2016年06月

Euro2016 ポルトガルVSオーストリア

     ポルトガル    0-0          オーストリア

主審  B+
試合内容 B+
MOM  GK ロベルト・アルマー(85)(オーストリア)

GK  ルイ・パトリーシオ(65)         アルマー(85)
DF  リカルド・カルバーリョ(60)        ヒンターエッガー(55)
   ペペ(60)               プレドル(60)
   ラファエウ(75)             フクス(30)
   ヴィエイリーニャ(65)          クライン(45)
MF ジョアン・モウチーニョ(60)       バウムガルトリンガー(60)
  アンドレ・ゴメス(60)          アラバ(50)
  ウィリアム・カルバーリョ(65)       ザビツァー(35)
  ナニ(60)               アルナウトビッチ(50)
  クアレスマ(45)             イルザンカー(60)
FW  クリスチアーノ・ロナウド(60)      ハルニク(40)


監督 フェルナンド・サントス B-        コラー B-

【ポ】
クアレスマ(45)→ジョアン・マリオ ?
アンドレ・ゴメス(60)→エデル ?
ナニ(60)→ラファ B

【オ】
アラバ(50)→シェプフ B-
アルナウトビッチ(50)→ヒンターゼーア ?
イルザンカー(60)→ヴィンマー

ポルトガルが攻めっぱなしな90分。とにかく攻める、攻める、シュートを打つ、打つ、打つ。
しかし入らない、入らない、入らない……。
後半30分にはPKまでゲット。とうとう入るのか、とうとうオーストリアは敗退してしまうのか。
蹴るのはクリスチアーノ・ロナウド。しかし入らない……。
2分後、ついにクリスチアーノ・ロナウドのヘッドが炸裂! ポルトガル先制……かと思いきやオフサイド……。
かくしてオーストリアは九死に一生を得、ポルトガルの勝ち抜けもまた最終戦へと持ち越されましたとさ……。


【ポルトガル】
2試合続けて試合を完全に支配したにも関わらず、得られた結果は2引き分け。
フェルナンド・サントス監督もどうすればいいのか、頭を悩ませているに違いない。
チャンスの山を築いているのだから、チームの基本戦術は問題ないはずだ。
それなのに、ゴールが遠い……。
今日の戦犯は前線のクリスチアーノ・ロナウドだろう。あれだけのチャンス、1点は決めなければならない。
レアル・マドリーでの彼なら2点は、下手をすれば3点は決めているはずだ。
ポルトガル内でのMOMを選ぶなら、左SBのラファエウだろう。アイスランド戦ではヴィエイリーニャの攻め上がりが目をひいたが、今日はラファエウの番だった。
この両サイドバックの上がりがポルトガルの攻撃に厚みをもたらしている。
戦術に関しては、個人的にはアイスランド戦の4-4-2の方が良いように思う。
せっかくヴィエイリーニャ&ラファエウと二人の攻撃的サイドバックを擁しているのだから、そのスペースを塞ぐようにウイングを置く必要はないのではなかろうか。

とはいえ……上述のように、戦術よりもとにかく決定力。とにかく決めることだ。それ以外にない。

【オーストリア】

負ければ敗退がほぼ決まる状況下で、珠玉の勝ち点1を奪取。
とはいえ……ポルトガルとはここまで差があるのかと痛感した試合。
MOMはもちろんGKのアルマー。しかし彼を除く守備陣の出来が良かったかと聞かれると微妙の一言。
左サイドのフクスはクアレスマをファウルでしか止められなかったし(退場していてもおかしくなかった)
右サイドのクラインは相手SBのラファエウにやりたい放題にクロスを上げられてしまった。
支配権を明け渡した中盤、孤立した前線も評価が高くなるはずもないが、
ポルトガルのPKのシーンでは、クリロナを倒したヒンターエッガーよりも、その前のザビツァーの2つのミスにより問題がある。
本職のDFではないので仕方ないのだが、大きく蹴り出して逃げても良い場面で無理に繋ごうとしてパスミス。
取られた後、慌てたのか勢いに任せてラファエウに突っかかるもあっさりかわされ、フリーでクロスを上げられてしまった。
失点に繋がらなくて幸いだったと言うべきだろう。


  

Euro2016 チェコVSクロアチア

チェコ    2-2         クロアチア
主審  A-
試合内容 B+
MOM  CH イヴァン・ラキティッチ(80)(クロアチア)

GK  ツェフ(55)                  スバシッチ(55)
DF  カデジャベーク(55)               コルルカ(55)
   シボク(45)                   スルナ(60)
   フブニク(45)                  ヴィダ(35)
   リンベルスキー(50)               ストゥリニッチ(50)
MF  クレイチ(55)                ラキティッチ(80)
   スカラク(40)                 モドリッチ(65)
    ダリダ(55)                  バデリ(60)
   ロシツキー(65)                 ペリシッチ(55)
   プラシル(50)                  ブロゾビッチ(70)
FW ラファタ(40)                    マンジュキッチ(60)

監督 ブルカ B                   チャチッチ B


前半は完全にクロアチアペース。
予想以上にチェコの動きが悪く、ここまで力の差があるのかと思わせるほど一方的な展開となった。
後半も流れは変わらず、遂にクロアチアが2-0とリード。
これで勝負あったかと思われたが、ドラマはこの後に待っていた。
チェコのブルカ監督は2人の選手を投入する。そのうちの1人、シュコダがチェコの主役だった。
試合終了間際に負傷で退いたロシツキーの(ひょっとすると彼の勇姿を見られるのはこれで最後かもしれない)、「リトル・モーツァルト」の異名に相応しい芸術的なスルーパス。
そのパスをゴールに届けたのは、交代出場のシュコダだった。
彼が入ってからようやく攻撃の形を少し作れるようになったチェコだったが、依然スコアは1-2。
クロアチアもまたチャンスを作り、チェコのゴールに迫っていた。

ここで……予想外の出来事が起こる。
クロアチアファンの愚行である。ピッチ内に発煙筒を投げ込み、試合は5分の中断。
好試合に、そしてクロアチアの勢いに水を差されたこの事件の後、待っていたのはチェコの同点ゴールだった。

試合後クロアチアの選手達に笑みはなかった。
当然だろう。2-0から追いつかれたという事実以上に、自分たちを本来サポートしてくれるはずの存在に
裏切られたという想いは強かったはずだ。
父親を亡くしながら、キャプテンマークを巻いて出場したスルナ。
包帯を巻いて奮闘したコルルカ。
芸術的なパスワークで、そしてそのダイナミズムでクロアチアの中盤の軸となり、試合を彩ったラキティッチ。
ラキティッチと並び今日の主役となったブロゾビッチ、ペリシッチ……。
ピッチで躍動する彼らの姿に泥を塗る愚行には、ため息しかない。



【チェ】
ラファタ(40)→シュラク(40)
スカラク(40)→シュコダ(70)
プラシル(50)→ネチド(55)

【ク】
モドリッチ(65)→コバチッチ(50)
ラキティッチ(80)→シルデンフェルド B+
ストゥリニッチ(50)→ヴルサリコ ?



【チェコ】
2-2の引き分けだが、内容では完全にクロアチアに劣っていた。
その中で、反撃の狼煙を挙げた一発、ロシツキーとシュコダには触れておきたい。
35歳の前者は昨シーズン一年を怪我で棒に振り、この試合でまたも負傷離脱。
これで最後と思いたくはない、願わくばまたその美しいプレイを見せてほしいが、
仮に最後だとしたら、有終の美を飾るプレイとしてあれほど相応しいプレイはないだろう。
シュコダはゴールシーンだけでなく積極的に空中戦を挑み、チェコの攻撃に火をつけた。


【クロアチア】 
MOMはラキティッチ。モドリッチとの二枚看板は中堅国の域を超えている。
それを支えるブロゾビッチ、バデリらのプレイも卓越しており、こと中盤の質だけで言えば
今大会参加国中トップ5には入るのではないだろうか。
フィジカルだけで閃きのないフランスなどよりも、数段上のように思う。
ペリシッチも献身的にサイドを突破し、1ゴールを決めた。その割に採点が伸びなかったのは、
苛立ちまぎれの目を覆うファウルが見受けられたため。
マンジュキッチは未だ不発だが、前線で身体を張り、最低限の仕事はこなしていた。
 

「暁の死線」読了(バレあり)

著者はウィリアム・アイリッシュ。評価はA-。


一旗揚げようとニューヨークの『都会』に出てきた青年クィンと、ダンサーのブリッキー。
『都会』とそこで暮らす人々への不信を募らせるブリッキーだったが、クィンが同郷の出身だと解り、
故郷話を境に意気投合。
しかし、『隣の男の子』であるクィンは、なんと重大な危機に陥っていた。
窃盗の、そして殺人の罪で今にも警察に追われようとしていたのだ。
二人が出会ったのは時刻、午前1時。午前6時の故郷へのバスまでに、事件を解決する事はできるのだろうか?


主に『論理』が重視される(と思われる)ミステリの世界で、『感覚』を重視する作家アイリッシュは、都会を舞台に叙情的で寂しく甘くそして幸福な、おとぎ話のような世界を作り出している。
本作では、長所短所含め、そんなアイリッシュの味が特に顕著に出ている作品だと思う。


女優になりたいという夢を持ち、ニューヨークに出てきたブリッキー。
しかし実際には、場末の酒場のダンサー止まり。
女優の夢どころか、日々の仕事にも疲れ、こんなはずじゃなかったと故郷を懐かしむ毎日だが、
家族を喜ばせようと、「私、今、かなりイイ線行きそうだから!」などと見栄を張ってしまい、
故郷にも帰れない。
そんなブリッキーだけに『都会への憎悪』も人一倍である。
労働時間の終わりを告げる時計、パラマウント通りの大時計だけを『友達』と感じている。
今日もしんどく辛い仕事を終えて、いつものように帰宅したブリッキーに運命の出会いが訪れる。
酒場での仕事の終了間際、やってきた客のクィンがそれだ。
初めは人間への不信からツンツンした対応をしていたブリッキーだが、お互いが『同郷』、それも徒歩数分の距離に家がある事が解ると意気投合。
もしもずっと故郷にいれば、クィンとは「お隣の男の子」としてきっと親友になれていただろう。
出会って1時間にも満たないが、故郷への思い出を橋渡しに、強い絆で結ばれた二人は、クィンの危機を救うべく動き出す。
故郷へのバスは6時。今日を逃したらきっと、もう二度と故郷へ帰る気力を失くしてしまうだろう。
同郷のクィンと出逢えた今夜がラストチャンス。二人でなら、きっと帰れる。


というのが筋立てだ。
アイリッシュの作品が『感覚』を重視していることは、こうしてあらすじを書き出してみれば一目瞭然である。
人間の気持ちというのは得てして『思い込み』もあるわけで、なんらおかしなことではないのだが、

「都会でうまくいかないから、都会は敵」、「大時計だけが友だち」、
「故郷の隣の家の男の子は絶対いい奴だから、人殺しなんてするわけがない」、
「今日のバスを逃したら、絶対に故郷に帰れない」


本作を強く支配するこれらのルールは全てブリッキーの『感覚・思い込み』であって、
『論理的な思考体系』ではないのである。

これらのルールをなんとなく納得させてしまうのがアイリッシュの筆力であり、心理描写であって、
実際、故郷の小さな町の思い出話を語り合う二人の姿は読んでいて口元に笑みが浮かんでしまうほど楽しそうで、確かにこんな会話ができたら、「こいつは殺人なんて絶対にしない奴だ」と思ってしまうかもしれない。
出会って1時間も経たない相手なのだけど。
まぁそんなわけで、アイリッシュの(あるいはブリッキーの)設定したこれらの約束事に納得できることが、
本作を楽しむための最低条件だろう。


「いやいや、明日のバスでも帰れるだろww」とか
「いやいや、隣の家の男の子って言ってもお前ら今日会ったばかりじゃんww」などの『常識的で冷静でツマラナイ』思考回路から抜けきる事が出来ないと、本作は無理のある設定を推し進めた駄作になってしまうだろう。
これらは、たとえば夜中の2時~6時の物語なのに、みんな起きてるのかよw
(あるいは、寝ててもわざわざ起きてガチャ切りもせずきちんと対応してくれる)(家にも入れてくれる)みたいな部分も含め、色々と『ファンタジー』な物語である。
実際、僕はかなり楽しめた方だとは思うが、まぁ無理のある設定だとは正直思う。
しかし、ガチガチのミステリとして考えるのではなく、『おとぎ話・ファンタジー』として読むならば、
やはりアイリッシュの描く作品世界は、僕は好きだ。


田舎から上京し、孤独に頑張っている人は現代でも多くいるだろう。
そしてなかなか思うようにいかず、苦しみながら、故郷に帰れない人もいるだろう。
今日も退屈な1日を終え、さぁもう寝るだけといった夜中の1時に、運命の出会いが待っていて、
大冒険の末、朝の6時には、新しく出逢った大切なパートナーと故郷に帰る。
なんて幸せで、素敵な物語なのだろうと思う。
そんな夢のある、この作品が僕は好きだ。


ミステリ部についてはほぼ触れずにここまで書いてきたが、一点、
物語終盤のクィンとホームズのくだりは、もう少し巧く描いてほしかったなと思う。
2時から6時という凝縮した時間に全てが展開するドラマとして、一瞬一瞬のシーンを濃密に描く事で緊張感を持続させているのだが、クィンとホームズのくだりでは不自然に時間が飛んでしまうのだ。

簡単に言えば「クィン、大ピンチ!」→「奇跡的に助かったクィンは……」→「実はね、あの時こういうことが起こったんだ」みたいな展開になっている。
確かにクィンのこのシーンを時間軸順に描くと、少しダレてしまうのはわかる。
解るのだが……ここまで時間軸を常に連続させて緊密な一夜を描いてきただけに、
この『すっ飛ばし』で僕の緊張感は相当程度失われてしまった。
じゃあダレてもいいから時間軸順に描けば良かったのかと聞かれると、それも微妙な気はするが……
無理にピンチを描いた後の処理に、苦慮した様子がうかがえる。


まぁ、なんだ。
アイリッシュにがちがちのミステリを求めてはいけない。
都会で暮らす孤独な男女に、勇気を与えてくれる素敵なおとぎ話。
それに犯罪要素が味つけをしている、そういうものが好きな人にはお勧めの作家だと思う。

 

Euro2016 オーストリアVSハンガリー

   オーストリア  0-2   ハンガリー

試合内容 B
主審 D+
MOM CH ダビド・アラバ(70)(オーストリア)

GK アルマー(60)       キラリ(65)
DF ドラゴビッチ(30)      ラング(60)
  ヒンターエッガー(60)     カダール(60)
  フクス(55)         フィオラ(60)
  クライン(50)        グズミチュ(60)
MF バウムガルトリンガー(60)  ゲラ(60)
   アラバ(70)        ネメト(55)
   アルナウトビッチ(55)    ナジュ(45)
   ハルニク(40)       ジュジャーク(55)
   ユヌゾビッチ(60)      クラインハイスラー(65)
FW ヤンコ(40)         サライ(65)

監督  コラー  B-         シュトルク A

【オ】 ユヌゾビッチ(60)→サビツァー(55)
   ヤンコ(40)→オコティエ ?
   ハルニク(40)→シュプフ ?

【ハ】 サライ(65)→プリシュキン(60)
   クラインハイスラー(65)→シュティーベル(60)
   ネメト(55)→ピンテール ?


格上オーストリアと格下ハンガリーという開戦前の構図は、試合後もやはり変わらなかった。
しかし勝ったのはハンガリー。
誤審に助けられた感はあるが、誤審のおかげで勝てたとまでは言えず、一言でまとめるのが難しい試合となった。

前半、試合を支配したのはオーストリア。
立ち上がりのアラバのミドルシュートだけでなく、ユヌゾビッチ、アルナウトビッチ、バウムガルトリンガーらの中盤がハンガリーを完全に制圧。
しかしその後の崩しに乏しく、存在感に欠けたヤンコを始め、ハンガリーの40歳GKキラリを脅かすには至らない。
一方のハンガリーは足元で繋ぐのが巧いチームという印象はあれど、中盤を支配されてしまい、こちらも効果的な攻撃は繰り出せなかった。

そんな中、後半15分にゲームが動く。
一瞬の隙を突いたクラインハイスラーとサライが華麗なコンビプレイを見せ、見事に先制ゴール。
問題のシーンはその直後だ。ゴール前の一連の流れからヒンターエッガーが同点に追いつく。
しかしその前に笛が吹かれ、オーストリアのゴールは取り消された。
だけでなく、なんとドラゴビッチが2枚目のイエローカードで退場になってしまったのだ。

スローで見る限り、ドラゴビッチのファウルといえばファウルである。
なので、オーストリアのゴール取り消しは妥当だと思う。しかし、2枚目のイエローを出すようなプレイとは到底思えない。ゴールを狙ってシュートを打とうとした足が、たまたま相手選手にぶつかっただけではないか。
こんなジャッジをされてしまっては、イエローを1枚もらった選手はゴールチャンスにも絡めなくなってしまう。
これで10人になったオーストリア。
中盤にもスペースができ、ハンガリーも攻撃のチャンスが生まれるようになった。
皮肉にも、誤審によってスペースができたことで、試合はお互いにチャンスの生まれる好ゲームになったのだ。
しかし、オーストリアは主審への不満がプレイにも現れ、特にアルナウトビッチに顕著だったが冷静さを欠いてしまう。
そして後半ロスタイム、ハンガリーはカウンターの鋭い一太刀でオーストリアを完全に葬り去る追加点。
交代出場のプリシュキン→シュティーベルと、シュトルク監督の采配も的中し、44年ぶりのEuro本大会で価値ある一勝を挙げた。


【オーストリア】

負けてなお、強いなという印象を抱かせた。
特に中盤の構成力は見事だったのだが、前述のように課題はファイナルサードでの崩しだろうか。
ヤンコ、ハルニクの二人に怖さがなく、ハンガリーを崩しきることができなかった。
退場者が出た後に、メンタル面、戦術面の修正がともにできず、更なる追加点を許してしまった点ともども、
ベスト16以上を狙う上で克服すべき課題と言えるだろう。
MVPは、負け試合であるにも関わらずアラバを選出した。
バイエルン所属の23歳は、両チーム22人の中でやはり一人レベルが違う。
MFの中軸としてだけでなく、仲間への声かけ、サポーターを煽るパフォーマンスなど、到底23歳とは思えない大物感を漂わせていた。
このアラバを中心に、次戦以降の奮起を期待したいところだ。
ドラゴビッチの低採点は、退場に繋がったファウルによるものではなく、1枚目のイエローの方だ。
無駄なカードが結果的に退場に繋がってしまった。
また、ドラゴビッチが退場したにも関わらず、戦術的な修正を怠り、追加点を許してしまったコラー監督の采配にもやや疑問が残る。
同点に追いつかなければならない事情は分かるが、まずは守備を修正するべきだった。
動きの悪いヤンコ、ハルニクを下げたのは妥当だが、代わって入ったオコティエやシュプフも存在感に乏しかった。

【ハンガリー】 

誤審に助けられた印象は否めないけれど、先制ゴールは誤審の前。
一瞬の隙を見逃さないサライとクラインハイスラーのテクニックは見事だった。
中盤からボールを丁寧に繋ぐ現代的なスタイルと、ショートカウンターの鋭さは見事だったのだが、
先制点のシーンを除き、それらが存分に発揮されたのは相手が1人少なくなってから。
11人対11人の状態でこれができるなら、有力国の1つになれるのだが……。
とはいえ、相手が1人いなくなってもボール支配・カウンターが出来ないチームがあるのは事実。
数的有利の状況を活かしきるだけの実力はあったと評価すべきだろう。

グループFのもう一つのアウトサイダーであるアイスランドに比べ、そのスタイルは遥かに洗練されており、
順調に強化が進めば再び世界のひのき舞台の常連国になれるかもしれない。
そんな期待を抱かせるこの日の戦いぶりだった。 
 

Euro2016 イングランドVSウェールズ

    イングランド    2-1           ウェールズ

主審  B-
試合内容 B+
MOM  該当者なし

GK  ハート(50)                ヘネシー(55)
DF  ケーヒル(55)               ガンター(45)
   スモーリング(55)              ニール・テイラー(50)
   ウォーカー(55)               アシュリー・ウィリアムズ(45)
   ローズ(60)                 チェスター(50)
MF デル・アリ(50)              DF デイビス(45)
  ルーニー(65)               MF アレン(50)
  ララーナ(60)                  ラムジー(50)
  スターリング(45)                レドリー(55)
  ダイアー(60)               FW ロブソン・カヌー(45)
FW ケイン(45)                   ベイル(60)

監督  ホジソン B+                コールマン B

  
【イ】 スターリング(45)→スターリッジ(65)
   ケイン(45)→ヴァ―ディー(60)
   ララーナ(60)→ラッシュフォード(55)

【ウェ】 レドリー(55)→エドワーズ(50)
    ロブソン・カヌー(45)→ジョナサン・ウィリアムズ B



引き分けで十分なウェールズと勝ちが欲しいイングランドの一戦は、
両者の思惑通りイングランドが攻め、ウェールズが守る展開となった。
あまり前に出てこないウェールズだったが、ベイルのFK一発で見事に先制。
追い詰められたイングランドは後半開始から2人の選手を投入する。
スターリング→スターリッジ、ケイン→ヴァ―ディー。
結果的にこの采配が見事に的中。攻勢を強めたイングランドはヴァ―ディーが同点に追いつき、
このまま引き分けで終わりかと思われた後半ロスタイム、スターリッジが土壇場で逆転ゴール。
ウェールズがほぼ手中に収めていたベスト16への切符を、文字どおり強奪する一点でイングランドは
視界良好。ウェールズは最終戦、ロシアとの決戦に全てを賭す事となった。



【イングランド】
特筆すべきはホジソンの采配ズバリ的中といったところだが、ケイン→ヴァ―ディーに関してはむしろ、
なぜ先発からヴァ―ディーを使わなかったのかという疑問の方が大きい。
ケインの身体の重さは、初戦のロシア戦で既に明らかだったはずだ。
スターリング→スターリッジはお見事。ラッシュフォードもなかなかの切れ味を見せた。
中盤のダイアーとルーニーはこの日も良い。
今大会のイングランドはいつになく中盤のレベルが高い。
しかしチャンスを作っても、最後のところでゴリ押しに頼り工夫がないため、なかなかゴールが決まらない悪癖はこの日も変わらず。
守備陣にも絶対の信頼は置けない。
間違いなく好チームではあるが、ベスト4以上を狙うにはこの2点を修正する必要があるように思う。
ウェールズ相手には、なんとかゴリ押しでもゴールをもぎとる事はできたが……。
とはいえ、ロシア戦でも書いたように、本当に久しぶりに『好感の持てる』イングランドではある。
……エリクソン→カペッロと、守る事しか出来ない冬の時代が長すぎた……。



【ウェールズ】 
引き分けで十分だった事もあり、ほぼ攻勢に出る事はなかった。
しかしその最終ラインも鉄壁とは言えず、前半から不用意なパスミスも多かった。
ベイルのFKはお見事。

 
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