2018年05月

ヒラリー・ウォー「失踪当時の服装は」読了(軽バレあり)

評価はB+。ただし、それは純粋に面白さに対しての評価です。
『警察小説』という新たなジャンルを開拓した、という歴史的意義を考えれば評価はAにもA+にもなります。

舗装されていない『警察ミステリ』の道を切り拓いた、というそれだけでも評価に値しますが、
そういう外部情報を取っ払って、今、一つの娯楽小説として読んでも十分面白いのは偉いなと感じました。


ミッチェルという女学生が白昼に失踪。それを追いかける刑事コンビのお話です。
この、フォードとキャメロンの凸凹コンビのやり取りは地味に面白かったです。
捜査が進むにつれて、生前のミッチェルの姿が少しずつ浮かび上がってくる仕組みとはいえ、
そこまでドラマチックなものでもなく、淡々と捜査が進んでいくわけなので、この刑事コンビのやり取りがつまらなかったら、読んでいて本当に退屈したでしょう。
そういう意味では、キャラクター小説と言っていいのかもしれません。


ただ……、現在の目から見ると、あるいは警察の取り調べを受けた事のない僕の目から見ると、
ちょっとマズいんじゃねーか?と思えるシーンがあるのも事実です。
犯人が当たっていたからいいようなものの、そこまで確信が持てる状況じゃないのに、
犯人や、犯人の恋人(セフレですが)を狙い撃ちにするような嫌がらせは、少々まずいのではないか……事に犯人のセフレに対するセクハラ的な発言は、大丈夫なんかな?とは思いました。


ここから先は余談です。
余談その1

これは僕の感覚の方がズレているような気もするし、「だから何?」というところでもあるけれど、
わずか半年の間に、11人と36回以上のデートをしている女学生(SEXは1人とのみ。キスは3人か4人)って、本当に『身持ちの固い、真面目な女子なのかしら?』と思いました。
いや、別にいいんです。
ミッチェルが身持ちが固くない、不真面目な女子だったからと言って、殺されて当然だとは全く思いません。そんなに悪い娘だったとも思っていません。
ただ……「すげー遊び歩いてるな、コイツ」とは思ったので、そこら辺にズレを感じました。


1人の人と36回デートならまぁいいですし、
20~36人の人と36回デートなら、『恋活・婚活頑張りすぎ女子!』みたいな感じですけど、
中途半端に6回・7回のデートをした後で急に冷たくなって振ったりとかをしまくっているのは、
(相手も合意ならそれでいいけど)、ミッチェルに対して本気になっちゃった男子はかわいそうだなぁと思っちゃって。
SEX関係は1人とだけだったみたいですけど、SEXしてなければ真面目なのかなぁ?と。
世間の価値観と真反対で恐縮ですが、むしろSEXしまくり11人と36回の方が、個人的にはまだいいです……。

にしても半年で11人と36回デートってすげぇな。
俺は全然モテないけど、仮にそんだけモテたとしても半年で11人・36回もデートしたくないわ。
モテすぎるのも困りもんだな、ちょっと休ませてほしい(そんな台詞言ってみたいw)


余談その2

直前に読んだ「リリアンと悪党ども」でも思ったんだけど、海外小説だと30代中盤~後半って
普通にバリバリ恋愛生活を謳歌してますよね。恥ずかしい事ではなく、ナチュラルに。
スペンサーシリーズだって、ヒロインのスーザンは40代だし、多分スペンサーも40代だけど
全然枯れてないし、落ち着いた大人の恋愛が楽しめます。

日本の作品だと、老け込んでたり枯れてたり、「オジサン(オバサン)が無理してる」みたいな描写……要は年齢をネガティブに捉える作品がやけに多く感じるんですが
(たとえば今やってるゲームにも、35歳で自分のことを「オジサン」と呼ぶ、加齢臭を気にするキャラがいます)、そのたびに嫌な気持ちになります。
自分は何歳になっても老け込みたくないし、他人にもなるべく若々しくいてほしいと思いました。

まじこいやってます④リュウゼツランルートクリア

何をトチ狂ったのか、順番を無視してリュウゼツランをやってしまいました。
記憶にあったよりだいぶ面白かったw 
もっとつまらなかった気がしたので、先に回したんだけど、嬉しい誤算でした。
(つか、直前にやったまゆっちルートがつまらなすぎたんや)


まぁ、基本的にはずーーっとバトルをしてるだけではあるんで、
忘れないように軽く展開をメモリました。


【千花が売人に目をつけられる→ガクトが突撃→ガクトやられる(板垣兄弟登場)

板垣兄弟のアジトへ 釈迦堂にハメられ百代の能力低下、クリス・京負傷、大和誘拐

板垣家での生活(基地がやられる)→モロが捕まる→板垣姉妹とのHシーン→脱出

→マロードの正体判明→京・モモとのHシーン→カーニバル決戦

ED曲

→いつの間にか半年経過 クリス帰国 金曜集会解散 END】


という感じ。


ド派手なバトルシーンがシナリオの8割程度を占める(体感)ので、あれですけど、
中でも印象に残ったバトルが2つあって、


まず1つ目が
ルーVS釈迦堂
です。
努力家のルーが、努力を怠った天才、釈迦堂を破るというのは
川神一子ルートの救済になるのではないかと思いました。
バトルマニアの天才、釈迦堂に最も近いのは、ご存知、川神百代。
一方、ルーの流れを汲む努力の人と言えば川神一子。
百代が努力をサボるかどうかは何とも言えませんが、ずっと修行をしていけば一子は師範代になれるんじゃないか。
一子ルートでは破れた夢ですが、このまま拳法家を目指すのもアリだったかも?


2つ目は
椎名京VS榊原小雪。
この激突はそのまま、まじこい表ヒロインVS裏ヒロインと言えるのではないでしょうか。
リュウゼツランルートをやると、やっぱりまじこいのメインヒロインは椎名京なんだなーと、勝手に思った次第であります。


共通ルート終盤の、秘密基地でのクリス・まゆっち排除に向かいかけたあの騒動を
批判する方をネットでも何度か見かけました。
確かに気持ちの良いシーンではないのですが、
あれに関しては、本ルートで冬馬に指摘される風間ファミリーの閉鎖性……
つまり、「まじこい」というゲーム全般の伏線になっているため、仕方ない面があったと思います。
むしろ、(クリスは多分何とかなったと思うけど)かなりヤバそうだったまゆっちを、何とか排除せず仲間に取り込めたのは、成長と言っていいんじゃないでしょうか。


感想がまとまらず、散文的ですみません。
他では何気に気に入ってる九鬼英雄様がカッコ良かったですね。
板垣家の捕虜生活も、何気にほのぼの読めますし。


まぁ、バトルばかりやってて、『金曜集会解散』が突然飛ぶのはご愛敬というか、
そこももうちょっとやってほしかったけど……まぁ、それは京ルートの方でやった(はずだ)からいっか。

まゆっちが松風から卒業できてねーのが、グランドエンド的にはちょっとばかり気になるところではあるけど……。
それと、このルートだと、結局大和君は、百代と京2人のセフレになったって事で良いのかしらん。
「冬花火」が明らかに失恋ソングで、ボーカルが京の声優さんだから、京振られたのかしら?
いや、それはさすがに深読みしすぎ……というか深読みであってほしい!
やっぱり大和の嫁は京でしょ!




☆リュウゼツランルート

大和 B
シナリオ B-
羨ましさ B
青春度  B
Hシーン C+

まじこいやってます③まゆっちルートクリア

KOS(格闘大会)がなければ高評価してた。これに尽きる。

前半は、友達のいないまゆっちの、「友達100人計画」の物語。
席替えを機に隣になった、ベイスターズ大好き少女伊予と友達になろうと悪戦苦闘するまゆっち。
この描写は実に良い。
伊予ちゃんが本当に良い娘で、キョドり具合が半端じゃないまゆっちを暖かく包み込んでくれる包容力は凄い。
大和は正直に言えば大したことはしていないのだが、まゆっちに対して(誰にでもできる程度とはいえ)的確なアドバイスを送り、伊予ちゃんとまゆっちは少しずつ仲を深めていく。
まずは話しかけるところから。初メールを送ったり、名前で呼び合うようになったりと非常に微笑ましく、ここを切り取れば良シナリオである。

また、並行して不死川心とも友達になる。
「風間ファミリー」と「不死川」で選択を迫られ、決裂したかに見えたまゆっちと不死川の仲も、
まゆっちの正面からの訴えによって、不死川の心(ギャグじゃないよ)を動かし、友達になる事に成功。
更に、河原にいる麻生首相(って書いちゃうね)とも友達になる。ここまでは良い。
まゆっちに感情移入して、まゆっちを応援しながら友達を作っていく物語を追体験できる。
この物語の流れでは大和は空気でしかないが、良い話である以上、主人公が空気でも一向に問題ないわけだ。多少のアシストはしているしね。


後半も良い。

クラスで孤立した伊予。いじめの扇動者となった武蔵小杉をぶちのめすまゆっち。
そんなまゆっちを抱きしめる伊予。最高のハッピーエンドだと思う。実に良い。


で、だ。
この前半と後半の間に「KOS」という格闘大会が挟まるのだが……マジでつまらねぇんだ、これが。
意味もなく長いし、ここだけ話が宙に浮いている。
全文スキップしてみても、大して影響はないようなイベントが延々続くのだ。


まず、(まゆっちルート単体で見る限り)ストーリー上、何らの意味も持っていない。
「友達のために戦う」というテーマを補強はしているが、これは後半の「伊予のために武蔵小杉を倒す」話1つで十分事足りる。
他ルートの伏線と割り切れば「巨人の夢=孤児院を立て直す」とか、「釈迦堂の強さ」とか
多少の内容は入っているものの……。


ただでさえお寒いKOSなのに、麻生首相VS蘇我(野党員)という構図を出して、大和に中学生レベルの政治観を語らせてしまってはもうおしまいである。
政治観がテーマの物語ならそれもいいが、「まじこい」はそういうゲームではない。
ライターが麻生首相が好きなのはわかったが、ただそれだけで、主張内容はスッカスカ。
「他に変わりはいない」だの、「不景気なのは今の首相のせいじゃない」だの、「野党は不満しか言わない」だの、そんな事しか言っていない。
そのバトルも普通に戦うだけならまだしも、蘇我はキレると倒れている学生(忠勝)に拷問をするキチガイキャラである。
そこまでして、麻生首相=ヒーローVS野党幹事長=クズ野郎の構図にしたいのか。
率直に言って、お粗末極まりない。




どうでもいいところでもう1点。
松風はブラックジョークを持ち味としているのだが、その中で1つ、かなりイラっとさせられるものがあった。
(いけ好かないコンビニ店員の話。
手が脂ぎっているから釣銭を触りたくない云々も失礼だし、いい年してコンビニ店員なのはウンチャラというのもとても失礼)。
面白いと思って書いたのかもしれないが、こういう『物の見方』をする人間は『嫌いだな』と感じてしまった。
まゆっちに対してもそう、タカヒロに対してもそうだ。
(少なくとも、太った人や、非正規労働者を蔑んで笑いを取るような人には、恋人にも友人にもなってほしくない)


どのルートでもそうだけど、どうでもいいところでチクチクと僕の好感度を削ってくるんだよね。

麻生首相関連もそうだけど、ガラの悪い匿名掲示板の、ガラの悪い人の意見に毒されすぎじゃない?



まゆっちと伊予の友情を中心に、どんどんまゆっちが友達を増やしていくような、そんな話だったら良かったのにな。残念。



☆黛由紀江ルート

大和 C+(しょぼい政治談議がなければB-。下がり幅はそれほどでもないけど、下がるのは確か)
まゆっち B-(本文で書いたブラックジョークがなければ、B+だった)
シナリオ C+(KOSがなければB+~A-だった)
羨ましさ B
青春度  B-
Hシーン B-

2018年に読んだ本(随時更新:しばらくはミステリ中心)


S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品

沙高楼綺譚/浅田次郎……感想はこちらに書きました。

伯母殺人事件/リチャード・ハル……こちらに書きました。

ホッグ連続殺人/ウィリアム・デアンドリア……非常に読みやすく洗練されたミステリで、古き良き時代の「ヒーロー的名探偵」と、現代的大都市ニューヨークでのリアルな殺人が同居する、
古く新しいミステリ。道具立てはクラシカルだが、キャラクターは現代的で活き活きと描かれている。
タイトルであっさり動機がわかってしまったのはご愛敬。

生ける屍の死/山口雅也……感想はこちらに書きました。


九尾の猫/エラリー・クイーン……あまりにも救いのない、重苦しい話。悲劇の人生を歩んだカザリス博士に涙。クイーンでまさか感動させられるとは……今まで読んだクイーン10作の中ではこれがベスト。
作風が全く違うので比べるのもあれだけど、個人的には国名シリーズよりも遥かに面白い。

やとわれた男/ドナルド・ウェストレイク……「シビれる」ハードボイルドを読んだのは、いつ以来だろう? 存外、僕はハードボイルドとは相性が悪く欠伸をしてしまう性質だ。感情のない人間には共感できないし、感情豊かで甘い作品はハードボイルドとは呼び辛いからだ。しかしこの「やとわれた男」には、シビアな人間関係・乾いた感情の中に確かな哀感があり、人間への愛がある。ミステリとしても一級品で、犯人当ての作品としても楽しめるし、言い知れぬ不安を抱かせるラストの描写も最高。
これは名作ではなかろうか。ウェストレイクを読むのは今回で13作目か14作目になるが、「ホットロック」と甲乙つけがたい、彼のベスト作品。



捕虜収容所の死/マイケル・ギルバート……皆から憎まれていた捕虜が殺された。問題は死体発見の場所。イタリア軍に隠れて掘っていた脱走トンネル内に死体があったのだ。トンネルの在処をイタリア軍にバレないようにしつつ、真犯人を探るというミステリとサスペンスが絶妙に混じり合った隙のない構成はただただ見事。ラストの脱走シーンの緊張感も素晴らしく、とにかく完成度の高い一品。


偽のデュー警部/ピーター・ラヴゼイ……「日常」から切り離された5日間の船旅は、ロマンチックな「非日常」空間を生み出すんだなあと改めて感じた。大勢の人間が、のんびりと過ごす5日間。その間に出会いもあり、別れもある。これが現代の飛行機旅行だとなかなかそうはいかないよなぁと。
非常にサクサクと読めるユーモア・ミステリ。ラストはちょっとモヤモヤとするけれど……

A→読んで良かったと思える作品

女彫刻家/ミネット・ウォルターズ……母と妹を惨殺したシリアルキラー。主人公のフリーライターは彼女を取材するうち、事件にとりつかれ、過去の真実を探り出していく。過食と拒食。皆が傷を抱え、皆が病み、その中で何とか日々を送っていく、ロス・マクドナルド、ジョン・ハート系列(あるいは「ミスティックリバー」)のミステリで非常に好みだが、最後のドンデン返しはない方が良かったのでは……。

失踪当時の服装は/ヒラリー・ウォー……白昼失踪した女学生の謎を追う、凸凹刑事コンビのやり取りが楽しい。警察小説というジャンルを切り開いた歴史的意義のある作品だが、そういうのは抜きにして今読んでも普通に面白いです。半年で11人と36回デートした女学生が『真面目な女生徒』扱いされているのは、読んでて不思議だったけど。


殺人鬼/浜尾四郎……ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」のオマージュであり、一つの進化系。「グリーン家」をオマージュした作品には、エラリー・クイーン「Yの悲劇」があり、「Yの悲劇」のオマージュである(らしい)横溝正史「獄門島」までを加えれば、ミステリの一大山脈を為す。
大富豪秋川一族を狙った連続殺人にして、遺産相続などが絡む、古式ゆかしい王道スタイルのミステリ。
登場人物の描き分けは、美人3姉妹がひろ子を除くとキャラが経っていないのがやや残念。
一族間の連続殺人を描く作品は、必然的に登場人物間の関係性が密接、かつ想像しやすいものとなっており、興味を持って読めるのが好材料。
非常に緻密に、丁寧に描かれる連続殺人は、今読んでも十分面白い。
ただ丁寧すぎるのがやや難で、何から何まで説明してくれるラストは正直ちょっとタルかったかもw


殺人症候群/リチャード・ニーリィ……王道のサイコキラー作品。としか言いようがないが、王道=つまらない、ではない。現実に、こういう経過をたどって連続殺人に行きつく猟奇殺人犯はいくらでもいそうな、リアリズムを感じる。



時の娘/ジョセフィン・テイ
王子を殺したとされる、悪名高きリチャード3世。だが、真犯人は別にいたのではないか? 入院中の刑事が、ベッドの上から真犯人を探し出す。
ミステリではあるけれど、歴史論文に近い感じの手触り。
大きな謎を解決(?)し、さて日常へと戻るラストも良い。
惜しむらくは、私にリチャード3世当時の英国史になじみがなく、かなり混乱を生じた事。
ネットでは歴史知識がなくても読める、と書いてはあるけれど、エリザベスが何人もいたり、ヘンリーが何人もいたり、リチャードも何人もいたり、結構混乱すると思うぜよ。読めないとは言わんけど。

シャーロックホームズの冒険(短編集)/コナン・ドイル

長い感想はこちら。

社会不適合者でぼっち、そのうえヤク中なダメ男、ホームズ君だが、推理の時だけは天才となる。
そんな目の離せないホームズ君を甲斐甲斐しく見守るワトソン君の友情が印象に残った。
一番面白かったのは「青いガーネット」。想像していた以上にユーモアミステリだった。


シンデレラの罠/セバスチャン・ジャプリゾ……『ドミニク』は『ミシェル』に殺意を抱いて、火事で彼女を殺そうとし、『ミシェル』も『ドミニク』に殺意を抱いて、火事で彼女を殺そうとし、
生き残った一人は記憶喪失。私は『ミシェル』? それとも『ドミニク』? というお話。
ミステリとして面白いんだけど、「どっちだってええがな」感もあった。
共犯者『ジャンヌ』が『ミシェル』を(性的に)狙ってた描写もあるし、『ドミニク』も読み方によっては『ミシェル』を狙っているように読め…なくもない(かなり無茶だけど)ので、百合の花咲き乱れるクレイジーサイコスリラー方面でやってほしかったけど、それだと別の話になっちゃいますかねw


獄門島/横溝正史……『跡継ぎが頼りないから、跡継ぎ継承順位の上のやつらを片っ端から殺して、頼りになる跡継ぎに跡を継がせよう』とはあんまりにもひどい動機じゃございませんかw キチガイに謎の復員兵、独特の横溝ワールドは堪能でき、面白かった。敗戦直後じゃないと書けなかった作品かも。

殺人者の烙印/パトリシア・ハイスミス……Bに近いA。迷惑な夫婦に振り回される周囲こそ不憫だ……。


星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン……物語的興味ではなく、学術的な知的好奇心で読ませる、良い意味でも悪い意味でもSFらしいSF。最初はとっつきづらいが、ラスト50ページは惹き込まれるように読めた。

鷲たちの盟約/アラン・グレン……フランクリン・ルーズベルトが暗殺され、ヒューイ・ロングが政権をとったアメリカで起こった、一つの殺人事件の物語。歴史改変SFとして、全体的に質が高く、物語全体を支えるリアリティの強度は高い。 
ただ……主人公の行動が、ヒトラーやヒューイ・ロングの命を救うなど
『煮え切らない・やるせない』展開が多い後半は、『解るけど……』という感じ。
真面目で悪い人間ではないのに、体制に迎合してしまう小市民的な主人公で、『革命戦線の闘士』みたいなキャラではないのも、『リアリティがある』とは言えるのだが……。
結局、『本当はいけない』と解っていても、自分の家族や仕事を守るためには、遠くでユダヤ人が殺されていても見て見ぬふりをするのね……という、何ともやるせない物語だった。


B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品

憎悪の化石/鮎川哲也……古さを感じさせる社会派小説という事で、どこか松本清張に似た印象を受けた。わずか6分の違いで人生ががらりと変わってしまう、という構図は面白かった。

リリアンと悪党ども/トニー・ケンリック……最初は微妙だけど、段々面白くなる。ただ、アクションシーンはイマイチに感じた。リリアンのキャラクター性が面白さの5割を担っているので、リリアンを気に入るかどうかが大きいかもしれない。

歯と爪/ビル・バリンジャー……一見関係のない2つの視点が交互に挿入されるので、とっつきづらいが、最後はなるほどと感心した。尻上がりに面白くなるが、面白くなるまで時間がかかった。

見えないグリーン/ジョン・スラデック……ミステリ愛好サークルの同窓会をきっかけに起こる連続殺人モノ。
サークル員の一人『少佐』の、被害妄想描写が真に迫っており、非常に面白い(反面、怖い)。しかし、『少佐』を皮切りに、連続殺人が起こると、後半は『フツーの』ミステリになってしまう。それが好きな人の方が多いかもしれないけど、僕的には少佐の異常心理こそが面白かったので拍子抜け。殺される人物も、魅力的なキャラから死んでいってしまうので、残された奴らはどうでも良いキャラばかりなのも残念。犯人も魅力ないし。色々と勿体ないと感じた作品。

ひまつぶしの殺人/赤川次郎……「ひまつぶし」としては面白い。頻繁な視点変更はさながら映画のようで、作者の技量を存分に見せつけられた。語り手としての能力は、さすが赤川次郎といったところか。
母は泥棒、兄は殺し屋、主人公は弁護士で、妹が詐欺師、弟が警察官というユニークな一家が生み出す、ドタバタ犯罪コメディ。近親相姦を知らずにしちゃったくらいで何も自殺せんでも……と思いました。犯行の動機も、命も軽い。ちょっとウーンとは思うけど、こういう作品では、あまり気にしても仕方ないのかもしれない。

スイートホーム殺人事件/クレイグ・ライス……お母さんが再婚する話は良かったし子供はかわいかったけど、殺人事件はどうでも良かったw

翠迷宮(アンソロジー)……感想はこちら。

奇岩城/モーリス・ルブラン……怪盗紳士ルパンというキャラクターを生み出したルブランの功績。暗号、冒険、ミステリ、恋愛(男はつらいよ的な?)を結び付けたこのシリーズは、恐らく後世のエンタメ作品に特大の影響を残している。また、読書人生最初期に南洋一郎版ルパンに出会った事も、僕にとって財産となっていると思う。悪人であるはずの「強盗・泥棒」を魅力あるキャラクターとして描いた功績も、大きいのではないか(多分)。
で、大人になった今、新潮文庫版のルパンを読んでみたが、まぁそれなりに楽しめたものの、今となっては……と思わなくもない。
ただ、ラスト、怪盗であるはずのルパンが蓄えた「美」や「人情」が、正義であるはずの無粋な警官&卑劣なホームズ(他人のキャラを無断で出すなw)に踏みにじられる描写は、しみじみしてしまうところはあるが。あと、少年探偵のボートルレ君は、「黄色い部屋の謎」のルールタビーユ君より30倍かわいい。

十日間の不思議/エラリー・クイーン……犯人の特異な人物像に、なるほどと思わされる。復讐とはいえ、ここまでしなきゃならないものなのかなぁ。「赦す」事は、相手に限らず自分をも「救う」と思った。

野獣死すべし/ニコラス・ブレイク……1930年代にはまだ、完全な形の「倒叙小説」がなかった(タブーだった?)……のだろうか? バークリーの「試行錯誤」に続いてこの作品を読んだが、途中までは緊迫感のある倒叙モノだったのに、後半は純正ミステリになってしまう。一粒で二度おいしい、と見る向きもあるだろうが、個人的には前半の緊迫感溢れる倒叙のまま突っ走ってほしかっただけに、残念だった。

消えた玩具屋/エドマンド・クリスピン……事件自体というよりも、作中に流れる楽しげな学生街の雰囲気が良かった。


多摩湖畔殺人事件/内田康夫……「多摩湖畔」である必然性が全くないし、犯人の動機が不明すぎる。
犯人の人物像もよくわからないし。ただ、事件解決の鍵が酒田市の御殿毬というところから、酒田市に旅行したくなったのは事実だし、車いす美少女もかわいい。軽い気持ちで読んで、旅行したい気分に浸れるという意味では悪い作品ではないのかもしれない。ガチな物語、ガチなミステリの読み応えを求めると、辛いけど。そこそこ良質のラノベミステリ、という感じ(ラノベとは言わないのかもしれないが)

房総・武蔵野殺人ライン/深谷忠記……1995年発行にしては、登場人物像に古さを感じるが、それはおいといて。鬼畜と思われた主人公の父が実は被害者(と言っても不倫はしているが)で、不倫相手こそがド畜生の外道だというのは、なかなかドンデン返しが効いていて良かった。



C→暇つぶし程度にはなった作品

薔薇の名前/ウンベルト・エーコ……『中世ヨーロッパの修道院』という、ある種の異世界ファンタジーを読むスタンスで読めば面白い。ただ、なんつーか……『簡単な事を敢えて難しく長々と書く』筆者の文章に、僕はもう疲れ果てたよ……。Bにしようか迷ったけど、しんどさだけならD評価。

ジェゼベルの死/クリスチアナ・ブランド

古い骨/アーロン・エルキンズ

黒死館殺人事件/小栗虫太郎……↑『薔薇の名前』と同じで、とにかくしんどい。『簡単な事を敢えて難しく長々と書く』筆者の文章に疲れ果てた。恐るべき厨2病。その意味不明かつ大仰な厨2魂にあてられて、一種の酩酊感は味わえるのでCにしたが、やはり辛いもんがある。


わらの女/カトリーヌ・アルレー……バカな女が詐欺に引っかかって人生を台無しにする話。胸糞の悪い話で、怖いと言えば怖いが、どちらかというとこんな詐欺に引っかかる方がバカなのでは?と思ってしまった。

赤い右手/ジョエル・タウンズリー・ロジャース……勢いとエネルギーと力業で無理やり物語を終わらせたような。酩酊感、ドライブ感は確かに凄い。しかし、『偶然』があまりにも多すぎない?

ミスブランディッシュの蘭/ハドリー・チェイス


D→自分には合わなかった作品

813/モーリス・ルブラン……面白い、とか、面白くない以前に、作品として完結していない。「続813」とセットで1作であり、この「813」は「上下巻の上巻」としか言いようがない。
何せ悪役の正体は不明、令嬢は捕まったまま、ルパンも捕まったままである。
完結しての感想は「続813」を読んだ時に書こうとは思うが、「続813」を読む予定は今のところない……。

39階段/ジョン・バカン……さすがに古すぎたか……


不連続殺人事件/坂口安吾……被害者の数が多く、容疑者の数も確保する必要上、登場人物が膨大な数になっているが書き分けはうまくいっておらず『空気』になってしまったキャラが多数。
また、トリックはあまりにも絵空事。女の部屋の前で大声で3時間も喚いて扉を殴ってる男がいたら、普通誰か1人ぐらい警察に通報するなり、皆で取り押さえたりしないものだろうか? 
更にミステリをある程度読んでいると、とある法則(ネタバレのため反転)
犯人に一度狙われたにも関わらず、助かった人間=真犯人
で真犯人を見破ってしまう確率が高いと思われる。


毒蛇/レックス・スタウト

逃げるアヒル/ポーラ・ゴズリング……『女だてらに、男まさりの』という、性差別なんだかそうじゃないんだかわからない誉め言葉が冠されている作品だが、『不必要に気が強く喧嘩早いヒロイン』と『ものすごく無愛想で、心に傷を持つ男』の関係性などは、
女性作家特有の(この女のどこがいいの? この男のどこがいいの?)と(僕に)思わせる人物像で、辟易させられた。



これから読む予定の本


三国志/北方謙三

らせん/鈴木光司

ループ/鈴木光司

クレイジーカンガルーの夏

クレイジーフラミンゴの秋

半分の月がのぼる空/橋本紡

まじこいやってます②百代ルートクリア

①のサブヒロインルート記事で「直江大和になりきってやります!」って書いた気がするんだけど、
これむっずかしいわ。

まず、大和というキャラ自体がどー考えても僕のパーソナリティとは違う。
嫌い、というほど積極的に嫌いでもないけど、好きかどうかと聞かれるとあまり好きでもないんだわ。
そのキャラになりきるってのは……まぁ、なかなか難しい。


メインの攻略ヒロインは5人。
自分を一途に(過剰に)慕ってくれる京、いつも元気なおバカ可愛い一子、
昔から(ダメ)姉として慕ってきた百代。ここまでが昔からの風間ファミリー。
ここに、一子とは別種のバカだがそこに癒されない事もないクリスと、
人見知り毒舌家のまゆっちが加わって5人。


自分が大和の立場だったら? と考えると……正直に言えば、『どうしてもこいつを恋人にしたい!』ほどのキャラはいないかも。
まぁ、そうなると安易に京とくっつく可能性が高いでしょうな。
一子やクリスは良い友人としては非常に居心地が良いんだけど、やっぱり良き友人どまりな気も。
クリスはかなりエロシーンでも奮闘していた気がするけど、それならセフレ……ごほんごほん。


まゆっちは、基本的にかわいい子だけど松風がなぁ……。傍から見ている分にはかわいいけど、リアルに考えるとちょっとマズいし、その松風自体が結構毒舌なんで、「これがまゆっちの素かな?」と考えるとヒいてしまう部分がある。


で、一番書くことがないのがモモ先輩なんですよ。この人、強いけどダメ人間じゃないですか。
いや、ダメ人間を叩きたいわけじゃないんす。
ただ、ダメ人間に認められるために大和くんが必死に頑張るっていうストーリーラインが、イマイチよくわからないだけで。
「つよきす」のエリーは(人格破綻者ではあっても)金持ちで文武万能だったけど、
「まじこい」の百代先輩は、強いだけでしょ? 
総理を目指すくらいしないと、モモ先輩に好かれないのかな?って思ったら、僕はちょっとモモ先輩は選ばないっすね。
ここで「総理を目指さない」選択肢を選ぶと、20年後に冴えないサラリーマンになって京と結婚してるバッドエンドに行くんだけど、それでいいじゃんwwって思ってしまったw


まー、惚れた女のために頑張る男というのは(今、現実逃避モードの僕には荷が重いが)、
それはそれで悪い話ではないです。


ただなー。
戦闘狂としてヤバい方向に進みそうなモモ先輩のために、主人公がゲームを貸したり漫画を貸したり、金魚飼育させたりするシーンがあるじゃないですか。
そっち方面で、百代先輩が新境地を切り開いて穏やかになる方が、よほど僕は良かったと思いますし、そっち方面で百代先輩が成長する話ならもう少しシナリオ点を高くしたんですけど……。
その話は途中で尻切れトンボになって、川上大戦なんですよねぇ。


結局バトルマニア的な『過剰エネルギー』をどこにやるかって話で。
やはり、生きものを愛する平和な心、的な方向で『鎮静』させた方が良いと思うんですよね。
座禅を組んでもいいですけど。
バトルマニアがセックスマニアになってもねぇ。
今度は性過剰症になるだけで……まぁ大和は絶倫だからいいのかもしれないけど……。

言っちゃなんですが、モモ先輩は、『刺激』を求めて人を殺す『猟奇殺人者』と大差ないパーソナリティーなんで、どうにかしてあげた方が良いと思いますよ。
金銭感覚もだらしない感じなので、ギャンブル依存になっちゃうかもしれないし。
その辺の解決が全然なされていないのが不満です。


その川神大戦の描写は可も不可もなし、っていうとあれだけど、
まぁ適度に楽しめる内容になってたと思います。

ただ、捕虜の不死川心に暴力をふるうのはどーなんだろ。
尻を叩きまくって晒し者にするのは拷問に含まれない、というタカヒロルールが俺には理解できねぇ。
こういう細かいところで、「なんなんすか?」感が出ちゃうのが、地味に「まじこい」への好感度を下げてるんすよね。


ラストのスーパーサイヤ人4人組がバトルしてるところなんて、完全にドラゴンボール的意味不明空間が炸裂しているし、こうなっちゃうともうダメね。
規模をデカくしたインフレバトルのつまらなさがモロに出ちゃってるというか。
川神大戦の地上戦(京とワン子のコンビとか、白の隊の活躍とか)ぐらいならアリなんですけど。



☆川神百代ルート

大和 C+
百代 C
シナリオ C+
羨ましさ C-
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