評価はA-。


ちなみに、↓は感想と共に僕の不倫観も書いてあります。
どちらかというと、寛容派の発言なので、不倫絶対ダメ!派の方からすると不愉快かもしれません。
ご了承を。


面白かったです。
不倫のドキドキ(恋愛小説的な面白さ)と、徐々に明かされていく秋葉の怖さ(サイコホラー)、
一粒で二度美味しかったですね。
それだけに、秋葉の正体は殺人犯で押し通しちゃった方が、より怖くて良かったんじゃないかなぁ、なんて思ったりもしました。
『「ごめんなさい」が言えない理由』としても、ちょっとインパクトが弱いというか、無理やりな感じがします。
殺人犯でいけば、スッキリしたのに、と。


主人公についても少し。
まず、年齢気にしすぎだからw と何度も思いました。
だって、主人公40前でしょ? 不倫相手のヒロインは31歳。
相手が20代前半ならともかく、この程度の差なら大して気にする必要ねーじゃん、と思います。


主人公がしょうもない、というのも確かで、フラフラしてやがるなーと。
「浮気」なら浮気として、楽しく。けれども心できちんと線を引いて、けじめをつけて遊ぶべきかなと。


僕の不倫観については、P120からの新谷さんの台詞「赤い糸なんて存在しない」そのままで、何も付け加える必要はないです。
つまり、浮気したくなるのは結婚した相手がダメだったから(=離婚して、不倫相手とゴールインすればきっとうまくいく)ではなく、「新鮮味が薄れたから」にすぎない(不倫相手とゴールインしても、数年経てばまた同じ)と思います。
もちろん相手によって、賞味期限の長さはあるにせよ、本質的なところは同じ。
ときめきを楽しみたいなら、奥さん以外の女性が必要ということです。


なので、ときめき欲しさのために、奥さんと離婚して不倫相手と結婚するというのは、愚の骨頂かなと思いました。けじめをつけて遊ぶべき、というのはそれが言いたかったのです。


で、主人公は秋葉にのぼせて、「本気(離婚して君と結婚したい、みたいな)っぽいこと」を言っちゃうんですけど、まぁ情けないですね。
これは、言っちゃいけない。言うとすれば、本当に気持ちが固まってから言うべきで、
この主人公のように、フラフラした状態で、口からでまかせのように言うべきではないです。


「離婚して、新しい女性と一歩を踏み出す」という行為自体を全否定するつもりはありませんが、
「ときめきが欲しい」、「男じゃなくなってきてる」、「いいエッチができてねーなぁ」ということでしたら、
遊びでとどめておくべき。


主人公のこの軽率な発言とともに、秋葉がマジになっていくところはリアルに怖いですね。
しかも、秋葉には殺人犯かもしれない、という過去があるのですから。


そう考えると、秋葉は本当に優しい女性だったんだなと思います(最初に登場した時は「なんだこいつw」と思ったけど)。
ちなみに、人物描写が薄すぎるので何ともいえませんが、奥さんもよくできた奥さんだと思いますよ。
「それをすてるなんてとんでもない」(ドラクエ)というやつです。秋葉が身を引いてくれて、本当に良かったと思いますよ。


ラスト、奥さんに『ごめんなさい』と言えない日々がこれから始まるのですね~という感じで終わりますが、
殺人犯の愛人と結婚するため板ばさみにあって苦しむ、という最悪の流れを考えれば、
これくらいで済んでまだ良かったんじゃないかな、と思いました。