評価は A-。
貞子、で有名な「リング」ですが、
どうやら、聞いた限りによると映画版とは全く別モノのストーリーのようですね(映画は未見)。
小説版の「リング」ですが、 面白かったです。
まずは、単純に文章が巧いですね。
特に対物描写(?単語がわかりません)というか、部屋の家具の配置などの文章が巧いなと感じます。
「貞子のビデオ」は、怖いは怖いのですが、想像していたほど怖くはなかったですね。
僕はビビり屋なので、これくらいの恐怖度の方が逆に読みやすいです。
意外だったのは、物語の7~8割が、貞子の起源を探すパートで構成されていたことです。
ホラーというよりも、ミステリやサスペンスの捜査シーンのような、あるいは冒険物語の探検シーンのような味わいがありました。
そして、ラストの恐怖へと至るわけですが……。
唯一、不満なのが、構成でしょうか。
物語の7~8割を占める「貞子の起源を探す旅」は、それはそれで面白いのですが、物語の本筋にはほとんど関わってこないのです。
つまり、貞子の起源を知ろうが知るまいが、問題解決(この場合、生命が助かるかどうか)には何ら関わってこないんですね。
これは、構造上噛み合わせが悪いなと感じました。
無論、面白ければ何でもあり、細かいことは気にするなと言われればそれまでなんですが、
サッカーで言うなら「前半1分と後半ロスタイムだけに得点が入った」感じ(ちょっと違うか)。
途中をすっ飛ばしても、何ら問題ないじゃんと思ったのです。
ところで主人公の浅川さん、このキャラが僕は一番『怖い』し『不快』に感じました。
事情を知らないのだからやむを得ないところではありますが、『呪いのビデオ』を彼が発見しなければ、
そもそもこの恐怖は始まらなかったわけです。
そして、彼は悪友の竜司君を巻き込み、助手として二人で調査を開始するわけですが……。
実は、浅川さん、徹頭徹尾、役に立ちません。有益な情報・発見は全て竜司君が発しています。
家族にビデオを見られてしまったシーンも含めて、これでもかと言うくらい、のび太君。
竜司君のイケメンっぷりに比べて、あまりにも情けない。
そしてラスト。
彼は、自分の大切な人を守るために、意図的に他の人たちを犠牲にする道を選びます。
これは、人間の心情的に、共感できます。共感できる、だからこそ恐ろしい行動だと言えます。
考えてみてください。
家族が呪いのビデオを見てしまった。 家族の生命を救うために、友人を犠牲にしよう。
自分の知人・友人に順位をつけて、「絶対に死なせたくない相手」と、「仕方ない、こいつなら死んでもいいか」という相手を、ラベリングしていく。
そうやって、人は人を殺していく。
貞子の持つ「怨み」以上に、誰かを守ろうとする人の「愛」に、恐怖を感じる。
上質のホラー作品だと思いました。
貞子、で有名な「リング」ですが、
どうやら、聞いた限りによると映画版とは全く別モノのストーリーのようですね(映画は未見)。
小説版の「リング」ですが、 面白かったです。
まずは、単純に文章が巧いですね。
特に対物描写(?単語がわかりません)というか、部屋の家具の配置などの文章が巧いなと感じます。
「貞子のビデオ」は、怖いは怖いのですが、想像していたほど怖くはなかったですね。
僕はビビり屋なので、これくらいの恐怖度の方が逆に読みやすいです。
意外だったのは、物語の7~8割が、貞子の起源を探すパートで構成されていたことです。
ホラーというよりも、ミステリやサスペンスの捜査シーンのような、あるいは冒険物語の探検シーンのような味わいがありました。
そして、ラストの恐怖へと至るわけですが……。
唯一、不満なのが、構成でしょうか。
物語の7~8割を占める「貞子の起源を探す旅」は、それはそれで面白いのですが、物語の本筋にはほとんど関わってこないのです。
つまり、貞子の起源を知ろうが知るまいが、問題解決(この場合、生命が助かるかどうか)には何ら関わってこないんですね。
これは、構造上噛み合わせが悪いなと感じました。
無論、面白ければ何でもあり、細かいことは気にするなと言われればそれまでなんですが、
サッカーで言うなら「前半1分と後半ロスタイムだけに得点が入った」感じ(ちょっと違うか)。
途中をすっ飛ばしても、何ら問題ないじゃんと思ったのです。
ところで主人公の浅川さん、このキャラが僕は一番『怖い』し『不快』に感じました。
事情を知らないのだからやむを得ないところではありますが、『呪いのビデオ』を彼が発見しなければ、
そもそもこの恐怖は始まらなかったわけです。
そして、彼は悪友の竜司君を巻き込み、助手として二人で調査を開始するわけですが……。
実は、浅川さん、徹頭徹尾、役に立ちません。有益な情報・発見は全て竜司君が発しています。
家族にビデオを見られてしまったシーンも含めて、これでもかと言うくらい、のび太君。
竜司君のイケメンっぷりに比べて、あまりにも情けない。
そしてラスト。
彼は、自分の大切な人を守るために、意図的に他の人たちを犠牲にする道を選びます。
これは、人間の心情的に、共感できます。共感できる、だからこそ恐ろしい行動だと言えます。
考えてみてください。
家族が呪いのビデオを見てしまった。 家族の生命を救うために、友人を犠牲にしよう。
自分の知人・友人に順位をつけて、「絶対に死なせたくない相手」と、「仕方ない、こいつなら死んでもいいか」という相手を、ラベリングしていく。
そうやって、人は人を殺していく。
貞子の持つ「怨み」以上に、誰かを守ろうとする人の「愛」に、恐怖を感じる。
上質のホラー作品だと思いました。