ドイツ  4-2          ギリシャ

試合内容 A-
MOM  OH メスト・エジル(90)(ドイツ)
主審 B

GK マヌエル・ノイアー(55)                ミハリス・シファキス (0)  
CB マッツ・フンメルス (55)                 キリアコス・パパドプーロス (50) 
   ホルガー・バドシュトゥバー (50)            ソクラティス・パパスタソプーロス (60) 
SB フィリップ・ラーム (65)                 ヴァシリス・トロシディス (45) 
   イェロメ・ボアテンク (60)                ゲオルギオス・ツァベラス (40) 
CH サミ・ケディラ (80)                 DH ジャニス・マニアティス (50) 
   バスティアン・シュバインシュタイガー (60)   CH コンスタンティノス・カツラニス (55) 
SH アンドレ・シュールレ(65)                グレゴリス・マコス (60) 
   マルコ・ロイス (80)                WG ソティリス・ニニス (55) 
OH メスト・エジル (90)                    ディミトリオス・サルピンギディス (65) 
CF ミロスラフ・クローゼ (70)                CF ゲオルギアス・サマラス (50)

交代

(ド)シュールレ→トマス・ミュラー(55)
  ロイス→マリオ・ゲッツェ(50)
  クローゼ→マリオ・ゴメス(55)

(ギ)
ニニス→テオファニス・ゲカス(55)
ツァベラス→ゲオルギオス・フォタキス(55)
マコス→ニコス・リベロプーロス(50)

監督 ヨアヒム・レーブ  S                  フェルナンド・サントス B

【試合概要】

優勝候補ドイツが、とうとう覚醒した。
この日のドイツは、前戦までに動きの悪かった3人(ポドルスキ、ミュラー、ゴメス)を、
ロイス、シュールレ、クローゼへと一気に代えてきた。
このレーブ監督の英断が、ドイツを蘇らせたと言える。
特にロイス、クローゼの動きは秀逸で、次戦からの継続起用を望みたい。

試合は前半からドイツが圧倒的な力の差を見せつける展開に。
後半、一度は同点に追いついたギリシャだが、すぐに突き放され、完全に引き立て役に回ってしまった。


【ドイツ】

前述したように、前節からメンバーを変えたレーブ監督の英断が、ドイツ代表を更なる高みへと導いた。
動きの少ないゴメスが前線に張っている時と違い、クローゼを前線に置くとチーム全体が活性化する。
初登場のロイスは、中央に構えるエジルとパス交換を繰り返し、そのエジルは大車輪の活躍で完全にゲームを掌握した。
後方に控えるケディラは好調を維持し、組み立てにも積極的に参加。
前節まで、馬鹿の一つ覚えのようにアーリークロスを繰り返したミュラーや、強引で利己的なプレイの目だったポドルスキに代わって入った、ロイスとシュールレ(シュールレはポドルスキ同様、少々利己的ではあったが)の働きにより、優勝候補の名にふさわしい圧巻のパフォーマンスを見せたのだ。
守備陣も、ギリシャにサイドを破られたシーンもあったとはいえ、十分許容範囲だろう。
ラーム、ボアテンクのオーバーラップも冴え渡り、チームの攻撃力は大幅に上がった。

この日のようなプレイができれば、どんな相手にも負けない。
そう思わせるだけの、充実したパフォーマンスだった。


【ギリシャ】

まずはここまで大会を盛り上げてくれた、その健闘を称えたい。
その上で、やはりドイツとはレベルが違うということをまざまざと見せつけられた。
特に守備陣は完全崩壊レベルで、ここまで抜群の安定感を見せていたトロシディスでさえ、例外ではなかった。
それにしてもGKのシファキスはどうしてしまったのか。
元から良いGKという認識はなかったが、今日の彼はボロボロだった。
何でもないボールもキャッチせずにコーナーに逃げる、頻繁にボールをこぼす、ふらふらと意図不明に飛び出すなど、完全に自分を見失ってしまっていた。
堅守を土台にして戦術を組み立てるチームの守護神が、これではいけない。

攻撃においてはサルピンギディスの存在が際立っていた。
何より1点目のアシスト、完璧な突破からの完璧なクロスで、試合を束の間面白くしてくれた。



【ギリシャ代表まとめ】

1勝1分2敗 得点5 失点7 攻撃 B- 守備 B- 面白さ B 総合 B


強豪国とは言えないが、実に不気味なチームだった。
ポーランド戦、度重なる不利なジャッジを覆して同点に追いついたあの試合から、ギリシャはどこか
可能性を感じさせるチームだった。

攻撃は、前線を走り回るウイングプレイヤー、サマラスに向けてのロングボールから。
彼が足元にボールを収めると、逆サイドのサルピンギディスが裏を狙って走り出す。
ぎこちない攻撃でありながらも、振り返ってみれば毎試合確実に1ゴールは奪えていた。

チームの精神的支柱は、04年大会の生き残りであるカラグーニス。
彼の一撃は、大国ロシアをも沈めた。
守りの局面では、若いセンターバックコンビ、パパスタソプーロスとK・パパドプーロスが可能性を感じさせ、
右サイドバックのトロシディスも好パフォーマンスを披露。
唯一不満だったのが、左サイドで穴になり続けたホレヴァスとGKのシファキス。

フェルナンド・サントス監督のポーカーフェイス(うまくいっている時でも、常に苦渋の表情をしている)も含め、
今大会のギリシャは、記憶に残るチームであった。





【プレビュー】

圧倒的に有利なのはドイツだ。それは誰が見ても明らかだろう。
死の組と呼ばれたグループBを3戦全勝、全く危なげなく勝ち上がってきたドイツ。
れっきとした優勝候補である。

グループリーグの戦いぶりを見る限り、やはり強い。
だが、面白さ、という意味では期待に応えられていないのが実際のところだ。
攻撃陣の両サイド、ミュラーとポドルスキに冴えが見られず、ラームのオーバーラップが少ないために
攻撃が中央に偏りがちになっている。
恐らくチーム戦術なのだろうが、工夫のないアーリークロスを繰り返すミュラー
ベンチにはデンマーク戦で良い動きを見せたシュールレやロイス、ゲッツェといった新鋭が控えており、ポドルスキやミュラーに拘泥することなく、彼らを試してほしいというのが率直な感想だ。
その絶好の機会であったデンマーク戦を逃した今、彼らの出番は訪れないのだろうか。
エースのゴメスもオランダ戦で永い眠りから覚めたものの、デンマーク戦で再び眠りについてしまった。
ベンチに控えるクローゼにはまだ、一歩も二歩も劣る。そんな印象だ。

そんなチームの中で最も輝いているのがケディラだ。
レアル・マドリーでは潰し屋の側面が強いが、思い返せば2010ワールドカップの時にも彼は
積極的な前線への飛び出しで、バラックの代役を立派に務めたのではなかったか。
ドイツ代表での彼は、守って良し、飛び出して良しの万能型センターハーフである。
ケディラとコンビを組む、シュバインシュタイガー、中央のエジルは彼らの実力を考えれば本領発揮とまではいかないものの、評価に値するパフォーマンスを見せているといえそうだ。
守備面では、ポルトガルのサイドアタックにやや苦戦を強いられたものの、ここまではほぼ問題ないと言っていいだろう。
心配されていたセンターの守備は、新戦力フンメルスの目を見張るパフォーマンスにより大幅に改善された。
バドシュトゥバーにやや落ち着きが見られないものの、ラーム、ボアテンクと組む最終ラインに問題は見られず、
後方に控えるのは今や世界でも3本の指に入るGKノイアーである。


一方、ギリシャの方はどうか。
奇跡的なメンタルの強さで、逆境を勝ち上がってきたのがこのチーム。
だが、ドイツと比べると1ランクどころか3ランク、4ランクは違うと言わざるを得ない。
特にキャプテン、カラグーニスの出場停止は大きく、彼抜きでチームの闘争心を保つことができるのか、
興味は尽きない。
立ち上がりに弱いのがここまでのギリシャの悪癖だが、ロシアを完封したことは自信に繋がったのではないだろうか。

まず大きな鍵を握るであろう最終ラインから見ていこう。
ポーランド戦、チェコ戦と、ボロボロだったのが左サイドだ。ここを守っていたホレヴァスは完全に「穴」で、
各チームに狙い撃ちにされていた。
ロシア戦ではツァベラスが起用され、やや改善したように見える。相変わらず磐石とは言いがたいが、前任者に比べればマシであろう。ドイツとしてはこのサイドを衝きたいところだが、ここまでのミュラーの動きを見ていると、ギリシャに脅威を与えるには不十分かもしれない。
ディフェンスリーダーはパパスタソプーロス、その横に若いK(キリヤコス)・パパドプーロスがつく。
ちなみにKと書くのは、アブラハム・パパドプーロスという選手がいるためだが、彼は負傷で大会を後にした。
この守備ライン、フィジカルに強く割と堅いが、スピード勝負に弱く、小回りの利く選手を捕まえるのは苦手である。
右サイドのトロシディスはここまで磐石。何の問題もない。
中盤のアンカーはマニアティス。更にここまではカツラニスとカラグーニスがコンビを組んでいた中盤センターは、攻撃よりも主に守備力に定評のある選手たちだ。
だが、今日はカラグーニスがいない。
代役に選ばれる選手が誰になるのかはわからないが、便宜上フォルトゥニスを予想スタメンには入れてみた。
これは、カラグーニスに最も特性が近い選手が彼だからという理由で、守りを固めるという意味でフォタキスを起用する可能性も高い。
(更に言えば、僕はギリシャ代表に詳しくはないので、僕の知らない選手が出てくる可能性も高い)。

ギリシャの攻撃は前線任せである。より具体的に言えば、中盤を省略してロングボールを蹴りこみ、機動力に優れたサマラスがそれを収める。ここからギリシャの攻撃は動き出す。
そのサマラスは、この役回りをこなすには少々パス能力に欠けるところがあり、決定力も低い。
だが、そうは言っても彼しかいないのがギリシャの実情で、キープ力は高く、守備にも貢献するサマラスの働きは大事な一戦になればなるほど重要となる。
逆サイドのサルピンギディスは、ラインの裏を取る嗅覚に優れ、ポーランド戦では大暴れ。
ドイツの右サイド、ボアテンクの裏をつくことも可能と見る。
だが、ドイツ代表はより守備力に優れたラームサルピンギディス番に任命する可能性があり、こうなってくるとギリシャは相当キツくなるだろう。
最前線にはゲカスが構える。ブンデスリーガでも長く活躍したCFで、今大会でもチェコ戦で1ゴールを挙げている。
悪くない活躍だと個人的に思っているが、フェルナンド・サントス監督は彼をあまり評価していないのか、
途中でニニスなどを投入し、サイドのサマラスをセンターに置くオプションも多用している。


戦力を分析してみても、ドイツの勝利は固い。ギリシャの勝利は20%、ドイツの勝利は80%と予想する。
だが、ここまで不可能を可能にしてきたのがギリシャだ。
1人少ない状態から彼らがポーランドに追いすがると、引き分けすら許されない状況からロシアに勝利すると
予想した人は多くないだろう。
ベスト8に進出しただけでもビッグサプライズである。だが、逆境に負けないメンタルの強さを持っているだけに、
不気味な存在と言えるだろう。