スペイン    2-0            フランス

試合内容  B-
MOM CH シャビ・アロンソ(75)
主審 B


GK イケル・カシージャス (70)     ウーゴ・ロリス(60)
CB ジェラール・ピケ (50)        アディル・ラミ (45) 
   セルヒオ・ラモス (65)        ロラン・コシールニー (55) 
SB ジョルディ・アルバ (70)       アンソニー・レバイエール (50) 
   アルバロ・アルベロア (60)     ガエル・クリシー (45) 
DH セルヒオ・ブスケッツ (60)     ヤン・エムビラ (40) 
CH シャビ・エルナンデス (65)     ヨアン・キャバイェ (55) 
   シャビ・アロンソ (75)      SH フロラン・マルダ(40) 
WG ダビド・シルバ (60)         マテュー・ドゥビュッシー (45) 
   アンドレス・イニエスタ (60)   OH フランク・リベリー (60) 
CF セスク・ファブレガス (60)   CF カリム・ベンゼマ (45) 

監督 ビセンテ・デルボスケ A    ローラン・ブラン   C+

交代
(ス)
ダビド・シルバ→ペドロ・ロドリゲス(70)
セスク・ファブレガス→フェルナンド・トーレス(50)
アンドレス・イニエスタ→サンティ・カソルラ(55)

(フ)
マテュー・ドゥビュッシー→ジェレミー・メネズ(45)
フロラン・マルダ→サミール・ナスリ(50)
ヤン・エムビラ→オリビエ・ジルー(?)


【試合概要】

両者ともにパスサッカーを主軸に置くチーム同士だが、それだけに如実にレベルの違いが浮き彫りにされた印象だ。
フランスがスペインゴールを脅かした機会は皆無に近く、わずかにキャバイェのFKや、リベリの突破があった程度。
前半の早い時間にシャビ・アロンソがゴールを決めてからは、
まだ1点差だというのに、早くもスペインの勝利が磐石なものとなったような錯覚に陥った。
後半、フランスはややペースを上げ、前半に比べればスペインのゴールに迫ったものの、勝利は遠いと痛感させられた。
結局、ロスタイムには交代で投入された絶好調ペドロの突破にラミがまるで対処できず、
慌てたレバイエールがPKを献上。
この日、代表100キャップを飾ったシャビ・アロンソが2点目となるPKを決め、スペインが準決勝へと駒を進めた。


【スペイン】

中盤のクオリティで、フランスを圧倒した。
全く危なげない勝利というべきで、特に言うべきことは少ない。
敢えて苦言を呈すなら、1-0で十分とも言える消極的な姿勢(ペドロ投入まで)が気になったが、
実際1-0で十分とも言えるくらいフランスに怖さがなかった。
MOMは2ゴールのアロンソを選んだが、チーム全体として仕掛けのパスが少なく
いつも以上に横パスが多い展開だっただけに、少々退屈さを感じたのは確か。
一方、ほとんどミスパスがなく、流れるようなボール回しはさすがの一言で、
横パスをまわされ、時計の針が進んでいくのを、なすすべなく見守るフランスの姿が印象に残った。


【フランス】

スペインとの差は歴然としていた。どう手を打っても、勝利することは難しかったかもしれない。
だが、それにしてもブラン監督は無策だった。
大会を通して良いところのなかったベンゼマを代え、ジルーを早い時間から投入することはできなかったのだろうか。まるでベンゼマと心中をしたかのように感じた。
ラミの守備はあまりにも軽く、CBの層が薄いことを改めて痛感させられた。
キャバイェ、ロリス、コシールニーなど及第点を与えられる選手が数少ない中、リベリだけは相変わらず違いを作り出せていた。リベリのチャンスメイクを、ゴールに結び付けられるだけのストライカーがいれば……。


【フランス代表まとめ】 1勝1分2敗  得点3 失点5 攻撃 B- 守備 B 面白さ B 総合 B+

不完全燃焼の大会だった。
初戦のイングランド戦、中盤を圧倒的に支配したフランスには、躍進の可能性を見出したものだ。
だが、振り返ってみれば、そのイングランド戦で相手を圧倒しながらも、気の抜けたフィニッシュとどこか消極的な姿勢で、結局引き分けで良しとしたその短所こそ、今回のフランスのその後を象徴していたのだ。

ドゥビュッシー、キャバイェ、リベリ、ナスリを中心にした崩しはなかなかのレベルなのだが、
肝心のフィニッシュに持ち込めない。
最前線のベンゼマが決められないというよりも、ベンゼマ以外にフィニッシュに絡もうとする選手が少ないのだ。
結果、中盤は支配するものの誰もゴール前に入っていかず、パスをひたすらまわし続ける羽目になる。
まるで、ポゼッションサッカーの本家スペインの悪い部分をコピーしてしまったかのようだ。

そんなミニ・スペインが、本家スペインに勝てないのが当然というなら、そのスペインを相手にポゼッションされ、
ポゼッション率4割の状態で勝機が見出せないのもまた、当然だった。
もとより、カウンターをコンセプトに作られたチームではないのだ。
似たもの同士のチームスタイルを持つ両者がぶつかれば、完成度の違いが如実に表れてしまうのもまた、至極当然の結末だった。









【プレビュー】

似たもの同士とも言える顔合わせだが、有利なのはクオリティで絶対的に上回るスペインの方だろう。
クロアチアの攻撃にピンチの連続となった守備陣には不安がないとは言えないが、結局は完封を収めており、
今大会でも3試合で1失点。
そもそも、攻撃は最大の防御ならぬ、『ボールポゼッションは最大の防御』を地でいくチームだけに、
守備が破綻をきたすことはない。自分たちがボールを持っていれば、敵に攻められることはないのである。
最大の特徴はやはり中盤である。
スペイン代表は、他のチームとは全く別のスポーツをプレイしている。
非常に異質であり、過去に類を見ないスタイルと言えるだろう。
相手にほとんどボールを奪われず、ひたすらボールを自分のものとする、バルセロナ譲りのスタイルだ。
ポゼッションの鍵を握るシャビ・エルナンデスから、両ウイングのシルバ、イニエスタへ。
シルバの飛び出し&パス、世界一とも言えるイニエスタのキープ力は必見だ。
また、ここに来て、過去2年全く頼りにならなかった男が、再び輝き始めている。
フェルナンド・トーレスの動きは見違えるようで、点取り屋不在の危惧を払拭してみせた。
万が一、トーレスが抑え込まれた場合にも、控えにセスク/ゼロトップシステムという切り札がある。
ゼロトップが機能していることは、イタリア戦、アイルランド戦の後半を見ても明らかであり、
リードを許した終盤にはジョレンテ、ネグレドといったパワープレイ要員も備えている。
守勢に回ることは少ないが、世界最高の守護神カシージャスがクロアチア戦ではビッグセーブを見せていた。
現在、最も優勝に近いチームと言えるだろう。


対するフランスは、劣勢が否めない。
とはいえ、それは相手がスペインだからというだけの話である。
最終ラインで目を引くのが右サイドバックのドゥビュッシーだ。サイドバックでありながら、基準ポジションはサイドハーフのそれであり、彼のオーバーラップは今大会でも一際目をひいている。
対照的に中央の守備には不安がある。センターバックのラミは軽率なプレイが多く、頼りになる相棒のメクセスは出場停止。コシールニーが代役となるが、アーセナルでのプレイを見ている限りでは、彼の守備力に信頼は置けない。最後尾にGKロリスが構えているのは救いである。
中盤の底、アリュー・ディアッラの守備とキャバイェのビルドアップは信頼性があり、イングランド戦では完全に中盤を支配した。
攻撃においては2列目のリベリーのキレのある突破、ナスリのミドルシュートなども大きな武器となっているが、
真の意味で鍵を握るのはメネズであると思う。
というのも、最前線のベンゼマが今大会、ここまで完全に不発に終わっており、フィニッシュにおいてフランスは大きな問題を抱えているからだ。そのため、せっかく中盤を支配しても有効なフィニッシュに繋がらず、結果として攻撃に迫力を欠き、満足に得点が奪えていない。
2列目から最前線に飛び出して、フィニッシュに絡めるキャラクターが、現在メネズくらいしか見当たらないだけに、彼の飛び出しがゴールを生み出す特効薬となるかもしれない。