評価はA。

宇宙に憧れる57歳の主人公が、45歳のヒロインの手を借りて宇宙への夢を追いかける。
そんなロマンチックな物語が本書です。
何歳になっても夢を諦めないことの大切さ、二人のひたむきで優しい愛、
主人公の事を心配し、支えてくれる周囲の人々の友情がとにかく素晴らしい。

自らの命を犠牲にして、主人公の夢を助けるヒロイン。
「一緒に宇宙船に乗せて。木星まで連れて行って」と、髪を渡す彼女のシーンは涙なしでは読めませんでした。
そして、そんなヒロインの遺志をも受け継いで夢に向かう主人公の前に、残酷な結末が……。


打ちひしがれる主人公、「宇宙へ飛び立つ」チャンスを完膚無きまでに壊され、
愛した女性も亡くなって、後に残ったのは61歳の自分。
本当に、本当に読んでいて辛かったです。
主人公は確かに嘘をついたかもしれないけれど、彼の夢への気持ちは本物だったから。
報いられるだけの努力をして、とてつもない犠牲まで払って、それでもたどり着けなかった夢。


本書はバッドエンドですが、バッドエンドだからこそ胸に来る悲しみ、切なさ。
そして、タイトルの「天の光はすべて星」。
目に見えていて、届きそうで、でも届かない、そんな夢。


しみじみと読ませます。