なんと、ライブドアブログの文字数制限に引っかかったので、記事を分けました。
前回の記事の続きがこちらになります。


【3章:成田隼人編 評価 B】


この章が一番読みづらかったです。
僕は不良というものに、一度も憧れを抱かなかった人種なので、主人公と同様にアングラな方たちになかなか親しみを覚えられませんでした。
とにかくスラングだらけで、本当に読みにくい。あまりにも頭の悪いやりとりが多くて、半端なく疲れました(そういうキャラたちだというのはわかりますが)。
ただし、最後まで読んでいくと、そんな彼らとのコミュニケーションも悪くないように感じられ、ゲームを終えるころには名残り惜しい気分にもさせられましたが……。


深夜に働いているにも関わらず交通費混みで時給900円(成田工務店の場合)という、主人公のワーキングプアっぷりにも、割と精神を削られました。
工事現場で夜働いて、あまり近づきたくない人種に干渉されて……そんな人生リアルに嫌です。
なんだこの鬱ゲ……。
まぁ、鳴ルートに入ってしまえばワープア疑惑(?)も払拭されるのではありますが、
初回鳴ルートに入れなかったので、マジで鬱ゲーをプレイしている気分でしたw


一方で、異文化に触れる興味深い読書経験をしたという感慨もあります。
アメリカ南部の農民小説とか、戦時中の人の手記を読むような感じ。
ある種のファンタジーといいますか、そういう面白さはありました。

(実際の夜の街があぁなのかは僕にはわかりませんが)、舞台となる柳木原の夜にも、嘘くささのない、リアリズムを感じました。
きちんと取材をしたのではないでしょうか。
柳木原の夜が強く印象に残ったこともあり、終えてみればむしろ出来の良い章だったように思います。
ただ、読むのがしんどかったのは間違いないですけどね。


鳴ちゃんは、会話のテンポや話し方が可愛いです。
ただ、鳴ルートに進んでも、恋愛描写についてはかなり薄いですね。
鳴との恋愛物語と考えるよりも、夜の街で紡いだ希薄ながらも確かに存在する、コミュニティの物語と捉えた方がしっくりくる感じです。


コーダインも健気で可愛いです。
最初のうちは良さに気づきませんでしたが、隼人の気をひこうとだんだんギャル色を薄めていくあたり、
なかなか惹かれるものがありました。
それだけに、クリアできないのはいただけません。
漫喫のシーンでキスしちゃっても良かったのに!
(2章の感想で、たまひよよりも好きと書いた、紀奈子さんや米田さんが攻略できない理由はわかりますが)
コーダインに関してはむしろ、攻略できないほうが不自然に感じます。
森里君に気兼ねした、くらいしか現状納得できる理由がないのがなんとも。


余談ですが、『それ散る』の小町でも感じたのですが、リアル路線(Notアニメチック路線)の『コギャル系美少女』を描けるライターは、エロゲ界には王雀孫くらいしかいないのではないでしょうか。
そもそもコギャル自体、エロゲにはほとんどいませんしねぇ……。 


【4章:カルラ編 評価 B ヨージ編 C+】


どうも評判が悪いカルラ編ですが、個人的にはちっとも読みにくくなかったです。
3章前半に比べたら、リーダビリティは雲泥の差でした。


やってることがむちゃくちゃなカルラ君ですが、王雀孫のテキストの魔力か、ぶっ飛び具合に笑いをこらえるのが大変でした。
左上太陽のくだりとかすごいです。『むちゃくちゃなキャラを書こう』と思っても、この発想はなかなか出ないと思いました(同じ頭の悪い会話でも、こういう閃きのあるユーモアは好きです。単に汚い言葉でくだらねーことを話しているのとはわけが違います)。
「結婚を前提にして性交してください」→「お疑いであれば、今ここで射精してごらんにいれますが!」とか「なりたなりたと~」などなど、良い味出してるなぁと。
たっぷり笑わせていただきました。


あと、「そういうゲームじゃねぇから」というツッコミが来るのは百も承知で言いますと、
狂夜さんのレイプシーン、あるいはボロボロになっているCGは欲しかったです。
鬼畜なことを言ってるのはわかっていますが、そうは言うても18禁ゲームですし。


ヨージ編は……気持ち悪いガキだなぁ、としか。
エロゲなんだから、アリっちゃアリですが、これもうレイプだから……。
いや、18禁ゲーだしレイプ自体はあってもいいんですが、このガキは『妹を綺麗にしてあげなきゃ』とか言い訳しながら、やってることはレイプっていう偽善者ぶりが壮絶に気持ち悪いですね……。


元人格だというのはわかりますが、小鳩、ほんとうにこんなお兄ちゃんに会いたいの?
鷹志(タカシ)君の方が百倍良くね?
良くも悪くも、今までの4人とはまた全然違う性格の主人公を描いていること自体は巧いと思いますが……。


にしても、小鳩のエッチシーンってあんなのばっかりなの……?
これは最終章の方に書いてもいいのですが、ホント、ちゃんとしたエッチシーンを用意してほしかったなぁ。
 

【最終章(小鳩ルート):評価  B+】


物語の落としどころとして、無難な出来でした。
相変わらずギャグは笑えましたし、大きな欠陥なく物語を綺麗に終えたという意味でも、不満は少なく。
ただ、これは『俺つば』全体に言えることですが、物語のアップダウンは少なく、平坦であることは否めません。
最終章くらいは盛り上げてくるかな?と、少し期待しておりましたが、至って普通に終わってしまいました。


それにしても、羽田鷹志君を1人の人間として考えるとめちゃくちゃリア充してますね。
学校では、プリンセス・アスカをはじめとして、京、女生徒A、高内(これは入れなくてもいい気がするが)と吉川さんに小鳩と6名の女子に想いを寄せられ(またはその可能性がかつてはあった)、
カフェでは、たまひよに。紀奈子さんやひのえり、優さんといった可愛らしい女性とも楽しくやりとりできますし。
夜には、鳴・コーダイン、アリス(もかな?違うかな?)と狂夜(さすがに無理があるかw一応カルラ枠で)の4人。恋には入れませんが、パル姉さんもいますし。
え、なに、11人もの女性と恋仲にハマれるチャンスがあったんですかね(マルティネスと翔くんは一応除外しておきました)。こりゃ凄い。
どんだけモテてんだよ! 


小鳩は全主人公共通のお姫様であるので除くとしても、一番リア充からは遠いと思われていた鷹志君が堂々の5人モテでトップ!
次点は3人モテの隼人君ですかね。
個人的に一番好きな鷲介はたまひよだけ……もっと頑張って……いやいや、それはそれで一途でよろしいと思います。


長文感想を読んでいただき、ありがとうございました。
世界が平和で、ありますように。