2016年01月

94 アルゼンチンVSルーマニア

   アルゼンチン    2-3  ルーマニア

欠場者(ア) MF マラドーナ(追放) FWカニーヒァ(負傷)
     (ル) FW ラドゥチョウ(負傷)

試合内容 A
MOM FW ドミトレスク(90)(ルーマニア)

GK イスラス(70)         ステレア(50)
DF カセレス(60)         ベロデディッチ(50)
   ルジェリ(45)         ペトレスク(60)
   センシーニ(50)       ミハリ(60)
   チャモ(60)          プロダン(55)   
MF シメオネ(75)        ポペスク(65)
   レドンド(60)         ルペスク(55)
   バスアルド(55)       セリメシュ(50)
   オルテガ(65)        ハジ(75)
FW バティストゥータ(65)   ドミトレスク(90)
    バルボ(75)        ムンテアヌ(60)

監督  バシーレ B      ヨルダネスク B

【ア】
センシーニ(50)→メディナベージョ C

【ル】
 ハジ(75)→ガルカ?
ドミトレスク(90)→パプラ ?


優勝候補の一角アルゼンチンは、マラドーナ&カニーヒァ&バティストゥータのトライアングルで、
ギリシャ、ナイジェリアを粉砕しベスト16に進出。
だが、大黒柱マラドーナは禁止薬物により大会を追放され、カニーヒァは負傷と暗雲が漂う。
一方のルーマニアは、徹底したカウンターサッカーからのハジ→ラドゥチョウのホットラインで
コロンビアに圧勝。次のスイスには惨敗し、アメリカに勝利して突破と好不調の波が目立つ。
今日はそのラドゥチョウが不在とこちらも万全の布陣ではないが、どうなるだろうか。

試合の方は、暑さ35度のコンディションを全く感じさせない壮絶な打ち合いとなった。
ボールを支配するアルゼンチン。守って守ってカウンターのルーマニア。
ルーマニアは今大会ここまで不調だったドミトレスクが突然の爆発。
まずは芸術的なFKを決めて先制する。
アルゼンチンもすかさずPKをゲット。バティストゥータが決めて追いつくが、直後にハジからのパスを再びドミトレスクがゴール。
後半に入ってもルーマニアのカウンターは冴えわたり、ドミトレスク→ハジの流れで3点目。
だがアルゼンチンも攻めに攻める。やや苦し紛れに思えたカセレスのミドルシュートをルーマニアGKプルニアがこぼしたところをバルボが詰めて1点差。だが、彼らの猛攻もここまでだった。
試合はルーマニアが3-2で勝利。優勝候補の一角が散り、伏兵がベスト8に駒を進めた。


マラドーナがいなくなったアルゼンチンはやはり彼の不在が響いているが、代役のオルテガも得意のドリブルからチャンスを作っていたし、この日は中盤のシメオネが特に存在感を発揮。相棒のレドンドも含め、ベスト16で去るには勿体ない、素晴らしいクオリティを見せていた。ただ、レドンドは少し攻め急ぎからのボールロストが目立った。
カニーヒァの代役、バルボは良い動きを見せるも決定力に乏しく、前半開始早々のチャンスを彼が決めていれば、試合の流れも大きく変わっただろうことを考えると残念。
とはいえ、2点目を決めたのは彼であるし、動き自体は良かったこともあり、高評価に値すると思う。
右サイドバックのカセレスはドミトレスクにやられすぎなきらいがあったものの、なんとか食らいついて好守を見せる場面も目立った。2点目のゴールのキッカケを作ったのも彼である。
逆サイドのチャモも大会を通じて好調をキープ。このチームがもう見られないのは残念だ。


ルーマニアはやはりドミトレスクとハジのコンビに尽きる。また、ポペスク&ルペスクの中盤コンビも安定感があった。ただ、最終ラインでの酷いパスミスは何本もあり、ここは改善しないといけないだろう。
とにかくこのカウンタースタイルは異彩を放つ。カウンターしかできないと言われればそれまでだが、『特化型』なスタイルも含めて、非常に特殊で面白いチームだ。

ただ、ヨルダネスク監督の守備固め采配は正直少々とまどった。
確かに守備固めをしたい気持ちはわかるが、ハジとドミトレスクを下げるとは……。万一追いつかれ、延長にでもなったらどうするつもりだったのだろうか?






 

94 スウェーデンVSサウジアラビア

   スウェーデン  3-1   サウジアラビア

試合内容 B-
MOM FW ダーリン(75)(スウェーデン)

GK ラベリ(70)          デアイエ(45)
DF ニルソン(50)        マダニ(50)
   ビョークランド(60)     ゼベルマウィ(50)
   パトリック・アンデション(55) アルハラウィ(50)
   ユング(55)          アルジャワド(50)
MF インゲソン(60)        アルビシ(40)
   テルン(60)           アミン(40)
   シュバルツ(60)        ハムザ(40)
   ブローリン(65)        オワイラン(45)
FW ダーリン(75)         ファラタ(45)
   ケネット・アンデション(70)  アルジャバー(35)

監督  スベンソン  B     ソラリ B

【ス】
ビョークランド(60)→カーマルク(55)
テルン(60)→ミルド ?

【サ】
アルジャワド(50)→ゲシーアン(70)
アルビシ(40)→アルムワリド(55)


カメルーンに引き分け、ロシアに勝利してベスト16に駒を進めたスウェーデン。
前線の3人、ブローリン&ダーリン&ケネット・アンデションの爆発力は大会でも屈指のカルテットだ。
一方のサウジは、オランダには負けたものの、モロッコ、ベルギーを破ってのベスト16。
アジア勢としては実に28年ぶりのベスト16進出は、GKデアイエの好守と巧みなドリブル能力によるもの。
特にベルギー戦でのオワイランの超独走ゴールは世界中の度肝を抜いた事だろう。

この日の気温は33度。その暑さが影響したのか、前半は非常にスローな試合展開となった。
前半6分、ケネット・アンデションの芸術的なクロスに飛び込んだのはダーリン。
スウェーデンが早くも先制すると、その後はのーーんびりとロングボールを上げるだけ。
サウジはサウジで、ドリブルに固執するあまりパスが回らず、退屈な試合に。
これ、全部見る必要あるんかな?と思えるような内容だったが、後半になるとまともな試合になって安心しました。

後半、開始直後にまたもブローリン&ダーリン&ケネット・アンデションのコンビからスウェーデンが2点目を挙げる。というかスウェーデンの攻撃はこの3人だけっすね。3人だけなんだけど、それで十分点が取れちゃうから怖い。
一方のサウジはソラリ監督が動く。アルジャワドに代えてゲシーアンを投入。
これで一気に流れが変わり、サウジが攻勢に出る。
スウェーデンGKラベリがサウジ攻撃陣の前に立ちはだかり、なんとか失点を防いでいたものの、ついに
サウジにゴールが。
1点差に詰め寄るそのゴールを決めたのも、やはりゲシーアンだった。

さぁ、いよいよ緊迫した展開に……と思ったのもつかの間、これまた一瞬の隙をついてブローリンからダーリンへ、そしてダーリンからケネット・アンデション。アンデションのシュートがゴール右隅に決まり、勝負あり。
3-1でスウェーデンが勝利をものにした。


負けたとはいえ、サウジはよく頑張ったと思う。
一方のスウェーデンはパフォーマンスは悪かったが、33度の暑さは北欧のチームには堪えただろう。
よく頑張った、とは思うが、今日だけが暑いのならともかく、
今大会は暑い日が非常に多いため、今後が少々心配ではある。
だが、前線の3人だけでゴールを奪えてしまうその破壊力は、やはり一見の価値があるだろう。
 

94 決勝トーナメント1回戦 スペインVSスイス

    スペイン  3-0  スイス

試合内容  B+
MOM   GK スビサレッタ(70)(スペイン)

欠場者  (スイス) MF ズッター(負傷) 
      (スペイン) MF カミネロ(出場停止)

GK スピサレッタ(70)   パスコロ(60)
DF  ナダル(60)      ホッディガー(50)
   アルコルタ (60)    ガイガー(50)
   アベラルド(60)    カンター(20)
   フェレール(70)    ヘーア(50)
   セルジ(70)     MF ブレギー(40)
MF イエロ(70)      オーレル(40) 
    バケーロ(55)    スフォルツァ(40)
   ゴイコエチェア(45) ビッケル(45)
  カマラサ(60)    FW クヌップ(55)
FW ルイス・エンリケ(70)  シャプイサ(60)

監督 クレメンテ A-     ホジソン  B-

【スペイン】

ゴイコエチェア(45)→ベギリスタイン B+
イエロ(70)→オテーロ B+

【スイス】

オーレル(40)→スビアット B-
カンター(20)→シュティーダ―  ?


アメリカに引き分け、ルーマニアに勝利してグループリーグを突破したスイスと、
韓国、ドイツに引き分け、ボリビアに勝利してグループリーグを突破したスペインの試合。

スイスは、攻撃の核ズッターが負傷でこの試合を欠場。
正直に言って、ズッターだけが頼りのチームでしたので、何というか試合開始前から勝負あったかなという感じ。
スペインは、FWのサリナスを外し、本職FWの選手が1人もいないという、いわゆるゼロ・トップを採用。
ローマのスパレッティ監督が始めたと言われるゼロ・トップですが、この時代からあったんですね。


新オフサイドルールが適用された初めての大会ということで、まだ皆が慣れていないのか、
スイスDFが混乱。間隙を縫ってイエロがドリブル突破し、先制ゴールを挙げる。
このあと何故かスイスがラフプレイを連発。試合が荒れた。
予選リーグでは特にラフな印象のないチームだったのだけど、今日はどうしたのだろう。
失点に納得のいかないものがあったのかもしれない。まぁ微妙な判定ではあるもののミスジャッジというわけではないので、落ち着いてほしい。

それにしても、華麗なサイドアタックを武器にするスペインの動きの良さが目立つ。
スイスはやはりズッターの欠場は大きい。
実況解説が盛んに「ズッターがいれば……」と連呼しており、この日出ていたスイスの選手の名前よりもズッターの名前が呼ばれる始末だったが、気持ちは解らないでもない。
スイスにとってズッターは唯一の武器だったのだ。しかし、ズッターしか武器がないチームでは、勝ち上がるのは厳しい。


スペインはスペインで、セルジやフェレール、ルイス・エンリケやゴイコエチェアがサイドを崩すも、決定力が低い。後半5分、無人のゴールにフィニッシュしたはずが、ポストに当ててしまったシーンなど最たるものだ。 
直後にあったスイスの素晴らしい攻撃を、スペインGKスビサレッタが止めなければ、試合はどうなるかわからなかった。MOMに選んだのはこのセーブによるもの。まさにチームを救う働きだった。

スイスもチャンスがないわけではないのだが、やはり単発。スペインのような攻撃の流れというものが見えない。
かえすがえすもズッターの不在が痛い。
試合はその後、スペインが2点、3点と決めて勝負あり。
1-0の時間が長かったことから、スイスにも勝つチャンスはあったが、やはりズッターがいないと……。


スペインの方は、サイドのオープンスペースに飛び出すスピードが非常に速く、見ていて面白いチームである。
守備的な選手ばかりをピッチに投入するクレメンテ監督の采配は「つまらない」と言われるが、
この日は本来守備的なはずの選手たちが、攻撃的なサッカーを見せてくれた。
これでつまらないとは、少々酷な物言いかもしれない。

 

94 決勝トーナメント1回戦 ドイツVSベルギー

      ドイツ   3-2   ベルギー

欠場者(ド) DF シュトルンツ(負傷)
試合内容 B-
MOM FW クリンスマン(80)(ドイツ)

GK イルクナー(60)      プロドーム(75)
DF マテウス(50)        グルン(65)
   コーラー(50)        デウォルフ(50)
   ヘルマー(55)       エメルス(65)
MF ベルトホルト(55)  DF アルベール(60)
   ザマー(70)     MF  ステーレンス(50)
   ブッフバルト(60)      バンデルエルスト(55)
   ワグナー(50)        シュミッツ(40)
   ヘスラー(70)        シーフォ(45)
FW クリンスマン(80)     ウェーバー(45)
    フェラー(75)       ニリス(40)

監督 フォクツ B+       バン・ヒムスト B

【ド】
マテウス(50)→ブレーメ(50)
クリンスマン(80)→クンツ B


【ベ】
 ニリス(40)→チェルニアチンスキ ?
シュミッツ(40)→ボファン ? 


94年ワールドカップはここからが決勝トーナメント。ますますの熱戦が期待されます。

黄金時代を謳歌するも、予選リーグでは調子が出なかったドイツと、
攻撃陣の調子が悪く、GKプロドームの攻守を頼りに勝ち進んできたベルギーの一戦。


序盤にぽんぽんぽんと立て続けにゴールが決まり、いきなりドイツ3-1ベルギーに。
事故のようなゴールも多かったですが、今日が初先発のフェラー&クリンスマンの見事なコンビから挙げた2点目はビューティフルゴール。
この日のフェラーは絶好調で、なんで今まで先発で使わなかったのか首を傾げてしまうほど。
予選リーグから好調を維持するクリンスマンも、裏を突くスピードでベルギー守備陣を切り裂きます。

試合はこのまま推移しますが、やはり中盤はドイツの方が数段上。
特にボール奪取役のザマーの存在感が光りました。
攻撃に転じると、ファンタジスタのヘスラーが中心となってベルギー陣を脅かします。

一方ベルギー側は……正直に言ってあまり良くなかったですね。
目立ったのは右サイドから何本も良いクロスを放ったエメルスくらいでしょうか。


体力不足が心配されたドイツですが、酷暑の中で行われた試合の多かったこの大会の中で
この日は雨が降ったためか涼しく、やりやすかったのではないでしょうか。
むしろ後半に入るとますますドイツのエンジンがかかります。
ベルギーGKプロドームの好守がなければもう2~3点入ってもおかしくなかったですね。


そんな中、問題のプレイが。
後半25分……ぐらいかな? ベルギーのウェーバーがペナルティエリア内で倒されるも、ジャッジはノーファウル。
これは、FIFA世紀の10大誤審の1つにも数えられている有名な誤審ですが……どうでしょう。
誤審かどうか、イマイチよくわかりませんでした。
というのも、まだこの頃のテレビ映像は、いろんな角度からリプレイをしてくれないんですよ。
「誤審かどうかギリギリのプレイなので、判断できない」というのではなく、「こんなショボい映像じゃ判断できない」というところです。
これがPKならばベルギーは1点差に追い上げた可能性が高く、ミスジャッジだとすれば本当に残念ですね。

試合は後半ロスタイム、アルベールが素晴らしいゴールを決めて1点差に詰め寄るも時既に遅し。
ドイツがベスト8へと駒を進めました。


あれが誤審なら、誤審がなければ、3-3になっていた可能性が高いという意味では本当にベルギーは不運。

ただ、それはともかく内容的にはやはりドイツの方が一枚も二枚も上手でしたね。
ベルギーは、これは大会を通じてなんですが、本来攻撃の中心になるはずだったシーフォが全然ぱっとせず、
前線の2トップも存在感がまるでなし。
GKプロドームの力だけで勝ち上がってきたような印象のチームでした。
まぁ、誤審かもしれないんですが、強い方が勝ち上がった、という印象ですかね。


ドイツはしょうもなかった予選リーグのパフォーマンスから大幅に改善され、いよいよエンジンがかかってきた、というところでしょうか。
多くのサッカーファンはこう思った事でしょう。やはり、今回のドイツも強いぞ、と。
……まさか、次の試合で足元を掬われるとはねぇ……。










 

ゆびきり婚約ロリイタ 感想(バレあり)

気づけば夜のひつじ作品をプレイするのは今回で9作目ですね。
というわけで、まず最初に以前書いたものの流用ですが、ほい。
夜のひつじ作品について知らない方は↓は飛ばして本文をお読みください。



(殿堂入り):なし

(かなり好き):「相思相愛ロリータ」
         「義妹ホールと妹ホールド」
         「ゆびきり婚約ロリイタ」←NEW

(好き):「彼女、甘い彼女」


(まぁまぁ好き):
「幼馴染と10年、夏」
「幼馴染の心が読めたらどうするか」
「妹『お姉ちゃんクソビッチなので私にしませんか』」
「好き好き大好き超管理してあげる」

(好みからはずれた):
「純情セックスフレンド」


【本文】

さて、本作「ゆびきり婚約ロリイタ」である。


僕は特にロリコンというわけではないはずなのだけど、pororiさんの描くロリータものは面白い。
pororiさんはきっと*1 ロリータが好きで好きで仕方ないのではあるまいか。


子供というのは、周囲の庇護を必要とする生き物だ。
与えられた環境の影響は大きく、無垢な反面、危なっかしい。
この危なっかしさは形を変えて、ロリータだけでなく思春期に入ったばかりの*2少年少女にも存在する。
つまり、ロリータだけの専売特許ではないのだが、あまり脱線するのもなんなので本作の話をしよう。


「相思相愛ロリータ」でも言える事なのだが、僕にはこの作品もまた、ハッピーエンドであるようには見えない。
本作のジャンルは『縁組み性愛ロリユートピアノベル』である。
それは確かに「ユートピア」ではあるのだが、しかし「砂上の楼閣」でもある。


古傷を癒すため寄り添える相手が欲しい啓人と、庇護者の欲しい鈴佳。
鈴佳が啓人を求めるのは、単純な「愛」というよりも「生存戦略」であるように僕には思えてしまう。
「ここにいてもいい」という安心のために鈴佳は身体を提供する。
そして、啓人はそんな鈴佳に溺れていく。
己が生存するために、鈴佳は啓人に「中出し」を迫り、*3既成事実を作り上げていく。
その手管は割と恐ろしいものだと思う。
とはいえ、鈴佳を責めようとは思わない。彼女は、生きることに「必死」なのだ。
3年前に一度会っただけの男、寝ながら泣いていたという程度の触れあいしかない彼に、
縋りつかなければならないほど、追い詰められているのだ。
それも当然だろう。唯一頼りにしていた、大おばが認知症になってしまったのだから。
それにもちろん、啓人のことを「好き」だという事自体が偽りだとは、僕もさすがに思っていない。
ただ、「好き」にはいろいろあるし、そこに滲むものは単なる「好意」だけではない。


啓人はまだ20代半ばであり、鈴佳とその子供。
2人の未成年を1人で支えるには絶対的に力が足りないだろう。
頼りは資産家の「大おば」なのだが、彼女には親族が沢山おり、それなりの名家でもあるようだ。
小○生の少女を孕ませた主人公に、ほいほいと遺産が残されるだろうか?
認知症にかかる前に大おばが何かしらの手を打っていてくれたとは思うのだが、もしそうでないならば
腕の立つ弁護士の用意なども含め、相当厳しい戦いになることは覚悟した方が良いと思う。

鈴佳もまた、「大丈夫」という確信はないはずだ。まだ働ける年齢ではないから、家計の足しにパートに出ることもできないし、それどころか学校にも通わなければならないから、付きっきりで子供の面倒を見る事もできない。


砂上の楼閣のまま、そんな周囲の事に目を背けながら、彼らは走り出そうとしている。
茨の道だ。決して甘いだけのユートピアではない。
互いへの甘い感情が癒してくれるとはいえ、その生活は闘争の連続であるはずだ。
啓人も鈴佳も、将来後悔することがないと良い、と思う。


とはいえ、そういった「安易な孕ませ」をして主人公はバカだなーと言いたいわけでは勿論なくて、
一時の安寧のために、将来を「見てみない振りができる」その能力はある意味羨ましく思ってしまう。
本当はやりたい事がたくさんあるのに、リスクを考えて躊躇してしまう僕だから、こうして平穏に生きていられるわけだけど、しかしそこに「冒険」はない。
「冒険」しないからこそ、万が一僕の周囲に鈴佳ちゃんが現れて僕を慕ってくれたとしても、啓人と同じ行動はとれないだろうし、そうすればこのロリータとの甘いひとときを味わうこともできないだろう。


安全な立ち位置から、自分にはできない経験をする。これもまた、エロゲに限らず創作物全般が備える大きな価値である。

安全で平穏でつまらない人生を歩む僕が、そのつまらない「リスクマネージメント」を投げ捨てることで、ひょっとしたら得られたかもしれない波乱万丈の鈴佳との人生を、短い時間ながらも追体験させてくれた作品。
それが僕にとっての本作、「ゆびきり婚約ロリイタ」である。






*1反面、氏の書く幼馴染モノは個人的にはイマイチである。氏が幼馴染に思い入れがないのか、僕の考える幼馴染モノの理想と離れているのかは知らない。


*2 「義妹ホールと妹ホールド」、「純情セックスフレンド」の二作は、『性』への目覚めと思春期の脆さから、
ヒロインが堕ちてしまうバッドエンドがある。これは、繊細な心理描写がなされている事もあり、よくあるエロゲの『快楽堕ち』とは一線を画する。
僕が「義妹ホール~」を高評価するのは、ヒロイン千穂の清らかさと脆さが、周囲の環境によって「淫らさ」へと染められ、書き換えられていくさまが非常にエロく、かつ切なく。「ストーリーだけ」でも「エロだけ」でもない、両者を兼ね備えた上で、それが「作品全体のテーマ」と密接に絡んでいる好例だと思うからである。



*3 「いつか別れが来るかもしれない」、「でも、今は好き」、「その今をずっと更新していくことで、それが永遠となればいい」。
男女間(だけに限らないとは思うが)のこうした機微を、porori氏は以前からくり返し書いている。
これは、ポップなキャラゲー路線に見える「幼馴染の心が読めたらどうするか」の中にすら、そうした思想が
挿入されている。

本作の鈴佳もまた、非常に疑い深い人間である。
だからこそ、「いつまでも一緒」という口約束(形のないもの)ではなく、常に何らかの体験や事物によって、相手の心を繋ぎとめようとしていた事を思い出してみよう。

それは「ゆびきり」であり、「指輪」である。そして、「SEX」、とくればその次は……?

もちろんこれは、「体験や事物そのもの」を求めるのではなく、
「SEXをしてしまった」=「悪いこと」、「子供を作ってしまった」=「悪いこと」
→「悪い事をした啓人は、鈴佳を捨ててはいけない」という一種の暗示として働いている。
 
つまり、鈴佳は啓人に次々と「枷」をはめ込んでいっているわけで、
ただ甘い日常をロリと過ごして幸せ~~というだけの物語ではないと思う。

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