2019年07月

「うたわれるもの2 偽りの仮面」感想(バレあり)

点数は……73点。

この「偽りの仮面」は、続編の「二人の白皇」とセットでしか評価できないと思います。
「偽りの仮面」が『上巻』、「二人の白皇」が『下巻』になります。
これからプレイなさる方も、感想を読む方も、そのことを念頭に置かなければなりません。

さて、「偽りの仮面」単体の評価をまずザックリ一言で言いますと、

『すごくつまらない茶番を延々見せられて、ようやく面白くなってきたゾ!! と思う間もなく「俺たちの戦いはこれからだ」エンドでした!!』
というものになります。



「偽りの仮面」の約7~8割が日常パートです。
物語がようやく動き始めるのは、7割ほどが過ぎたあたりのウズールッシャ侵攻からですが、このウズールッシャ戦はあくまでも前哨戦。
面白くなってくるのは、タタリウンカミの遺跡調査と、帝の正体が判明するあたりからでした。
そこから先は、
トゥスクルへの侵攻、帝の崩御とアンジュ毒殺未遂事件、エンディング、と雪崩のように突き進むわけですが、そこまでがいかんせん長すぎました。


日常パートの問題点は、単に長すぎるだけではありません。
ヒロインのクオンを始め、キャラづけのために『奇妙な口癖』が用意されているキャラが多く、
個人的には非常に気になりました。
特にメインヒロインであるクオンの「~かな?」と、ヤクトワルトの「~じゃない?」という
語尾上げ系の口癖がかなり不愉快で、ストレスが溜まりました。

また、クオンは序盤からハクの意思を無視してばかりで理不尽な暴力も振るうなど、
本当にやっていてしんどかったです。
序盤はクオンとハク二人のやりとりも多いのですが、いちいち腹が立ちました。
クオンが保護者且つ恩人なのは百も承知なのですが、異文化コミュニケーションものとして、相手の意思・考え方を知ろうとせず、自分たちの狭い常識をことごとくハクに押しつける様は非常に不快に感じました。
特に序盤はとりあえずハクが酷い目に遭って笑いを取る、とりあえずハクを殴ってオチをつけるようなシーンが目立ち、「これ、とんでもない地雷では?」と思いました。前作の「うたわれるもの1」はもはや記憶があいまいなほど昔にプレイしましたが、こんな作品ではなかったはずです。
本作がPS Vitaであったこと(移動中、やることがない時にチマチマ進めた)、シミュレーションRPGであったこと(ストレスが溜まったら、気分転換に戦闘を楽しんだ)
の二点で、何とか挫折せずに読み切りましたが、何度もやめようと思いました。


しかし、帝の正体が分かってからはぐいぐい話に引き込まれ、「続きが気になる」展開に……なったと思ったら、すぐに終わってしまいましたw
なんだよ、このバランス。単品としてみればクソゲーすれすれですが、それでいて「続きが気になる」ところで終わっているため、「下巻(=二人の白皇)」も買わずにはいられない、
まるで製作者の掌で踊らされているかのようなこのやるせなさ。
「二人の白皇」のボリュームがわからないので何とも言えないのですが、
序盤のおちゃらけシーンを3分の1に圧縮すれば、1作に収まったのでは? 
ふぅ。


好きなキャラクターは、オシュトル(ウコン)、ミカヅチ(サコン)、ムネチカ、アンジュあたり。
特にアンジュは続編での活躍に期待しています。
前作キャラクターではオボロ、カミュ、アルルゥあたりも良い味を出していました。

一方で、「偽りの仮面」は悪役の小ささが気になりました。
ラスボスのヴライは、単なる脳筋の小物にしか見えません。
オシュトルはもちろん、ミカヅチやウォシスと比較しても「小物」臭がハンパなかったです。

ウォシスやライコウあたりが策謀を巡らしてほしいところですが、「偽りの仮面」単体ではあまり軍師らしき事もしておりませんし、軍記モノとしては現状微妙と言わざるを得ません。

しかし、前作では消化不良に感じたSF設定や、帝都の内乱、アンジュの今後も含め
「二人の白皇」への期待感を漂わせる幕切れで、続編も買わされてしまいましたよ。
悔しいのぅ悔しいのぅ……。

これで「二人の白皇」が大ボリュームかつ面白ければ
『これを楽しむために、つまらない上巻を我慢して読んだんだ』となります。
「二人の白皇」がつまらなかったら……うーんww

というわけで、やはり単品で考えるなら80点台はつけられないのでした。









「ハーレム双子ロリータ」の対談記事公開

同人サークル、夜のひつじ作品「ハーレム双子ロリータ」を仔月さんと対談しました。
良かったら是非ご覧ください。

第0回 7/23公開

前編 7/23公開

後編 7/27公開

二次創作(?)「霊柩車」

※ 川端康成著「掌の小説」のうちの「霊柩車」を自分なりに書き直してくる。部分的でも良い、最初の一行・最後の一行でもよい、気にいったところを活かして、自分なりに、400字詰で5枚~10枚に書き直してくる。

というお題を見つけたので、やってみました。
所要時間4時間。原稿用紙ぎりぎり5枚(2200字ぐらい)

『霊柩車』


突き刺さるような痛みが戻ってくる。あぁ、違う。
まだ、こちらだ。
人の気配はない。寝静まっているのだろう。嗚呼、うるさい。頭の中で、誰かがドラムを叩いている。狭いパイプ。なぜ取り込めないのだろう。あるはずの酸素(もの)。
なぜ、また目を覚ましてしまったのだろう。次に目覚めるときは、地獄だと思った。
それでも、煉獄(ここ)よりはマシだ。
なぜ、目を覚ましたのだろう。やり残したことをしろという、神の御心だろうか。
やり残したこと。私が心から望むこと。それは、あの人の胸で眠りたいということ。
夫ではない。私は一度も、其(それ)を夫だと認めたことはない。
私の親が、あの人と私とを断ち切るために、無理やりあてがった傀儡だ。
其に罪はない。あれはあれで、かわいそうな人形(ひと)だ。
その、瘤だらけで陽に焼けた醜い指。私の身体を自分のものだと考えるあの男は、
私の親と同じで、物質界に蠢く亡者でしかなかった。
肉と肉との結びつきが、魂をも結びつける、そんなわけがないのに。
結婚という制度が、私たちの魂――あれに魂などがあればの話だが――を結びつける、そんなわけもないのに。
私が会いたいのは、夫ではない。義兄(あに)だ。私の魂の、夫だ。私の半身、生まれた時に切り離され、埋め合わされることのなかったミッシングパーツ。そこにあるとわかっているのに、陰と陽が揃っているのに、ハマることのなかったパーツ。
あれの指が、ひたひたと肌を這い回り、あれの舌がねちゃねちゃと糸を引くあの不快なひととき、私はずっとそれが義兄の指だと思い込もうとした。
自在に宙を舞う白魚のような指が、「芳子」と呼びかけるあの香しい唇が、快活に笑いながら覗くその舌が、私の肌に触れてくれたなら、他には何もいらない、と思った。
「芳子は俺の太陽だよ」物思いに耽りがちな義兄は、私の前では大輪の向日葵のように笑う。そんな義兄に照らされて、この世を去ることができたなら、どんなに安らかなことだろう。行かなければ。
義兄の元に、行かなければ。
ひゅーひゅーと喉が鳴る。まるで空ろを通り抜けた風の悪戯。張りついた肉体を布団からひきはがす、ミシミシという音。それだけで、支えた腕がプルプルと震える。挫けそうになる。重い。重い。腕は痩せ衰えて枝のようなのに。体重を支え切れず、今にもパキリと折れてしまいそうなのに。冬枯れの道、枝を踏みしだく音。足裏で感じたパキリ。空気に満ちた、甘酸っぱい柑橘類の香り。
楽しくて、はしゃいで、枝を見つけるたびに踏んで歩いた、幼かったあの日。義兄が微笑みながら見守ってくれているのを感じ、私はますます調子に乗って、
「あっ」枝に足を擦りむいた。流れ出る血の温かさ。
「芳子!」駆け寄る義兄の声。出血したふくらはぎに、当てられた義兄の唇。背筋に走ったゾクゾクとした快感に、幼き日の私はとまどい、そして陶然となった。私が義兄に恋をした、オレンジの冬。
好きになってはいけない、人。好きになってはいけないと、この煉獄で決められた人。
兄妹。父の娘である私と、母の息子である兄。
血の繋がりはない、結ばれてはいけない理由なんてない、それでも許されない物質界の不条理。
それでも好きだった人。誰が何と言おうと、私の好きな人。
私を誰よりもかわいがってくれ、私を誰よりも愛してくれ、私の心をいつだって熱くさせた人。
よろめきながら廊下を渡り、玄関に出ていたサンダルをつっかけ、外に出る。
白いものが舞い落ちる。冬だ。義兄のいた冬。
目の前を、幼かった頃の私が駆けていく。おかっぱ頭で、頬をふっくらさせた、着物を着た日本人形のような私。
まだ単純で、それでいて不思議な煌めきに満ちていた世界。
まだ、お父さんもお母さんも優しくて、お兄ちゃんはもちろん優しくて、お腹はいつも空いていて。
あの頃の地続きに今があるなんて、到底信じられない。
お父さんは夜叉となり、お母さんは般若となった。私が、世界で一番好きな人は、好きになってはいけない人だったから。
驚異と神秘は科学で解明され、法が私たちを雁字搦めにした、この窮屈で薄汚れた世界。
ふと気がつくと、女が倒れている。病魔に蝕まれ、色あせた容姿の不健康そうな女だ。どやどやと人が集まり、やがて救急車のサイレンが聞こえる。
担架に乗せられ、身体が運ばれていった跡に残されたのは、1枚の写真。笑っている女の肩に乗せられた、大切な人の手。幸せそうに笑う二人。
――お兄ちゃん、大好き―― 切り取られた瞬間は、きっと、永遠。



あとがき

一応ミステリの教室で出たお題らしいので、ミステリっぽさはある程度意識しましたが、まぁ元の「霊柩車」がミステリじゃないので、そんなにミステリっぽくはならなかったですね。

原作との解消しづらい矛盾点が2つありました。

①不倫相手(義兄)は何を思っていたのか(薄情そう)

これに関しては、薄情そうに見えるのは原作の語り手からの視点であって、違う視点からはそうじゃなく見えるかもしれないよ?という事でカバーしました。

②3月10日前後の物語なのに「冬」としてしまったこと。
これは、「3月に雪が降る事もあるし、3月なら寒い日もある」ので、
寒い=冬、というちょっと強引なこじつけで逃げました。

それ以外、大きな矛盾はないはず。
これを書いた後でもう一度「霊柩車」を読んでいたけど、完全に設定を間違えていたことが判明www
二次創作としてはダメダメですな。何かを書くための「お題」として消化させていただいたので、僕個人としては良かったですが。

しかし、改行ほぼなし、会話ほぼなしでキッツキツに描写していくのって大変だなぁと改めて思いましたわ。川端先生の原文がそうなので、勝手に軽いノリを持ち込んじゃいけないような気もしたので。

読んで面白いかどうかは不明ですが、書いていて楽しかったです。

不志陀羅亭さんの同人RPG「FalseMyth~謀欲のサクリファイス~」クリア

78点。面白かったよ!


シナリオ・キャラの良い同人RPG
これだけのクオリティを持つゲームは、18禁RPGに限れば商業含めてなかなかお目にかかれないと思う。
渦巻く謀略と、(ふたなり)主人公&ヒロインたちのみに限らず、ゲイロードやアルカンなど男キャラまで含めて魅力的。悪役も厭らしいし、よくここまでのものを書いてくれた。
期待値が低かったことや、攻略サイトも見つからない状況も含めて「もっと知られてほしい」という気持ちもあり、若干評価は甘いかもしれないが、とにかくプレイして良かったなぁとしみじみ思える作品だったことは保証できる。

ただ、(掛け合いの面白さ自体は1章から見られるものの)そのシナリオ・キャラ面の魅力に僕が気づいたのは全4章の3章から。

1章は、いつ辞めてもおかしくないぐらいのテンションでした。
というのも、まず街が広すぎる。路地も入り組みすぎる。そして、ショートカット機能が使えない
(店で購入することで、使えるようになる。序盤は全く気付かなかった)。
10リネルと値段も安いのでさっさと買えばよい話ではあるが、最初から実装してほしかったと思う
また、前日同行していたヒロインとも気づけばまた別れていたり(毎回呼び出さなければならない)、
『釣り』が万能すぎて敵と戦うよりも、魚釣りをしていた方が良かったり、その辺は正直どうにかしてほしかったところ。
釣りゲーにも程があるw 

ボイスなしはともかく、HCGなし(ドットエロ)も敬遠される要素になると思う。
ただここはもう、そういうものだと思って割り切るしかないかな、とも。
大丈夫、それなりにエロいです。
「どこでもH」できるのですが、「屋内」、「野外:人気がない」、「野外:人通りがある」の3つでそれぞれ別台詞を用意していたりするのは、細かな仕事で好感度高いです。


そんなわけで、「謀欲のサクリファイス」終わりました。
ここ数日はほんっとにメンタル的にキツいんだけど、数日間、この作品に支えられましたわ……。



プリティケ1感想(プリティケ2の感想から検索してくださった方へ)

朝霧姉妹のみクリア。作りが極めて雑。
『進撃の巨人』を持っていないのに、希美から「『進撃の巨人』持ってるんだね、私も好き!」とか言われたり、
映画館にはすでに行っているのに、咲良に「映画館の場所すら知らない」と言ってみたり。
アイテム収集と、それに対するヒロインの反応が「趣味同調システム」のウリのはずなのに、
こういう事をされると、本当に萎えるんだよねぇ。


全体的に描写も全然なくて、たとえば希美が料理を練習するシーンも、「練習してるよ」っていうLINEメッセージがあるだけで実際の描写はなかったり。
希美が咲良のために雑炊を作るシーンとか、そういう大事だと思えるシーンがことごとく描かれてなくて、事後報告になってる。
デートシーンも、ただHしてるだけだったり。


ラブリケの時から、シナリオは大したことはなかった。
けど、ラブリケはもっと描写が丁寧だったし、アイテム収集の作り込みはきちんとしていたよ。
正直、これはクソゲ。製作陣は反省してほしい。あ、絵師さんと音楽と声優さんに罪はないです。




*プリティケ2の感想で「興味があったらプリティケ1の感想も見てね」って書いたのに、
プリティケ1の感想が下書き状態で公開されていなかったことに今気づいたよ。
検索で探してくれた方、ごめんね。
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