世界中の英雄たちを集めながら、世界を制覇していくSLG。
アレクサンダー大王と源義経とナポレオンが、カエサルとアショーカ王とワイナカパック(インカの王様です)が主人公の下に集結し、共に闘う!
何とも胸が踊りませんか?
踊らない方は、このゲームをやる必要はありません。
そこそこ歴史が好きで、上記のような面子を見て「イイね!」と思えた方、「英雄戦姫」の世界へようこそ!
とはいえ……残念ながらその「ワクワク」が最後まで続くかどうかは、何とも保証しかねるところであります。
では、ゲームの感想に移りましょう。
★ 世界中の英雄を集める、要するに……?
仲間が多いのであります。
そう、このゲームには(数えてないけど)総勢80人以上の英雄が登場!
しかも全員女の子だよ! ほとんどのキャラにHシーンがあるよ! 凄いね! 夢のようだね!
それに80人もいれば、きっとあなたの好みの女の子も出てくること間違いなしです。
これはもう、是非プレイするしかありませんゾ!
と、思われるかもしれませんが。
はい。逆に言うとですね、多すぎるのであります。
冷静に考えてみましょう。
80人の英雄たち、一人ひとりにきちんとしたストーリー、イベントを用意することは可能でしょうか?
そりゃあ、予算と時間と才能が許せば可能かもしれませんが、現実的にはかなり厳しいでしょう。
ですが、「英雄戦姫G」は頑張っております。ストーリーはともかくとして、ちゃんとイベントを用意するだけはしたのであります。
Hシーンも、ほとんどのヒロインには(60人ぐらいには)ありますよ!
ですが、そのせいでですね。一人ひとりのイベントがとても薄いのであります。何とか用意しました、って感じです。
Hシーンも同じく。差分すらほとんどありません。
差分が全くないエロCGが1枚こっきりのヒロインまでいる始末。当然の如く、エロイッカイダケ、です。
大昔のゲームならともかく、今時これはないでしょう。
と言いたいんですが、これは前述のとおり仕方ないことでもあると思うんです。
だって、これだけ人数が多いのに、濃厚なH、様々なアングル、多数の差分、複数回数のHを求めるのは無理があります。
一人ひとりのイベントを描ききるのも、これは相当なものです。
(敵にやられた際に服が破けるのですが、そのCGをCG鑑賞モードで見られない事はちょっと許せない)
そんなわけで、『世界中の英雄を集める!』というコンセプトを敷いた時点で、この欠陥は避けがたいものだったとも思えるのです。
また、これはシナリオ面でも同様であります。
★荒唐無稽かつ中身のないストーリーだが、これもまた……
ハンムラビ王とイヴァン雷帝とマゼランが一緒になって、感動の一大スペクタクル巨篇を期待する。
これもまた、正直難しいと言わざるを得ないでしょう。
もう、こういう設定にしちゃったんだからそこは目を瞑らざるを得ません。
また、主人公のチハヤ(デフォルトネーム)は、鬼畜ではなく、ごく普通の青年です。
ごく普通の青年にも関わらず、60人だかの英雄とHをするのです。
しかも鬼畜ではないので、陵辱はしません。
と、ここまで書けばおわかりですね?
つまり、チハヤ君は、壮絶なまでにモテるのです。
特にカッコイイとも思わない普通の主人公だと思うんですが、もう無闇にモテるんですね。
で、ヒロインが60人だかなんだかいるわけなので、イベントもさほど用意できない。
となると、おざなりかつ内容のないイベントをこなして、即H!
しかもエロは1回だけだから、まさにヤリ捨て状態!(ヒロインの方で「こいつとはもう2度とHしたくないわー」と思ったのかもしれませんが)
でもこれも仕方ないと思うんです。
だって、女性化した英雄を集めるエロゲで、仲間には80人も英雄がいるのに、そのうちの5人としかHできなかったら、やはり寂しいでしょう?
あるいは女性化した英雄を集める!と豪語しておいて、その数がたったの8人だったら、これはもう別のゲームになっちゃいますでしょう?
だからね、仕方ない、とは思うんです。
思うんですけど……まぁ、不満はありますわね。
と、一応弁護する姿勢を見せておりますが、テキストのつまらなさ、コイツはダメです。
地の文が全くない、映画の脚本そのままのようなテキストは、到底読めた代物ではございません。
このイケてないテキストなんですが、ライターさん、分量に関しては頑張っていらっしゃるんですわ。
なもので、延々とつまらないテキストを……我慢することはないです。辛くなったらスキップしても、話は簡単なので掴めますよ。
では、次にSLG部の感想を。
★難易度はとても易しい
僕は「ノーマル」でクリアしているんですが、これが「イージー」かと見まごうほどに簡単です。
僕のようなヘタレゲーマーは、簡単な方が嬉しいんで問題ないんですが、歯ごたえのあるゲームが好きな方は「ハード」を選びましょう。
でも、「ハード」を選んでも、簡単なんじゃないかなぁ。
このゲーム、あせらされることがないんです。
敵が次から次へと攻め込んできたりはしません。
毎ターン領地からお金は溜まっていきますし、ターン数はいくらかけても良いので、「詰まる」ことがないんです。
これは賛否両論かと思うんですが、僕自身は好印象を持ちました。
★中盤までは面白い
領地侵攻型SLGの宿命とでも言うべきでしょうか。
このゲームもまた、中盤までは面白いです。
次はどこの土地に攻め込もう。
ロシアは強そうだからアステカからにしようか……いやでも、東南アジアも捨てがたい、という楽しみですね。
次はどんな仲間が増えるんだろうとワクワクします。
ですが、終盤になってくると、そのワクワクがすっかり消えていることに気づきました。
まだクリアしたわけでもないのに、付きまとう「作業感」……。
「敵の領地に攻め込んで」→「新しい仲間をゲットする」。ただ、ひたすらこれだけなんですよ……。
普通のRPGでも、これは本来一緒です。
「新しいダンジョンに行って」→「目的を果たして」→「新しい街に行く」というように。
でもそれを、『作業』でなくさせるのはそこに流れる壮大なストーリーであったり、仲間の成長(ストーリー面でもLV上げという意味でも)であったりなんです。
けれどこのゲームでは、それがない。
ストーリーは言わずもがなですし、仲間に関しても『兵力』という数値は増えますが、『能力』自体は上がりません。
お金だって別に増えません(というか、ターンごとに勝手に増えてる)。
戦いに出すことで成長させている実感はほとんど感じられないと思います。
出撃回数、敵撃破数といった数値が見られるのだから、それを活かして何かをすればいいと思うのですが、そういった工夫もありません。
20回敵を撃破したら新しい技を覚えるとか、Hシーンが見られるとか、そういうものは何一つないんです。
これが、このゲームに付きまとう「作業感」の正体だと思います。
では最後にキャラ雑感を書いて、感想を終わりにします。
★ユニットについて
このゲームには約80人ものユニットがいるのに、一度にパーティーに組めるのは6人だけなので、僕自身も全員を把握しきっているわけではありません。
ラストダンジョンでは2連戦があるので、最低でも計12人。
余裕を持たせて20人ほどのユニットに戦闘準備をさせておけば問題ないと思います。
「近接戦闘用の剣士」、「サポート魔法役」、「回復魔法役」、「銃、砲、弓などの遠距離攻撃役」といった感じでそれぞれ数名見繕っておけば良いのではないでしょうか?
個人的な意見ですが、回復役で最も使いやすいのは卑弥呼だと思います。
なので、卑弥呼は常にスタメンにおりました。
最序盤からラスボスまで、存分に活躍したユニットでした。
ラスボス戦ではチハヤ、アーサー王も大活躍でしたね。特にアーサー王は、1人でラスボスのHPを半分ぐらい削りました。
近接ユニットでは、義経、ガウェイン、ヘラクレス(加入遅いけど)、政宗などなど、他にも強いユニットはいっぱいいるので、
自分で探すのも良いのではないかと思います。
砲兵では序盤はペリー、後半はナポレオンが強かったですね。
銃はコロンブスがとても使いやすかったです。
術は、孫子の叱咤激励(ダメージ2倍)に大変お世話になりました。
叱咤激励が使えるのは別に孫子だけではないので、そこはお好みで使ってみてください。
能力はひとまずおいておいて、気に入ったのは、
ツタンカーメン、卑弥呼、ビリー・ザ・キッド、ジェロニモ、ワイナ、ドレイク、ランスロット、クレオパトラ、アショーカのおっぱい、カエサルの透けおっぱい……
結構いますねw
ただ、シナリオやイベントの後押しは弱いので、あくまでも見た目や声、強調された特徴だけというか……
このキャラの生き様に惚れた! このキャラのこの台詞で、心をぐっと持っていかれた! というような、強い萌えはなかったです、はい。
【総評】
世界制覇しつつ、世界の英雄を集めるという「英雄戦姫」。
そのコンセプトを守る上では、仕方のない部分も多々あったとはいえ、
やはりもう少し面白くならないものか、という不満は尽きない。
しかし、このコンセプト……難しい制約の中で、「一応遊べる(クソゲーではない)」作品を送り出してきたことは
評価できる、かもしれない。
積極的に他人に薦めようとは思いませんが、まぁクソゲーではないので、興味がある方は買ってみてもいいかもしれません。
それなりには楽しめますよ。