2018年10月

真剣で私に恋しなさい(まじこい)対談始めました

ホームページオブ百合機械、管理人の残響さんと
「真剣で私に恋しなさい」の読書会を行いました。

ゲーム1本について、今回も『つよきす』と同程度のボリューム(8万字程度)になると思われます。
素晴らしい機会を与えてくださった残響さんに、深く感謝いたします。
楽しかったですw


対談の模様はこちらにて公開しております。


スペインリーグ バルセロナVSレアル・マドリ―(5-1)

本来、記事を書くつもりはなかったのだけど、非常に面白い試合だったので書く。


バルサ
GK テア・シュテーゲン 5
DF ピケ        6
   ラングレ     5・5
   アルバ       8
   セルジ・ロベルト  9
MF  ブスケッツ    6・5
    アルトゥール  6→ビダル 6
    ラキティッチ  7
FW  コウチーニョ  8→デンベレ 6・5
    ラフィーニャ  4・5→ネウソン・セメド 6・5
     スアレス   10

監督  バルベルデ   7


レアル・マドリ―

GK クルトワ     5
DF ヴァラン     3・5→ルーカス・バスケス 6・5
  セルヒオ・ラモス 6・5
  ナチョ      3・5
  マルセロ     6・5→マリアーノ ?
MF カゼミーロ    4・5
   クロース    5.5
   モドリッチ   5
FW ベイル      5→アセンシオ 5
   ベンゼマ     5
   イスコ      5

監督 ロペテギ     6



一時の不調からは脱したものの、まだ本調子ではなく、エースのメッシを欠くバルセロナ。
ロペテギ新体制に代わり、序盤素晴らしいサッカーを見せるも、突如スランプに陥り抜け出せないレアル。
ワールドカップの直前、スペイン代表を追放されたロペテギは、今レアルをも追放されようとしている中での試合だった。


前半。
レアルは壊滅的な出来だった。
中盤は完全にバルセロナに制圧され、2014王者クロースも、2018MVPモドリッチも、ブラジルの支柱カゼミーロも、バルセロナのアルトゥール、コウチーニョ、ラキティッチに封殺され、
レアルの右サイド、ナチョはバルセロナの左サイド、アルバに文字どおり蹂躙された。
守備で唯一奮闘していたのがセルヒオ・ラモス。攻撃で唯一奮闘していたのがマルセロ。
後は全然ダメだった。結局2-0で前半終了。
このままならばバルサ5-0もありうる、そんな展開だった。

ところが、後半。ロペテギが素晴らしい采配を見せた。
ワールドカップでの活躍が嘘のように存在感がなかったヴァランに代えて、ルーカス・バスケス。
カゼミーロを最終ラインに下げ、中盤を厚くしたことで、レアルは中盤の主導権を取り戻した。


レアル優勢の中、1点差に迫り、いよいよ同点に追いつくかという流れの中、バルセロナは
1人、レベルが明らかに下がるラフィーニャに代え、ネウソン・セメドを投入した。
そしてセメドを右サイドバックに入れ、セルジ・ロベルトを中盤に上げる。

すると、そのセルジ・ロベルトからスアレスへのホットラインが、次々とチャンスの山を築き、
決めたのはスーパーストライカー、スアレス。
鬼神のようなパフォーマンスで、終わってみれば5-1。
最後は、ここまで全くチームにフィットしていなかったビダルまでがゴールを決めてしまった。


この試合、ドラマチックな展開や選手たちの高レベルなパフォーマンスに、両監督の高度な戦術戦まで、実に見所の多い試合だった。
感動のあまり、普段はビッグトーナメントの時ぐらいしか書かない、こんな記事を書いてしまった。

splush wave ドラゴンアカデミー3 感想(10/26、感想最後に追記部分あり)

85点。微妙だった『ドラゴンアカデミー』シリーズが、大作RPGに進化した。
『ドラクエ11』がメイン(ダイの大冒険、アニメ版ドラクエがサブ)だが、『11』を知らなくても楽しめ、プレイ後は『11』をプレイしたくなる、そんな作品。

【前置き】


バリエーション溢れるドラクエRPGを輩出してきた、Splush Waveさんの新作。

RPGに麻雀要素を加え、全く独自のバトルシステムを構築した*1「ドラゴン麻雀シリーズ」。
国盗り戦略SLG風の「竜王ちゃんの野望」。
そして、オーソドックスなRPGである「ドラゴンアカデミー」シリーズ。


ドラゴン麻雀シリーズは、*1 さすがに5作も出たのでマンネリ感はあるものの、
このサークルの看板と言っても過言ではない、安定の名作シリーズで、
*2「本家」と同じくらい楽しめる作品になっています。


去年発売された「竜王ちゃんの野望」は非常に粗削りな内容で、他人には薦めにくい反面、
これをブラッシュアップできれば全く新しいドラクエ同人の可能性を開拓してくれそうで、
これまた続編を楽しみにしている作品です。


その中で、「ドラゴンアカデミー」シリーズに関しては、個人的に「イマイチ」だと感じていました。
質が低いというわけではありません。それなりに楽しめる事は保証できます。
ただ、『麻雀』シリーズや『竜王ちゃん』が20時間を超える大作であるのに対し、
「ドラゴンアカデミー1」「2」は8~10時間程度で終わるお手軽RPGであり、量的な意味で物足りなさが残る点が1つ。
また、王道のRPGはもちろん大好物ではあるのですが、『このサークルにしか作れない!』という感じではなかったのが1つ。

ドラクエのキャラクターを使い、ドラクエよりもボリュームの薄いRPG。ただしHシーンが見られるのは嬉しい!という感じで、
『本家』の『二次創作、外伝』として考えればこれはこれでアリなものの、
『本家』の小粒版という印象は拭えませんでした。


【本作の感想】

さて本作ですが、『化けたな』と。
『アカデミー1』や『2』と同じような、お手軽RPGを予想してプレイを始めたら、これが予想外の大ボリュームで、大いに満足しました。

『1』や『2』は「学園併設のダンジョンに潜り、夜には強制的に家に戻される」システムを取っていました。
そのため、ダンジョン探索時はモンスター以上に時間との戦いを強いられ、道に迷うともうお手上げ。
目の前の敵よりも、時計と睨めっこ。
敵と出会ったら『適度に逃げる(律義に戦っていると、時間が経過して、夜が来てしまう)』。
そんなバランスでした。

しかし本作では、学園の外に冒険の舞台を移したことで、『本家』のような。
あるいは『ドラゴン麻雀シリーズ』のような、『広い世界』を冒険するRPGに生まれ変わりました。
『1年間』という緩やかな時間制限はありますし、日数の概念はありますが、そこまで神経質な時間管理は要求されません。
のびのびと探索し、レベル上げが楽しめ、限られた日数の中でどのスキルを覚えるかを選ぶ。
そんなバランスに変更されました。
プレイ時間も増え、バトル自体を楽しめる王道RPGとして、『本家並』に楽しめる作品に仕上がっております。


キャラクターは、『ドラクエ11』がメインで、
『ダイの大冒険』と『アニメ版ドラクエ』のキャラがサブ、といった感じでしょうか。


『アカデミーシリーズ』の定番である嫁候補は『11』からマルティナ、ベロニカ、セーニャ、
『ダイ』からマァム、『アニメ』からデイジィの5人。
サブキャラもこの3作からの参戦です。


……恥ずかしながら、この3作。『ダイ』しか知らなかったんです。
『ドラクエ11』はゲーム機を持っていませんで。

なので、今回の「アカデミー3」は購入するかどうか、結構迷ったんですよね。
これが知らないサークルさんなら見送っていたと思います。
ですが、『Splush Waveさん』だし、『マァムは知っているから、嫁はマァムを選べばいいか』という理由で購入を決めたんですが、本当に嬉しい驚きで。
プレイが終わる頃には『ドラクエ11』のキャラクターにも魅力を感じ、いつかプレイしたいなと思うようになりました。
嫁選びでも本当にマァムでいいのか、ちょっと考えましたw(マァムにしたけど)


原作を知っているので楽しめる、だけでなく
知らなかった作品までプレイしたくなる。
そういう意味でも『同人ゲームの鑑』というか、本当に素晴らしい作品がプレイできて嬉しかったです。


【自分が使ったパーティー】

主人公・デイジィ・マァム・レオナでパーティーを組みました。
これは極力女の子キャラを使いたい!
+できれば知っているキャラを~という、feeのスケベ心によるチョイスであります。
グレイグ? とかシルビア?(いずれもドラクエ11の男キャラ)とか、デイジィより強そうなキャラもいたんですが、僕は女の子で固めたいんです!

このSplush waveさんのゲームの良い所でもあり悪い所でもあるのは、
結局『バイシオン』で攻撃力を上げ、+『スクルト(マジックバリア、フバーハなど)』で守備を固めて物理で殴れば、勝てちゃうところでしょうか。
まぁ、ヌルゲーマーなのであまり複雑な戦略を求められても困るのですが、
数百種にも及ぶスキルのうち、本当に不可欠なスキルって、ほとんどないなぁと思いまして。


回復系(ホイミ、ベホイム、ベホマ、ベホマラー、ベホマズン。ザオラル、ザオリク)と
攻撃補助系(ルカ二、スクルト、ピオリム、バイシオン、マジックバリア)(フバーハもあると便利だけど、なんと覚えていなかったw)
ぐらい、ですからねぇ。
後は『大地斬』とかは序盤便利ですし、『はやぶさ斬り』やら『火炎斬り』など、便利ではありますけど、普通に殴るだけで勝てちゃうからなぁ……。

セーニャ(僧侶)やベロニカ(魔法使い)を使うなら、イオナズンの連打など、また違った戦術も必要になるかもしれません。
キャラも数多くいますので、色々入れ替えても面白いと思います。
今回は前述の通り、『ダイの大冒険』しか知らない+女キャラ使いたい、となると
マァムとレオナ(と主人公)が固定になってしまって。
残り1人もセーニャやベロニカではなく戦士系が欲しかったし、マァムとマルティナはどうも能力的に被るので、モブ女戦士よりはデイジィをチョイスしました。

結果、デイジィとマァムは脳筋なので、物理・物理・物理、レオナがそれをサポートという形になりましたが。

表ルートはクリアしましたが、裏ダンジョンなどもあるようなので(多分評価には影響しないけど)
ひょっとしたら感想を追記する事もあるかもしれません。


また、『強制終了』が1回だけ起こりました。
これは僕のPCの処理落ちなのかバグなのか、ちょっとよくわかりませんが、2時間以上のプレイが消えてしまって悲しかったです。心に負った悲しみのため、数日クリアが遅れました(苦笑)
難易度の高いゲームではないので、セーブも適当になりがちだったんですが、
『強制終了』の悲劇も起こりうるので、セーブはこまめにお願いします!









『ドラゴン麻雀1』から『2』へのジャンプアップや、
『ドラゴンアカデミー2』から『3』へのこのジャンプアップを見るに、Splush Waveさんならきっとやれるはず!
という事で、次はド派手に成長した『竜王ちゃんの野望2』、是非是非期待したいですw

もちろん、『ドラゴン麻雀4』や『アカデミー4』、あるいは未知なる新シリーズもどんと来いです。
あるいは、『幻想究極麻雀』という神ゲー(と、他2作)のある『FF』の同人ゲームも
また作ってほしいなぁ……。


Splush wave様。そして、『本家』ドラクエの製作者様。
楽しいゲームを、どうもありがとうございました!


ドラクエ11、僕が持っているPS vitaで出ないかなぁ(99%出ないと思うけど、出してくれれば絶対買うのに)



*1
『2』『3』『エヴォリューション』で5作。『1』は単なる麻雀ゲームなので除く。『3』は「完全版」が出ているため1作とカウントしても良いが、3編に分かれており実質ゲーム3本分楽しめる


*2
『本家』と言っても『1~11』まで色々ありますし、そもそも二次創作なので『本家を超えた』とは軽々しく言えないのは承知の上ですが。
僕はドラクエの1~8をプレイしていて、4、5、8が特に好きです。一方で、6や7はそうでもないです。
1や2は昔すぎるので、仕方ないかなという感じです。
ここで言う、『本家』と同じくらい楽しめるというのは、
たとえば、4や5や8の楽しかった思い出に匹敵するぐらい楽しい。
あるいは、4や5や8を今から再プレイするのと同等以上に楽しい、という意味で使っています。


【10/26 追記】

1周だけで終わらせるつもりで↑を書いたのですが、今回、周回プレイが非常にやりやすくなっている事にも感心しました。装備や強さ、スキルなど全部引き継げるのはもちろん、『恋人を選ぶ』直前から始められて、一度クリアしたダンジョンは全スキップできるんですね(ラストダンジョンはヒロインごとに変わるのでスキップはできません)。
上述しましたが、ヒロインごとにラストダンジョンが変わるのも地味にポイント高いです。
そんなわけで、全ヒロインのイチャラブを手軽に回収できるのはありがたいですねぇ。

しかもヒロイン全員かわいいっすね! 
マァムのかわいさは知っていたけど、『11』未プレイ者としては、セーニャとベロニカの姉妹がかわいかったなぁ~と。いつか『本編(ドラクエ11)』でお会いできるのを楽しみにしています……。



一方で、周回したことでの̠小さなマイナスポイントも見えました。


1つは、『オリハルコン』の需要供給。
ベロニカ√やセーニャ√を1周目にした方は良いのですが、そうではない場合、√を進める上で『おうじゃのつるぎ(ゆうしゃのつるぎだっけか?)』が必要になるんです。正直大して強くない装備なんですが、これを作るためには、貴重な貴重な『オリハルコン』が必要になります。
『オリハルコン』だけでなく、『しんかのひほう』や『輝聖石』などの錬金素材は、宝箱でいくつか手に入ったり、
ごく稀に敵が落としてくれたりしますが、それ以上に錬金レシピで要求される数が多く、無計画にレシピを作っていくと圧倒的な数不足に悩まされてしまいます。
まー別に、そのせいで装備が作れなくたってどうという事もないんですが、さすがに『ないと先に進めない』のは困りました。

これからプレイされる方は、『オリハルコン』の予備を必ず1個取っておいてください。
僕は敵が『オリハルコン』を落とす事だけを目当てに50分、キラーマジンガと戦い続け、やっと1個落としてくれました……。
その後の5分でもう2個落としてくれたので、僕の運が悪かっただけかもしれませんが、『いつ敵が落としてくれるかわからないアイテム』を目当てに延々敵と戦うのはキツかったです。


後は、マイナスポイントとも言えないのですが、2周目以降ともなると裏ダンジョンも含めて、敵が弱すぎますね。
弱すぎても別に構わないんですが、表ルートのラスボスは、1ターンか2ターンで倒せてしまいますw
1周目のパーティー以外のキャラも色々使ってみましたが、この次元まで来ると、誰を使っても余裕勝ちですわ。

それでいて、なぜか更に強力な武器防具のレシピが大量に未練金のままなのですが(素材不足のため)。
どうせなら全部の錬金を作りたい! と思わなくもないけれど、現在の装備ですら1ターンキル状態なので、冷静に考えて別に要らないんですよねぇ。
ゴールドも無駄に余っているので、錬金素材を1個10万ゴールドぐらいで売ってくれればいいのになぁと思っていました。
全ての錬金アイテムを作りたければ、オリハルコンがあと20個以上必要なんですもん……。


というのが余談となります。
周回プレイ時のゲームバランスは評価対象外だし、オリハルコン入手の面倒くささは地味にマイナス評価だけど(ルートを進めるための必須アイテムなので)、周回プレイのやりやすさはプラス評価なので、
相殺で85点のままで!

自薦記事です!(この記事は、大きな更新記事がない時にトップに表示します)

【前書き】

最近、あまりにブログのUUがない(コメントも拍手もないw 閑古鳥状態)ので、
何かテコ入れをしなきゃと思っている時に、
友人から『自薦記事』を書いてみては?とアドバイスを受けました。

これについてですが、そもそも(手抜き)と明確に書いている記事以外は、
1記事1記事きちんと書いていますし、読者の方が気になる作品を『記事検索ウィンドゥ』で調べてくださればそれで良いんだよなぁ、と思っていました。
何より『自分の評価』と『他人の評価』って全然違うしな……。


しかしそうは言っても始まらないので、やってみました。
自分的によく書けたな、と思った記事で、そこそこ評価もいただけた記事に絞りました。
ここで紹介した以外にも良い記事はあると思いますので、是非楽しんでいっていただけると嬉しいです!




【読書:ミステリ】


作家別読書紹介(古い海外ミステリ編)

好きな作家紹介第1回 アガサ・クリスティ編

好きな作家紹介第2回 ディック・フランシス編

海外ミステリオールタイムベスト 既読リスト

山口雅也「生ける屍の死」感想(バレなし)

コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」感想(バレなし

ロバート・ゴダード「千尋の闇」感想(バレあり)


【読書:SF】

作者別読書紹介(古い海外SF編)

好きな作家紹介第3回 フィリップ・K・ディック編

ジョー・ウォルトン「図書室の魔法」(バレあり)

残響さんとの読書対談 レイ・ブラッドベリ「太陽の黄金の林檎」
第1回 (全9回。全部お薦めです)

残響さんとの読書対談 レイ・ブラッドベリ「火星年代記」第1回 (全6回。全部お薦めです) 


【読書:その他小説】

作家別読書紹介(古い海外小説編)

スティーブン・キング「クージョ」(バレあり)

アイン・ランド「肩をすくめるアトラス」(バレあり:批判記事なので、注意)

アーサー・ヘイリー「最後の診断」(バレあり)


【ゲーム】

好きなRPG10選(2015年版) 第1回 「FFタクティクス」、「幻想水滸伝2」

好きなRPG10選(2015年版) 第2回「クロノトリガー」、「ペルソナ4」他

好きなRPG10選(2015年版) 第3回「ゼノギアス」、「ゼノサーガ」

好きなRPG10選(2015年版) 第4回「FF7」、「FF10」


【エロゲー】

『穢翼のユースティア』(バレあり)

『StarTRain』(バレあり)

『リベリオンズ』(バレあり)


『蒼の彼方のフォーリズム』(バレあり)

『見上げてごらん、夜空の星を』(バレあり)

夜のひつじ諸作品感想(2016年時)


『Crescendo』(バレあり) (ややポエム調:注意)


『スカーレット』(バレあり)

『紫影のソナーニル』(バレあり)


『黄雷のガクトゥーン』(バレあり)

『そして明日の世界より』(バレあり)


「はるまで、くるる」(バレあり)

残響さんとの対談企画 『つよきす1学期』第1回(全9回:全部お薦めです!)

残響さんとの対談企画 『つよきす3学期』第1回(全10回:全部お薦めです!)

残響さんとの対談企画 『真剣で私に恋しなさい』第1回(全10~11記事予定:現在9記事目公開中。随時更新!



【その他】

毎年年初に、前の年に読んだ読書&ゲームランキングを発表しているので、
それをざっと眺めていただくのも、お薦めです!


ロバート・ゴダード「千尋の闇」読了(バレあり)

評価はA+。これがデビュー作とは、ロバート・ゴダード恐るべし……。

ミステリのオールタイムベストに入っている作品だが、個人的には大河ロマン小説として読んだ。

☆上巻――物語の概観と、信頼できない騙り手


物語は『過去編』と『現代編』に分けられる。
現代編の主人公であるマーチンが、過去編の主人公ストラフォードの手記を読み込んでいくという
スタイルで、2人の視点から物語が構成されていく。


時のアスキス内閣で、ロイド・ジョージ、チャーチルらと並び将来を嘱望されていた政治家ストラフォードは、身に覚えのない罪により閣僚の地位を追われ、美しく気高い恋人エリザベスともひき裂かれてしまう。
サフラジェット(イギリスの婦人参政権運動の運動員で、かなりの過激派だったらしい)のエリザベスと、政治家のストラフォードが、お互いの立場を乗り越えて愛し合っていく描写が心温まるだけに、
その後、誤解からエリザベスに軽蔑されてしまうストラフォードの苦痛は、誇張ではなく、読んでいて身を切られるように辛かった。
その、身に覚えのない罪とは、『重婚』の罪。
なんと、ストラフォードは過去に別の女性と結婚していたというのだ。
ストラフォードの手記には何一つ、その事は書かれていない。ストラフォードは、その事実を隠したまま書いていたのだろうか? というところで上巻が終わる。
歴史に造詣の深い著者らしく、1910年代のイギリス社会の描写も面白く、当時の風俗、社会情勢などの世界観も堅固で、ドラマを盛り上げている。


並行して、現代編の主人公マーチンもまた、妻との離婚原因を読者に隠している。
それは教師時代、教え子(17歳)に誘惑され(マーチン談)手を出してしまい、レイプされた!と騒ぎになったとの事だった。
(ちなみに日本では18歳未満との淫行は厳しく罰せられるが、イギリスでは17歳ならば責任能力は認められる、との事。ただ、不倫である事に変わりはないし、さすがに教師と教え子という関係はマズかった模様。その上、婦女暴行疑惑までかけられた)

語り手(ストラフォード、マーチン。あるいは他の人物)は、本当に信頼できるのか?
という古くからある、『語り手ならぬ騙り手』の様相を見せる上巻だが、冷静に考えるまでもなく
「嘘はついていないが、わざわざ言いたくない事」というのは恐らく誰にでもあるだろう。
『小説だから』語り手が全てを語ってくれる、というのは単に読者の『期待』にすぎない。
ブログやSNSなど、自分の文章を他人に見せる機会の多い現代人なら、身に覚えのある方もいるのではないだろうか。

マーチンの婦女暴行疑惑も、何とも言えないところだ。

やってもいない『痴漢冤罪』で男性が酷い目に遭う事もある。
合意の上でのHだったはずなのに、後からレイプだ!と騒ぎ立てられれば、男性側は無視もできまい。
一方で、レイプされたにも関わらず『男を誘うような服装だった』などと言いがかりをつけられ、
泣き寝入りをする羽目になる女性もいる。
権力でもみ消されるレイプもきっと数多くある事だろう。


真実はなんなのか。これらの事件は、当人同士にしかほぼ解らない事なのだ。
そしてそれらの『真実らしきもの』を、第三者であるマスコミが流したり、
『加害者とされている人』や『被害者とされている人』が、自分の知人や周囲にまき散らしたりして、
周囲がそれを信じたり、信じなかったりする。
仮にそれが真っ赤な嘘だったとしても、既成事実として定着してしまう事もあり、多くの被害をもたらすことにもなる。

現実世界でのこの手の事件に比べれば、小説世界での事件はある程度、透明性を持ってはいる。
恐らくこの小説に描かれたマーチンの人格を考えれば、
「女学生に誘惑されて、ついフラフラと手を出してしまった」というのが真相で、
「不倫をしたのは事実」だが、「レイプではなく、女学生にハメられた」と見るのが妥当だとは思う。
しかしこれもまた、物語が『三人称ではなく』、マーチンの『一人称』で進んでいく以上、
本当のところはわからない
のである。

物語を描く上で『一人称』と『三人称』があるが、この作品は『一人称』を非常に巧く使っている。


☆下巻

さて、『語り手は本当に信頼できるのか?』という衝撃の事実が明かされた上巻だが、この謎はあまり引っ張られることはない。
少なくとも過去編の主人公ストラフォードは、真に立派な男だったようで、重婚が事実無根の冤罪であることはすぐに明らかになる。

ストラフォードの旧友、クーシュマン。
気さくな山師のような男だったが、なんと勝手にストラフォードの名前を騙り、南アフリカで結婚してしまったのである。
それも、『結婚しないとHさせてくれない』けど『Hしたいんだ!』という、なんとも言えない理由であり、結婚してHしたらすぐ女を捨ててしまった。
その上、『ストラフォードが南アフリカで結婚していた』事実を、金と引き換えに流したのだ。
そのため、ストラフォードは職も失い、エリザベスにも捨てられることになるが、その後ちゃっかり
エリザベスの夫の座を射止めているあたり、クーシュマンの『クズっぷり』はすさまじい。
それでいて、本人に悪気がなさそうなのが何ともいえないところだ。

やっている事はとんでもないクズなのだが、陰湿にストラフォードを陥れているというよりは、
「ちょっとHがしたかったんで!」「金に困ってて……」「エリザベス美人すぎぃ! もらったぁ!!」という感じで、どうにもこうにも反応に困ってしまう。

ストラフォードはその後も、エリザベスの誤解を解こうとするが聞き入れてもらえず、
それどころかクーシュマン(とエリザベス)の子供、ヘンリーなどに嫌がらせを受けるなど散々な上、
ついには謎の人物に殺されてしまう。


さて、現代編のマーチンの出番である。
マーチンはさっそく、三角関係唯一の生き残りであるエリザベスと接触し、首尾よく親交を深めるようになる。
実はマーチンの元妻はエリザベスの孫娘にあたる(つまり、マーチンは一時期クーシュマンの一族に入っていた)のだが、元妻のヘレンはどうでもいい役でしかないので説明は省く。

そこからは、大河ロマンスというよりはミステリ調というか、活劇調だ。
ストラフォードの手記を巡って殺人事件が発生したり、あれこれとアクションが続く。
ここの部分も十分面白いのだが、やはり僕としては『過去編』の、ストラフォード、エリザベス、クーシュマンの3人に比べるとインパクトが弱い。
実際、現代編でも特に印象に残るのは、マーチンを誑かす謎の美女(悪女)イヴではなく、
老婆となった御年88歳のエリザベスである。
なお、クーシュマンの血を引く登場人物は都合4人出てくるが、揃いも揃ってクーシュマン級~クーシュマン以上のクズキャラなのが泣けるところだ。


ヘタレなマーチン君は、女学生に誑かされて酷い目に遭った(マーチン談)にも関わらず、またイヴという悪女に誑かされてしまう。懲りない男である。

その後なんのかんのとあって、大団円。
マーチン君の人生は『モンテクリスト伯』ばりに、刑務所に放り込まれもするが、最終的には大金持ちになる。
そしてラスト。『改心した』と言い張るイヴから、またしてもマーチン君が誘惑を受けるところで終わる。

マーチン君が『成長した』なら当然、イヴの誘惑を突っぱねるべきだと思う。
一方で、『本当にイヴが改心した』という可能性を信じて、突っ走っていくというのも、それはそれでアリかもしれない。
本当に本当に懲りない男、になってしまうが、一方で『お人好しでつい人を信じてしまう』マーチン君の良さも解るし、万が一イヴが本当に改心した可能性もあるにはあるからだ。
まぁ、個人的にはやめといた方が良いとは思うがw


そんなわけで、あまりにもストラフォードに感情移入し、エリザベスに魅了されてしまったため、
読んでいて辛いシーンも多かったが、それは本書の物語・登場人物が魅力的だったことの裏返しでもある。


恋人時代、トマス・ハーディの詩を共通の話題としていたエリザベスとストラフォード。
ストラフォードの死の間際、40年ぶりの再会で穏やかに語り合う2人のシーンが切なく、忘れられない。


記事検索
月別アーカイブ
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

fee

カテゴリ別アーカイブ
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ