点数は75点。
ボイスはない、歌やオープニングムービーもない、CDを入れないと音楽が鳴らない、
ボイスはない、歌やオープニングムービーもない、CDを入れないと音楽が鳴らない、
セーブポイントは20個だけ、立ち絵は許せるがイベント絵はショボい、Hシーン回想はない。
しかし、よく考えてみれば、最後(絵とHシーン)は除いて、2000年前後のゲームなんてこんなものだったような気がする。
「痕」(1996)なんてセーブが3つしかなかったし、「水月」(2002)だってセーブは20箇所しかない。
オープニング曲もボイスもこれらのゲームにはなかったが、そこまで不満を抱かずにプレイしていた気がする。
なんと贅沢に慣れてしまったのだろう。
人間、慣れとは恐ろしいものだ。
さて、この話を続けると脱線に脱線を重ねかねないので、「月姫」の話に移りたい。
個人的に、シナリオだけなら『Fate』よりも気に入った。
後で振り返れば特筆するような物語でもないのだが、とにかく中だるみが少なく、
プレイヤーを飽きさせない。
その要因は、適度な緊張感・恐怖感にあったように思う。
特に館ルート(秋葉・翡翠・琥珀ルートをそう呼称する)では、主人公の志貴が
狂っているのではないかというミスリードを与えることで、彼の不安定さがそのままプレイヤーに緊張を与えている。
バトル自体は大技が乱舞した『Fate』(特に最初の2ルート)に比べて地味なつくりになっているが、
バトルものではなく、あくまでも伝奇モノ・ホラーものとして考えるならこちらに軍配をあげたい(もっとも、Fateとはジャンルが違うといわれればそれまでだが)
どのルートが気に入ったかというと、これは甲乙つけがたいところだ。
というのも、全てのルートがB+(75点相当)であり、平均してどれも面白かった。
反面、後々まで思い返して余韻に浸るほどのルートは(ジャンルの特性上難しい側面もあるが)残念ながらなかったと言わざるを得ない。
ヒロインに関しても皆、平均的に可愛く、嫌な感じを受けたキャラクターはいなかった反面、強烈な萌えは残念ながら感じなかった。
一応僅差でアルクをベスト萌えヒロインにあげるが、個人的に最下位だったヒロインと比べてもB+とB-程度の開きしかない。
少々さびしい反面、プレイして苦痛になるヒロインがいないというのは長所でもある。
話の流れとしては、館ルートのほうが緊迫感を感じて楽しめたが、エンディングに関してはむしろ表ルート(アルク・シエル)のほうが
切なさを感じさせるエンディングが多く、どちらが良かったとは言い切れない状況である。
とにかく全体として、『飽きずにプレイできる、高品質なエンターテイメント』であったことは間違いない。
一方で、『特に深く掘り下げて語りたいわけでも、心に深く根ざすような特別な価値を見出せるわけでもなく』、
暇つぶしとしてはなかなかよろしいのではないだろうか、という玉虫色の評価なのは、
75点という点数を見ても(絵やシステム等の不満がなければ82点くらいにはなったとは思っているが)明らかである。
最後に。
個人的によくわからなかった点を。
琥珀ルートにおいて、秋葉の能力は『熱を奪って、凍結、凝固、瞬間的に気化される』と描かれていたように記憶している。
(メモはとっていない)。
僕は完全に理系音痴なので、これの意味がさっぱりわからなかった。
もしこれならば、『発火』はしないのではないか?などと、『化学:2』だった僕は思ってしまうのだが……。