「ナルキッソス3」開始しました。

今回は「シーラスの高さへ」の感想を。
なぜ一番最初に読んだかと言いますと、一番期待していなかったからなんですが・・・・・・。
うん、 はっきり言ってつまらなかったです。60点。


物語は、「『不治の病に侵され、周囲と折り合っていくために嘘を覚えた女の子』が、嘘をつかず正直に生きることで、現実と向き合う」というお話です。
筋だけを聞けば、悪くなさそうだなと思いませんか?
僕は好きですよ、こういうお話。
ただ、この「シーラス」はダメです。テーマは良いですが、それを表現するやり方が下手すぎます。


まず、 主人公チサトと相手役カズアキのファーストコンタクトのシーンがひたすら長い。
おまけにカズアキのボケがことごとく寒くて、もうこの時点でクリックマシーンと化すこと請け合いです。

次に、 「正直に生きる計画:Ci計画」ですが、これの導入が唐突すぎるんですよ。

いわくカズアキは『嘘が嫌い』だから、『チサトにも嘘をついてほしくない』。
以前から嘘をついて生きることに嫌気がさしていたチサトは、その計画に乗る。


・・・・・・うーん。嘘をついて生きること自体、悪いことじゃないでしょ?と言いたい。
嘘をつかず、真っ正直に生きることってそんなに良いですか?
つまらない飲み会の場で、「楽しんでる?」と聞かれ、「マジでつまらん。 お前らの会話くだらなすぎなんだけど」とか言えます?
言いませんよね、フツーは。
チサトの今までついてきた嘘は、この手の嘘。周囲とのやりとりを円滑にする嘘でした。 
嘘をついて、人を騙してお金を儲けようとかそーゆー悪質な嘘じゃないんです。
その嘘を、やめる理由があります?

で、まぁ「Ci計画」を通してチサトは強くなっていく。自分の現実に向き合い、粛々と死を受け入れられるようになる、というお話なんですけどね。


他にも、チサトとカズアキがひかれ合う、恋愛めいたシーンがあるのですが、これまたちょっと強引すぎます。
カズアキは正直に言ってマジにウザいです。カズアキを好きになる意味が僕にはわかりません。
仲良くしてくれる人がいなくて、寂しかったから、というくらいしか。
チサトも可愛いですけど、カズアキがチサトを好きになる理由もよくわかりません。
可愛かったから、というくらいしか。
まぁ、いいんですけどね。現実は往々にして、そんな理由で恋愛が生まれたりしますから。

ラストシーンも、CGを用意してほしかったなぁと。
テーマ自体は悪くないし、チサトは可愛いんですが、下手だなぁと思った一篇でした。

次は「死神の花嫁」を読みます。