ひたすらダンジョンを制覇していく合間に、街でのイベントを軽く進めていくようなゲーム。
プレイ時間の大半はダンジョンに潜っているわけで、そこに何か感動があるというわけでもないのだが、不思議と中毒性があり
寝食を忘れてプレイしてしまう。そんなゲームだった。


嬉しいのは、プレイ期間が実質無制限なため『ハマり』がないこと。
敵が強いと思えば、遠慮なくのんびりとレベル上げをすればいい。
レベルもサクサク上がるので行き詰まり感もなく、順調にダンジョンを踏破していけるのが楽しい。


ダンジョンにおける時間経過という概念もなるほどよく考えたなと思わせる。
これは21時を過ぎると問答無用で全滅扱いというもの。
また、新しいフロアに進む時は「5分」経過し、既に踏破したフロアを戻る際には「2分」が経過する。
もう少しで目的地に着けそうだが、時計は18時を回った。
などという時に、進むべきか退くべきか。
20時30分を回り、ギリギリで目的地に着いた時などは、「進んだ」自分の判断に鼻高々になりつつ、喜びを噛み締めることができる。


仲間は5人いるわけで、それぞれを使い分けながら進んでいくのも楽しい。


その中で一番強いのが、ダントツにミュリだった。
ラスボス三連戦などは、本当に彼女一人だけで倒してしまった。
LVは369だから(推奨LVは350になっている)やや高いのは確かだが、他のメンバーとのレベル差は大してない中で
本当に一人だけ群を抜いて強い。
遠くから魔法をぶっ放し、敵に近寄られれば瞬間移動で逃げる。敵の攻撃はかわすし、魔法防御は硬いし、反射まで持っている。
唯一物理防御のみ弱いが、前述のように瞬間移動で逃げることもできるし、かわすし、反射もするのでやはり強い。

エルフの弓兵、フォーチェラさんも強いが、弓は耐久力が低めなのが難点。
代わりの弓をいくらか持ち歩く必要があるだろう。
敵に囲まれてしまった場合、クロエの薙ぎ払いに助けられることも多い。
回復薬が尽きそうな際、セフィリアの回復魔法にはお世話になる。

と、こうして考えてみると一番役にたたなかったのは主人公のフィーノだったりする。


そんな彼の唯一の見せ場は、金策だ。
このゲーム、「お金」に関しては非常にバランスが悪いように思う。
と言うのも、普通にプレイしていたら、武器防具の修理費だけで首が回らなくなってしまいかねない。
しかしその状況を劇的に打破するのがフィーノの「盗む」コマンドだ。

中盤で出てくる毒イモムシみたいなモンスター(レイルローパー)から、値打ち物の絵皿を盗む。
これをするだけで、もう金欠病からはおさらばだ。
逆に言うとこれを知らないと、相当苦労するのでは?とも思った。



ここまでは割と褒めてきたつもりだが、やはり欠点もいくつか指摘しておきたい。
まず一番最初に目に付く点はストーリー性の乏しさであるが、それに付随してキャラクターの魅力自体も減じていること。
それを踏まえた上で、「エロさ」についても(個人的に駄作扱いをしている「空帝」、「冥色」2作に比べて)格段に落ちた。

とにかく、あっけらかんとしすぎているのだ。
依頼をやりました→お礼にHしましょう。貝殻あげました→なんかラブラブになりました→Hしましょう。
といった感じで、「冥色」のような心が痛みつつも淫靡なエロさを醸し出す陵辱もないし、二人の愛が結実するような幸せいっぱいのエッチといった感じもない。
テキストレベルも大して高いわけではなく、ヒロインは手垢にまみれた料理イベントを毎日ご披露してくださるし、
ゲーム部分に力を注ぎすぎて、こちらの部分は相当おざなりにされてしまった気がしないでもない。


よって純粋にゲーム部分、ダンジョンを踏破していくのが好きな人にはお勧めするが、ストーリーに期待……する人はあまりおらずとも、
萌えだとかエロだとかにも期待するには少々辛いものとなっている。


ここからは余談。


個人的にどうしても武器屋のシーズが好きになれなかった。
絵のせいなのか、声のせいなのか、セリフのせいなのか、それら全ての要素が複合的に絡み合っているのかはわからないが、どうしてもダメだった。
悲しいことに、武器屋には日参しなければならない。武具の耐久力を回復させてあげないといけないからだ。
ところが顔を合わせるたびに「まーた、ポンポンポンポンと壊して」と言われ、イラっとする。


物を売ろうとすると「『売っぱらちまい』たいのかい?」→「『売っぱらっちまう』道具を選びな」と連呼される「売っぱらっちまう」という単語がどうにも不快。
何だか非常に乱暴な響きをそこに感じてしまった。
うーん、何でだろう。
ヒロインなどの態度にイラっとくることは数あれど、こんなどうでもいい(と思う)部分にイラっとくるとは……。
シーズだけは音声を個別でOFFにしたかった。できないけど。