まず採点から。

シナリオ 105/150      キャラ125/150      絵80/100     音85/100 

その他システム70/100    印象 +30/(+-50)    合計 495/650 (69位/160ゲームくらい?中)

ESにつける点 81


どうしても比べてしまうのが、「つよきす無印」(以下無印)の存在。
なぜなら、この『3学期』はよくある「ナンバリングは打ったけど、実際は別物」の作品ではなく、
登場人物のほとんどと設定のほぼ全てを「無印・2学期」と共有する、続編、もしくはファンディスク、はたまた二次創作のような作品だからです。


ちなみに僕は無印(&みにきす)はコンプ。 
2学期はエリカとセレブはやった覚えがあります。コンプはしていません。
なので、2学期についてはあまり触れないと思います。コンプしていないのに不正確な こと書いちゃったらまずいですしね。
また、無印に関してもクリアしたのが6~7年前なので、記憶違いがある可能性はあります。
もし勘違いなどあったら、ごめんなさい。


☆作品全体


作品全体を見ると、「無印」に巧みに似せつつも、うまい具合にライターの独自性が出せていて、好感を持ちました。
タカヒロ成分7に、さかき傘成分3を混ぜて、うまくアレンジした感じ。
似ているようで、別物の作品に仕上がっています。


タカヒロ作品は、良くも悪くも戯画的でした。そして刺激が強かった。
ヒロインのトゲの強さは相当なもので、ギャグもパロディを駆使して「ここで笑ってくれ!!」と狙いに来ている感がありました。
そして個人的には、そういう部分はあまり得意ではなかったのでした。


一方でさかき傘さんの書いた「3学期」は、ヒロインの長所・短所の傾向はほぼ踏襲しながらも、毒を非常に薄めています。
「無印」の毒とは、『傍若無人な ヒロインの振る舞い』が多かったことです。
良く言えば周囲に流されない強さを持ったヒロイン達、悪く言えば独善的な傾向のヒロインがとても多かった。
これは好き嫌いの問題で、 独善的だからこそ強烈なキャラクター性を保てていたとみることはできますし、
僕のようにそれを苦手だと感じた人もいたことと思います。


一方、今作では、それぞれのヒロインについて独善的な部分は残しつつも、自省するシーンが見えます。
特に象徴的なのが乙女さんでしょうか。
「無印」の乙女さんなら「このコンジョーナシが!」で済ませていたところを、
「三学期」では「私の接し方が間違っていたのかもしれない」と言わせています。 
説教くさくて面倒見の良いところが乙女さんのウザさであり、魅力でもあるわけですが、
3学期では、その説教くさい部分は残しつつも、自省をし、レオの気持ちを忖度するだけの度量を持つヒロインに成長を遂げていました。


素奈緒ルートに関しても、(うろ覚えですが)確か「無印(みにきす)」では、
レオが素奈緒に引きづられるように昔の熱血さを取り戻していった覚えがありますが、
「3学期」ではお互いの考え方を尊重し合うという展開でした。
ある意味、ヒロインが自分を曲げた・妥協したとも言えますが、独善性が薄れたぶん柔軟さを増している点は
僕の好みにあったものでした。


では次に個々のルートについて書いていきます。


☆乙女さんルート B評価(S~E)

このルートで描かれたのは、乙女さんとレオの関係性。
レオはなんだかんだでコンジョーはあり、自主性がなかったというお話。
あぁいう接し方をしていたら、そりゃレオがそうなっても無理ないよなぁという自然な流れで、
乙女さんが人間らしい側面を見せたこともあり、好感をもって読むことができました。


また、乙女さんを「いると安心できる、癒し系頼れるお姉ちゃん」と表現したのはたぶん今回が初めてで。
「無印」でもそういう面はあったと思うのですが、あぁ、そういう人だったのかと改めて魅力に気づいた思いがしました。
卑怯な敵拳法部をぶちのめす展開もなかなか熱かったですね。


☆エリカルート C+評価

ところどころいいなと思ったシーンはあったのだけど、全体としてはまずまず。
途中ちょっと中だるみを感じるところがありました。
「姫」が人間的魅力を増した一方で、「強烈なカリスマ」が影をひそめてしまったというのは、
この「無印」と「3学期」の関係をも表しているようで、なかなか興味深かったです。


☆カニルート B+評価

序盤のバスケシーンを読んでいた時は「なんじゃこりゃ」と思ったのですが、終わってみれば良いルートでした。
「無印」でもカニルートはスバルとの関係を絡めた、良シナリオでしたが、
今回もまたその「無印」を発展させた、素晴らしいものに仕上がっていたと思います。
あと、「バカップル」はなくなったと書いている方を何人か見ましたが、二人で「バカ」をやるシーンがなくなっただけで、「甘々ニヤニヤな意味でのバカップル」ぶりは健在だったのではないかと。

フカヒレの活躍も嬉しいですね。スバルの存在がクローズアップされることは多いですが、
やはりフカヒレも含めての親友グループ。
いじられ役になりがちな彼ですが、「いじる相手」としてではなく、しっかり「親友」だなと感じさせてくれるシーンが
あって、とてもよかったなと思いました。


☆よっぴールート B評価


とってつけたような姫とレオの入れ替わりイベントといい、やたら不自然な「よっぴーはいい人」推しといい、
やりたいことはわかるものの、拙さを随所に感じたシナリオ。
また、「よっぴーが生徒会長に立候補で終わりでしょ!」という、先の極めて読みやすい展開も賛否が分かれそうです。

とはいえ、
「こんなの本当の私じゃない!」と悩むよっぴーに対し、「演技も含めて、それが本当のあなた」との回答を提示したエンディング直前の展開は、当たり前と言えば当たり前ながらも「うんうん、そのとおり」と思わず納得してしまう筋立てで、終わってみればスッキリとした読後感。
自分も学生の頃は、「他人に見せている自分」と「本当の自分」の乖離に居心地の悪さを感じ、
「本当の自分」を知ってほしいと思っていた時期がありましたので、(少々よっぴーは特殊ではあるものの)
共感をもって読むことができたと同時に、学生時代の自分を少し思い出しました。
あの頃は潔癖だったなぁというか、今はどうしてこんなにいい加減になっちゃったのかなぁ……と自分語りに入っても仕方ないので、話を戻して。


こんなシナリオもアリではないでしょうか。
ただ、返す返すも、入れ替わりイベントに頼らずに恋愛を進めて欲しかったというのはあります。


☆瀬麗武ルート B-評価


正直中盤まではあまり面白くなかったんですが、軍団長とのバトルはなかなか良かったです。
乙女にしろ軍団長にしろ館長にしろ、ドラゴンボール的強さの彼ら彼女らを相手に、凡人が挑むというシチュは燃えますね。
後は瀬麗武が結構エロくてよかったです。
あ、あまり書く事がないな……。


そ、それと皆さんのレビューなどで「何でいるのかわからない」と言われている権田瓦さん。
僕は割と好きですよ!
いや、確かにいなくてもいいとは思いますがw


☆なごみルート C+評価

「無印」ではなごみが最萌えだった僕。当然期待して読んだのですが、
少々期待はずれだったルートです。
最大の不満点は、「淡々としすぎている」こと。物語の起伏に乏しいと感じました。


なごみの成長(母の再婚を祝福できるようになる)→天王寺とのどかの再婚(エンディング)
までの流れは共通ルートを終わらせた時点で、あるいはその前から既に確定とも言える流れで、
後はどれだけそのシーンを盛り上げるか。
もしくは予想外の展開を盛り込むかに期待していたのですが
結局は淡々と成長し、淡々と予想されたエンドを迎えただけだったのは肩透かしでした。
なごみが、天王寺を真っ向から認めるシーンがあっても良かったんじゃないかなぁ、と。
また、なごみというキャラの特性上、皆とワイワイしたり、楽しいギャグ日常も描けないのが辛いところです。


キャラについて書きますと、無印版から大きく印象が変わったのがこのなごみでした。
デレッデレだった無印版に比べて、ツン成分が強いですね。
これはこれでアリだと思いますし、相変わらず可愛いのですが、個人的には無印版のデレなごみの方が好きでした。


ところで、これはなごみルートだけに言えることではありませんが(よっぴー、瀬麗武、かに、乙女にも該当すると思います)、Hシーンでのレオの振る舞い方はエロくて良いなぁと。
Hシーンそのものではなく、正しくは、Hシーン直前の流れですね。


エロゲーの多くは、「告白」→「相思相愛を確認」→「はじらいながらの初H」という流れが多いのですが、
今作では「恐らく相思相愛だけど確信が持てず」→「スキンシップなどで良い雰囲気に」
→「エッチな雰囲気の中、流すようにヒロインをHに持っていく」という流れで、底はかとなくナンパ師的というかヤリチン的というか……と書くと言葉が悪いんですが、「良いなぁ!」と。


「告白を受け、気持ちを完全に固めてHする」や「なーんも考えないでHする」のではなく、
「本当にいいのかな……いいのかな?」みたいなヒロインの戸惑いと、
彼女の抵抗を少しずつほぐしていくレオの振る舞い、エロ空間でヒロインの思考を麻痺させていくその描写は地味に高評価ですね。
肝心のHシーンは、まぁ普通くらいなんですが、流れがとてもよかでした。


☆素奈緒ルート  評価 A-

「3学期」のみならず、「無印」を含め最も気に入ったシナリオです。
特に弁論大会のシーンは必見とも言える出来で、固唾を飲むように読まされてしまいました。


自らの行いを「これ、正論よね!」の台詞で貫いていった「無印」と如実に違ったのが、
レオに対して言った
「私のために変わってくれて、ありがとう」
「あなたのために変われなくて、ごめんなさい」の台詞(←メモをとっていないので、一言一句同じではないです。あしからず)。


これは「無印」のタカヒロ氏では絶対に、書けなかった(もしくは、タカヒロ氏は絶対に書かなかったであろう)台詞だと思ったし、個人的なことを言えば、画面の向こうでニヤニヤしっぱなしでした。


☆終わりに


タカヒロ氏がいなくなったにも関わらず、2学期、そして3学期を発売する「つよきす商法」には正直呆れていました。
ぶっちゃけてしまえば、「3学期」に関しては冷やかし半分の気持ちで購入しました。
そもそも「無印」に74点をつけており、「2学期」に55点をつけている僕は「つよきすフリーク」というわけではありません。


しかし、終わってみればこの『3学期』は、僕の中で『無印』を上回る作品になりました。
そして長く付き合ってきた「つよきすワールド」がとうとう終わってしまう(NEXTは別キャラなので)のが、少し寂しいような、そんな気持ちにもなっています。
「無印」、「2学期」の出来なら、そんな気持ちにはきっとならなかった。
そういう意味でも、この「3学期」は「つよきすシリーズ」の集大成とも言える作品になったのではないでしょうか。