エリック・アンブラー……Aに近いB。面白かった。ヘマを繰り返す主人公が徐々に追い詰められていく展開はなかなかのスリルで、ラストの種明かしもグッド。「ホテルの屋根があまりに小さく見えて、僕は驚いてしまった(原文そのままではありません)」という締めもいい味を出してます。

ゴールデンキール/デズモンド・バグリィ……『宝探し』をして競い合っていたはずの敵と、宝がなくなった途端に和解するその牧歌的な感じがなんともツボだった。

南海の迷路/デズモンド・バグリィ……海の底に眠る鉱石探しと、それを邪魔する悪人とのバトル。鉱石探しはワクワクしながら読めて面白かったが、悪人とのバトルはイマイチ。総合してまずまずだった。

黄金のランデヴー/アリステア・マクリーン……豪華客船上での殺人事件を扱うミステリ風味な前半は良かったが、シージャック犯とのバトルになだれこむ後半はイマイチ。彼の作風的に、後半が描きたかったのはわかるのだが、個人的には前半だけでよかった……。

NかMか/アガサ・クリスティ……いつになっても気持ちの若い、冒険好きな中年夫婦が危険に立ち向かうお話。二人の仲の良さが微笑ましく、読んでいて面白いけれど、読み終えた後に何かが残るかと聞かれると……。


予告殺人/アガサ・クリスティ……牧歌的な村で起こる、連続殺人事件。殺人が起こっているにも関わらず、本当にのどかな読み口。退屈はしなかったが、犯人の正体がバレバレで、特に驚きはなかった。



ウィチャリー家の女/ロス・マクドナルド……人の世に流れる悲しみを、主人公リュウ・アーチャーの目から描く本作は、ハードボイルドというよりも純文学に近い味わい。家庭の崩壊、家族を持ってなお孤独な人々の、気持ちのすれ違いを描いた作品。なるほど、「さむけ」と並んでロスマク代表作と呼ばれるのも頷ける。ただ、中盤は少々冗長だが。


人の死にゆく道/ロス・マクドナルド……同じBだけれど、「ウィチャリー家」に比べれば確実に落ちる、Cに近いB。途中までは退屈なのだけど、ラスト5ページはしみじみと泣かせる。ロスマクらしい、過剰な親の愛が子供へ伝わらないすれ違いが切ない。


大穴/ディック・フランシス……フランシス作品の中でも当たりの部類。最初から最後まで飽きることなくすいすいと読める。ただ、悪役がすごく嫌なやつなので、もう少し酷い目にあわないとイマイチすっきりしないような(フランシス作品にはよくあることですが。似たようなことを「骨折」でも書いた記憶が……)


罰金/ディック・フランシス……競馬シリーズの中でも当たりの部類。不倫をする主人公が、(フランシス作品では)新鮮。主人公への肉体的暴力だけではなく、病気の妻への脅迫が加わっているあたりが(このシリーズとしては)珍しいと思った。


ハンガーゲーム/スーザン・コリンズ……読みやすく、ところどころ面白い(ルーとの別れのシーンとか、スズメバチに襲われるシーンあたりは良かったね)が、圧倒的に『狂気』が足りず、正直同ジャンルの先駆者である「バトルロワイアル」、「死のロングウォーク」、「クリムゾンの迷宮」には遥かに及ばない出来。大ヒット作、と考えると拍子抜け。

ハンガーゲーム2燃え広がる炎/スーザン・コリンズ……この巻にきてようやくわかった。このシリーズは『ハンガーゲーム』というバトロワめいた殺人ゲームを描いたホラー作品ではない。「帝国」に反旗を翻す、スターウォーズ系列のバトルものラノベなのだと。そう考えて読めば、悪くはない。しかし、まかり間違っても『ホラー』ではない。


毒/赤川次郎……すいすい読めて面白い。読後深く心に残るかどうかと聞かれると謎だけど、通勤などの娯楽には持ってこいじゃないかな。



妖精配給会社/星新一……いつもの星さん。今回は、妖精とかお化けのような、少し妖しい感じの話が多く、微妙にホラー風味。


母をお願い/シン・ギョンスク……田舎で暮らした一人の『オンマ(お母さん)』の思い出を、家族の目から振り返る地味ながらしんみりとする物語。直球の泣き系かと思ったらそうでもなかったのがある意味残念だったが、これはこれでアリ。


ほら男爵現代の冒険/星新一……星さんは長編小説よりもショートショートの方が良い気はしますね。 


高慢と偏見とゾンビ/ジェイン・オースティン&セス・グレアム・スミス……名作「高慢と偏見」に、ゾンビ要素を加えて、「一つの作品として、見られる出来になっている」点は評価。ただ、この作品の面白さの大部分は、元々の「高慢と偏見」オリジナルのものなので、評価はしづらい。
ちなみに「高慢と偏見」オリジナルはA評価。同じくらい面白いとは思います。


C→あまり面白くはなかったが、時間潰しとしてはアリな作品。

緊急の場合は/マイクル・クライトン……「中絶」を悪とするボストンの風潮に対し、メッセージを投げかけた本作。その部分については非常に意義があったと思われる。ミステリとしてはイマイチで、(中絶は悪ではない)今の日本人が読む必要は……あまりないかな?


大氷原の嵐/ハモンド・イネス……出来の善し悪しというよりは、合う・合わないの問題。大自然に翻弄されつつ不撓不屈の精神で生還する主人公たちの活躍は、好きな人は好きだと思う。個人的にはちょっとマゾっぽくて、高揚感や感動よりも「悲惨だなぁ」という印象が強かったのがC評価の所以。


ナインテイラーズ/ドロシー・セイヤーズ……寒波の押し寄せる小村で謎の死体が発見される。小村ゆえか、登場人物が訛っていて、実に読みにくい。トリックの素晴らしさ、アイディアの見事さに敬意は表したいが、楽しかったかと聞かれると疑問。

毒を食らわば/ドロシー・セイヤーズ……恋する相手を助けるために事件を解決する。そんな感情移入しやすい状況ではあるものの、ピーター卿がなぜハリエットに惚れたのかは、「一目惚れ」としか言いようがなく、ハリエットの魅力も十分描写されていないため、ロマンス部に関しては魅力に欠けると言わざるを得ない。

ドルの向こう側/ロス・マクドナルド……良くも悪くもロスマクらしい作品。ロスマクらしさを味わうことはこの作品でもできるけれど、「ウィチャリー家の女」や「さむけ」に比べると落ちる。



D→自分には合わなかった作品。

スティック/エルモア・レナード……レナードは基本的に、社会の最下層で生きる犯罪者、不良などの生き様を描写した作品が多い。この「スティック」もその1つ。元々、これらの人々に興味がないこともあるが、興味がないなりに楽しめた作品もある(「ザ・スイッチ」など)。しかし今回は楽しめなかった。


北海の墓場/アリステア・マクリーン……物語中盤、主人公の医者が突然「実は俺はイギリス○○省のエージェント」みたいなことを言い出してドン引いた。「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅじんこう」じゃねぇんだから……。普通にミステリやればいいのにって思った。


殺人は広告する/ドロシー・セイヤーズ……広告業界で起こった殺人事件の話。ミステリというよりは、広告会社の日々を描いた企業小説(と言っても1930年代のイギリスのだが)に近い。テニスンやマザーグース、聖書や聞いたことのないイギリスの詩人などを引用した軽妙なやりとりが持ち味だが、無教養な僕には面白みが今ひとつ伝わらない。


エンパイアスター/サミュエル・ディレイニー……相変わらずディレイニーの作品は超難しい。彼の作品で問題なのは、「難しいけどそれはおいといて~」という表層的な読みでは面白さがちっとも伝わらないことだ。
物語的な楽しみ方は出来ないというか。
『解る人』、『解ろうと渾身の努力を惜しまない人』にとって、名著であるのは理解できるのだが……。




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