2015年04月

Lovely Cation1 クリア (バレあり)

72点。
僕の評価はイマイチですが、単純に「凡作」と切り捨てることはできません。
プレイヤーが何を重視するかで、評価が大きく変わってくるゲームだと思います。


本感想はどちらかと言うと叩き気味(主に主人公についてです。ヒロインへの叩きは皆無)なので、
大好きな人はスルーしてください。

他、ネタバレもありますのでよろしくお願いします。
(ネタバレを気にするようなゲームかどうかと聞かれるとあれですが)



【前置き】


今回は感想に入る前に、各要素ごとの評価採点をどうぞ。


S~E評価

【ストーリー】 D- 
【テキスト】 B-

【ヒロイン】 A 
【主人公】 D-

【エロ】 B+ 

【絵】  A-
【音楽】 B- 
【声の演技】 B+

【システム:ラブリーコール】 C-
【システム:趣味同調システム】 C- 


★ ストーリー要素について


本作はどう考えても、ストーリーで売っているゲームではありません。
それはわかっているんですが、それにしたって酷いとしか言えないレベルです。
というか物語的な起伏が全くありませんし、クズとして登場した主人公は最後までクズなままです。


【綾シナリオ C+】

孤独な者同士惹かれあう二人。家出した綾を泊めたfeeくん(注:主人公です。自分の名前をつけました)。
無断外泊を続ける彼女に対し、feeくんは綾を説得する。


他シナリオにおいてクズなfeeくんが唯一、このシナリオだけはまともです。
特に綾を説得するシーンは良かったです。


このルートには『事情があって引きこもってしまった俺と同じように、綾にも事情があるのだろう』という文章がありましたが、『feeくんの事情』は、結局明かされませんでした。
明かされなかったというか、そもそもそんな事情はなかったような気がします。
他ルートでは『生まれてこの方、こんな生活を続けてきた』という一文がありましたので……。


【由仁シナリオ C】

先輩からのしつこい告白攻勢に嫌気がさした由仁に対し、『恋人ごっこ』の取り決めを交わした二人。『恋人』になりたいけれど、『ごっこ』の文字を取ってしまったら二人の関係はどうなってしまうのだろう。


『恋人ごっこ?』、いいえ、『セフレ』です。
しかし、本当は恋人になりたいのにセフレになってしまった~という展開から、
好きな人と結ばれる嬉しさと、想いを伝えたい狭間で葛藤し、クズなfeeくんに次々に体を求められながらも健気に応じていく由仁ちゃんがかわいいので、良かったです。
悪い男に絶対騙されるタイプ、そんな由仁ちゃんを守れるのは俺(プレイヤーであるfee)だけだ!という気分になります。
儚くて、人が良くて、優しくて、本当に護ってあげたい女の子なんです。

誰から護ってあげたいかというと、岩倉先輩とかいうモブキャラじゃなくて、feeくん(主人公)からなんですが……。


三日間会えないだけで発狂して由仁をレイプするfeeくんっていったい……。
どれだけ精神不安定なんでしょうか。病みすぎです。
そんなfeeくんに「寂しくさせてごめんね」と謝る由仁ちゃん。涙なしでは読めません。

ちなみに本シナリオでのfeeくんの活躍はこちら。


彼女が泣き止むまで抱きしめた後、手を取り合ってベンチに歩み寄る。
今は肉体よりも、お互いに心を求めあっていた。

(暗転:シックスナインのCG)
由仁「やぁぁんっ……これ、恥ずかしいよぉ……っ!」


言ってることとヤッてることが違いすぎるww
まぁ、feeクンは終始こんな調子です。


このシナリオでは主人公のクズさが、由仁ちゃんの健気さを引きたてているのが難しいところ。
feeくんがクズじゃなかったら由仁ちゃんの健気さは発揮できなかったでしょうから、単純に主人公を叩いてもいいものか正直迷うところです。


【瀬良シナリオ C-】

憧れの保険医瀬良先生。しかし初Hを瀬良先生に断られてしまう。もうダメなのか! しかし瀬良先生はなんと処女だった。セルフイメージに縛られた彼女は、ついにfeeくんに処女を告白し結ばれる。


どう考えても釣り合いが全く取れていない、feeくんと瀬良先生。
この主人公のどこに惚れる要素があったのか疑問ですが、とりあえず瀬良先生に少しでも追いつきたいと
事あるごとにfeeクンは口にします。
しかし口にするだけで、行動が伴わないのはfeeクンにおいては日常茶飯事。


恋人とはパートナーでもあるはずだ。
そのパートナーである瀬良先生にリードされっぱなしだと、男として立つ瀬がない。
feeくん「……もっとがんばらなきゃな」

九行後

瀬良「今日どこに行くか考えてあったりする?」
feeくん「いえ、あんまり……先生はどうですか?」


まぁ、これが平常運転ですね。
feeクンは事あるごとに「瀬良先生に認められるような立派な男になりたい」と口走ります。
その心意気は立派だと思うんですが、全く頑張ってるシーンが見受けられないのはどういうことでしょうか。


自分を磨けば、努力していれば、いつかは報われる。そんなの、誰かが考えた都合の良いウソだ。

気持ちは解らなくもないですが、まず第一にアナタ、全然努力もしていないし自分も磨いてないですよね?


現に今、どんなに足掻いたって、想いを伝えようとしたって……もうあの人には届かない。
保健室へは……行かない。行けるはずがない。どんな顔をして会えばいい? 何を話せばいいんだ?



あなた、保健室へ行ってもいないでしょ? 想いを伝えようとしてないじゃないですか。


なお物語は数日後、「死体ごっこ」と称していじいじといじけているfeeくんの部屋に、瀬良先生が訪れ、
和解を提案します。
結局feeくんはなにもしてないwww


瀬良「ダイタニックは3、4回ぐらい見たかな。(略)。憧れだけは昔からあったから。自分の身にそういうことが起こるなんて、夢にも思わなかったけど」

feeくん「でも、今はそれが本当に起こっていますよね。俺と、先生は……」



自分のしょーもない恋愛を「タイタニック」にたとえてご満悦のfeeくん。ほんと「タイタニック」に謝れよ……。


この主人公、セリフだけはクサいのが何とも言えないんですよね。
他のルートでも「世界で一番愛してる」とか言うし。
世界で一番って言われても、君、おじさんと金田一君しか世界との関わりないじゃん……。


由仁ルートでは、「童貞と処女を捧げあった二人は」とか「俺は唇を彼女に捧げた」とかいうテキストが何回も出てくるんですが、自分に酔っている感が何とも痛々しくていたたまれない思いになります。


クサい青春ものやロマンチックな恋愛ものは大好きなんですけどね。
それこそ「タイタニック」も大好きでした。
しかしこの主人公にクサい台詞を言われると、失笑しか出ないんですよね……。


feeくん「やっぱり、コンドームは着けた方が良かったですか? 俺、そこまで気が回らなくて……」



これが、エロいことしたいエロいことしたいと大騒ぎしていた末に、3日が経ってようやく結ばれた主人公のセリフです。
突発的にエッチしたならともかく、あんなにやりたいやりたい言ってたのにおまえは……。
そこは真っ先に気を回さなきゃいけないポイントだと思うんですが……。



【三朝ルート D】

仲良くなった三朝先生で、思わずオナニーしちまったよ! 先生を妄想で汚すなんて俺は最低だ! もう俺は三朝先生と仲良く話せない……突然距離を取るfeeくんに悲しむ三朝。理由も思い当たらず、日々悲しみに暮れる彼女は、とうとう頼れる瀬良先輩に相談をした……。



feeくん、最低だな……。お前に自分の名前をつけたことを、俺は心底後悔したよ……。

別にオナニーしたっていいじゃないですか。綺麗な娘と仲良くなったらオナニーぐらいしますよ。
だけど、それで勝手に罪悪感を抱いて相手を避けるとかなんなんですかねぇ。
いい加減にしてくださいよ。


物語の山場はこれだけです、はい。
あ、三朝はかわいかったですよ。由仁ちゃんいなかったら1位でした。


瀬良「キミは立派だね。キミみたいな男子……いや男が三朝の彼氏だったら、あの子も幸せってもんだろう。
(略) あの子を幸せにしてやってくれ。三朝を幸せにしてあげられるのはキミだけだよ。キミになら任せられる」


えっ(驚)


【優希ルート D-】

家ではお嬢さまを演じる優希。そんなお嬢さまモードを知りながら、仲良くしてくれるfeeくんに優希は惹かれる。優希の父親である大病院院長の反対を受ける二人だが、親の干渉などには屈しない。


最初にプレイしたルートがこのルートです。
この胸糞主人公に免疫がなかった頃にプレイしたルートなので、印象はかなり悪いです。
優希ルートが飛びぬけて酷いというよりは、feeくんのショボさに一番衝撃を受けたルートという感じ。
唯一まともに見える綾ルートはともかくとして、他ルートに比べて優希ルートのfeeくんが特に酷いわけではありません。


まぁとにかく、feeくんには友達がいません。作ろうとする姿勢すら見せません。
ケータイのアドレスは親戚のおじさんと彼女しかいない体たらく。
学校では結構仲良く絡んでくれる金田一くんのアドレスすらありません。


そんなfeeくんは、いっつも暇そうにしています。
事あるごとに地の文で「俺は引きこもりだから」を連呼しますが、学校には行っているので引きこもりではありません。
単にコミュ障なだけです。引きこもりは言い訳ですね。


じゃあ家で一人で何をしているのかというと、ロクに何もしていないようです。
一応ゲームをしたり、ネットをしたりしているようではあるんですが、それらを楽しんでいる描写はほぼありません(綾√に少しある)。
友だちがいない上に、一人で楽しむ術すら知らない。何という空っぽで虚しい人間でしょうか……。


友だちを作る努力をしない。
では独りの世界で、読書なりゲームなり映画なり何でもいいですが、めいっぱいインドア生活を楽しんでいるふうでもない。割り切ってがり勉して好成績を~とか、そういうんでもない。働きたくもない。


さて、どこからどう見てもイケてないfeeくんですが、何故か彼女はできます。
で、その彼女にベッタリ依存します。他に友達がいない、一人の時間も楽しめないfeeくんなので当然
毎日のようにデート。
デートと言ってもまぁ学生らしく、CD屋に行ったり遊園地に行ったり美術館に行ったりショッピングをしたり、そんなもんです。
そして『こんなに有意義な休日があるだろうか! いや、ない!』と事あるごとに独白します。


有意義……うーん、ダラダラと二人で遊んでいるだけにしか見えないんですが、有意義なんでしょうか?
いやまぁ好きな人と楽しく遊ぶこと自体は全く否定しないんですが、平日も休日もずーーーーっと彼女にベッタリなこのfeeくんの過ごし方は、僕から見ると「お前、本当にそれでいいの?」と思ってしまいます。
この日々が『幸せな日々』として描かれているのが、寒々しい想いを加速させます。
これはごく普通の……というかどちらかというとイケてない学生の日々です。
可愛い彼女がいてエロい事ができるのは羨ましいですが、ここまで主体性がなく、彼女に相手をしてもらえない時間をずーっと退屈して過ごしているfeeくんが羨ましいかと聞かれると……んー。


そんな優希と別れそうになったシーンでのfeeくんの独白はこちら。


俺は独りぼっちになってしまったのか? そんなの嫌だよ。優希、戻ってきてくれ……

(略)
出かける気分じゃないし、このまま帰ろう。俺らしく部屋で引きこもっていればいい。何もせず、何も感じず……。
そういう日々がこれから始まるのだろうか。優希のいない日常。昔のような引きこもり生活。
独りぼっち。優希がいない。優希が……。
(略)
優希を愛している。ずっと一緒にいたい。一時だって離れたくなかった。2人でいる時間は何よりも幸せで、
この時間が永遠に続いたらと何度も願った。



その悲嘆はわからないでもないですが……優希がいないと引きこもり。
優希がいないと独りぼっち、という事態そのものがヤバいということに気づきましょうよ。
あと、『一時だって離れたくなかった』はちょっと異常だからな?
もちろん感情が昂ぶったが故の誇張表現なら何の問題もないですが、feeくんの場合本当に24時間365日一緒にいたいとか思っていそうで怖いです……。


結局物語はこの後、優希が戻ってきます。で、優希パパと軽く対決してあっさり終わります。
再び優希と結ばれた二人。もう一生離れない。幸せな日々はこれからも続く。完。


なわけですが……うーん。結局、優希がいないと引きこもりで独りぼっちという現状は変わらないんでしょ??
優希に触発されるように、自分も少しずつ他の友達を作っていこうという感じではないし。
あれだけ仲良くしてくれている金田一くんへの態度も酷いものだし。
これ、ハッピーエンドなんですかねぇ……。


エロゲにこういうツッコミを入れるのはあれなんですが、feeくんは「彼女を一人」作るよりも
「友達を4~5人」作った方がいいと思います。
で、一人だけに依存をしない。もう少し適度な距離感を取りつつ、絆を深めあえるようになりましょうよ。


ところで一番謎だったのが5/2のこの文章

俺は意気揚々と街に向かって足を速めた。優希が安心して未来へ帰れるような男になろう。


優希は未来人だった!?
この文章、何度読み返しても意味が解りません……。


それはともかく、「瀬良先生に相応しい男になろう」と言いながら努力をしないのと同じように
もちろん優希が安心して未来へ帰れる(?)ような男にはなりません。
feeクンにそんなことを求めちゃいけないのは言うまでもありません。


【シナリオ総評】


全編通して言いたいのが、主人公がクズすぎるということ。
そしてそんな主人公ですが、綾ルートのみ割とまともだということです。


これは他ヒロインが皆、主人公を導く立場であることに対し、唯一綾だけは、主人公が導く側だからではないでしょうか?
教師である瀬良先生、三朝先生は言わずもがな。
由仁はイメチェンの先輩であり学園のアイドルです。
優希も学力優秀でお嬢さま、基本的には高嶺の花です。
案の定、feeくんはヒロインたちに甘えまくり。
「俺も彼女たちにふさわしい男にならなきゃ」と散々言いますが、全くそんな気配はありません。


それに対し、綾は違う。後輩だということもありますし、同じ孤独な者同士。
コミュ能力はfeeくんと大差ないでしょう。
そんな綾にべったり甘えるわけにもいかない主人公は、綾を諭すなど、まともな行動をとります。
綾に嫌われたのではないか?と悩むシーンもありますが、わずか1日だけということもあってかそこまでウザくもないです。
何より、綾に苦言を呈すという、正しいことをした結果ですからね。


と、考えてみると、こういうダメな男が成長するには、「しっかりしたヒロイン」が導いていくよりも、
自分が頑張らなきゃと自発的に思えるような、「頼りない子」と一緒になった方が良いという結論になります。


テーマ・ストーリーなどないように思える本作ですが、
『主人公は誰と一緒になるのが一番良いのだろう?』というテーマを考えてみるとなかなか面白いです。
その答えは、僕はダントツで綾だと思います。


僕自身の好みは、由仁ちゃんなんですけどね。


★システム要素について

本作の特徴である『ラブリーコール』と『趣味同調システム』についても触れておきましょう。


【ラブリーコール】

まず、ラブリーコール。これは主人公の名前をヒロインが呼んでくれるシステムですね。
なかなかワクワクさせられるじゃありませんか……と思って開始したのですが……
え、俺の名前、ないの? うそーん、結構メジャーな名前なのよ?

響きが似ている名前はあったので、それにしました。なんか違和感あるけど、多分俺のことを呼んでるんだ。
きっとそうだ。


で、そのラブリーコールシステムですが……やっぱりシステム的に難しいんでしょうね。
きっとこのラブリーコール部分だけを別に収録して、繋ぎあわせているんでしょうから。

しかし、「feeくん(熱烈な声)…(不自然な間)……今日のごはん何にするの?(普通の声)」


みたいな不自然さバリバリなシーンが多かったので、これは成功とは呼べない気がするんですよね。
もう少し自然に言ってほしかったなぁ……難しいんでしょうけどね。


【趣味同調システム】

どちらかと言うと不満を言いたいのはこっち。
趣味同調システムという名前がついていますが、要はアイテム収集とパラメータ上げがミックスしたものです。


自分の名前をつけられる。自分の名前を呼んでくれる。パラメータ上げで好感度アップ。
これらの要素を考えあわせて、本作を「エロゲ―版ときメモ」と評する声も聞きます。
実際、自分もプレイ前はそうなんだろうと思っていました。


しかし結論から言いますが、僕はこの両者は「似て非なるもの」であり、プレイ感覚は「まるで別物」だったと思います。これはどちらが良いという話ではありません。単純に「別」だというだけです。
(ちなみに、僕は「ときメモ」は1しかプレイしていません。よろしくお願いします)。


違う点は主に2つ。


1-A:「ときメモ」の主人公は喋らない。独白もしない。行動・台詞は全てプレイヤーが選択肢で選ぶ。

故に、「主人公」=「プレイヤー」である。


1-B:「ラブリケ」の主人公はよく喋る。独白も多い。しかも癖が強い。行動・台詞において選択肢は驚くほど少ない。

故に、「主人公」=「プレイヤー」という感覚は薄い。


2-A:「ときメモ」では基本、女の子に追いかけられる側である。
攻略サイトなどを見て、目当ての一人を狙い撃ちした場合はその限りではなくなるが、基本、主人公が自由にパラメータを上げ、それに惹かれた女の子から告白される。


2-B:「ラブリケ」では、終始女の子を追いかける側である。個別ルートの確定が異常に速いため、実質上「ときメモ」で言う目当ての一人を狙い撃ちした状態になる。主人公は自由にパラメータを上げるのではなく、該当ヒロインが好むようなパラメータを上げることを、余儀なくされる。
そしてヒロインルート分岐の条件は、パラメータではない。
パラメータは、恐らくグッドエンドかバッドエンドかの分岐にしか関わっていない。


まぁそんなわけで、主人公は目当てのヒロインに気に入られるためにひたすら擦り寄るわけです。
しかし、1-Bと2-Bが合わさった結果、ときメモでは起こりにくかったある問題が本作では起こってきます。
それは何かといいますと、「パラメータを上げても、主人公の行動・態度が変わらない」ということ。


たとえば、「娯楽」というパラメータをひたすら上げるとします。
これで主人公は引きこもりをやめ、「娯楽」を求めるキャラになるでしょうか? 
なりません。
「ゲーム」というパラメータをひたすら上げれば、彼女に会えない日は主人公は家でゲームをし続ける?
そんな描写はありません。
「食べ物」を上げたところで自炊をする気配は皆無、休日に一人で美味しいものめぐりに行く気配もありません。
「感性」のパラメータが高かろうが低かろうが、「知力」のパラメータが高かろうが低かろうが、
主人公は依然として感性も知力も1しかないような、イケてないクズ的行動しかとらないのです。
これは実につまらないなぁと感じました。


そんなイケてないクズに「fee」という名前をつけて、ヒロインに「feeくん」と呼ばれたところで……
「お前は俺じゃない」。という気分になってしまいます。


じゃあどうすればいいのか?と聞かれるとこれは難しい。
地の文を大幅に削ってときメモ形式の選択肢ゲームにすれば、趣味同調&ラブリーコールシステムは輝くでしょう。
しかし、シナリオは更にあってないものになってしまいます。
……まぁ、今現在ですらあってないようなシナリオではありますが……。


個別ルートに入る時期を遅くして、パラメータでヒロインを分岐させてほしかったというのも希望の一つです。
しかしそれをすると、個別ルートの密度は薄くなります。
……まぁ、今現在ですら(略)


結局、この『趣味同調システム』なるパラメータ上げは、「見せかけだけ」でしかないんですよね。 
実際のヒロイン選択は、多分普通の選択肢と、ヒロインと何回出会うか(ヒロインがいる場所を何回選択するか)だけでしかない。
後はヒロインが話したそうなアイテムがあれば、それを選ぶだけ。
そんな『趣味同調システム』は決してつまらなくはないんですが、底は浅いですね。
最初はいいですが、二周目あたりでカラクリがわかり、三周目あたりでほとんどすべてのアイテムをゲットできてしまうので、後はもう単なる作業でしかないです。


【ゲーム総評】

とまぁこのように、『シナリオ』・『システム』について不満の多い作品となった本作ですが、良い所もあります。
1つは何と言ってもヒロイン。
僕は由仁ちゃんにべた惚れしましたが、由仁ちゃんに限らず全員いい娘なんですわ。
嫌いなヒロインは一人もいません。これ、コンプを目指すうえでは本当に大事なことなんです。


エロは、「抜きゲー」と比べると尺が短かったり、バリエーションに乏しいので物足りませんが、
「キャラゲー」として考えれば濃い方だと思います。
ヒロインごとに性感帯が違うのも良いですね。
絵もかわいらしいです。


テキストは、主人公の語りが壮絶にウザったいものの、文章だけを見れば読みやすい文章です。
ごく稀に変な文章が紛れ込むことがあって、たとえば

「春眠暁を覚えずとは言うが、俺は春眠に勝った。7時には起きて暁を覚えたからな」みたいな文章があったり
(暁は夜明け前を表す単語なので、7時に起きたなら暁を覚えてはいないはず)、

腹筋対決の際に「相手の速度に感嘆するシーン」があったり
(腹筋は、ゆっくりやった方が効くはずなんですが……。闇雲に速度を上げても見栄えはいいけど、負荷は少ないはず)
「からかう」とか「いじる」程度の行為を「なじる」と表現していたりと、たまに気になる点はあるんですが、
リーダビリティは悪くない。主人公に苛々しさえしなければ、スラスラ読めると思います。


また、終始一貫してウザいこの主人公は、よく言えばブレていない。
しっかりしたキャラクター性を持っているということになります。


つまり結局は、本作に何を期待するかなのです。
僕は『シナリオ』・『システム』・『ヒロイン』・『エロ』の四項目を重視した結果、72点という振るわない点数になりましたが、『ヒロイン』と『エロ』だけを取り出すならば点数は高くなると思いました。


まぁ、由仁ちゃんに会えただけでも、プレイして良かったです。




 

「終りなき夜に生まれつく」感想(重バレ有り&「アクロイド殺し」の重バレもあり)

評価は A。

職を転々とする青年が、曰くありげな土地「ジプシーが丘」で出会い、恋に落ちた相手は大富豪の娘エリー。
その土地に家を建て、幸せな結婚生活を送る二人だったが、彼女を取り巻く親族、怪しげな管財人ロイド、エリーに重大な影響を及ぼすお目付け役のグレタ、不気味な予言を繰り返すジプシーのお婆さんなどに脅かされる。


これから起こる悲劇を暗示するような主人公の語りもあって、常に不穏な空気が流れる本作は、ミステリというよりはサイコホラー、もしくはサイコサスペンスの様相。
いつものポアロものやマープルものとはずいぶん趣の違う作りですが、キャラクター心理を描くことに長けたクリスティなら、こういう作品も巧いだろうなぁとは思いました。



ここからネタバレです。 












これ、トリックが完全に「アクロイド殺し」だ!!
しかも言ってはなんだけど、こっちの方が遥かに面白いです。「アクロイド殺し」のセルフリメイク、セルフオマージュといった感じ。
初出の「アクロイド」が有名なのはわかるけど、これから読む方には是非こちらを読んでほしいなぁと。


で、またまた「信頼できない語り手」ということでフェアなのかアンフェアなのかという話になりますが……。
読み返してみると明らかに嘘を書いているシーンとかあるものなぁ……と思いつつ、『物語』としてとても楽しめたので、個人的にはOKです。OKじゃなきゃA評価はつけない。


タイトルにもなっている、ブレイクの詩
『甘やかな喜びに生れつく人もいれば 
 終りなき夜に生れつく人もいる』


がとりわけ印象的な物語。
あるいは、無垢な天使と心に闇を抱えた悪魔との対比とでも言いましょうか。
ヒロインのエリーが甘やかな喜びに、主人公のマイクが終りなき夜に生れついているわけですね。


終りなき夜に生れついたマイクは、エリーという天使に巡り合いながら、ついに己の業、闇に身を委ね、
人生を誤ってしまった。


エリーがギターを奏でながらブレイクの詩を歌った夜。
「なぜそんなふうに私を見つめているの? まるで愛しているみたいな目で…」という台詞。
あの瞬間にもし、マイクがエリーを選んでいれば、二人は幸せに暮らしていたのではないか。
そんな実現しなかった未来の仮定が、儚い余韻を残す作品でした。


……まぁ、主人公はクズすぎ、邪悪すぎで片づけてしまってもいいのですが、
人間の、持って生まれた業というものはなかなか変えられないものなんですよねぇ。


僕はそこまで邪悪な人間ではないはずですが、生来の「面倒くさがり」という業や、「神経質」な部分など、なかなか治せません。
多少面倒くさくても、それをやっておけばもっと幸せになれるのにと自分で解っていても、なかなかできない。
そんなつまらないこと気にしなければもっと幸せになれるのにと解っていても、気にしてしまう。


『たぶん、誰にだってチャンスはあるのだろう。だが、僕は――背を向けてしまった』

 

終りなき夜に生れついてしまった主人公が、甘やかな喜びに生れついたエリーと出会いながら、結局自らの闇に呑まれていく。
そんなストーリーラインが悲しい、作品でした。





 
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