試合内容は 75点

  ブラジル   3-0          チリ

MVP SH ロビーニョ(70)(ブラジル)

GK ジュリオ・セーザル(55)      クラウディオ・ブラーボ(60)
DF ルッシオ(65)            マウリシオ・イスラ(40)
   マイコン(70)            ゴンサロ・ハラ(40)
   ミシェウ・バストス(65)      イスマイル・フエンテス(45)
   ファン(65)            MFアルトゥーロ・ビダル(55)
MF ジルベルト・シルバ(65)      パブロ・コントレラス(20)
   ダニエル・アウベス(60)          カルロス・カルモナ(40)
   ラミレス(65)              ウンベルト・スアソ(60) 
   カカー(70)               マルク・ゴンサレス(40)
   ロビーニョ(70)            アレクシス・サンチェス(60)
FW ルイス・ファビアーノ(65)      ジャン・ボセジュール(55)

ルイス・ファビアーノ→ニウマール(60)
カカー→クレベルソン(?)
ロビーニョ→ジウベルト(?)

コントレラス→ロドリゴ・テージョ(55)
マルク・ゴンサレス→ホルヘ・バルディビア(55)
イスラ→ロドリゴ・ミジャール(65)


チリは最後まで、華麗なアタッキングサッカーを貫いた。特に後半から投入されたミジャールのパスセンスと、前半はブレーキになっていたスアソが後半は輝いた。ビダル、イスラといった守備の選手も積極的に上がるチリのサッカーは本当に見ていて楽しい。ここで消えるのが残念ではあるが、『打ち合いしかできない』サッカーを標榜するチリにとって、スペインやブラジルといった強豪相手には分が悪いところがある。

ブラジルはここに来て、ますます完成されている。優勝候補筆頭の名はもはや不動のものと言えるだろう。セットプレーから抜け目なく先制点を挙げた後は、お得意のジャックナイフのようなカウンターを次々と繰り出す。カカーのワンタッチパスは糸を引くような美しさ。ルイス・ファビアーノがGKをかわして決めるゴールで2点リード。後半になるとルシオが、マイコンが、バストスが上がり、ロビーニョがアクセントをつける即興プレイが随所に見られ、名実共にブラジルらしくなってくる。3点目はラミレスの突破から。攻めに出てくる相手には強いという、チームのタイプ、相性の良さはあったが、まさに完勝といえる内容だった。

私は大会前から、ブラジルを優勝候補筆頭に推していた。だが正直、ルイス・ファビアーノがエースという現状には不安と不満を抱いていた。コートジボアール戦、そして今日の活躍で、ルイス・ファビアーノは真価を見せた。彼を見直すべき時が来たのかもしれない。

また、世界最高のサイドバック、マイコンの素晴らしさも、この大会で存分に見せてくれている。この試合でも先制点をコーナーキックからアシストしているが、そもそもこのコーナーキックを得たのはマイコンの突破によるものだ。後半バストスが上がると、後方に残ってしっかりカバーする気配りも見せた彼は、地味ながら王者ブラジルの影のMVPだろう。


【適当能力査定】

ブラジル代表  攻撃 B+ 守備 B+(普段はA、気の緩みで2ランクマイナス)  スペクタクル B-

注目選手  SB マイコン(65/2)
        CF ルイス・ファビアーノ(55/2)
        OH カカー(55/2)
        SB ミシェウ・バストス(65/2)
       

チリ代表 攻撃 B+ 守備 C スペクタクル A-

注目選手 WG アレクシス・サンチェス(70/3)
       CF  ジャン・ボセジュール(60/3)
       OH  ホルヘ・バルディビア(55/3)
       CB  マウリシオ・イスラ(61.6/3)


今大会、華々しいテクニックで観客を魅了し続けているチリだが、今回ばかりは相手が悪すぎる。南米予選2位のチリ対南米予選1位のブラジルといえば聞こえはいいが、その南米予選でチリはブラジルに2連敗。計7失点を喫しているのだ。輪をかけて、スペイン戦ではイエローを連発、3人の選手が出場停止を受けている。厳しい戦いは避けられないだろう。
絶好調だったサンチェスも、試合を追うごとにパフォーマンスにかげりが見え始めているのも問題だ。
選手が目まぐるしくポジションチェンジを繰り返しながらパスを回していくのがチリのサッカー。一方で受けに回ると、ファウルを連発して止めるしかなくなる。メンタルもどちらかといえば脆く、一度崩れると歯止めが利かない。

優勝候補筆頭のブラジルには穴がない。唯一問題視されるのは、気持ちの緩みで、北朝鮮戦でもコートジボアール戦でも、大量リードを奪った後に気の抜けたミスで1失点を喫している。しかし、大量リードを奪ってからのことなので、トーナメント以降、どこまでこの欠点が問題になるかは疑問だ。攻撃の迫力不足も問題といえば問題だが、カカーもルイス・ファビアーノも調子は上向き。ガチガチに固めてくる相手ならまだしも、攻撃マインド守備はお留守のチリを崩せないほど貧弱な攻撃力ではない。マイコン、バストスのサイドバックも鋭いオーバーラップを見せ、攻撃の迫力不足をフォローすることも可能だ。
この試合、圧倒的にブラジルが優勢である。一サッカーファンとしては、ブラジルの『強いけれど、読める』サッカーよりも、予測がつかないジェットコースターのような、チリにこそ勝ちあがってほしいという気持ちはあるのだが。