著者はロベール・メルル。評価はS


世界崩壊後、マレヴィルという古城に集まった幼馴染たちが生き残り、
新しい社会を形成していくお話。
後半は敵との戦いに重点が移ってしまうのが善し悪しですが(世界崩壊モノは、たいてい終盤は敵との戦いになるよね)、キャラクターの一人一人にしっかりと特徴があり、相互の関係性も含めて深く描かれているところに、この作品のよさを感じました。
伏線が見事に回収されている結末も秀逸。

味方の登場人物のほとんどは欠点が設定されていて、時にはイラっとさせられますが、
そういうところも全部ひっくるめて『味方』という部分にもリアリティを感じます。
嫌な部分はあるけれど、嫌な奴にはなっていない。その辺のバランス感覚も巧いですね。
中盤に出てくるミエットがとてもかわいらしいのですが、後半になってくるとどんどん出番が少なくなってしまうのが残念。

ラストは、エマニュエルという絶対的なカリスマを失った後、人々が変質(元の姿)


『イルカの日』で有名な著者ですが、こちらの『マレヴィル』も素晴らしい作品。
『マレヴィル』の方が読みやすいので、むしろ初メルルにはこちらの方がお勧めかもしれません。