評価はA+。

『天国の五人』でも泣かせてくれた、ミッチ・アルボム。
この『もう一日』でも、再び感動させてくれました。


妻に去られ、娘の愛も失った主人公のチャーリーは、ある日、自殺を思い立つが未遂に終わる。
それから数年、あるスポーツライターの取材に応える形で、チャーリーは自分と母、そして父の物語を語り始めた。

という冒頭から始まるこの物語。

テーマは万国共通とも言える「母の愛」。
数年前に亡くなった母親が、自殺未遂で意識を失っていた主人公の元に現われ、『もう1日』を過ごすという筋書きです。


そこで語られるのは、幼稚園の入園の時、帰っていく母親を見て泣いてしまったこと。
夫婦喧嘩の時に、父に促されて母を傷つけるようなことを口走ってしまったこと。
母が、いつも自分に味方してくれたこと。その恩に、自分は全然報いてこられなかったこと。
けれど、内心ではとてもとても、大好きだった母のこと。


僕自身、ややマザコン気味の部分があるのですが、本当に身につまされる物語でした。
「親孝行、したい時には親はなし」ということわざがありますが、そんな後悔を全て、『もう1日』でする。


そしてラスト1ページ、最後に再び大きく驚かされるわけですが、これもまた実に巧いなと感じます。
これがなければ、「素晴らしい物語ですが、やや直球すぎる」という短所も指摘しようと思ったんですが、
このサプライズを見れば、アルボムのストーリーテリングに文句を言う気もなくなりました。


個人的には、同テーマで書かれたリリー・フランキーさんの「東京タワー」よりも肌に合う部分が多く(こちらはB評価)、
アメリカ人が書いたとはとても思えないくらい、日本人の僕の感性にあいました。


こういう物語を読むたびに、僕は、自分を育ててくれた母に、何を返してあげられるのだろうかと思います。
いい歳をした大人なので、言いづらいというか、多分言えないのですが。
母が亡くなるまでに一度でいいから、子供の振りをして、抱きついて言いたいなと思うのです。

「お母さん、大好きだよ」って。

そんな恥ずかしい真似はできないんだけど、僕の気持ちが、母に伝わっているといいなと思います。