2015年09月

9月11日前後から始めたソシャゲー

8ヶ月間やってきた「俺タワー」。
本当によいゲームなのですが、さすがにやれる事がなくなってきました。
なのでご隠居状態に移行するとともに、他に面白そうなゲームがないかどうか少し触ってみました。
(と言いつつ、9/28現在『経験値2倍キャンペーン』をやっているので、ガチプレイヤーに戻っているのですが

10/2追記:久しぶりの糞アップデートにより、俺タワー引退の危機ですw)


☆ シューティングガール   今後も続けるか:続けない

まず始めに触ったのが、銃の擬人化ゲームであるシューティングガール。
……うん、非常につまらないですね。
何がつまらないって、全然キャラドロップしないんですわ。
新しい仲間が増えないからちっとも面白くない。戦闘もつまんないし、3日でやめました。



☆ かんぱにガールズ  今後も続けるか:☆☆(☆5が最高) 

次に触ったのが、一周年を迎えた「かんぱに」。
現在3週間めで、5-7までクリアしました。
そうですね、つまらなくはないです。が、今後も続けるかと聞かれると「??」ですね。


まず良いところですが、①戦闘が割と面白いです。
②課金せずにプレイできるのも良いです。
それから、③消費資源(パン)はそこまで消費が激しくないし回復も早いので、休日は2時間ぐらいプレイできます。
ただ、③に関しては何せ『俺タワー』が消費資源を全く気にせず1日貼り付けるゲームだったので、
あくまで他ゲーに比べて相対的に優れているというだけで、俺タワーと比べちゃうと分が悪いですね。


悪いところ。
①レべリング&クラスアップが大変&経験値アップダンジョンがあるが、時間制限付き
②弱キャラを育てても旨みがなさすぎ
③弱キャラしか出ない


このゲーム、キャラゲーにも関わらず、弱キャラを育てる気になれないのが一番の辛いところです。
育ててもグラフィックが変わるわけでも、イベントが追加されるわけでもない。
単に戦力として強くなるだけなんですわ。
その上で、レべリングが大変。とくれば、弱キャラを育てずに強キャラを育てたくなってしまうんですが、
強キャラがそもそも来ません。
金のポストを設置してシャインストーン6連打しても☆4つ以上のキャラが来ません。
☆4や☆5のキャラなんて存在するのか、都市伝説じゃないのかという感じです。
かといって☆1を育てても「どうせ二軍行きになるんだよね?」とか思っちゃうんで、うーん。


最近は、1日1回ログインして、社員採用するだけ。
たまに経験値アップダンジョンが開いていたらプレイするだけという体たらく。
きっとそのうちログインすらしなくなるでしょう。
ただ、万一強キャラを立て続けに引いたりした場合、やる気が回復する可能性もなくはないです。
戦闘自体はつまらなくないのですから。



☆ フラワーナイトガール  今後も続けるか:☆☆☆☆


今現在、最もプレイを継続しそうなのがこちらのフラワーナイトガールです。
花を擬人化したゲームですね。なんでも擬人化するんだな(全然問題ない。どんどんやれ)


まず良いところをあげますと

①女の子キャラが可愛い(タワーやかんぱにより魅力を感じる)
②18禁なのでエロシーンがある
③無課金でも余裕でプレイできる
④弱キャラでも育てる気になる


というわけで、キャラゲーとして、女の子の魅力がとても高いのが何と言っても良いですね。
④の弱キャラでも育てる気になる、というのもとても嬉しい。
戦力的には使えないキャラでも、LVをあげるとグラフィックが変わるんですよ。
それだけを目当てにレベル上げするのも楽しいです。そういう工夫が、プレイのモチベーションに繋がるんですよ。


次に悪いところ。

①体力制のため、貼り付いてプレイできない
②曜日クエストがあり、レベリングは水曜と日曜しかできない。ゴールド稼ぎは土曜。進化素材は月、火、木、金。
③レベルの上げ方は合成メインでそこまで楽しいとは思わない


③はおいとくとして、①、②は割とネック。
張り付きプレイができないため、どうしてもメインゲームとして運用していくのは無理があります。
20分プレイしたら夜までできない感じですからね。
平日ならまだいいのでしょうが、休日楽しめるゲームじゃないです。

また、②もあれですね。

たとえば今、ゴールドが全く足りません。具体的に言うと35万ゴールドぐらい足りません。
土曜日の『ゴールドラッシュ』が1周2万。頑張って6~7周ぐらいまわせるとして14万ゴールドとしましょう
(そう、1日いても6~7周しか回せないんですわ。もう少し張りついてプレイさせてほしい)。


ということですが、私、今週の土曜(10/3)こそ空いているものの10/10も10/17も予定が入っています。
まぁ出かける前と帰宅後に回せなくはないかもしれませんが、回せない可能性もありますよね。 
すると一体いつゴールドを稼げば良いのでしょう?


とまぁそんな感じなので、それこそ盆栽感覚で気長~にやっていくゲームだと思います。 


この手のゲームは経験上そのうち飽きちゃうんだよなぁ、と思わなくもないですが、まだ飽きていません。
育てたい娘も沢山いますので、なんだかんだで続ける可能性は割とありますね。
ただ、『メイン』としては運用できないというのは確かな感じです。


さて、『俺タワー』のレベリングに戻るか…… 

ナツユメナギサ感想(バレあり)

まずは点数から。
シナリオ 115/150 キャラ 120/150 絵 80/100  音85/100 その他システム 70/100 印象 35/50
Total 505/650 (57位/全170ゲームぐらい中)   ESにつける点 83 


【前置き】


12月だというのに季節は夏。妖精やペンギンが住む町で、記憶喪失の少年は目覚めた。
ミステリアスな声に導かれ、少年は少女達を探し始める。
無事ヒロインを見つけた主人公は、少女達とともに部活動を結成し、楽しく過ごしていく。
やがて主人公は1人の少女と結ばれるが、ファンタジー世界特有の不思議な現象に巻き込まれ……。


というのが大まかなストーリーになります。


本作ではまずファンタジー世界を舞台にした4つの物語。そして最終ルートで現実世界を舞台にした物語が展開されます。


この感想では、順に
「ファンタジー世界の感想」→「最終ルートの感想」→「まとめ」という形で書いていきたいと思います。


ちなみに、
好きなシナリオは 羊=真樹>>>はるか>>歩>つかさ
好きなヒロインは 羊>真樹>はるか>つかさ>>>歩 です。
雑にまとめるなら2強3弱という感じでしょうか。


では、クリア順に感想を書きます。


【ファンタジー世界 ①真樹ルート】

ファンタジー世界の中でも、特にファンタジー色が強いのがこの真樹ルートでしょうか。
妖精王との出会いや同じ1日を繰り返すギミック、島から出た後の真樹の失踪など、予想できない展開が続き、
非常に面白いシナリオでした。
ファンタジー世界4ルートの中では最も現実世界とリンクしたヒロインだけに、初回プレイでは理解しづらい面もありましたが、それが楽しかったんですよね。
真樹というヒロインも、あまり見ないタイプのキャラクターで、とても新鮮でした。
真樹ルートでのかわいらしい彼女もいいですし、他ルートでサブキャラに回った際にも主人公を理解し支えてくれる親友キャラとして、何度も「いい奴」だなぁと思わされました。


ヒロインとしては僅差で羊が好みですが、本作ヒロインの中で誰か一人、知り合う事ができるなら真樹がいいなぁと思います。


【ファンタジー世界 ②つかさルート】

一番つまらなかったルートです。
一つは、つかさというヒロインに他ヒロインほどの魅力を感じなかったこと(かわいくないわけじゃないんですが)。
もう一つは、シナリオ自体の出来が良くないことです。


つかさの願いは『大好きなパパとママ、3人で暮らしたあの頃に戻りたい』というものなんですが、これがファンタジー設定と全くかみ合っていないように思います。
幼児化したつかさが言及するのは「パパ」のみであって、「ママ」には一言も触れません。
にも関わらず、ラストはママを赦してのエンディング。うーん。
これがやりたいなら、「主人公=パパ」だけでなく「ママ」役も欲しかったところです。


また、これは後述しますが、現実とのリンクが全くないように思えるのも気になるところです。

キャラとして言うなら、相棒の夕美先輩の方が好きです……。
いや、つかさも悪い娘じゃないんですけどね。
ボケにしろツッコミにしろやや弱いなと感じたのと、委員会の仕事が多く、素潜り部メンバー同士の交流が少なかった事が理由でしょうか。


【ファンタジー世界 ③はるかルート】

普段の掛け合いは結構楽しめたので、特に悪い印象はないんですが、
ストーリー面を見ると高い評価はできないかな、というルートです。

はるかのボケは面白かわいいので、キャラ自体は好きでした。


はるかというキャラクターは、現実界でもサナトリウム職員を務める、有田さんの母親がモチーフになっています。
はるかの側にいるメイドのアリアさんが、はるかの娘、ということになります。
しかしよくわからないのが、有田さん自身が(羊ルートや真樹ルートで)ファンタジー世界に登場している事です。

現実世界の有田さん=ファンタジー世界のアリアさん、という図式なら解るのですが、
有田さんもアリアさんもファンタジー世界に存在しているというのが、ちょっとよく解りません。
僕の読解ミスな可能性もあるんですが、単純に設定ミスなんじゃないかという疑問もちらほらと。


最後、妙にハッピーエンドっぽい雰囲気なのも、個人的にはイマイチ。

全体を通してみればそういうわけにもいかないんですが、シナリオ単体で言うなら「アリアは生れてこなかった」方がきれいな(=僕好みの)結末だったんじゃないかなぁと。


【ファンタジー世界 ④羊ルート】


『シンデレラ』をモチーフに構成された、良ルート。
羊ちゃん自体がとても好みだったこともあり、とても楽しめました。
こんなかわいい後輩に懐かれるとか、最高やろ!

ミステリアスな謎で物語を引っ張っていくのが真樹ルートなら、構築された物語の力で引っ張っていくのが羊ルートという印象です。
「動物の恩返し」系のストーリーと見せかけて~というミスリードも、大きな仕掛けではないもののまんまと騙されました。猫に盗聴器を仕掛けて~というエピソードも良いなぁと。


気になった点は2点。

1つ目は、羊ちゃんの包帯CGが普通にかわいい点。
あまりグロすぎても辛いだけなので、エロゲ的にはこれで正解かもしれませんが、
物語テーマを重視して見るなら「普通にかわいいじゃん。これならヒかないし、これからもきっとモテるでしょ」と思ってしまいました。

2つ目は、現実世界とのリンクが感じられない点です。


【現実世界 ①歩ルート】

さて、いよいよ最終ルートのAyumu Story。
『ファンタジー世界の謎』を解き明かす最終シナリオということになりますが……。
正直に言いますと、つまらなかったです。

理由は沢山あるのですが、大きく分けるならテキスト&キャラクター面と、物語面の2つに分けられるでしょうか。


まずテキスト&キャラクター面ですが……。
ファンタジー世界、羊・真樹・はるか・アリア・つかさ・夕美達との会話シーンはとても楽しいものでした。
特に羊、はるか、夕美といった良質なボケ役がいることが大きく、真樹のツッコミも好みで、何度も笑わせてもらいました(アリアはあまり……)。
翻って現実世界は、ボケもツッコミもつまらない。
それだけでなく、ファンタジー世界のキャラクター達に比べ、好きになれるキャラも一人もいませんでした。


歩は「ひくわー」を繰り返しているだけでちっとも面白くないし……口癖なのでしょうが、20度も30度も言われるので、ウザかったですし、読み進めるのが苦痛でした。
そうは言ってもここまで来ると、読むのを辞めるという選択肢もないですしね。


また、ファンタジー世界では、奇抜な事件・謎が物語を牽引していましたが、
このルートは、ごくごく平凡な学園モノ以外のなにものでもありませんでした。


平凡な学園モノが悪いわけではありませんが、好きなキャラが沢山いるファンタジー世界を楽しんだ後で、
好きなキャラが一人もいない学園モノを読まされても……。


これが、歩シナリオを単体で見た場合の評価です。


【現実世界 ②幻想界とのリンクについて】

歩シナリオにはもう一つ、作品全体を解き明かす鍵という働きもあります。
しかしこちらも……悪いとは言わないものの、良かったとは言えません。


まず、幻想界の謎についてですが……これは非常に単純で「歩の見た夢だった」というものです。
大切な人を亡くし、心に傷を負った歩。その彼女が、過酷な現実世界に目覚めるまでの夢の世界。
彼女の周囲にいた人々も昏睡状態に陥り、夢の世界に引きずられ……というお話。なんですが。
この辺のメカニズムは割と適当に流されている感じです。


個人的に不満なのは、ヒロインにもなっている青山つかさと美浜羊の2人が、現実界と全くリンクしていない(僕が気づいていないだけかもしれません)ように見える点です。ついでに言うなら、僕の好きな夕美先輩もリンクしていません。
遠野はるかはリンクしてはいるのですが、個別感想でも書いたアリア・有田の関係が解らず、評価しづらいですし、はるか以外のシナリオに行った場合、アリアの存在が宙に浮いてしまいます。
現実界とリンクしているのは老樹真樹と、カウンセラーの大河内さんくらい。
これは非常に物足りなく感じました。

 
【余談 ――ファンタジーに回答は絶対必要なのか――】


そもそも論として、ファンタジーに回答は絶対不可欠なのでしょうか?


12月だというのに夏なのはなぜか、妖精とはなにか、ペンギンとはなんなのか。
どうして時間がループするのか、どうして主人公は記憶がないのか。

こういった問いが思いつくのは当然として、これらの問いには、どうしても答えが必要なのでしょうか?


僕が思う限り、これらの問いに「満足できる答え」が返ってくる率はとても低いです。


たいていの場合、「夢」か「空想」か「ヴァーチャルリアリティ」かといったところで、理由自体も出尽くしている感がありますし、本作もご多分に漏れず『歩の見た夢』という設定です。
まぁ面白ければ使い古されていようがどうだろうが何でもいいのですが、
「謎がどんどん広がっていくターン」は楽しいのに、「謎の種明かしをするターン」に入ると面白くなくなる作品が本当に多いです……。


類似作品を挙げると、他作品のネタバレになってしまいますのでここでは控えますが、
本作「ナツユメナギサ」のネタは、有名エロゲだけでも3回は見た記憶があります
(1回は同じビジュアルアーツ系列のゲームですね)。
まぁ、先ほども言いましたように面白ければ何でも構わないのですが……。


【総評】

結構好きな作品のはずなのに、何故か辛口になってしまったのは、多分最終ルートに不満があるためでしょう(クリア直後に感想を書いています)。


ファンタジー世界はとても居心地がよく、楽しかったです。
羊にどっすーんされたい、はるかにドザ様って呼ばれたい。
真樹と一緒にフィールドワークしたい、夕美先輩をからかいたいです。
シナリオ面も、真樹シナリオでは先が気になって気になって仕方なかったですし、
羊シナリオの「シンデレラ」をアレンジした物語構成は巧いなと感じました。
プレイして楽しいゲームでしたし、良作だと思います。


ただなぁ……。
物語構成上、どうしても歩シナリオの比重が大きくなってしまう上、その歩シナリオがキャラ・物語ともにダメだったので、全体の印象がぼやけてしまったきらいはあります。


1 渚・歩・音々・月島の4人のやりとりをもっと面白く、楽しく
2 羊やつかさなど、最低限ヒロインぐらいは現実界とリンクさせる
3 歩をもっと可愛く


この3点だけでも僕好みになっていれば、85点は突破できたのにと思うと、勿体ないなと感じました。
それだけ、このゲームのファンタジー世界が肌にあったのですよ……。

 

アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ「アンドリューNDR114」読了(重ばれあり)

評価はA+。


本書はアイザック・アシモフの中篇「バイセンテニアル・マン」を、ロバート・シルヴァーバーグが長編化したものになります。
とはいえ、シルヴァーバーグ色は非常に薄いため、前情報を知らなければ長編版も「アシモフが書いたもの」だと
思ってしまいそうな、それぐらいアシモフ色の強い作品です。


マーティン家に送られてきた『一人』のロボット、アンドリューの物語。
人間と共に長く暮らしていくうちに、彼は少しずつ『人間になりたい』と思うようになります。
喜怒哀楽を持ち、ロボットの形状から人間の形状へと見た目を変え、服を着ます。
芸術作品を作り、人間を慈しむ彼の姿は、もうどこから見ても人間そのもの。
それでも、法的には彼はロボット。人間が「壊したい」と思えば壊されてしまう、そんな脆弱な立場のままなのです。


本書では、人間とロボットとの境界線について、非常に詳細に語られていきます。


ロボットとは行動をプログラムされた存在である。
しかし人間もまた、生存本能や種の歴史、あるいは親の教育によってプログラムされた存在ではないだろうか。

ロボットとは、工場で作られた鋼鉄の塊である。
しかし体に機械を埋め込んだ人間は、ロボットとはどう違うのか?

人間とは何か。それはロボットとはどう違うのか。
なぜロボットが服を着てはいけないのか。なぜロボットが労働の対価として賃金をもらってはいけないのか。
なぜロボットには参政権がないのか。なぜロボットには……


アンドリューはついに結論に達します。
それは、人間とは『非合理的なもの』であるということ。そして人間とは『不完全なもの』であること。
彼は、人間になるために、自ら死を選びます。


それは、究極的に『非合理的な』選択であり、永遠の生を得られるロボットという器を捨て、『死』を迎える人間になるという選択でした。
そんなアンドリューを、人々はようやく『人間』として認めたのです。


ざっと振り返ればこんなお話ですが、哲学的な小難しいだけの小説ではありません。
アンドリューと、マーティン家の人々。『サー』や『リトル・ミス』とのふれあいは、心が温まるものでした。


「自由になりたい」と願うアンドリューに、激昂し癇癪を起こすサー。
「ロボットのくせに」と口走る彼ですが、彼の本心はアンドリューに去られたくない、一緒にいてほしいというものでした。
自由意志により妻に去られ、一人ぼっちで家に暮らすサーは、自由を与えたアンドリューが去ってしまうことを恐れたのです。
「アンドリューに出ていってほしくないんだ」というP104の台詞には思わず胸が詰まる思いでした。


サーに何とかしてお金を渡そうとするアンドリュー。この時のアンドリューにはまだ「非人間的」なものを感じます。
アンドリューから決してお金を受け取ろうとしないサーの気持ちは、この時の彼にはまだわからなかったでしょう。


P364、死を決めたアンドリューの、
「ロボットとして永遠に生きるくらいなら、人間として死ぬほうを選ぶよ」もまた、印象的な台詞でした。



ここまでしなくては、彼は「人間」として扱ってもらえないのでしょうか?
どんな人間よりも善良で、心の暖かな彼のたった一つの願い。
誰に迷惑をかけることもなく、ただ「人間」として扱われたい。それだけのことなのに。


人間は「未知」を恐れます。「力のある者」を恐れます。
そして議会は「前例」を作ることを恐れます。
それは、「無知蒙昧な人間」として、私にもよく解ります。
アンドリューのことをよく知っていれば、私も彼の「人間になりたい」という願いを理解するでしょう。

しかし彼のことを知らなければ、「よくわからないけど、なんだか怖い」というぼんやりとした理由で、
「ロボットを人間として扱う」法案に反対する事でしょう。
人間の……というと語弊があるかもしれませんが、それが私の限界かなと思います。


本書は哲学的な面でも深く考えさせられますし、ある一人のロボットの人生を描いたドラマとしても面白く読めました。
アシモフのロボット作品に共通することですが、彼が描くロボットストーリーは本当に暖かいんですよね。
そんなアシモフの良さを全く殺さずに、長編化をなしとげたシルヴァーバーグの手腕も評価したいところです。
これは、アシモフの意図、アシモフの考え方、アシモフ作品の良さを知り尽くしていないとできない芸当です。
「自分ならこうした」という欲を捨て、アシモフ作品の持つ良さを最大限に大切にしたシルヴァーバーグの貢献も忘れてはいけないポイントでしょう。




*ストーリーについて一つ野暮なことを言うなら、私がアンドリューなら「地球で、人間として認められる」事にそこまではこだわらなかっただろうなと思います。
月世界では、アンドリューは「人間」として認められていたからです。
私なら月世界で、永遠に楽しく暮らすだろうなと思ってしまいました。

これはアンドリューの「故郷への感傷」によるものでしょう。
あるいは、身も蓋もないことを言えば物語上の都合と言えるかもしれません。

(人間になるために死を選ぶロボットの物語はとても印象的ですが、嫌な地球世界から逃げ出し、月世界でいつまでも楽しく暮らすロボットの物語では、本書のテーマは十分に伝わらないような気がします)


しかしまぁ、快適な環境に行けるのなら、不愉快な環境を変えようと力を尽くすよりも、快適な環境に逃げ込んじゃった方がいいとは思います。



貫井徳郎「慟哭」読了(重バレ有)

評価は A+


本書は作者が25歳の時に出版された作品だが、とても信じられない。
文章は重厚かつ抑制が効いており、青臭い感傷とは無縁だ(注:私は青臭い感傷めいた描写も大好きですが)。
描かれる登場人物は30代、40代の妻子持ち男性が中心。
娘への愛や、娘を失う悲しみがリアリティを持って描かれている。
 
熟練の中堅、ベテラン作家が描きそうな作風であり、安定感なのである。


内容については何を書いてもネタバレになるので、未読かつこれから本書を読まれる方は、
ここで引き返してください。











本書の形式的な特徴は、『警官視点』と『犯人視点』が交互に描かれることだ。
警官は佐伯という男で、いかにも厳格で頼りになる警官という風情。
犯人は松本という男。娘を失い、新興宗教に通う、思考力の足りない男という印象だ。


本書を読み進めていくうちに、とある疑惑が頭に浮かぶ。
どうも、時間軸がズレているような気がするのだ。
正確にどれぐらいズレているのかはわからないのだが、『警官視点』と『犯人視点』で流れている時間がズレている。そんな違和感は確かにあった。
しかしもし、『警官視点』で扱われている誘拐事件と『犯人視点』で扱われている誘拐事件が別個の事件だとしたら、犯人は二人いることになる。そうでないと、辻褄が合わない。


と、ここまでは僕も推理できた。
しかし、肝心の犯人がまさか、当の警官本人だったとは……。
名字が違うこともあり、全く思い至らなかったが、再読してみれば、「確かに」と頷ける部分がある。


婿養子だという設定もそうだし、松本の下の名前が呼ばれないのもそうだろう。
佐伯視点では妻とうまくいかなくなっていたし、離婚していてもおかしくはない。
松本について、「見覚えがある」と語る人物が複数名存在するのも伏線だろう。


そうした叙述トリックの見事さだけでなく、娘を失い抜け殻となった佐伯の痛ましさ。
声なき彼の慟哭が読み手の心に深く刻まれる。
本書はミステリとしてもドラマとしても、忘れられない作品になるだろう。 
 
 
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